村上春樹 沈黙で感想文:”なりきって”考察する3つの方法

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズも
今回でついに第80回を数えます。

とりあげるのは、
村上春樹さんの短編小説『沈黙』(1991)。

Sponsored Links


高校現代文の教科書にも掲載されている
”学校小説”ともいえる作品
(文庫本で35ページほど)で、
この短編集に入っています。



もちろん全文を読んでいることが前提
ですが、めんどっちくって読めないとか、
いちおう読んだけどポイントがわからない
とかいう読者のために、「あらすじ」を
用意してありますので、必要な方は
こちらをご覧ください。

村上春樹 沈黙のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説



👉 感想文に感想なんて書いてちゃダメ!

さて、そもそも感想文ってやつが大の苦手で、
どう書いていいのかサッパリわからん、
という人のために、当ブログ「感想文の
書き方」シリーズ秘伝の「サイ象流・
感想文の書き方《虎の巻》
」を
ひろげさせてもらいます。

  • 学校で評価される感想文は作品を
    読んでの素直な「感想」など
    ではなく、それを機に「自分の
    生活を反省する
    」作文である。
  • これを書くには、まず、たとえば
    登場人物が何らかの行動をとった
    とき、「自分にはこんなことは
    できない」
    のではないかとか、
    あるいは性格的に「自分にはこんな
    ところはないか」と反省する。
  • 自分にはこんなところはないか……疑問009093

  • その上で、「これからは自分も
    こうしよう」という類の前向きな
    結論
    を決め、決めてから書き始める。
(もとは「Yahoo!知恵袋」での「ikemen_busaiku」さんの回答に触発されて構成したもの)

おわかりですか?

なんでそうなるかって?

「ikemen_busaiku」さんは
こう答えています。

なぜそう言い切れるかというと、
少なくとも学校の求める読書感想文
とはこういうもの
だからです。

それは、コンクールで賞を取って
いる作品を眺めてみれば
わかります。

ほとんどこんな作品
ばかりですから。

身もふたもない話……ではありますが、
へへ(^_^;) 、結局そうなんですよね。

日本の「国語」は「道徳」を兼ね
ちゃってますからね。

だから、すくなくともコンクールで賞を
狙おうかという人は、読みながら心に浮かぶ
「感想」はひとまず横へ置いて、
「自分の生活を反省する」方向へと頭を
ねじ向ける必要があるわけです。



だとすると、見えてきません?
『沈黙』もこの方法で行けそうでは……?


👉 ごく簡単なあらすじ(要約)

『沈黙』の場合、記述されていくのは
「僕」すなわち「大沢さん」の行動と心理
ですから、その「僕」が、たとえば青木を
殴るとか、重要な局面や岐路に立たされた
場面に、あなたも立ってみることですよ。

そこで、「自分なら……」を考えてみる。

殴らない方がよかった。   04101c51455c163fc4763d0f07395f10_s

結果からみれば、そうに決まっていますが、
でも、まだ中学生ですし、性格的にあんな
場合、手が出てしまう人もいるでしょう。

あるいは我慢できたとしても、それは
それで、またややこしい展開になった
かもしれない……。


あらゆる可能性を想像してみましょう。

その上で、可能性としていちばん面白そうな
もの、あるいは「自分の生活を反省する
ことにつながるようなものを採り上げて、
「反省文」的感想文を書いていけば
いいんですよ。

Sponsored Links



👉 もし自分が青木なら…

でも、絶対に「僕」=「大沢さん」になら
なきゃいけない、ってこともないんですよ。

たとえば、悪役にされちゃった「青木」に
なってみるのも面白いじゃないですか。

物語はすべて「大沢さん」の視点で語られて
いますから、青木がどんな人なのかも
大沢さんの目に映る姿が描かれているだけで、
実態はわからないはずですね。 walter_medium

