コンビニ人間のあらすじ(ネタバレあり)「普通」をこけさせる村田沙耶香

 


やあやあサイ象です。

おなじみ「あらすじ」暴露サービスも
ついに大台を超えて今回でなんと
105弾((((((ノ゚⊿゚)ノ

「感想文の書き方」シリーズ全体では
164回となる今回は
第155回(2016年上半期)芥川賞受賞作
村田沙耶香さんの『コンビニ人間』!




そのあらすじをおしまいまで
暴露しちゃいますよ~((((((ノ゚⊿゚)ノ

つまり完全ネタバレ!ということに
なっちゃうんですが、犯人さがしの小説では
ないですし、結末を知ったら読む気を
なくすというようなことはありません。

むしろちゃんと全部読みたくなるはず…
といえるだけの傑作なんです!

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原作に切れ目はありませんが、私の勝手な
判断で「起承転結」の4部に分けて
みました。

「…」内と「”」印の囲みは、
原作からの引用です。


👉 かなり詳しいあらすじ

【起】
36歳の私(古倉惠子)は大学1年から
始めたコンビニ店員のアルバイトを
同じ店で18年続けている独身女性。

「コンビニ店員として生まれる前」の
ことはもはやおぼろげで、鮮明には
思い出せないのだが、妹と違って
「普通」でないところがあった。

小鳥が死んでいるのを見つけ、他の
子供たちが泣く中、「お父さん、
焼き鳥好きだから、今日、これ、
焼いて食べよう」と言って母を
ぎょっとさせた。

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また男子が取っ組み合いのけんかをし、
「誰か止めて!」といわれたので
スコップで頭を打ってケガをさせ、
先生に怒られると「ああすれば止まる
と思っただけです」と答えた。


「どうすれば『治る』のかしらね」
と父母が相談するのを聞き、
カウンセリングも受けて、自分でも
「治らなくては」と思いながら
大人になった。

親元を離れ、大学に入って1年目、
仕送りは十分だったけれども、
アルバイトに興味があったので
コンビニで働き始め、そこで
「私は、初めて、世界の部品に
なることができたのだった」。

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大学を出ても就職せず、同じ仕事を
続けたが、それがなぜなのか
自分でもわからなかった。

「完璧なマニュアル」のもとで「店員」に
なることはできたけれど「マニュアルの
外ではどうすれば普通の人間になれる
のか」はわからないままだった。


【承】
週5日のコンビニ勤務を続けるある日、
長身でガリガリに痩せた35歳の男、
白羽さんが新人バイトとして店に入る。

はじめからサボり気味の白羽さんは、
マニュアルにぶつぶつと文句をつけ、
何かというと、こういう仕事は「男の
本能」に向かない、「だって縄文時代
から男は狩りに…女は…」などと言いだす。

「今は現代ですよ! コンビニ店員は
みんな男でも女でもなく店員です!」
と私は注意する。

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が、怒ってはいないので、その点を同僚に
指摘されると「お前は偽物だと言い当て
られた気がして、私は慌てて表情を
取り繕った」。


