ライ麦畑でつかまえてのあらすじ:サリンジャーの原文も参照!

 


やあやあサイ象です。

おなじみ「あらすじ」暴露サービスも
ついに大台を超えて今回でなんと
109弾((((((ノ゚⊿゚)ノ

「感想文の書き方」シリーズ全体では
168回となります。

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今回は村上春樹さんの新訳でも話題になった
J・D・サリンジャーの長編小説
『ライ麦畑でつかまえて』
(The Catcher in the Rye, 1951)に挑戦!

そのストーリーをかなり詳しく
ネタバレありで結末のオチまで。

しかも英語原文でどうなってるか気になる
名言などは、できるだけ多く原文も引用し
ながら、という親切この上ない
「あらすじ」ですよ~((((((ノ゚⊿゚)ノ


訳文は基本的に、村上訳(⇩ 右/スマホ
では下)ではなく、声価の定まっている
野崎孝訳(⇩ 左/上)に依拠しますが、
英語と対照させた部分は、わかりやすさの
ため拙訳を試みているところもあります。

       





👉 かなり詳しいあらすじ

では、参りましょう。

「”」のついたグレーの囲みは、
上記の野崎訳からの引用。

原文はPenguin Books(1958)に拠ります。


「精神分析の先生」のいる病院で
病気療養中の主人公、16歳のホールデン・
コールフィールドが去年のクリスマスの
出来事を滔々と、かなり汚い俗語も
使いながら語る物語…という設定です。


【起】(1~7)
ペンシルヴェニア州のペンシー高校で
寮生活をしていた僕(ホールデン)は
成績不良で退学処分を受ける。

観戦することになっていたフット
ボールの試合を抜け出して、70歳
くらいの歴史教師、スペンサー先生の
家に別れの挨拶に行く。

「人生は競技(game)だ、ルールに従え」
と校長に言われたことを伝えると、
スペンサー先生も同意するが、僕は
「わかってます」と答えながら、
「クソくらえ」と思う。

「優秀な奴らがずらっと揃ってる側に
ついてるんなら、人生は競技で結構だ」が、
そうじゃない方についていたら…
「人生、なにが競技だい?」

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何週間か前に会った両親について
先生は「りっぱ(grand)」という
「僕のきらいな言葉」を口にしたので、
ヘドが出そうになる。

「インチキ(phoney)だよ」と心には
思いながら、先生の読み上げる僕の
ひどい答案の文章と、先生のお説教を
表面上は礼儀正しく聞いてから、
辞去する。

僕みたいな嘘つきには、
君も生まれてから会った
ことがないだろう。

すごいんだ。
〔中略〕
だからさ、スペンサー先生に
……と言ったのも、あれは
まっかな嘘だったんだ。


自分が嘘つきだという
意味の文章はこのあと
何度も出て来ますが、
これを真に受けるなら、
いま話している内容も
多く(あるいはすべて)
嘘だという可能性も
出て来るのでは?

そこに”信用しきれない
語り”に付き合うスリル
という、もう一つの
面白みも出て来ます。


寮に戻り、その日の朝買った赤い
ハンチング帽をかぶって好きな
本を読み始める。

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そこへ隣室のアクリーが入って来て、
邪魔をするので、帽子をまぶかに
かぶって盲人の真似をし、ふざけ
散らして相手を苛立たせる。

アクリーを見ると、きまって、
僕の中にサディスト的なものが
生まれて来るんだな。
(He always brought out
the old sadist in me.)

