ヘンゼルとグレーテル ⦅魔女の正体⦆ホントはいい人で怖いのは子供?

ヘンゼルとグレーテル ⦅魔女の正体⦆ホントはいい人で怖いのは子供?

サクラさん
『ヘンゼルとグレー
テル』の魔女って
悪いですよね。

お菓子の家で子どもを
おびき寄せ、食事も
与えて太らせてから
実は食べようとして
いた(叫び)

ハンサム 教授
でもそれ、帰って来た
子どもたちがそう報告
したというだけの話。

実際は食べる気なんか
なくご馳走してただけ
かもしれないじゃない
ですか;^^💦


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サクラさん
ええ~(🙀) じゃあなぜ
グレーテルは魔女をパン
焼き釜へ押し込んで焼き
殺してしまうんです❓

ハンサム 教授
あるいは自分が食われる
と思い込んだのかも
しれない。

サクラさん
やはり”魔女”だから?

ハンサム 教授
いやいや”魔女”なんて
ホントはいないんで、
ただそうだと見なされ
差別・迫害を受けた人が
沢山いたというだけ。



そういう人が産婆を兼ね
ることがあったので、
そこに赤ん坊がいるのを
見て誤解したという
可能性も…。

サクラさん
赤ん坊も食べ物だと(叫び)?

だとすると、迷い込んで
きたのでただの親切で
ご馳走していたヘンゼル
たちに突然焼き殺される
とは、なんとも理不尽な
悲劇ですね(😿)

ハンサム 教授
ともかくこのお話、
モトをたどれば実話に
行きつくと考えられて
いる民話です。

それを”魔女退治”の物語
のように仕上げたのは
『グリム童話』の編纂者
つまりグリム兄弟の仕業
(しわざ)なんですよ。


というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第101弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第153回)となる今回は、
あのおいしい”お菓子の家”で有名な
『ヘンゼルとグレーテル』(((((ノ゚🐽゚)ノ
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原作はといえば、グリム童話だという
ことになってしまいますが、でもこれ
グリム兄弟が創作したわけではなく、
各地で収集した民話を彼ら流に(彼らの
趣味・嗜好や道徳観に合わせて)
語り直したもの。

その「趣味・嗜好や道徳観」がもっとも
よく反映されるトピックの一つとして
“魔女”の扱いもあるのですね。

ここでは、グリムの典型的な”魔女”もの
童話の一つ、『ヘンゼルとグレーテル』を
採り上げ、そのあらすじを「起・承・転・
結」の4部構成でかなり詳しく紹介した
上で、懸案の”魔女”の正体──ホントは
いい人だった
❔──云々の問題に
迫っていきたいと思います。

そんなわけで、本日の内容はザッと
以下のとおり。


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グリム童話(決定版)のあらすじ

さて、まずはグリム童話としての
『ヘンゼルとグレーテル』の
あらすじから。

ただグリム童話は1812年の初版から
1857年の第五版までの間に、時代の
移り変わりもあって、どんどん修正が
加えられ変形していってるんですね。

お話にもよりますが、あまりに残虐
だったり、露骨に性的だったりする部分は
だいたい削っていかれたので、第何版の
テクストに依拠しているかで話が違って
きたりもするんですね。
👉そのいい例が『ラプンツェル』の
妊娠問題

詳しくはこちらでご覧ください。

ラプンツェルのあらすじ💛グリム原作初版は何がヤバかったの?  

        


で、『ヘンゼルとグレーテル』の場合は
といえば、第五版で怖さは減るどころか
むしろスゴみが出ている感もあります。

また母親が継母(まま母)だとはっきり
させている点もわかりやすくてよいと
思いますので、この第五版(上記ちくま
文庫池内紀訳)を決定版として依拠しつつ
あらすじをたどっていきましょう。

