漱石 それからのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第84回、
「あらすじ」暴露サービスとしては第53弾。

今回はいよいよ夏目漱石の名作
『それから』(1909)に挑戦です!
   


明治42(1909)年に東京・大阪の両
『朝日新聞』(当時は『東京朝日』『大阪朝日』
が別でした)に連載され、2015年にはその
『朝日新聞』が『三四郞』につづき、異例の
百年ぶり再連載を行うという、
驚異のロングセラーです。

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1985年には、森田芳光監督、松田優作主演の
映画『それから』も公開されました。
まずはその予告編をご覧ください。



全編を鑑賞されたい場合はこちらでどうぞ。




さて、一口に「あらすじ」をといっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだから多少は
詳しくないと……という場合まで、
千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у
 


👉 ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した「ごく簡単なあらすじ」。

裕福な実業家の次男、長井代助は、
大学卒業後も働かず、父の金で優雅に
生活していたが、三年ぶりに帰京した
親友平岡の妻、三千代への恋心を
再燃させる。

学生時代、三千代を好いていながら、
代助は「義侠心」から、
平岡に彼女を譲ったのだった。

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いま平岡夫妻は借金苦で不仲でも
あると知り、また三千代の側でも
代助への思いを示すにつれ、
彼女を取り返したいという
情念は強まっていく。

ついに三千代に思いを告げて
平岡とも話をつけた代助は、
長井家からは縁を切られ、
職業を探しに飛び出していく。


どうでしょう?

え? なんだかよくわからん?

ハハハ、それはまあそうでしょうね。


それではとりあえず、『朝日』再連載に
あたって依頼されたらしいあの
林修先生の解説を聞いてみましょう。

いつ聞くの? 今でしょ!
     



ハイ、おわかりですか。

林先生もおっしゃってたように、
キーワードとしてまず挙げられるのは、
やはり「自然」でしょうね。

これ以外にあなたが独自に見つけても
もちろんいいんですが、まず、
いちばん目につくのはこれ。


そこで以下の「やや詳しいあらすじ」では、
この「自然」という語を
色つきで強調していきますので、
注意して読んでもらうと、
作品の読みがぐっと深くなり、
感想文なども書きやすくなると思います。



👉 やや詳しいあらすじ

それでは参りましょうか。

原作は新聞連載で「一の一」に始まって
「十七の三」で終わるという全17章構成
ですが、この「あらすじ」では、
わかりやすさのため、各章を「起承転結」
の4部に割り振って記述していきますね。

【起】(一~四)
代助の父、長井得(とく)は、元は
武士だが、明治という時代の波に乗って
成功した実業家で、今は長男の誠吾に
会社を任せている。

次男の代助は、優秀な成績で帝国大学を
卒業したあと、就職はせず、父の金で
家を持たせてもらい、使用人(婆やと
書生)を置き趣味的な生活を
送っている。

漱石が別のところで使った言葉で
いえば典型的な「高等遊民」ですね。

 
大学時代の親友で、銀行に就職して
京阪の支店に勤務していた平岡が
久々に帰京したので、飲んで話す。

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部下が公金500円ほどを使い込み、
その累が支店長に及ぶのを避けるために
辞職させられたという話で、平岡は
「兄さんの会社」に口はないかとも尋ねる。


数日後、挨拶に来た妻の三千代は、
代助と平岡の友人、菅沼の妹だったが、
兄は早世し、東京を出て一年後に
産んだ子も夭折。

それ以来、心臓を病んでいる。

三年前に結婚祝いとして代助が贈った
指輪を今もはめている三千代は、
平岡の作った借金の穴埋めに500円
ばかり工面できないかと代助に打診。

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【承】(五~十一)
代助は兄に事情を話して
借金を申込むが、断られる。

平岡の新居を訪ねて酒を飲むと
「何故働かない」かの議論を始め、
堂々巡りのようになって、三千代からも
「少し胡麻化(ごまか)していらっ
しゃる様よ」などと指摘される。


