かぐや姫の罪と罰って何?原作『竹取物語』に秘められた鍵は?

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」第136回の今回は
スタジオジブリの名作アニメ
『かぐや姫の物語』(高畑勲監督、
2013年)で考えましょう。

映画ではダメなら、もちろんその原作、
『竹取物語』(平安時代前期)での感想文
ということにすればいいんですよ。

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「日本最古の物語」ともいわれる、
文句なしの古典文学、あらすじは
もう、みなさんご存じですよね。

いや、やっぱりあやふやだ、
という人はジブリ映画の予告編でも
見て思い出しておいてくださいね。



あれ? って思いませんでした?

動画のラストに出る「姫の犯した罪と罰」
ってやつですけど、これ、映画のキャッチ
コピーになってた文句なんですね。


なんだか思わせぶりで、その意味を知りたく
なるわけですが、実は映画を見終わっても
よくわからないという人が多いんです。

それならこの謎に迫ってみよう、
というのが本日のテーマ。


おおっと、もちろんネタバレありですので、
結末を知りたくない方は読まないで
くださいね;^^💦



👉 ラストシーンのなぜ?

はじめに、映画と原作で大きく違う
部分を押さえておきましょう。

最大の違いは、姫と恋仲になる
捨丸という少年(声優は高良健吾さん)
は映画で付け加えた要素であって、
原作の姫はどの男にも惚れるわけでは
ない、ということですね。


そのほか細かい違いはたくさんある
わけですが、「罪と罰」という
テーマから見て無視できないのが、
月からのお迎えが来るラストシーン。

このシーンの描き方について疑問を
呈した動画がYouTubeにアップされて
いましたので、まずはこれから。



またまた、あれれ? ですね。

月からのお迎えのご一行、「阿弥陀聖衆
来迎図」をそのまま引き写した作画で、
月の都の王はズバリ、阿弥陀(要するに
仏像の姿で金髪)の姿ですね。

おいおい、大丈夫かいな。
これで月へ戻れるんですか?

阿弥陀に導かれるんなら、行く先は
「西方浄土」ってことに
なっちゃうんじゃないですか?

が~~ん((((((ノ゚⊿゚)ノ


YouTuberさんのおっしゃる通り!!
いったい何を考えているのか┐( ̄ヘ ̄)┌

映画制作者の無教養を無残にもさらけ
出した(観客はどうせ無知なガキどもだと
見くびったのだとしたら、その姿勢こそ
無残)作品の大きな傷といわざるを
えませんね。



👉 「罪と罰」がどこにあるの?

でもまあ、そこは(カワイソーだから)
大目に見ましょうか。


ともかくこのシーンに「来迎図」を使った
ことは、制作者の教養云々ばかりでなく、
彼らが「姫の犯した罪と罰」について
どう考えていたかも映し出して
いるんじゃないでしょうか。

来迎図 SHOUJYUURAIGOU
    阿弥陀聖衆来迎図 
       

ともかく映画のかぐや姫は、自分の
無体な要求のせいで求婚者の一人が命を
落としてしまったことに苦しんだりするので、
それらの行為が「罪」なのかもしれません。

またラスト近くで自分がもともと月の住人
(天女)だったことを自覚してから、
「禁断のこの地に憧れ、降ろされた」
などと語るところから見ると、「憧れ」た
こと自体を「罪」と見ているのか…。


いずれにせよ、「西方浄土」は極楽ですし、
月の世界も「地上での記憶の消え去る」
世界とされているので、そこへ行った
時点ですべての「罪」は浄(きよ)
められていると見なされますよね。

とすると、「罪と罰」という際の
「罰」の方は何だったのか?


たんに「罪」というよりも「罪と罰」に
しておいた方が語呂もよく、哲学的な
深みも漂ってカッコいいから…
という程度のことなのかな?

ついでながら、ドストエフスキー
の『罪と罰』については
こちらをご参照ください。
ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ:簡単版と【詳細版 前編】
ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文
 


でも一応、意味はあるのだとすると、
お迎えがあった時点で「罪」は浄められて
いるはずですから、「罰」があったとすれば
それ以前に完了しているはず。

その「罰」らしい経緯は映画では描かれて
いないので、そうなると考えられるのは、
やはり「憧れ」の罪で「この地に降ろ
された」こと自体が罰だったという
ことになるんでしょうかね?