わりあい長い童話なので、「起承転結」の
4部に分けてお届けします。

それでは、始まり始まり~📢


🎂【起】

ある森のはずれに、貧乏な木こりの
夫婦が二人の子とくらしていました。

あるとき、食べるものがまったく
なくなり、心配で眠れないでいる
木こりに、おかみさんが「相談」を
もちかけます。

「あすの朝早くに、子どもたちを
森へつれていって、置いてきぼりに
するのさ」

「そんなことはできねえ。おまえには、
まま子でも、おれには実の子だ」
と木こりはいいますが、結局
おかみさんに押し切られます。

   crying     


実は子どもたちもおなかがすいて
眠れなかったので、この話を
みんな聞いてしましました。

妹のグレーテルは泣き出しましたが、
兄のヘンゼルは「おれにまかしな」と
外に出て、月の光に照らされた
道の小石をひろってポケットに
つめこみました。

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🎂【承】

つぎの朝、まだ暗いうちに、
おかみさんが子どもたちを起こし、
これから森へ行くといいます。

今日の食べ物はこれっきりだと
パンを一切れづつわたしてから、
四人そろって、森へ出かけました。


そのとちゅう、ヘンゼルがたびたび
立ちどまって家を振り返るので、
木こりがわけをききます。

「猫のシロが屋根でさよならしてる」
などと答えますが、実はポケットの
小石をそっと落としていたのです。

    黒猫 cat-339181__180 


深い森の中まで来ると、木こりは
子どもたちにたきぎを集めさせて、
火をおこしました。

自分たちはこれから木を切りに
行くから、迎えに来るまでここで
休んでいるようにと言いつけて
夫婦は森の奥へ入って行きました。


昼になってパンも食べてしまい、
眠りこんで目ざめると、もう暗く
なっていました。

グレーテルが泣き出しますが、
ヘンゼルは月が出れば大丈夫だと
妹を安心させます。

   月と犬silhouette-313661_640

やがて出た月の光に照らされた
白い小石をつたい、一晩かかって
家にたどりつきました。


🎂【転】

しばらくしてまた食べるものが
なくなったので、おかみさんは
また子どもたちを捨てに行こうと
いい、木こりに承知させます。

この話をやはり聞いていたヘンゼルは
小石を拾いに外へ出ようとしますが、
錠がおりていて、出られません。

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つぎの朝早く、おかみさんは
子どもたちを起こし、この前のより
ずっと小さいパン一切れをわたし、
四人で森へ出かけました。

道みち、ヘンゼルはポケットの
パンをむしって落としていきます。


深い森の中まで来ると、前と同じく
たき火を作ってから、あとで迎えに
来るといって立ち去りましたが、
やはり迎えには来ないのです。

月が上り、パンくずが光るはずだと
二人は歩き出しますが、パンくずは
みんな鳥に食べられてしまい、
あとかたもありません。

  鳩dove-690170_640

道が見つからないまま歩きつづけて、
三日目、ふらふらになった二人は
木の枝にとまった白い鳥がしきりに
鳴いて道案内しようとしているのに
気づきました。

ついて行くと、白い鳥は小さな家の
屋根にとまりましたが、その家は
パンとお菓子と氷砂糖でできて
いました。
    
   

二人がどんどん食べていると、
とつぜんドアがひらいて、とても
年を取ったおばあさんが出てきました。

二人はびっくりしましたが、
おばあさんはやさしく言います。

「こわがることはないよ。
ここで暮らすといい」

家に入って、ミルクやケーキや。
リンゴやくるみを食べた二人は
気持ちのいいベッドで休みました。


でもこのおばあさんは、じつは
人食いの魔女で、子どもたちを
食べようとねらっていたのでした。

    grethel

朝になると、魔女はヘンゼルを
格子のついた小屋にほうりこんでから、
グレーテルをゆり起こして

「水をくんで、おいしい料理を
つくるんだ。兄さんに食べさせて
太らせるためにな」


それからは、ヘンゼルは毎日たらふく
ごちそうずくめですが、グレーテルは
ろくに食べさせてもらえません。

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🎂【結】

ひと月たつと、魔女はもう待ちきれず、
ヘンゼルを食べることにしました。

まずパンを焼こうと、グレーテルに
パン焼き釜の火の燃え具合を
見させますが、これはグレーテルが
中に入ったとたんに戸を閉めて
焼き殺そうという魂胆でした。


このたくらみに気づいたグレーテルは
「どうやって中に入ればいいの」と
たずねます。

「ばかだね。こうして…」と魔女が
パン焼き釜をのぞきこんだ瞬間、
ドンと突き飛ばして戸を閉めて
しまいました。




こうして魔女は焼け死にました。


グレーテルはヘンゼルを小屋から
出し、二人は抱き合って喜びます。

魔女の家に隠されていた真珠や
宝石をポケットいっぱいに
つめこんで、二人は出発。

    Hansel and Gretel

大きな川に出て困ったけれど、
白いあひるにたのむと、ひとりづつ
背中にのせてわたしてもらい、
ついに家にたどりつきました。


二人は父の首にかじりつき、
こののち三人は幸せにくらしました。

おかみさんはもう死んでいたのです(ドクロ)。


なぜ”食われる”と思ったのか?