ここは直訳すれば
「彼が僕の中のサディスト
野郎を駆り出す」。

この後の展開でも「僕」の
攻撃性は「サディスト的」と
見える場合もあって、
そのことが本人に不利に
働きもします。


ルームメイトのストラドレーターは、
僕に作文の宿題の代筆を頼んでから、
ジェーン・ギャラガーという、僕が
一昨年の夏に親しくしていた女の子と
デートするために出て行く。

食後、僕は、天才的に頭がよかったのに
白血病で死んだ弟のアリーの
野球ミットのことを作文に書く。


帰ってきたストラドレイターが作文に
文句をつけたので、ズタズタに引きさく。

ジェーンとは「やったのかよ?」と聞くと
ふざけてごまかすので、殴りかかる。

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でも逆襲されて組み伏せられ、これが
二度ばかりして二度とも負けた
僕の「喧嘩」の一回。


夜、実家に戻ることになっている
水曜日を待たず、もうここを飛び出して
ニューヨークのホテルなどでのんびり
しようと決心する。



【承】(8~14)
ニューヨークに向かう電車で、
モロウという同級生の母親だという
「性的魅力」もある女性と乗り合わせ、
偽名を名のった上で、モロウについて
嘘ばかりを滔々と話す。

僕はいったん嘘をつき
だすと、その気になれば、
なん時間でも続けられるんだ。

嘘じゃないよ。

なん時間でもなんだ。

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ニューヨークにつくとホテルを取り、
ロビーで三人の「相当なブス」の30女に
「ダンスしませんか?」と声をかける。

しばらく踊りながら話そうとするが、
頭が悪くて通じない女だとわかる。


以前、ジェーン・ギャラガーと
抱擁寸前まで行ったこと、そのジェーンと
ストラッドレーターとのデートのことを
想い出して気が狂いそうになる。


今はハリウッドで物を書いているD・Bに
よく連れて行かれたナイトクラブに
タクシーで行き、そこの主役である
アーニーのピアノ演奏を聞く。

弾き終わった時の聴衆の騒ぎに
「君ならきっとへどを吐いたろう」。

アーニーはとてもインチキでつつましい
おじぎ(very phoney and humble
bow)をしたが、あんなのインチキで、
ほんとはひどい俗物(a big snob)なんだ。

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ホテルに戻るとエレベーター・ボーイに
1回5ドルで「女の子とどうですね?」と
持ちかけられ、主義には反するものの
気が滅入っていて、ものを考えることも
できず、OKする。

女の子が入って来て脱ぎ始めるが、
落ち込んでいてセクシーな気分にならない。


話すだけで5ドル払って帰らせようと
すると、女は10ドルだといい、拒否
すると、例のエレベーター・ボーイを
連れてくる。

言われたとおりの5ドルしか払わないと
抵抗し続けると、殴られた上に
財布から勝手に10ドル取られてしまう。


1時間も風呂に浸かってから寝たが、
「本当は、自殺したい気持ちだったんだ」。

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【転】(15~24)
翌朝、僕は女友達のサリー・ヘイズに
電話して午後のデートを約束する。

朝食をとっていると、隣りに座った
二人の尼僧が感じが良かったとので
『ロミオとジュリエット』の話などし、
10ドルを寄付する。


午前中散歩していると、両親に連れられた
6歳ほどの子が「ライ麦畑でつかまえて」
というあの歌(‘If a body catch a body
coming through the rye’)をかわいい
声で歌うのを見ていて「僕は胸が
霽(は)れるような気がした」。


ブロードウェイでたいして見たくもない
芝居の特等席券を2枚買うが、それは
インチキ野郎の女王様(the queen of
the phoneis)であるサリーが喜ぶと
わかっていたから。

現れたサリーは相変わらず「すごい美人」で
「見た瞬間に、この人と結婚したいな」
と思ったぐらいだが、相変わらず大声を
出すのには閉口。

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タクシーの中で抱擁してから

彼女に、愛してるとか
なんとか言ったんだな。

むろん、嘘なんだけど、
実を言うと、それを
言ったときにはほんとに
その気だったんだ。

どうかしてたんだな、僕は。

神に誓ってもいいけど、
どうかしてるよ。

「私も愛している」とサリーは言ってから
髪をのばす約束をせがむ。
「きれいな(lovely)髪をしている」からと。

「きれいだってさ、くそくらえだ」
(Lovely my ass.)

