ハムレットで読書感想文✒例えばこんなの 漱石ならどう言う?

 


やあやあサイ象です。

おなじみ「感想文の書き方」シリーズ
今回でなんと第160回((((((ノ゚⊿゚)ノ

今回は文豪シェイクスピアの数ある
傑作のなかでも最高とされてきた
『ハムレット』(1601-02)に挑戦です。

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もちろん話の内容を知らなくっちゃ
読書感想文は書けませんから、
まずはしっかり読みましょ~。
  ⇩


ん? 長いからヤだ?

時間がない

う~ん、でもマンガなら平気でしょう。
こんなのがありますよ。
  ⇩


でもマンガは原作をひどくゆがめて
いる場合もありますから要注意。

ちゃんとした感想文を書こうと思ったら、
やはり原文(というかもちろん翻訳で
いいんですが)を見ておく必要は
ありますね。


どーしてもイヤだ、
という人はせめてこちらの
記事で「あらすじ」を
押さえておきましょう。

シェイクスピア ハムレットのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で

      ハムレトhamlet-62850_640




感想文の書き方👉《簡単なもの》

さあ、それでは感想文です。

「あらすじ」はわかったわけですから、
そのなかで自分が感動したところや
面白いと思った点について、それこそ
「感想」を書いていけばいいわけです。

え? 全然面白くない?

う~ん、困りましたね。

それでは、私が「感想」のモトになりそうな
考え(主張)の例を5つばかり挙げて
みますので、とりあえずそのどれかを
自分の「感想」だということにして
書けるかどうか考えてみてください。

感想の例

  1. ハムレットは命をかけて
    初志貫徹した。
    (私もあんなふうに生きたい)

  2. ハムレットはオフィーリアを
    死に追いやった。
    (避けられたのになぜ? 
    愛していなかった?)

  3.     ophelia 213714560z3
        J・W・ウォーターハウス画『オフィーリア』(部分)


  4. ハムレットは女性不信だ。
    (蔑視もあるか?)

  5. ハムレットはマザコンだ。
    (母への固着がある?)

  6. ハムレットの言動は本気か
    演技(芝居)かわからない。
    (そこが面白い)


どうでしょう。

このどれかを「自分の感想」として一応
採用し、なぜそのように思うのか
(本気で思っていない場合は”仮想”して)
ツラツラと説明していけばいいんですよ。

その場合、次の2点に心掛けるのが
よいと思います。

  1. 作品からの引用(セリフなど)で
    自分の解釈・主張を補強する。

  2. 「だから私もこれからは○○
    しようと思った」などと
    “反省文”的にしめくくる。

こんなふうに書ければバッチリ。

読書感想文コンクールでの入賞も
十分ねらえますよ~;Y^^Y



感想文の書き方👉《高度なもの》

え? そんなのはありきたりでつまらん?

自分はもっとこう…人に書けないような
鋭いものを書いて先生をアッと
言わせたい…ですって?


よろしい、結構な心意気です。

それではややレベルを上げて、感想文という
よりレポートまたは批評文・論文の領域に
接近しつつ、高度化を考えて参りましょう。


Ψ なぜオフィーリアをいじめる?

たとえば上記感想の例2.ハムレットは
オフィーリアを死に追いやった」

というポイントに引っかかりました?

それなら、この問題に入り込んでみましょう。

作品を読み直しならが、これを考えていくと、
問題は2.の内部では収まらず、3.5.にも
入り込んでいきますよね。


「尼寺へ行け」だの「お前を愛したこと
などない」だの、結婚したけりゃ「馬鹿と
結婚しろ」だののハムレットの言葉に
痛めつけられたオフィーリア(第三幕)は
ついに気が狂い、あわれ、死を
選んでしまいます(第四幕)。

