痴人の愛(谷崎潤一郎)で感想文…💜妖婦ナオミに抵抗できる?

 


やあやあサイ象です。

おなじみ「感想文の書き方」シリーズ
今回でなんと第163回((((((ノ゚⊿゚)ノ

とりあげるのはなんと、かの文豪、
谷崎潤一郎の初期の傑作長編『痴人の愛』
(1924-25)で~~す((((((ノ゚⊿゚)ノ

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👉 バカの愛の物語…

え? 「痴人」って何…ですか?

それは字を見てください。
ズバリ「痴漢」の「痴」ですよね。

だから「エッチな人」?

実はそうとも限らなくて、まあ辞書を引いて
もらえばわかるんですが、要するに「バカ」
「バカなことをする人」という意味。

というわけで『痴人の愛』は「バカの
愛の物語」ということになります。


もちろん話の内容を知らなくっちゃ
読書感想文は書けませんから、
まずはしっかり読みましょ~。
  ⇩  



ん? 長いからヤだ?

では仕方ないので、こちらの動画でも
ご覧ください。

Naomi(『痴人の愛』英訳)の内容が
(主人公譲治の憧れであった)美しい
白人女性の手で簡単に紹介されています。



ほら、これだけじゃやっぱりわかんない。

というか、もう少し突っ込んで内容を
知りたくなりましたよね。

というわけで、こちらの
記事で「あらすじ」を
押さえましょう;Y^^Y

谷崎潤一郎 痴人の愛のあらすじ:ナオミと譲治のM的結末…
               doll-977192_960_720



👉 感想の例

さて、内容はわかったとして…

目的はこの作品をネタに読書感想文を
書いて行くことなんですが……

え? 何をどう書いたものか
サッパリ思いつかない?


アハハ、そうですか。

それなら、とりあえず私が代わりに4つばかり
「感想」のポイントを挙げてみますので、
そのどれかを自分の「感想」として
書くことを考えてみてください。

感想の例

  1. ナオミは許せない
    (倫理的な悪として批判する)

  2. ナオミの勝利をたたえる
    (譲治こそ愚かだ)

  3. girl_named_tisha_by_limontea-d5pwtei

  4. 譲治はM的ゲームに
    はまり込んだ哀れな男だ
    (M=マゾヒズム)

  5. 譲治は西洋(白人)崇拝から
    逃れられない哀れな男だ
    (当時の日本を象徴するか)


どうでしょう。

このどれかを一応「自分の感想」として
採用し、なぜそのように思うのか
(本気で思っていない場合は”仮想”して)
ツラツラと説明していけばいいんですよ。

その場合、次の2点に心掛けるのが
よいと思います。

  1. 作品からの引用(セリフなど)で
    自分の説明・主張を補強する。

  2. 「だから私もこれからは○○
    しようと思った」などと
    “反省文”的にしめくくる。

こんなふうに書ければバッチリ。

読書感想文コンクールでの入賞も
十分ねらえますよ;Y^^Y


ん? でもやっぱりどう書けばいいか
わからない?

上記1.から4.のそれぞれについて、
順に私なりの考察を述べさせてもらい
ますので、参考にしてもらえればと
思います。


1. ナオミは許せない

ナオミってひどくないですか?

特に男子諸君にはそう思われる方が
多いんじゃないでしょうか。


それは特に小説の後半、上記別記事では
「やや詳しいあらすじ」の【転】の部分に
入ってから俄然、拍車がかかります。

ナオミが関係を持っていることをすでに
知っていた浜田のほかにも、何人もの男と
深い仲になっていることを、譲治は
知ってしまうんですね。


「出て行け」と怒鳴るとナオミはさっさと
出て行くんですが、譲治は恋しくなって
浜田に探してもらうと、白人男性の家を
渡り歩いて遊んでいるとわかります。

「あんな売女(ばいた)は、お忘れなさい」
「とても口に出来ないようなヒドイ仇名
(あだな)さえ附いているんです」と
浜田は繰り返します(二十二章)。

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この「ヒドイ仇名」というフレーズが
その後何度も出てきて、それがどういう
言葉かはついに明かされないのですが、
ある批評家によれば、これは「公衆○○
だと確言できるとのこと。
○○は用を足すのに便利な所…;^^A)

15歳から引き取っていい暮らしをさせて
きてくれた譲に対して、いくらなんでも
これはないだろう。

人の道をはずれている!


