ニーチェ思想の特徴!女は男より野蛮叫びだがそれも”事実”ではない?

 


やあやあサイ象です。

「神は死んだ」などの名言で知られる
ニーチェ先生ですが、一方には
「恋愛と復讐にあっては、女は男より
野蛮だ」というようなことも
のたまい…

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またその一方で、「事実という
ものはない。あるのは解釈だけだ」
とも喝破されています。

というわけで、「女は野蛮だ」という
指摘もニーチェ一個人の「解釈」にすぎず、
決して「事実」と決める必要はありません
ので、ご安心を。


Ψ ニーチェ先生に聞こう

さて、そんなわけで本日は、この
ニーチェ先生の名言・格言を拾い集めて
その思想の特徴を押さえていきたい
と思うんです。

オオーッと、ニーチェ先生とはいっても、
マンガの『ニーチェ先生』
仁井智慧くんではありませんよ。


ご本尊のフリードリヒ・ニーチェ
先生の方です、念のため。

Nietzsche_c1897

マンガの『ニーチェ先生』については
こちらを参照してください。

マンガ・ドラマCD『ニーチェ先生』をもしニーチェが読んだら




Ψ 「猫のように」穏やかに見える練習を…

まずは「愛」「結婚」「夫婦」といった
領域での名言・格言を紹介
していきましょう。

男女はたがいに思い違いをしている。

それは男女ともに、根本においては
自分だけを敬い、愛しているからだ

(もっと耳に入りやすい言葉で
言えば、それぞれの理想だけを
愛している
からだ――)。

だから男性は女性が穏やかな
存在であることを望むが、
――それはまさに女性が本質的に
穏やかでない存在だからだ。

猫のように、女性は穏やかに
見える外見を練習しているのだが。

   (『善悪の彼岸』中山元訳、131節。
    下線部は原文での強調)


  穏やかに見える外見を練習……?  少女Beauty-s

え? 女性への(そして猫への)
偏見に充ち満ちている?

いや実際、そうなのかもしれませんが、
(ニーチェに「女嫌い」の傾向が
あることは明らかなので)
ここは腹立ちを抑えて、
ニーチェのいわんとするところを
理解するよう努めましょう。

男女の愛においては、それぞれの
自分の「理想」を、したがって
自分自身を愛しているのだ
という洞察ですね。

異論もありうるところでしょうが、
ともかくニーチェはこのことを
いろいろな角度から表現しています。


わたしたちは目覚めて
いるときも、夢の中のように
ふるまう
ものだ。

すなわちわたしたちは、
つきあっている人物をこんな人だ
思い込み、でっちあげる

――そしてすぐにそのことを
忘れてしまうのだ。
        (同138節)


  こんな人だと思い込み、でっちあげる……。superman-s

Fantasy-Sylvan-s


愛は、愛する者の隠された
高貴な特性に光をあてる。

――その者の稀なるところ、
例外的なところをあらわにするのだ。

そのようにして、愛する者が
いつももっているものについて
思い違いをさせる
のである。
   
      (同163節)


愛する者の「いつも」について思い違いをさせる……。White-Hair-s

結局のところ人が愛するのは
自分の欲望
であって、
欲望された対象ではないのである。
                (同175節)


うーむ、まさに深淵を覗く思いですね。
結局そういうことなのかもしれない…。


Ψ 愛においても「事実」はない

これらの名言はけっしてその場の
思いつきなどではなく、
ニーチェの根本思想から直接に
導き出される類のものです。

現象に立ちどまって
「あるのはただ事実のみ」
と主張する実証主義者に
反対して、私は言うであろう、
いな、まさしく事実なるものはなく、
あるのはただ解釈のみと。

   (『権力への意志』原佑訳、481節。
    下線部は原文での強調)


あるのはただ解釈のみ……Houses-Dog-s >

厳密に同一の環境も正反対に
解釈され利用される。

事実というものはないのである。
                
     (同70節)



われわれの「認識」自体がすでに
解釈」なのであるから、
事実」は存在しない。

男女の愛の場合も同じだ、
ということになります。

「嫌われる勇気」で有名に
なったアドラー心理学の
出発点にある考え方も
これなんですね。

嫌われる勇気 まとめと感想:アドラー心理学の源流にニーチェ?