さて、いかがでした?

グリムの語る『ヘンゼルとグレーテル』
の老婆が徹底的に「悪い魔女」に仕立て
上げられていることは、もうわかり
すぎるぐらいよくわかりましたね。

でも、もとになった民話の、そのまた
源泉にあったと思われる実話において
このお婆さんがホントに悪かったか
どうかは大きな”“だということは
冒頭から述べてきたとおりです。

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でももしホントは”いい人”でヘンゼルと
グレーテルを食べる気などまったく
なかったのだとしたら、なぜ彼らは
そのように誤解してしまったのか?

この疑問への回答もすでにほのめかして
いますが、最大の可能性はこの老女が
産婆または「産褥(じょく)奉公人」で、
たまたま寝かされていた赤ん坊を見て、
この赤ちゃんと同じく自分らも食われる
と思い込んでしまったということ…。

     


「産褥奉公人」というのは出産後6週間の
間、ベッドにいる母親に代わって乳児の
世話などをする使用人で、赤ん坊に
変事があった場合、責任を押し付けられ
“魔女”扱いされることもよくあったとか。


というようなわけで、ドイツで学位を
取られたグリム童話研究の野口芳子博士に
よれば、「人々の伝承のなか」では産婆や
産褥奉公人は「魔女として生きている
よう」なのです。

だから「魔女が幼児を食べる」という
ことについては、こう論じられます。

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堕胎や産児制限で赤子を闇に葬った
女性の行動として解釈することも
可能であろう。

魔女の「人食い」は、堕胎、死産、流産、
不妊の女性に向けられた社会の冷酷な
眼差し、差別意識が生み出した独特の
象徴的表現とも読める。

(引用元:👇)

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ともかく”道に外れた”──当時の社会
規範を逸脱した──行為をしていると
みなされた女性は、どんどん”魔女”だと
いうことにされていったのですね。
👉そのありさまは、たとえばアメリカ
開拓時代の魔女狩りを描いたホラー映画
『ウィッチ』(2015年)にもしっかりと
描かれています。

そのことは予告編動画からもうかがう
ことができそうです。




パン焼き釜とガス室

それにしても、仮に産婆か産褥奉公人で
あったとしても、何の罪もなかったはずの
老女が、真っ赤に燃えたパン焼き釜に
ぶち込まれて焼き殺されるのだとしたら、
それはまことに由々しき…というか
禍々(まがまが)しい事態です。

その禍々しさに、第二次大戦後の世界は
とりわけ敏感になっていきました。

1948年のドイツでは、イギリス占領軍が
昔話集の出版禁止令を出しましたが、
その引き金の一つは『ヘンゼルとグレー
テル』のこのパン焼き釜がナチスの
強制収容所のガス釜を連想させたこと
だったといわれています。

   auschwitz
   アシュヴィッツ強制収容所

つまりドイツ人があんなガス室なんて
発想したのは、昔からこんなお話を
聞いて育ったからではないか…と。

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その当否はともかくとしても、親切な
お婆さんをガス釜送りにしたのは
ヘンゼルでなくてグレーテルだという
ところにも、なんらかの意味を読む
ことができるのかもしれません。

つまり「女の方が実は強い(または怖い)」
というような。




その当否もまたうかつに答えられるもの
ではありませんが、ともかく『ヘンゼルと
グレーテル』の後日談として制作された
アメリカのアクション・ホラー映画
『ヘンゼル&グレーテル』(Hansel and
Gretel: Witch Hunters
,2013)の
グレーテルもまた並みの強さ(怖さ)では
ないようです。

少々過激すぎたのか、日本での劇場公開は
実現せず、DVD・ブルーレイでの売り出し
先行といういわくつき。

その紹介動画をどうぞ。 👇



どう書く? 感想文

さあ、どうでしょう?

童話や民話もすこし角度を変えて、
歴史的に見たり、心理学的にうがって
読み込んだりすれば、単純そうな
お話からも、いろんな問題があぶり
出されて来ますよね。

その格好の例がこの『ヘンゼルと
グレーテル』の兄妹物語というわけです。

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感想文やレポートを書こうかという
人も、もうこれでバッチリでしょう。
👉グリムやアンデルセンの童話は
そういった問題の宝庫です。

ぜひこちらも参照してください。

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グリム童話の本・絵本:ラインナップ


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