と読んでて頭に来たのなら、その怒りを
感想文にぶっつけていけばいいわけですよ。

道徳的・倫理的に許される範囲を
超えている、自分なら絶対にそんな
生き方はしない、と。

あるいは絶対そんな女に引っかからない
よう、せいぜい自戒したい…という
”反省文”的な論旨にするのも手ですね。



2. ナオミの勝利をたたえる

ん? 私はそうは思わない?

むしろよくやってくれたと思う、
ナオミの勝利に快哉を叫びたい?

なるほど、そういう主張もまた
よろしいんじゃないでしょうか。


ナオミは自分に降って湧いたチャンスを
最大限に生かして、貧しく暗い環境から
裕福な社会階級へとのし上がっていった。

しかもその間、ポテトカウチでだらだら
していたわけではありません。

「勉強するわ、そうしてきっと偉くなるわ」
(六章)と口癖のように言う向上心で
英語に歌にダンスにと世界を拡げて
いきました。

     dancing_couple_T

そうしているうちに、世間智も身につけて
いつか、インテリの譲治を手玉にとるほど
賢い女になっていたわけですね。


当時は今と違い、「職業婦人」といえば
風俗関係を意味してしまうほど女性の
生き方は限られていた時代。

だからナオミのこの生き様はむしろ見事! 
大いに賞賛に値する!

と、こういうナオミ擁護の論旨で
書いて行くのもいいと思うんです。

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3. M的ゲームにはまり込む

「カフェ」といっても当時のはお酒を出す
風俗営業ですが、譲治はそこで見つけた
15歳の美少女、ナオミを引き取って
理想の妻に育て上げようとします。

この行為から『源氏物語』の光源氏と
若紫(わかむらさき)の関係を
連想する人もいるでしょうね。

よくわからないという人は
こちらを参照してくださいね。

源氏物語のあらすじを簡単に:光源氏はマザコンでロリコン?

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でも男のこういう願望って決して光源氏に
かぎった特異なものというわけでは
ないんですね。

世界の男に昔から広く見られる傾向で、
「ピグマリオン・コンプレックス」
とも呼ばれています。


👉 ピグマリオン・コンプレックス

ピグマリオン(Pygmarion,ピュグマリオン
とも)はギリシャ神話のキプロス王で、
人形を愛しすぎて、これに魂を吹き込んで
ほしいとアフロディテにお願いした人。

このモチーフが バーナード・ショーの
戯曲『ピグマリオン』を経てミュージカルや
映画の『マイ・フェア・レデイ』
(オードリー・ヘプバーン主演)へと
発展したわけですね。

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つまり人形に近い、蕾のような未熟な
娘を引き取って自分の理想の女性へと
形成していきたいという男の願望……。

で、譲治の場合は持ち前のピグマリオン・
コンプレックスをふくらませて上りつめた
坂をやがて転げ落ちていく男…という
かっこうですが、その下り坂を支配して
いるのが「マゾヒズム」なんですね。


近年よく安直に、やれ「S」だ「M」だと
言い立てますが、これ本来は「S」が
「サディズム」で、「M」が
「マゾヒズム」の略。

谷崎潤一郎の世界を流れる美と恐怖の
源泉に「マゾヒズム」があることは
否定のしようがありません。

最初期の短篇『刺青』に始まって、
中期の傑作『春琴抄』を経て晩年の
『鍵』や『瘋癲老人日記』に至るまで、
谷崎文学を考察する上でこの性向というか
性癖を無視することは不可能なんです。



👉 マゾヒズムのゲーム性

ところでこの「マゾヒズム」の
語源になった人物をご存じですか?

そう、19世紀オーストリアの
レオポルド・フォン・ザッヘル=
マゾッホ(1836-95)ですよね。

この人に関してはこちらの
記事をご参照ください。
マゾヒズムの元祖 マゾッホの指責めで痛いほど笑って感想文?

