サンタはいる?いない?漱石少年も学んだ英語教科書に答え

 


やあやあサイ象です。

クリスマスが近づくと毎年
浮上する”永遠”のテーマが
「サンタクロース問題」ですね。

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ほんとにいるのかなあ? と疑う、
あるいはすでに信じていない、
にもかかわらず信じているふりを
している……ま、いろんな子どもが
いるわけですね。

親の側からすれば、初めはどのように
その実在を信じさせるかに腐心し、
信じさせたら信じさせたで、
今度はいつ、どのようにしてこの
「嘘」から卒業させるか……

というわけで、悩みはつきません……

パパサンタ095023

ところで、この問題、日本では
いつごろから親と子の頭を悩ませる
ようになったんでしょうね?


 

👉 侍サンタ登場、三太九郎万歳!!!

そもそも「サンタクロース」自体が
いつ日本に初上陸したかというと、
記録としては、明治7年(1874)、東京
築地にあった第一長老教会のクリスマス
祝会に登場したのが第1号サンタ、
ということになっているようです。

ただこのサンタさん、「裃をつけ、
大小を差し」た「サムライ風の身拵へ
厳しき」人だったようですが……。

その記録を載せている横田順彌さんの著書
『明治不可思議堂』には、
  (⇩)



明治31年(1898)刊行の『さんたくろう
という小説も紹介されていて、これも
日本化したストーリーでなかなか
面白いんです。


キリスト教徒の農家の少年、峰一と父とが
雪の中で倒れていた旅人、五平を助けます。

その後、父が病気になって家は収入が
なくなり、クリスマス・イブに峰一に
贈り物をすることもできません。

そこへ山のような贈り物を届けるのが、
あの五平。

峰一が目覚めると、枕元にはこんな手紙が。

 よく神様の教へを守り、阿父
(おとう)さんを助けて旅人の生命を
助けた、誠に感心な子でありますから、
此の贈り物を上げます。
  
   北国の老爺(ほくこくの
おやぢ)三太九郎(さんたくろう)

 峰一殿

ラストはみんなで

「クリスマス万歳!日曜学校万歳!」
「三太九郎万歳!三太九郎万歳!!!」

と三唱して結びとなります。

このことからもわかるとおり、教会の
日曜学校の教材として書かれた
もののようです。


 

👉 子が親に教えた?「サンタ物語」

というようなわけで、「サンタクロース」
の存在は明治の日本人に知られて
いなかったとはいえないわけですが、
上記の2例はいずれもキリスト教徒の間での
ことですので、信徒以外の日本人がどれほど
知っていたかということになると……

なかなかむづかしい問題で、ご存知の方には
ぜひご教示を仰ぎたいところです。

まあ、徐々に(あるいはある時期、急速に)
広く知られるようになり、「サンタが
贈り物を届けに来る」という物語(はっきり
いえば「嘘」ですが)もそれにともなって
一般家庭に浸透していったのでしょうね。

サンタMerry_Old_Santa_Claus_T

ここで一つ考えられるのは、この
「サンタ物語」、明治期にあっては、
むしろ子どもが親に教えるという場合も
多かったのではないか、ということです。


教育の普及が急速に進展する時代に
おいては、むしろ子どもの方が、学校で
吸収した知識を親に授けるという逆転現象
がしばしば発生しますが、「サンタ物語」
も、そのような逆=教育の形で一般家庭に
受容されて入ったのではないか。

まあこれは私の憶説ですが、根拠を示せ、
といわれるならば、まったくない
わけでもありません。

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それは、明治・大正期、日本全国の中学校で
最も広く用いられていた英語教科書、
National Readers 2 のワン・レッスンに
“A CHRISTMAS STORY”というお話があって、
そこでまさにこの「サンタ物語」が
主題化されていることです。

ちなみにこのNational Readers 2
少年時代は英語嫌いだったと称するあの
夏目漱石も家で兄に「ナシヨナルの二位
(ぐらゐ)」まで仕込まれたと回想している
(漱石の談話「落第」)、その教科書に
ほかなりません。

