漱石 夢十夜のあらすじと解釈:第三夜で感想文ならどう書く?

 


やあやあサイ象です。

ついに100回を突破した
「感想文の書き方」シリーズ。

今回は早くもその第114回((((((ノ゚⊿゚)ノ

「あらすじ」暴露サービスとしては
第69弾となります。

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今回は第18回に続いて夏目漱石の
異色作『夢十夜』(1908)。

「こんな夢を見た」とはじまる
10個の夢語りを並べたもので、
始めは『朝日新聞』に10回にわたって
連載されました。


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『夢十夜』では、ほかにも「第一夜」と
「第二夜」「第六夜」について
書いていますので、ご参照ください。

夏目漱石 夢十夜の第一夜をこう解釈💛美しい短篇で感想文を!
夢十夜(漱石)を解説🌛 第二夜でついに現前しない「無」とは?
夏目漱石 夢十夜 第六夜のあらすじと解説:運慶が生きている?


新聞連載の1回分なので、
全文を読むのもそう苦にならない
はずですが、やはり文章が古いのと、
感想文などを考える上でのポイントを
押さえるという意味で、
私なりの要約による「あらすじ」を
「序破急」の3部構成で書いてみます。

「要約」する以上は、そこに私なりの
解釈が入り込まないわけには
行きませんので、その点はご了承を。

「  」内と「”」印の囲みは原文
(仮名遣いは変更)の引用です。


👉 あらすじ


【序】
「自分」は6歳の「自分の子」を
背負って歩いているが、その子の
「眼が潰(つぶ)れて」いるので、
「何時(いつ)潰れたのかい」と
聞くと、「なに昔からさ」と答える。

「田圃(たんぼ)へ掛かったね」
と言うので、なぜわかるのか聞くと、
「だって鷺が鳴くじゃないか」と答え、
すると鷺が二声(ふたこえ)ほど鳴く。

わが子ながら怖くなり、
どこかへ捨てようと考えると、
大きな森が見える。

そちらへ歩くと、
「石が立ってる筈だがな」と
子が言うので、見ると実際、
八寸角の石が闇の中に立っていて、
イモリの腹のような赤い字で
道案内が書かれている。

「左が好(い)いだろう」  イモリakaharaimori2
と言われるままに進みながら、
盲目のくせに何でも知ってるな、
と考えると、彼は言う。
「どうも盲目は不自由でいけないね」
「親にまで馬鹿にされるからいけない」



【破】
いやになった「自分」が
早く捨てようと急ぐと、
「丁度こんな晩だったな」と言う。

「何が」と尋ねると
「知ってるじゃないか」と答え、
実際、知っているようにも思え、
はっきり「分かっては大変だから」
早く捨てようと雨の中を夢中で歩く。

只背中に小さい小僧が
食附(くっつ)いていて、
その小僧が自分の過去、現在、
未来を悉(ことごと)く
照らして、寸分の事実も
洩らさない鏡のように
光っている。

しかもそれが自分の子である。


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【急】
「ここだ、ここだ、丁度
その杉の根の所だ」と子が言い、
「うん、そうだ」と思わず答える。

「文化五年辰年だろう」
「御前がおれを殺したのは今から
丁度百年前だね」と言われ、
実際、その年のこんな闇の晩に
一人の盲人を殺したという自覚が
「忽然として頭の中に起こった」。

おれは人殺しであったんだなと
始めて気が附いた途端に、
背中の子が急に石地蔵の
様に重くなった。

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👉 怪談としての冴え

さあ、どうでした?

コワイ、コワイ、コワイでしたね~
(淀川長治風に……といっても
わかんないか)。

ともかくこの作品、一つの
「怪談」にちがいなく、読者を
怖がらせる効果が狙われている
ことは間違いないですね。


ですから、10人の監督が結集して作った
オムニバス映画『ユメ十夜』(2006)でも
「第三夜」を担当したのは、
『呪怨』などのホラー映画で
評価の高い清水崇。

一度これを鑑賞して、どういう部分が
原作と違うのかをチェックすると、
感想文のネタも出てくるかもしれませんよ。



で、この映画もなかなかコワイんですが、
いやー、これなら原作の方がもっと
コワイと言う人もいることでしょう。

だとしたら、原作はどこが
コワイのか。


👉 『こころ』につながるもの

一つの重要なポイントは、
「自分」が心に思うことがすべて
「背中の子」に見透かされること、
そればかりか、世界全体がこの子に
加勢するかのように、すべて彼の
予言するとおりに変容していくこと。