でもハムレットのそうした言動は
気が狂ったふりをして周囲を欺くという
第一幕で親友のホレイショーには告げた
ポリシー(策)によるものと
思われるんですね。

      40c6f67a3524f000c040937cbaa90a7f

その場合周囲とは誰のことなのかといえば、
第一に父王を暗殺して王位についた叔父の
クローディアスと、夫の死後さっさと
新王の妻になってしまった母親の
ガートルードの新婚夫婦。

そして二人を取り巻き支える側近たち
ということになりますが、なかで特に
出番が多くクセのあるキャラクターが
重臣ポローニアス。


ハムレットのポリシーは、第一幕で
父の亡霊から殺害の真相を聞かされる
ことで固められたもので、叔父で新王の
クローディアスを打倒して父の仇を討つ、
という決意にもとづいているわけです。

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Ψ 作られた曖昧さ

で、「尼寺へ行け!」の場面に戻ると、
そのような敵方としての周囲の人々のうちに
恋人だったはずのオフィーリアが
入れられてしまっている…ということが
重要なポイントです。

それにはもちろん背景というか事情があって、
まずは彼女がポローニアスの娘だということ。

そして、ハムレットが彼女を罵倒する
場面では背後に王とポローニアスが
ひそんで立ち聞きしているんですね。

ああまでひどいことを言うのは
彼らに聞かせて欺くため…
という可能性が大きいわけです。

    Exif_JPEG_PICTURE
    J・E・ミレー画『オフィーリア』(部分)


ハムレットはオフィーリアを憎んだり
蔑んだりしていたわけでは全然ない。

そのことは、第五幕の墓場のシーンで、
彼女の死を知ってショックを受ける
ことからわかりますね。


でも、それなら彼の言った言葉の内容は
すべて嘘っぱちで、本心で思っている
ことは全然含まれていなかったのか
というと…あるいはそれも微妙なのでは?


この微妙さは、母への罵倒についても
いえるもので、「弱き者、汝が名は女」
という批判した対象である母に対して
言う言葉も、どこまで「狂ったふり」で、
どこからホンネなのか判然としません。

これらは作者によって”むしろ積極的に
作られた曖昧さ”であるに違いなく、
そこがまた『ハムレット』という作品の
大きな魅力となっているわけです。


そしてよく解説されているとおり
「劇中劇」(劇の中で劇が上演される)の
進行が『ハムレット』という作品の特徴に
なっているわけですが、それと呼応する
ように、ハムレット自身も四六時中、
「劇中劇」をやっているとも解釈できます。

そこがとてもスリリングで面白い。

また「気が狂ったふりをする」という
ハムレットの戦略的な「劇」をマジに受けて
しまったオフィーリアの精神が現実に狂ってしまう
という奇妙にアイロニカル(皮肉)な
成り行きも、作品に悲痛さを加えています。

hamlet 141510221

さて、以上では上記感想の例から特に
2.ハムレットはオフィーリアを死に追いやった」

というテーマを採り上げて論じる
場合の方法を解説してみました。

その過程でいろんなポイントを挙げましたので、
そのどれかを使って(またはヒントとして)
自分なりの解釈で「感想文」を書いていって
もらえたらと思います。

それらを使えば、必ずしも2.のテーマでなくとも、
3.でも5.でも、それ以外でも
書いていけるのではないですか?

こう見てくると、原文の
英語ではどう言っているのか
気になりますよね。

こちらをご参照ください。

ハムレット (シェイクスピア )の名言:英語原文では何と?




漱石の蔵書書き込みと「断片」

さて、どうでしょう。

ん? まだ物足りない?
もう少し突っ込んだ議論がほしい?