嫂(あによめ)に借金を申し込むと、
代助の現在の境遇について種々意見し
ながら、結婚の意志についても
探りを入れてくる。

が、この三年来「凡ての物に対して
重きを置かない習慣になった如く、
結婚に対しても、あまり重きを
置く必要を認めていない」代助は、
のらりくらりとかわす。

「妙なのね。誰か好きなのが
あるんでしょう」といわれて「不意に
三千代という名が心に浮か」ぶ。

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    映画『それから』で使われた「鳩山会館」 


翌日には嫂から手紙が来て、兄には内緒
として200円の小切手が入っている。

平岡の家へ行くと三千代だけだった
ので、この金を渡し、平岡の借金が放蕩
のために性質(たち)の悪い金を借り
始めたことに発していると知らされる。


父に呼ばれて実家へ行くと、独立できる
だけの財産がほしいなら、佐川家の
娘を嫁に貰えといわれる。


三千代が白い百合を三本さげて、
代助の家を訪ねる。

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「好(い)い香(におい)でしょう」
と三千代が鼻をつけて嗅ぐので、
代助が制止すると、あなたも昔そう
していたと指摘され、苦笑する。

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【転】(十二~十四)
「三千代の引力を恐れた」代助は
旅に出ようとするものの、いつか知らず
「三千代の方に頭が滑って行」き、
平岡の家へ足が向く。

ひとりでいた三千代は、その指に代助の
贈った指環がないことについて、
「堪忍して頂戴」と謝る。

困窮の様子に打たれた代助は「紙の
指輪だと思ってお貰いなさい」と持ち
合わせの紙幣を強引に渡して去る。


佐川の娘とついに見合いをし、
「どうだ」と聞かれた代助は、
煮え切らない返事をする。

数日後、   857a907c73fae3f9e6b6e145bb50960f_s

また三千代に会いに行くと、  
買い戻した指環を出して見せる。

家庭の事情などを話してから、
「何だって、まだ奥さんを御貰いに
ならないの」と三千代に聞かれ、
代助は返答に窮する。

別れ際、「淋(さむ)しくって
不可(いけ)ないから、又来て頂戴」
と三千代。


新聞社に就職した平岡を訪ねると
経済の担当で多忙の様子。

金のことなら少し待ってくれ、その
代わり君の兄さんやお父さんのことも
書かずにいるんだから、などという。

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「三千代さんに安慰を与えてやれ」
と意見した代助に「だって、僕は家
(うち)へ帰っても面白くないから
仕方がない」などと平岡は答え、
代助は彼が憎くなる。

「細君を奪(と)っちまうぞと判然
(はっきり)知らせたかった」が、
腹におさめて別れる。


自然の児(じ)になろうか、
又意志の人になろうか」と迷った末、
代助は縁談を断ろうと実家へ行くが、
兄がいないので嫂にその旨を告げ、
「私は好いた女があるんです」という。


翌日、代助は三千代を家に呼び、
白百合を沢山買ってきて、生けて待つ。

「今日始めて自然の昔に帰るんだ」
と胸につぶやいた時、「彼は年頃にない
安慰を総身(そうしん)に覚えた」。

何故もっと早く帰る事が
出来なかったのかと思った。

始めから何故自然に抵抗したのかと思った。

彼は雨の中に、百合の中に、
再現の昔のなかに、
純一無雑な平和を見出した。

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その生命の裏にも表にも、
欲得はなかった、
利害はなかった、
自己を圧迫する道徳は
なかった。

雲の様な自由と、水の如き
自然とがあった。

さうして凡(すべ)てが
幸(ブリス)であった。

だから凡てが美しかった。
  (十四の七)