National Readers 2 表紙 IMG_20141028_0001


IMG_20141110_0001
Lesson 48 “A CHRISTMAS STORY”(左頁下の脚注に注意)


 

👉 サンタさんはお見通し

私が所持しているNational Readers 2
奥付に「明治三十年六月十八日印刷/発行」
とあるものですが、このレッスンの開始
ページ(上の写真、左側)にある脚注は
下記のとおり。

Christmas  
毎年十二月廿五日ニ執行ス、
基督教国ニテ老幼ノ之(これ)ヲ
楽ミ待ツガ如シ.
Santa Claus此祭日ノ前夜小児ノ
寝床ノ近辺ニ靴足袋ヲ置キ
翌朝之ヲ見レバ種々ノ贈物其内ニ
アリ、小児等 Santa Claus
来リテ之ニ入レ置ケリト信ズ、
実ハ父母ノ之ニ入レ置キシナリ.


つまりこんな注が必要だったということは
一般にはまだ知られていなかったことを
示していますよね。

若い人がこうして学校や本で知って親に
教え、ウチでもやるべきだと主張した
かもしれません。

「んな毛唐の真似なんざ、するこたねえだ」
と却下されて、その後自分が親になってから
実践したかもしれませんしね……

という時代の変遷を映し出す
1コマともいえますね。


さて、この”Lesson 48 : A CHRISTMAS
STORY”は、クリスマス・イブに、ある
家のママが小さなミリーとメイの姉妹を
寝かしつけながら話す言葉が作品の大半を
占める、という構成になっています。

IMG_20141120_0004
煙突を下りてきたサンタ
(National Readers 2 第48課の挿絵から)


小さい子がぐっすり眠ると、
サンタさんが煙突から大きな袋を
もって入ってくるのよ。

サンタさんは、たくさんの子どもを
見てきてるから、子どもの閉じた
目が開いてたときに優しかったか、
その口から悪い言葉が出なかったか、
ゃんとわかるの。

今夜ミリーを見てこう言うでしょう。

『この子の手は今休んでるが、
メイのおもちゃを片付けてあげたし……』

〔そのほかこの日「ミリーの手」が
した良いことを列挙し、つづいて
妹のメイを見て言う〕

『この子の口はキスでいっぱいで、
手もじきにおもちゃの片付け方を
覚えるだろう』

最後にサンタさんはママの
ところへ来て、

『この子たちが優しい良い子でないと
ママの顔は幸せそうでなくなるだろう。

靴下におもちゃを入れ、椅子の上に
絵本を二冊置いとかにゃならんな』

それからママは靴下を吊るし、
二人の子が寝つくまで見守ります。

“In the morning the story
came out true.”

(朝、お話は現実になっていた)

というのが最終行。

どうです、なかなかいいと思いません?

サンタ煙突Santa_enters_chimney_1910

サンタという「嘘」を隠そうとやっきになる
より、この”A CHRISTMAS STORY”でも
さんたくろう』でも、またそれらをヒントに
自分なりに創作したお話でもよいので、
話してあげてみてはどうでしょう。

ただその場合、ママ・パパの
本気度が必要です。

「サンタはいる。(すくなくとも)きみの
心のなかに」と目で語れば、その
“ほんとう”さはきっと伝わりますよ。


サンタクロースとはいったい誰なのか?
という問題をめぐってはこちらもどうぞ。
サンタクロースはクリスマスと関係ない?サンタ自身の回答は?
クリスマスプレゼントは靴下にって、なぜ?サンタの答えは?

上でふれた英語教科書にかんしては
こちらの記事を御覧ください。
クリスマスツリーの木はもともと何?漱石も読んだ英語教科書に学ぶ
サンタへの手紙を正調の英語詩で!漱石も読んだ教科書から

クリスマスツリー211114230230_0006


夏目漱石の作品やエピソードに関心の
ある人はこちらもご覧くださいね。
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夏目漱石『こころ』:感想文の書き方
菊と刀で読む日本人:夏目漱石『坊っちゃん』で感想文
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