コンビニ店員は見下されることが
よくあるが、私は見下す人の顔をみると、
「あ、人間だという感じ」がして好きだ。

白羽さんも自分の職業を差別する人で
店長に注意されると「け、コンビニの
店長ふぜいが、えっらそうに」と
吐き捨てる。


なぜここで働き始めたのかと聞くと
「婚活ですよ」と答える。

でも「ろくな相手がいない」、客には
まあまあなのがいるが、このへんは
大会社ばかりだから威張っていて駄目だ。


やがて店長は白羽さんを解雇し、その
理由の決め手になったのは、彼が
「ストーカーっぽくなってきた」
ことだと店員に話す。

むしろほっとした店員らは「死ねばいい」
と笑い合い、「そうですね!」と私も
頷いたが、「私が異物になったときは
こうして排除されるんだな、と思った」。

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【転】
学生時代の友人たちでバーベキュー。

独身でバイトだと告げると、友人の夫から
一方的に婚活を勧められたりする。

「あ、私、異物になっている」と感じると
白羽さんの姿が浮かび、「次は私の
番なのだろうか」と思う。

正常な世界はとても強引だから、
異物は静かに排除される。

まっとうでない人間は
処理されていく。

そうか、だから治らなくては
ならないんだ。

治らないと、正常な人達に
削除されるんだ。

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帰りに店に顔を出して店外に出ると
白羽さんに出くわし、ストーカーまがいの
行為をしそうに見えたので注意する。

店長を呼んで来ようかというと、
「あんな底辺の社畜に何ができるんだ」
と強がるが、話すうち泣き出したので
近くのファミレスに連れて行く。


「この世界は異物を認めない。
僕はずっとそれに苦しんできたんだ」

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「だから僕は結婚をして、あいつらに
文句を言われない人生になりたいんだ」

自分のやろうとしているネット起業に
投資してくれる「金がある相手がいい」
とも白羽さんは言う。

自分が嫌っている人たちに「文句を
言われないために生き方を選択する」
のは「世界を全面的に受容すること」
ではないかと不思議に思うが、
結婚だけで文句を言われなくなるなら
「手早くて合理的ですね」と答える。

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恥ずかしくないのか、「あんたみたい
なの、処女でも中古ですよ。薄汚い」
とまで言う白羽さんに、私が提案する。

「婚姻だけが目的なら私と
婚姻届を出すのはどうですか?」
〔中略〕
「わるいですけど、僕は
古倉さんに○○しませんよ」
○○? あの、それが婚姻と
何の関係が? 婚姻は書類上の
ことで、○○は生理現象ですが

○○は英語では”errection”。

「私」のこの提案は突然と
いえば突然で、そこに至る
心理経過などは一切描かれて
いません。

そこが面白いわけで、
「異物」度において「私」が
白羽さんを超えていることが
示されているとも読めますね。

あなたと違って「私はいろんなことが
どうでもいい」「特に自分の意思が
ないので、ムラの方針があるなら
それに従うのも平気だ」と私。


けっきょく白羽さんは私の部屋に来て
「餌」をあてがわれる存在となり、
やがて浴室に居住することになる。

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妹や友人に「家に男性がいる」と告げ、
また職場にも店長との会話でつい
洩らしたことから知られてしまうが、
みな、性関係のある同棲とみなして
喜んでくれる。

様子を見に来た妹に「あれを家の中に
いれておくと便利なの」、みんなが
「勝手に納得して、あんまり干渉して
こなくなるの」と説明すると、妹は
泣き出す。

「もう限界だよ……どうすれば
普通になるの?」


やがて白羽さんの義妹が現れて、彼の
これまでの不行跡を厳しく咎め、
母親が立て替えている家賃滞納分を
働いて返せと迫る。

私との関係を尋ねられると、彼は
「結婚を前提にお付き合い」中で「彼女の
就職先が決まったら、お金はそこから」
返す、コンビニのバイトも「すぐに
やめてもらう」と勝手に話を作って
義妹を納得させてしまう。

この経緯のあと「私」は
ただちにコンビニをやめて
しまいますが、このときの
心理についても説明はなし。

コンビニ以外では働けない
という意識をもっていた人が
なぜ白羽の意向通り転職する
気になるのかは理解困難。

この小説の弱いところか。



【結】
コンビニを辞めて2週間。

白羽さんの命令どおり履歴書を書く
以外に何もしない日々で、生活の
リズムが完全にくるってしまった。


面接を受けることになり、10年以上
しまってあったスーツを出して着て、
白羽さんと二人で会社に向かう。

途中、白羽さんがコンビニでトイレを
使うというので私も入ると、ちょうど
店長不在で新人バイトらが
困っている様子に出くわす。

反射的に棚の整理を始め、飲み物の
補充やドアの汚れを指摘してやると、
スーツ姿の私を本社の社員と思い込んで
彼らは感謝する。

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「何をしているんだ!」と白羽さんに
怒鳴られると、反射的に「お客様、
どうなさったのですか」と答えてしまう。

