京都のお茶漬けは「帰れ」の意味?桂米朝師匠の落語に学ぼう

 


やあやあサイ象です。

生粋の京都人でもないのに、
京都について知ったかぶりする記事を
もうかなりの数、書いてきました。

でも実は、自慢ではありませんが、
どうもこの都(みやこ)、いまだに
わかったようで、わからない。

日本文化の中核には違いなんでしょうが、
周辺の日本人にとっては日本でいちばん
わかりにくい……そいういう側面も
たしかにあるようなんですね。

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👉 大阪人にもわからない

 
関西の外から見ている人には……京都と大阪
なんて、新幹線で今や15分とかからない、
それこそ目と鼻の先。

話す言葉も同じような関西アクセントだし、
文化的な違いもほぼないだろう……
といったところでしょう?

ところが、これが大違い。

いろんな面で違うんですが、
いちばん端的で有名なのが
例の「京の茶漬け」。

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つまりこの決め文句で指し示されてきた
京都人の言葉のウラオモテ。

腹は言葉どおりではない……
要するに”「単刀直入」の逆”ですね。


まあこれは、アメリカ人や中国人など
「単刀直入」にものを言う傾向の強い
国民から、日本人全般の特徴として
よく指摘される点でもありますので、
さすが京都、日本のなかの日本だ!
という見方もできるのかもしれません。


ただ、ここで大いに興味をひくのが、
目と鼻の先の大阪人がこれについて
いけない、という一種の「文化摩擦」が
事実として発生してきていることです。

上方古典落語の演目『京の茶漬け』こそ
その動かぬ証拠といってよいのでは
ないでしょうか。

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さて、能書きが長くなりました。
それではお聴きいただきましょう。

2015年、人間国宝の身でみまかられた
あの桂米朝師匠の口演です!



ちゃんとした録画で楽しみたい
という方は、こちらの全集に入って
いますので、どうぞ。
   


また落語そのものの
面白さをめぐっては、
こちらの記事も
ご覧ください。

落語 死神のあらすじ:落ちの色々に元ネタのグリム童話も!

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👉 ぶぶ漬け食べて行かはりますか?

 
ポイントはもうおわかりですよね。

要するに、京都人が来客に「茶漬け
(本来の京都弁なら「ぶぶづけ」)
でも……」などと言い出したら、
それは「帰れ」の意味。

だから、どれほどしつこく勧められても、
ほんとに食べちゃったら、あとで
エラい目にあうよ、という話です。


なぜ特に京都にこんな気風が形成されたのか?

それは、時代ごとに変わった権力者のもとで
したたかに生き抜いてきた歴史によるのだ、
というような説明がよく行われています。

が、それも、どこまでのものか、
実態はわかりません。

ただまあ、この落語で    ff70c6af8cc356496221cf87f2a240c5_s
描かれているようなトラブル
(それが場合によっては笑える)が
現代もなお大なり小なり発生して
いることは否定しにくいようで……。

そのことは、京都で働いたことのある
”よそ者”の日本人なら、たいがい
経験しているんじゃないでしょうか。

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👉 ウラを読んでこそ都会人?

 
たとえば『うるさい日本の私』とか 
『〈対話〉のない社会』などの著書で
知られる”闘う哲学者”中島義道さんが
どこかに書いていた、こんな話。
(どの本だったか今、思い出せないため、
引用も不正確になること、御容赦
ねがいます)

京都のある芸事の大師匠に
東京の編集者が取材だか
インタビューだかの依頼をした。

師匠が断ったので、編集者はあきらめ、
その後、連絡しなかった。

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ところが、何か月かして師匠から
例の件はどうなったかとの問い合わせが
あり、いや、とっくに断念しましたが…
と答えると、憤慨された。

その言い分とは……

「いちげんさん(初対面の客)に、
ハナから二つ返事できまっかいな。

しばらくしてもう一ぺん押してもら
わな、受けられしまへんがな」


うーん、ムズカシイ~~・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。

この経験に学んだ人が、次の機会には、
一度断られてからあきらめずもう一度
押してみたら、えらく激怒された
なんて話もあります。

「何べん言うたら、分かりまんねん!」
なんてね……。

とかくに人の世は住みにくい……┐( ̄ヘ ̄)┌



👉 漱石『虞美人草』にも出てくる?

 
こういう傾向はもちろん
必ずしも京都人に限られる
わけではありません。

たとえばさきほどの「とかくに人の世は
住みにくい」というのは夏目漱石『草枕』
(1906)の名文句ですが、その翌年の作
『虞美人草』にそういう人が出てきます。


ヒロイン藤尾の実母で甲野欽吾の継母、
「謎」が好きなので「謎の女」と
呼ばれる人です。

父の遺産をすべて藤尾に譲るという欽吾の
ウラのない言葉に、どうしてもウラを
読まずにいられないのがこの「謎の女」。

呉れるというのを、呉れたくない
意味と解いて、貰う料簡で貰わない
と主張するのが謎の女である。
  (『虞美人草』十二)

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こういうウラ読みこそが都会的洗練であって、
それをしないのは、とんでもない
イナカモンだという気構えが、こういった
人々の腹にはあるんでしょう。

「この種のウラ読みができてはじめて
洗煉されたオトナ」と見なす傾向は
「高コンテクスト文化」(E・T・
ホールの用語、『文化を超えて』参照)
の日本にしてはじめて可能なもので、
かつそれが日本の伝統的美風のように
見なされてきたことも事実ですね。

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要は、消滅寸前のこの”美風”が最も
根強く存続してきているのが京都だ、
ということなんです。

この”美風”をどう受けとめるかは
人それぞれ。

京都市内でも「洛中」と「洛外」
との間に横たわるスサマジイ
差別など、”京都のいやらしさ”
についてはこちらで。

三島由紀夫 金閣寺の詳細なあらすじ:難解な柏木も読み解く
川端康成 古都のあらすじと感想◎京都”観光小説”の哀切さ

さらに詳しくはこの本で。
  




👉 まとめ

 
もちろん、現在の京都人のほとんどは、
この古風な流儀が京都の外では通用
しないことを理解されているでしょう。

また「京の茶漬け」伝説もご存じでしょう
から、長居してしまった場合も、実際に
「ぶぶ漬けでも…」と言い出されるような
(あの落語の大阪人のような)経験は、
したくても、まずできないでしょう。

  
今の京都でそういう 舞妓 格子
経験をしたという話は、少なくなくとも
私は聞いたことがありません。


ただ、ごくまれには、さきの師匠のような、
生ける化石のような大先生もいてはる
ようどすので、ご用心、ご用心…

というのが本日のレッスンでした。

京都の奥深さをさらに探りたいという方は
こちらの記事などをご参照くださいね。

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それではまた~(ニコニコ)ノ

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