この意味での「解釈」のシステムとして
人の視野を規定している枠組みが
ニーチェのいう「遠近法」(パースペクティヴ)。

これに囚われてしまった見方を
遠近法主義」(パースペクティヴィズム)
と呼んで批判し続けたわけですね。

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Ψ 愛の「遠近法」における男女の違い

人とつきあい、愛してしまうとき、
この種の「遠近法主義」に多かれ少なかれ
囚われてしまう。

それは男も女も同じことではないか?

とも思われますが、ニーチェは
ここに明確に男女差を導入する人でした。


女性はそもそも、事物を客観的にみる視点というものをもてない。
女性が性愛にあまりに大きな
期待をかけるからであり、
その期待の大きさに羞恥心を
抱くからである。

(『善悪の彼岸』中山元訳、114節)


おそらくこのジェンダー観
(男女差認識)から次のような
断言も導かれます。

復讐と恋愛にかけては、
女は男よりも野蛮だ。
 
   (同139節)


女は男よりも野蛮だ……。Photo-Manipulation-s


まあまあ、そうカッカしないで。
ここは「野蛮」の語のニュアンスに
注意する必要があります。

これを少しズラして「恐れない」という
言い方に置き換えれば、それはまさに
わが夏目漱石の文学世界では
ありませんか。

こちらをご参照ください。

漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.
       
      Grimm-Fairy-Tales-s


「恐れる男」の目には「恐れない女」が時として
野蛮」とも映るわけです。


ある一人のひとだけを愛する
というのは、野蛮な行為だ。

他のすべての人々への愛を
否定する愛だからだ。

ただ一人の神への愛も
同じようなものだ。
          (同139節)


その種の「野蛮」は、だから
必ずしも悪ではありません。

ただ、ここではそれが「ただ一人の
神の愛」を絶対的に要求しながら
表面的には「すべての人々への愛」
をも謳うキリスト教の「野蛮」さ
(ニーチェによれば、ですよ)と同じ
構造であることが、皮肉っぽく
指摘されているわけですね。

(すくなくともヨーロッパでは)みなが
ありがたがっているキリスト教の
「唯一神」なるものも、実はうつろで、
価値のないものなのではないか、という
巨大な「?」をニーチェは突きつけるわけです。


ホッ、なんとかたどり着きましたね。
ニーチェの名言中の名言、
「神は死んだ」の麓まで。

Feline-White-Lions-s


Ψ 神が死に、海が開けた

「神は死んだ」という文言が読まれるのは、
中期の著作『悦ばしき知識』(1882-83)
の108節,125節,343節の3か所のみ。

なかで125節は、「狂気の人間」が市場に
駆けつけて「おれは神を探している!」
などと叫び続けて物笑いの種になる
という劇的な構成になっています。

とても面白いのですが、「名言」として
抜き出すことはむずかしいですね。

なので、それはご自分でお読み
いただくこととして、ここでは343節の
初めと終わりだけ引用しておきます。

われわれの快活さが意味するもの

――近代最大の出来事――
「神は死んだ」ということ、
キリスト教の神の信仰が信ずるに足
らぬものとなったということ――、
この出来事は早くもその最初の影を
ヨーロッパの上に投げ始めている。
〔中略〕

Dawn-Of-The-Planet-Of-The-Apes-l

われわれの船はついに再び
出帆することができる、
あらゆる危険を冒して
出帆することができるのだ。

認識者の冒険のすべては、
再び許された。

海が、われわれの海が、再び眼前に開けた。

おそらく、こんなに「開けた海」は、
かつてあったためしはないだろう。

    (『悦ばしき知識』信太正三訳、343節。
      下線部は原文での強調)


ヨーロッパで長く「事実」とされてきた
「ただ一人の」絶対的な「神」が、
科学的認識の普及により一つの
解釈」にすぎないことが露見して
しまった今(ニーチェの時代)、危険だが
自由な「開けた海」が眼前にある。

荒海Sunset-s

この自由な「開けた海」に乗り出す
危険を冒してはじめて、こうも
言えるような「悦ばしき知恵」が
湧いてくるのではないでしょうか。

わたしたちが自分の悪を
みずからの最善のものと呼ぶ
勇気をもてたとき、 それが
人生のもっとも偉大な時期である。   

(『善悪の彼岸』116節)


当ブログではあちこちで
ニーチェ先生にご登場願っています。
よろしければご参照ください。

刺青(タトゥー)を入れて後悔しないには?ニーチェ先生に聞く
芥川『羅生門』の主張は?ニーチェ的”遠近法”で感想文
芥川龍之介 河童で感想文:生まれたくないという名言からニーチェへ
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ではまたお目にかかりましょう~~(^O^)/

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