「ふざけるな!」と怒られ、
コンビニの外へ連れ出される。


「コンビニの『声』が聞こえるんです」
と私は白羽さんに言う。

「私は人間である以上にコンビニ店員
なんです。〔中略〕そのことから
逃れられないんです。私の細胞全部が、
コンビニのために存在しているんです」


それでも「僕の為に働く」のが皆の納得
する生き方だから、面接に行くんだと
手首を引っ張る白羽さんに、私は向き合う。

「人間の私」にはその方が都合がよくても
「コンビニ店員という動物である私に
とっては、あなたはまったく
必要ないんです」


「気持ちが悪い。お前なんか人間じゃ
ない」と吐き捨てて白羽さんは去る。

私は面接先に断りの電話を入れてから
新しいコンビニ店を探そうと、
携帯を取り出す。

コンビニの窓ガラスに映る自分が
「初めて意味ある生き物と思えた」。



👉 「普通」をこけさせるユーモア

さあ、いかがでした? 

「あらすじ」だけではどうしても
伝えきれないこととして、この小説が
かなり笑えるユーモラスな作品だという
ことを言っておきたいと思います。


そしてそのユーモアは決して薄っぺらな
ものではなくて、とても深い。

深いはずです。

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それは「普通」の生き方が正しいと信じて
疑わない人々と、その「普通」に合わせ
られない「異物」との齟齬(ギャップ)
から生じるおかしみ……

言ってみれば、「普通」をこけさせて
しまうユーモアだからです。


この種のギャップの問題を追求した
文学は、古来少なくありませんが、
当ブログで採り上げてきたものとしては、
ドストエフスキー、カミュ、それから
サリンジャーなどがありますね。

特に妹が「もう限界だよ……どうすれば
普通になるの?」と泣き出すところなどは、
『ライ麦畑でつかまえて』の主人公が
「ライ麦畑のつかまえ役になりたい
と言いだして10歳の妹を絶句させる
ところなどを連想させます。

詳しくはこちらを
ご参照ください。

ライ麦畑でつかまえてのあらすじ:サリンジャーの原文も参照!

そのほか、こちらなどにも
似たテーマが…。

カミュ 異邦人のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ:簡単版と【詳細版 前編】
ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文


この種のユーモアを実現した作家を
日本から挙げるなら、夏目漱石、太宰治
といったところになるんじゃないでしょうか。

こちらの記事などを
ご参照ください。

漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.
太宰治 人間失格で感想文:「恥の多い生涯」という名言から
太宰治 女生徒のあらすじと考察:女はいやだ…曲折する意識を読む

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『コンビニ人間』で読書感想文を書こうか
という人は、こういうユーモアに目を
付けることで考察を深めていくのが
一つの方法だろうと思います。


もちろん目の付けどころは、ほかにも
たくさんあるでしょうけど。

たとえばコンビニの実態を社会問題として
見ていくとか。

その場合はこちらも
ご参照ください。

コンビニの意外なサービス一覧!こんな事もできるんだ◎◎;


まあ、ほかにもゾロゾロあるでしょうけど、
ここではとても書き切れません。

こちらに並んでいる記事のどれかから
ヒントを見つけてもらえればと思います。

当ブログで書きためてきた
日本と世界のの文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事です。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/



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One Response to “コンビニ人間のあらすじ(ネタバレあり)「普通」をこけさせる村田沙耶香”

  1. 浅野浩二 より:

    サイ像さま。

    「コンビニ人間・古倉恵子」という小説を書きました。

    よろしかったら、ご覧ください。

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