いっしょに芝居を見ていても「どうせ、
みんな俳優がやってることじゃないか」
とか「これ見よがし」さが見えて
いやになる。

劇場を出ると、サリーの提案でスケート・
リンクへ行き、彼女の狙い通りかわいい
お尻の線を見るが、スケートは二人とも
下手で、バーで飲みながら話す。

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     ニューヨーク、ブロードウェイ

「もうたくさんだって思ったことある?」
(Did you ever get fed up?)
と尋ねると「学校は退屈よ」と言うので
「僕がいうのはそれを憎むかってことだ」
(I mean do you hate it.)

続けて僕は自分の憎むインチキ野郎ども
(phonies)の批判をまくし立ててから、
今すぐこんなところは飛び出して
二人で田舎で暮らさないかともちかける。

そんなことは大学を出てからでいいと
サリーは乗らず、口論になると、
なんだか彼女が憎くなり(beginning to
hate her, in a way)、しまいには
「君といるとケツがクソ痛い(You give
me a royal pain in the ass)などと
下品な言葉を口走ってしまう。


田舎行きの話は仮に彼女が応じても
連れて行かなかっただろうと思いながら、
一人でリンクを出る。

今度はジェーンに電話するが出ないので、
いまはコロンビア大学生の友人、カール・
ルースに電話してバーで性的な話などする。

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夜中のセントラル・パークを一人で
歩くと、肺炎で死ぬんじゃないかと心配に
なるが、妹のフィービーは幼すぎて葬式に
出されないことが救いだ、と思う。

死ぬといけないからフィービーに会って
おこうと急に思い立ち、家へと急ぐ。



【結】(21~25)
家に着くと両親は不在で、D・Bの部屋に
寝ている10歳のフィービーと再会。

追い出されたのね、「パパに殺されるわよ」
と繰り返すフィービーに、そんなことない、
だって僕はここから消えてコロラドの
牧場かどこかへ行くかもしれないから、
などと答え、なだめようとする。

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「世の中に起こることで何ひとつ
好きなものなんかないんでしょ」
(You don’t like anything
that’s happening.)と言われて
ますます落ち込みながら、そんなことは
ないと言い返す。

それなら「一つでも言って」というので、
死んだアリーが好きだし、君とこうして
いるのが…と言いかけるとフィービーは
「そんなの実際にある何かじゃない」
(That isn’t anything really!)
とはねつけ、それなら「何かなりたい
ものを言って」という。


僕は馬鹿げたこと(something crazy)を
思いついて、ロバート・バーンズの詩に
ある「ライ麦畑のつかまえ役」に
なりたいんだと言いだす。

広いライ麦畑で遊んでいる子どもたちが、
崖から落ちそうになると飛び出して
捕まえてあげる…一日じゅうそればかり
やってる人に。


長い沈黙の後、フィービーはやはり
「パパに殺されるわよ」と言う。


僕は前の学校の恩師、アントリーニ先生に
電話し、すぐ来ていいと言われたので
こっそり家を抜け出す。

去り際に暗闇でフィービーから
8ドルほどを渡され、泣き出す。

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受け入れてくれたアントリーニ先生は
だいぶ話してから君が「きわめて無価値な
ことのために高貴に死のうとしている」
(dying nobly…for some highly
unworthy cause)のが見えるなどと
説諭するが、僕は強烈な眠気に襲われる。

カウチで眠りにつくが、しばらくすると、
アントリーニ先生が僕の頭を撫でているのに
気づき、驚いた僕はすぐに身支度して、
家を飛び出し、駅で夜を明かす。


翌朝、街を歩きながら僕は森のそばに
小屋を建て、聾唖者のふりをして一人で
生きようと考える。


フィービーに別れを告げて金を返そうと
小学校で彼女をつかまえる。

フィービーは自分もいっしょに行くと
言い張るので、僕は怒って泣かせてしまい、
やがて「僕はどこへも行かない、気が
変わったんだ」と言ってなだめ、
二人で動物園に入る。

降りだした雨の中で回転木馬に乗った
フィービーが「ほんとにおうちに帰る?」
と聞くので「ほんとだ」と、この時ばかりは
嘘はつかず、ずぶ濡れで妹を見守りながら
僕は突然、強い幸福感を覚える。




👉 解説:射殺犯の愛読書ですけど…

さあ、いかがでした?