ハハハ、それではここで、わが敬愛する
夏目漱石先生のご登場をお願い
することにいたしましょうか。

          ƒvƒŠƒ“ƒg

先生は、熊本の第五高等学校(現・熊本
大学)教授から英国留学を経て東京帝大
講師となりましたが、五高と東大の両方で
『ハムレット』を含むシェイクスピア
作品のいくつかを講義されました。

二種類のシェイクスピア全集が蔵書として
残されていますが、いずれにもずいぶん
細かい書き込みがあって(『漱石全集』
27巻)、その多くが講義のためのメモの
ように読めるんですね。


『ハムレット』については本の余白に
いろいろ書き込んだ上に、ノートにも
メモ書きしているんですが(『漱石全集』
19巻の「断片18」)、そこで焦点化されて
いるポイントの一つが、上の述べた意味での
“作られた曖昧さ”ということなんですね。


Ψ 「固定せざる人流動せる人」

たくさんの書き込みのうちから一つだけ
例をあげましょう。

第二幕、ポローニアスが王夫妻に、
ハムレットの真意をさぐるためオフィーリアを
使いましょうと進言しているところへ、
当のハムレットが現れたので、王夫妻は
退場してポローニアスが話しかけます。

「太陽が犬の死体にウジをわかすなら」
など意味のわからないことを言ってから
(本を読んでいるのかも)

ハムレット お前、娘がいたな?
ポローニアス はい、おります。
ハムレット 日向は歩かせるな
世間を認識するのは結構だが、
妊娠しては困るだろう。
  (松岡和子訳―上記「ちくま文庫」版)

        sun & moon graffiti-406487_960_720

この「日向は歩かせるな」の「日向」は
原文では”in the sun”でこの”sun”を
息子の意味の”son”に引っかけるという
言葉遊びをハムレットは続けているのですが、
これについて漱石は「此句ハ三方ニ関係アリ」
として、下記のような解釈を
書き込んでいるんですね。

  1. ポローニアスの心を半分満足させ
    半分「不安心」にする。

    満足とはハムレットは
    頭が狂ったという彼の推察の
    的中で、不安心は娘の
    身の上について。

  2. ハムレットがオフィーリアを
    「多少脳中ニ思フテ居ル」
    ことを示す。

  3. 女全体を「危険」で「信用出来ヌ
    者ダト云フ意」をほのめかす。

    これは「母ノ不品行」を目撃しての
    彼の結論で、母を信じないため
    いかに他の女性にも信を
    置かなくなったかを見よ。
    497

つまりハムレットのあの短いセリフにも
多種多様な情報がほのめかされている
ようで、それぞれにまた深い背景がある。

そのあたりをよく読まないとダメだと
漱石先生は講義で教えたはずなんです。


上にふれた「断片18」も「ハムレット
性格」と始められていて、その「性格」を
どう読むべきかを考察しているのですが、
たとえばこんな風に書いています。

ハムレットが相手にする人物によって
「mood〔気分、態度〕ノ異ナル」ところを見れば
彼は「頗るversatile〔多芸多才〕」な融通の
きく人「固定せざる人流動せる人」であって
「頑愚一徹の人」でないことがわかる。

ただ「此変通は心ありての事」だから、
「故意になす事か自己に一定の胸算ありて
物に応じて事に臨んで円転スルカ」…???

これぞ「研究スベキ問題ナリ」。


    audrey original

う~む、さすが漱石先生…

こんなにもいろいろに読めてしまう
きわめて特異な人物、ハムレットを
創出したシェイクスピアはやっぱり偉い。

そしてその偉さを深く理解した漱石は、
その後の小説でハムレットばりに
”いろいろに読めてしまう人物”を活躍
させることになります。

どこからどこまでがシェイクスピアから
学んだものかを確定することはむずかしい
わけですが、影響があったことは
間違いありません。

これに関しては東大での
『オセロ』の講義録が残されて
いて、そこにも示されています。

こちらの記事をご参照ください。

シェイクスピアのオセロを講義:漱石の名言「白砂糖の悪人」?
シェイクスピア オセロのあらすじ:漱石講義のコメントつきで

またもう一つの傑作悲劇
『マクベス』と、人気作『ロミオと
ジュリエット』に関しては、
こちらをご参照くださいね。

シェイクスピア マクベスのあらすじ:簡単/詳しくの2段階で
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Ψ おわりに

どうでしょう、『ハムレット』で感想文、
なんとかなりそうでしょうか。

ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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