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マゾッホの代表作『毛皮のヴィーナス』と
『痴人の愛』とを比較してみるというのも
高度な感想文を書こうという人には
オススメの方法です。


『毛皮のヴィーナス』に非常に鮮やかな
形で表現されていることですが、
マゾヒストの恋愛が「ゲーム」の様相を
帯びてくるのは、どうしても避けられない
ことらしいんですね。

なぜって、いわゆる「女王様」として
相手を痛めつける役割を負う人は、
もともとサディストであることはまれで、
相手の依頼を受けて「S」を演じている
だけなんですね。

だからこれ、契約にもとづく一種の
「ゲーム」で、どちらかが「やーめた」
と契約を破棄してしまえばそれで終わり
という危うい関係にあります。


そこにスリルがあり、主人公の苦悩も
発生して、文学的な読み応えも
大きくなるわけです。

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『痴人の愛』後半でのナオミはその
機微をしっかりとわきまえて、戦略的に
譲治をコントロールしにかかっている
わけですね。

その戦略をしっかり読み込んで、
賢い女だと賛嘆するなり、卑劣だと
憤慨するなり、はたまたどう思っても
あなたの自由ですが、それこそ自分の
感想を書いていけばいいわけですよ。


ところで、谷崎の最高傑作とも見られる
『春琴抄』では、この種の「ゲーム」性が
かぎりなくゼロに近いわけですね。

いわば、絶対に「降りられない」
完全真剣勝負のマゾヒズム……
そのような世界を谷崎は理想として
夢見たのではないでしょうか。

『春琴抄』については、
こちらをご参照ください。

谷崎潤一郎 春琴抄のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で
春琴抄で感想文:佐助犯人説を谷崎先生、どう思います?



👉 西洋(白人)崇拝者 譲治=日本?

谷崎自身の「日本美」追求は『陰翳礼讃』
などの著書から明らかですが、主人公の
譲治にその気配はなく、彼はかなり
徹底した「西洋(白人)崇拝」の人です。

そもそもナオミを気に入ったのもメリー・
ピックフォードさえ思わせる、彼女の
白人的な顔立ちに魅せられたからでした。

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     Mary Pickford(1892-1979)


自分に十分な金があったら西洋へ行って
西洋の女を妻にしたかもしれないが、
それはできなかたので、「西洋人くさい
ナオミを妻とした」のだと語っています
(九章)。

その譲治がナオミにダンスを習わせた
機縁から、西洋人女性と握手し、
さらには体にふれるという「光栄」に
浴することになります。


ダンスを教えるシュレムスカヤ夫人の
強い「腋臭(わきが)」に慶應の
学生たちは鼻をつまんでいましたが、
それさえ譲治には、香水と入り交じって
「常に云い知れぬ蠱惑でした」。

それは私に〔中略〕世にも
妙(たえ)なる異国の花園を
想い出させました。

「ああ、これが夫人の白い
体から放たれる香気か」
と、私は恍惚となりながら、
いつもその匂を貪るように
嗅いだものです。  (九)

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ナオミへの愛も、こういう「西洋(白人)
崇拝」を土台として育ったものですので、
もしこれがなければ、彼のマゾヒスト的な
性向も、あるいは発現しなかった
かもしれない、とも思えます。


譲治のこういう部分について思うところを
書いて行けば、それもすぐれた感想文に
なる可能性大ですよ。

譲治の傾向を現代日本人に重ねてみても
いいし、「近代日本」全体の問題として
歴史的に考察するのもよいでしょう。



Ψ まとめ

さて、『痴人の愛』で読書感想文やレポートを
書こうかという人のために、いろいろと
情報提供してきました。

上記のほか、考えられる方法としては、
谷崎の他の作品との比較ということも
あるでしょう。

すでにふれた『春琴抄』のほか、
次の作品にいても書いて
いますので、ご参照ください。

谷崎潤一郎 細雪のあらすじ:€美女雪子の下痢はなぜ止まらない?
谷崎潤一郎 刺青のあらすじと考察:若尾文子主演映画も鑑賞
 
         刺青 top_2013_05                 

そのほか谷崎の本を早く安く
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◇谷崎潤一郎の本:ラインナップ◇€


また映画化も幾度か試みられています。

増村保造監督、小沢昭一・安田(大楠)
道代主演の1967年作品はさすがの傑作。

原作との違いに目をつけるのも
面白いことでしょう。



ん? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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