どう思いましたか?
「僕」ことホールデンという少年。

既成社会に順応して薄汚れている
(と彼が感じる)人々に「インチキ」(phony)
だとか「俗物」(snob)だとかの罵倒の言葉を
浴びせ続ける一方で、その対極にあって汚れを
知らない(と彼に見える)フィービーや
今は亡きアリーなど、子供たちに
強い愛を注ぎます。

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この落差の極端さが作品の魅力になっている
わけですが、感想文でも書こうかという
場合は、もちろんそういう極端な主人公に
「共感」してもいいのですが、むしろ逆に
「反感」を表明するという手もあるでしょう。

エラそうに人様をインチキ呼ばわりしている
アンタは、いったい何を根拠に自分は
インチキでないといえるの?…とか。


なにしろこの小説、カリフォルニア州の
教育委員会によって問題視され、学校や
図書室から追放されましたし(1954年)、
1980年代に起こった有名人射殺(未遂)事件の
犯人、3人までもが揃って愛読していたことで
“notorious”(悪い意味で有名)です。

1980年にジョン・レノンを路上で射殺した
マーク・チャップマンは警察が到着するまで
歩道で座って本書を読んでおり、法廷でも
作中の一節を大声で読んでいました。

1981年ロナルド・レーガンを射撃した
犯人のモーテルの部屋にも本書があり、
1989年、女優のレベッカ・シェイファーを
射殺した犯人の拳銃と血だらけのシャツと
いっしょに本書が発見されています。
Wikipedia参照)

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でも、だからといって、「悪書」だから
追放しろという話にはもちろんなりません。

「普通」の生き方にあくまで抵抗しようと
する若者の心理と生理に見事な表現を与えた
第一級の芸術品であるには違いなく、
これからも世界的に読みつがれることでしょう。


👉 妹を絶句させる主人公

「普通」を拒絶するサリンジャーに近い
立ち位置で書いた作家は、太宰治をはじめ
日本にもゾロゾロいるでしょうが、彼ほどの
攻撃性(サディズムに近いまでの)をもって
これだけの長編を読ませてしまう人は
なかなかいないんじゃないでしょうか。

ただ、私が個人的に連想する現代作家は
2016年の芥川賞を受賞した
村田沙耶香さんです。

『コンビニ人間』で主人公の妹がついに
「もう限界だよ……どうすれば普通に
なるの?」と泣き出してしまうところは、
「ライ麦畑のつかまえ役」になりたいという
ホールデンの話を聞いた妹のフィービーが
黙ってしまうところに通じるものがあって、
苦笑を誘います。

『コンビニ人間』について
詳しくはこちらでどうぞ。

コンビニ人間のあらすじ(ネタバレあり)「普通」をこけさせる村田沙耶香
              
             ISG106114107_TP_V2

また太宰治ではこれなんかが
「ライ麦」の世界に通じるん
ではないでしょうか。

太宰治 女生徒のあらすじと考察:女はいやだ…曲折する意識を読む


大人びた妹を絶句させるホールデンは、
大人になれない、というか成熟をを
拒否する「永遠の子供」。

これはピーターパンと彼を愛した
ウェンディのテーマにも通じますよね。

『ピーターパン』については
こちらをご参照ください。

ピーターパン原作のあらすじ:怖いのは子供が○○されるから?
ピーターパンで感想文?永遠の子供を愛したウェンディ…💚

             peter pan  Favim.com-10348




👉 まとめ

さあ、これだけ情報提供すれば、
もうOKですよね。

感想文だろうが、レポートだろうが。
 
    cat_writing (1)

ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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