でもそれはあくまで映画での解釈。

そのあたり、原作の『竹取物語』では
どうなっているんでしょうか。


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👉 下賤の地にいることが「罰」?

『竹取物語』では、月は天人(天男と
天女)の「都」で、姫を迎えに来た
その王の軍と、地球の「帝」の軍とで
一戦交えるかという危機に至ります。


そんななか、かぐや姫が「竹取の翁」
(姫を育てたお爺さん)に言うには…

「月の都はとても清らかで美しい人
ばかりで、老いることも、物事に
思い悩むこともありません。

でも、老いゆく親の世話もせぬまま、
そんな所へ戻るのを嬉しいとも
思いません……」

月の都の王は     e71616595d9e5aa3120622b74a058fb6_s
それにはかまわず、お爺さんに言います。

「おまえの善行に報いて、助けになればと
ほんのしばらくのつもりでかぐや姫を
つかわしたのだが、それが非常に長い
年月となり、多くの黄金が与えられて、
おまえは生まれ変わったようになった。

だが、……

かぐや姫は、罪をつくり
給へりければ、かくいやしき
己(おのれ)がもとに、
しばしおはしつるなり。

罪の限り果てぬれば、かく
迎ふるを、翁は泣き嘆く。

あたはぬことなり。

はや出だしたてまつれ。


【現代語訳】
かぐや姫は、罪をお作りになったので、
このように下賎なおまえのところに、
しばらくいらっしゃったのである。

罪を償う期間が終わったので、
こうして迎えるのに、翁は泣いて嘆く。

(姫を止めるのは)できないことである。

早くお出し申し上げろ。」

       月宮迎 Gekkyu_no_mukae
       『月宮迎』(月岡芳年『月百姿』)        

というわけで、かぐや姫はもともとは
清浄なる「天女」で、なんらかの
「罪をお作りになった」ために
「下賎」なる地上にしばらく置かれた。

その「罪を償う期間が終わった」
(「罰」も完了した)ので、月の都に
戻ってもらう…という論理ですね。


👉 古代の「試験管ベビー」?

その「罪」が何だったのかということは
やはりわからないままなんですが、
でもこれで『竹取物語』の話の流れは
理解できました。

でもまだなんとなく引き下がれないものを
感じている人もいるんじゃないでしょうか。

たとえばこんな疑問……。

    そもそもなんで…
              

  1. 地球へ来た時、赤ん坊なの?
  2.           
  3. 竹の節の間に入っていたの?

かぐや姫_20111011162935_op2

このへんも、専門的研究者の間ではいろんな
ことが言われており、いちいち挙げだすと
きりがないので、なるほどと思える珍説を
一つだけ紹介しておきます。


『倶舎論』(5世紀インドの仏教論書)
によれば、「天女」というものは、
あらゆる苦痛から解放されています。

もちろん出産・育児の苦労も
免れているんですね。


だから、子どもは5歳以上の成長した姿で
突然現れるんですが、どのように子どもが
できるかといえば、やはり「天男」との
間での受精によります。

ただ○○○○のような疲れることはなさらず、
抱擁だけでエクスタシーに達して、
精液はない代わりにス~ス~と「風」が
漏れて受精する…というんですね。

    paradise-146120_640

で、その胎児が5歳以上になるまで
どう育てるのかというと、竹の節の
間に入れて、ちょうど現代の
「試験管ベビー」のように養育する
というんです((((((ノ゚⊿゚)ノ


この学説、ネタ本は仏教学者
ひろさちやさんのこの本です。
  



これですね。

「竹の節の間に赤ちゃんを見つける」
というステキなイメージの源は。


『竹取物語』の作者は不詳ですが、当時の
一級の教養人であることは間違いなく
『倶舎論』などの仏教書も読んでいて
不思議はありません。

「竹の節の間で育つ天女の赤ん坊」
というイメージを温め、どんどん発酵させ
膨らましていったところにできた物語が
この日本最初の、かつ傑作といっていい
この「物語」だったのではないでしょうか。



👉 感想文、どう書く?

さあ、いかがでした?

『かぐや姫の物語』も、子供だましの
ように見えて(実際、ジブリ映画の制作
姿勢にはその気味があったわけですが)、
奥へ奥へと分け入れば、なかなか
面白い秘所もあるとわかっていただけた
のではないでしょうか。


感想文?

そうですね、上に述べたことを
適当につなぎ合わせてでっち上げて
みてくださいよ。

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ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

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