「僕の存在には貴方(あなた)が
必要だ。どうしても必要だ」と代助が
言い、三千代の目から涙が流れる。

三四年前にそう打ち明ける    132766

べきだったという代助に、打ち明け
なくてもいいから、あのとき「何故
棄てて仕舞(しま)ったんです」
「残酷だわ」と泣き崩れる。

「僕はこれで社会的に罪を犯したも
同じ事です」と代助。

「然し僕はそう生まれて来た人間
なのだから、罪を犯す方が、僕には
自然なのです」

謝る代助に、三千代は涙の中ではじめて
笑い、「残酷では御座いません。だから
詫(あや)まるのはもうよして頂戴」

「私だって、貴方がそう云って下さら
なければ、生きていられなくなった
かもしれませんわ」と心を明かし、
「仕様がない。覚悟を決めましょう」
と口にする。



【結】(十五~十七)
代助は父に面会して佐川の娘との縁談を
断り、父は怒って「もうお前の世話
はせんから」と突き放す。

代助は三千代にその経緯を報告し、
今後強いられるであろう経済的な
「我慢」や「変化」について話す。

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三千代は、かまわない、
「もしもの事があれば、死ぬ積
(つもり)で覚悟を極めている」
といい、代助は「慄然として
戦(おのの)く」。

「死ねと仰れば死ぬわ」ともいい、
代助は「又ぞっとする」。

このあたり、「恐れる男と恐れない
女」という漱石文学に反復される
男女観の表現といえますね。
詳細はこちらでどうぞ。
 
漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.


翌日、代助は平岡に会いたいとの手紙を
出し、返事が遅いので使いにやった書生
から三千代が病気との知らせを受ける。

平岡がようやく来ると、代助は約一時間
かけて経緯をありていに話し謝罪する。

「君は三千代さんを愛していなかった」
と指摘する代助に、平岡は、それが
事実としても、今日のようなことになる
のなら、なぜ三年前「三千代を僕に
周旋した」のかと難詰する。

それが「友達の本分」だと思った、
あのときの「義侠心」について、今
「君に対して真に済まないと思う」
と代助。

「僕はこの通り自然に    115733

復讐(かたき)を取られて、
君の前に手を突いて詫まっている」

「どうも運命だから仕方がない」
と平岡はうめき、「三千代さんを
呉れないか」と切り出した代助に、
「うん遣ろう」と答える。

だが、君とは絶交せざるを得ないから、
三千代の病状を見に来ることも
断るという。


平岡からの手紙でこの経緯を知らされた
代助の父は、激怒して兄を使いにやり、
事実確認させる。

代助が事実と認めたため、兄は、
父も自分も縁を切ると宣告する。


兄が去ると、代助は書生に
「僕は一寸(ちょっと)職業を
探して来る」といって飛び出す。



👉 「自然」の復讐の物語?

どうでしょう。

もうわかりましたよね。

一つの恋愛小説には違いないんですが、
自然」をキーワードとして読むと、
これが同時に、「義侠心」というような
不自然を犯してしまった人間に加えられる
自然の復讐の物語」でもあることが
よくわかりますね。

そのほかにも、目の付けどころによって
いろんな読み方ができてくるはずなんです。
たとえば、よく知られるように、 46991b2e88a80b96cc78d4c2961747c8_s

『それから』は『三四郞』と『門』の間に
入って三部作をなすといわれています。

この三作の連続性という視点から読むと、
どうなのか。

そのあたりを考えたい人は、こちらの
記事も参照してください。
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門(夏目漱石)の簡単なあらすじと小論文へのヒント
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そのほか漱石に関しては、こんな記事も
ありますので、覗いてみてください。
漱石の「月が綺麗ですね」の出典を求め、「朝顔に」の俳句へ
漱石『こころ』のお嬢さん問題と河合奈保子「けんかをやめて」
漱石 三四郎:白い雲を見る二人の小津安二郎的ショット


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さあ、これでもうこれで書けますよね? 
読書感想文。

え?、書けそうなテーマは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、上に開陳しました
《虎の巻》で実際に作品を読み解いた
記事のどれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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