自分が窮地に陥ったのも青木の謀略からだと
大沢さんは断定していますが、それだって
証拠はないですし、真相はわからない
じゃないですか。


そこで、青木になりきって
「反省」してみましょう。

そこから面白い感想文が生まれてくると
思いますが、その場合、方法もいくつか
あるでしょう。

  1. 「青木は無実である」という仮説に立ち、
    それを証明していく。

  2. 青木は「悪人」として完璧、あるいは魅力的である
    という観点から、青木の行動と心理を分析していく。

2の場合、いわゆる「悪漢小説」
(ピカレスク・ロマン)の世界に足を
入れる感じになりますから、きっと
ワクワクしますよ。

実はあの夏目漱石先生もこれについては
いろいろと考察をめぐらしていたんですよ。

そのことはこちらの記事に書いて
いますので、覗いてもらえると
参考になるかもしれません。

シェイクスピアのオセロを講義:漱石の名言「白砂糖の悪人」?
シェイクスピア オセロのあらすじ:漱石講義のコメントつきで


👉 自分も「沈黙」するのだろうか…

「僕」=「大沢さん」にも「青木」にも
ならないとすると、第三の選択肢として、
その他大勢――警察で取り調べを受けて
以降の「僕」を完全にシカトするように
なるクラスメイトや教師たち――
になってみるという方法もありますね。

Skulls-s

つまり、この人たちの「沈黙」が「僕」に
「地獄のような状況」をもたらし、その
「沈黙」はいまもなお夢に出てきて「僕」を
恐怖させ、苦しめているという……

そのような「沈黙」を決め込んでいた人々。

この「沈黙」の語が作品のタイトルにも
なっているくらいですから、きっと作者の
思い入れにはただならぬものがあるのでは?

とすれば、感想文としてそこに突っ込む
ことは至極まっとうなことですし、それに
なにより、倫理・道徳の問題として大いに
考えてみるに値するところでしょう。

ゾンビ zombies-skeletons-s

あのような場合、自分ならあんな「沈黙」に
逃げ込まない、というとしたら、実際
どんな行動ができたろうか……

なならかの行動が起こせたとするなら、
それが”正しい”か否かは、何を根拠に
判断するのか……。


そのあたりをしっかりと考えて文章に
していくことができれば、これもまた
すぐれた感想文になること請け合いですよ。



👉 作者もつらかった

以上、大きく分けて3つの方法を提案してみましたが、
どれでやるとしても、本気で取り組めば、
なんらかの「つらさ」を必ず伴うと思います。

でも、それはしかたありませんね。

「つらい」内容の小説にちがいないですし、
作者の村上春樹さんもその「つらさ」が
自身が実際に経験したことの表現であった
ことに言及しています。

自身のホームページの読者からのメールに
村上さんはこう答えたそうです。

僕がこの作品を書いたのは、
僕自身、自分の気持ちをなだめ、
癒すためでした。

僕もこの時期に主人公と同じような
ずいぶんつらい思いをしました。

〔中略〕      115733

(それについて言い訳したりするの
ではなく)沈黙を守ったまま
この短編小説を書きました。

そういう意味では、これはとても
個人的な、そして実効的な小説
だったのです。
(『「ひとつ、村上さんでやってみるか」と世間の人々が村上春樹にとりあえずぶっつける490の質問に果たして村上さんはちゃんと答えられるのか?』朝日新聞社, 2006)


なにしろこれは作者自身の発言ですから、
たいへん貴重です。

感想文に採り入れることも
じゅうぶん可能でしょう。


それにからんで、村上さん自身が
「作家になったワケ」を述べたことばを
下記の動画で見ていただくと、これも
また参考になりそうです。



それと、もう一つ。

ラノベやマンガ・アニメなどの世界で
いわれる「セカイ系」の親にあたる存在が
村上春樹だというユニークな説を展開して
いる哲学者、東浩紀さんのお話も
面白いですよ。 



ほかの村上春樹作品、『鏡』や
『恋するザムザ』についての
記事もご覧ください。

村上春樹 鏡のあらすじ:簡単と詳しくの2ヴァージョンで解説
村上春樹 鏡の感想文を簡単に(or漱石・オルフェに飛んで高度に)
村上春樹の名言💛恋するザムザとロシア映画『変身』から

そのほか村上春樹の本を早く安く手に
入れたい場合は、Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。

💛村上春樹の本:ラインナップ💛€




👉 まとめ

さあ、どうでしょう。

これだけヒントが出そろえば、
もう書けないことはないでしょう、
感想文の一つや二つ……      25d178d10a4c57ca700639a53ffe4785_s

え? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、でも具体的に、
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

Sponsored Links

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