だからこの子は「自分の過去、現在、
未来を悉く照ら」す「鏡」のようにも
思えるわけですが、漱石の代表作
『こころ』(1914)を読んだ人なら、
この言い方から次の一節を
連想するかもしれませんね。

「下 先生の遺書」で「私」こと
先生がKの死体を発見した直後。

もう取り返しが付かないという
黒い光が、私の未来を貫いて、
一瞬間に私の前に横(よこた)わる
全生涯を物凄く照らしました。

そうして私はがたがた   137678
顫(ふる)え出したのです。


これを書いたときの漱石の背中にも
過去・現在・未来を照らす「鏡」の
ような子が張り付いていたのでは……

そう思わせるほどに、6年を隔てた
この二つの文章は質が似ていて、
互いに呼び交わすようです。


そこで、感想文のヒント:第2としては、
「第三夜」の主題を自分の過去の
行為についての罪責感(罪の意識)
と解釈し、これを『こころ』など漱石の
他の作品や情報につなげていくこと……
ということになります。

『こころ』についてはこちらを
ご参照ください。
夏目漱石 こころのあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
夏目漱石 こころ:”感想は書かない”感想文《虎の巻》
漱石『こころ』のお嬢さん問題と河合奈保子「けんかをやめて」

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『こころ』以外の漱石作品にも同様の
テーマは出て来ます。

それらの共通点や違いについて考えて
みるのも、人に差をつける高度な
感想文を書くには、いい方法ですね。

そのあたりを考えたい人は、こちらの
記事も参照してください。

漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.
漱石「月が綺麗ですね」の出典は?I love youはこう訳せ
夏目漱石 草枕のあらすじ ∬感想文に向けて内容を解説
夏目漱石 三四郎のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説
漱石 三四郎で感想文:美禰子の愛は?”無意識の偽善者”とは?
漱石 三四郎:白い雲を見る二人の小津安二郎的ショット
漱石 それからのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
門(夏目漱石 )の簡単なあらすじと小論文へのヒント
門(夏目漱石)の詳細なあらすじ:登場人物に入り込んで解説

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👉 催眠術師の暗示のように

ヒントの第3は、上記の記事で
述べたことと重なりますが、
「第一夜」にも劣らない、というか
あるいはそれ以上かもしれない
「第三夜」のらしさについて、
考えてみる、ということになります。

それが「第三夜」の場合は、
「第一夜」のようなロマンティックな
世界ではなく、完全な「悪夢」
(nightmare。「夢魔」とも訳す)
ですから、さらにやりがいがあろうと
いうもの……ではないですか。

夢を見ている間の人間は意識に
「自由」がきかず、催眠術をかけられた
のと似た状態になっています。

だから「第一夜」の男は、女の遺した言葉が
あたかも催眠術師の暗示であったかのように
まったく抵抗なしに忠実に行動して
いきますが、それはおそらく当人も
望むところでした。
(おそらく女を愛していたので)

それが「第三夜」の場合、言われるとおりに
していくという点では同一ながら、その
行動の内容は、自分の望みとはまったく逆。

いやでいやで、怖くて怖くて、逃げたくて
しようがないにもかかわらず、逆らえず
言われるがままになってしまう
という状態。

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これすなわち典型的な「悪夢」ですね。

このような心理の動きについて、
自分の経験とも照らしながら書いて
みるのも面白いんじゃないですか。

またこの独特な『夢十夜』の心理描写は、
漱石以後のすぐれた作家たち
――宮沢賢治、安部公房、川上弘美など――
によって発展させられたものと
見ることもできるので、これらの
作家の作品と比較対照するというのも
高度な方法となるでしょう。

このことに関しては下記の記事をしてくださいね。
注文の多い料理店(宮沢賢治) 読書感想文の書き方◎猫の視点から
安部公房 鞄をどう解釈 ? 主題は? 問題を見つけて感想文へ
川上弘美 神様(+神様2011)で感想文?くまの解釈はコレで

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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからん( ̄ヘ ̄)?

そういう場合は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを覗いてみてほしいんですね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しているので、
こちらのリストから探してみてね。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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2 Responses to “漱石 夢十夜のあらすじと解釈:第三夜で感想文ならどう書く?”

  1. 雄大好きかも より:

    解説が分かりやすかった。
    すき すき すき すき すき すき すき笙。

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