雪女(小泉八雲の怪談)のあらすじ 破局を呼び込む"宿命の女"?

雪女(小泉八雲の怪談)のあらすじ 破局を呼び込む”宿命の女”?

Sponsored Links
やあやあサイ象です。

おなじみ「あらすじ」暴露サービスも
ついに大台を超えて今回でなんと
112弾((((((ノ゚⊿゚)ノ

「感想文の書き方」シリーズ全体では
171回となります。

Sponsored Links


小泉八雲(ラフカディオ・ハーン、
Lafcadio Hearn, 1850-1904)の
『怪談』(Kwaidan)といえば…

「耳なし芳一」「おしどり」「ろくろ首」
「むじな」(のっぺらぼう)「かけひき」
(はかりごと)など…日本の民話を
ドキッとするモダンなストーリーに
仕上げた珠玉の短編集(原文は英語)。


今回はその中でも清冽きわまりない傑作、
「雪女」で行ってみましょ~⛄




⦅広告 下は英訳⦆クリックすると楽天市場へ


そんなに長いお話ではないので、
かんたんに読めてしまうと思いますが、
それも面倒だという人は;^^💦

こちらの動画でストーリーを
押さえてくださいね。



あらすじ

はい、それでは文章による
「あらすじ」です。

わかりやすさのため、全体を
「起承転結」の4部に分けています。


⛄【起】

武蔵の国のある村に年老いた茂作(もさく)
と18歳の奉公人、巳之吉(みのきち)
という2人の木樵(きこり)がいました。

ある寒い冬の日、吹雪で帰れなくなった
二人は、渡し守の小屋に逃げ込み、
そこで寝ます。

その夜、顔に吹き付ける雪に巳之吉が
目を覚ますと、白い着物を着た女が
茂作の顔に息を吹きかけていました。

    IMG_0029

巳之吉が身動きも声を立てることも
できないでいると、女は今度は彼の方へ
かがみ込み、ほとんど顔がふれそうに
なります。

こわい目をしたその美女は、しばらく
巳之吉を見つづけてからにっこり
笑ってささやきました。

Sponsored Links


「おまえもあの人とおなじように
してやろうと思ったんだが、
かわいそうになった。

おまえは若いし、きれいだから。

でも、今夜のことを誰かに話したら、
その時は必ずおまえを殺すよ」

   

女は戸も閉めないまま吹雪の中に
出ていき、やっと体の動くようになった
巳之吉が茂作にさわると冷たくなって
いました(ドクロ)。


⛄【承】

翌年の冬の夕暮れ、巳之吉は
ほっそりとした美しい娘「お雪」に
出会いました。

両親をなくして江戸へ出る途中だという
お雪と巳之吉はお互いに心ひかれ、
夫婦になります。


それからお雪は男女10人の色白の子を
産みましたが、不思議なことには
何年たっても若く美しいままでした。

Sponsored Links


⛄【転】

ある夜、子供が寝てしまってから、
行燈(あんどん)の光で針仕事を
しているお雪に巳之吉がいいます。

「そうしているおまえを見ると、
わしが十八の頃にあった不思議な
出来事を思い出すよ。

おまえにそっくりな美しい女に
出会ったんだ」


お雪は仕事から目を離さないまま、
「その人のこと、話してください。
どこで会ったの…?」

       


「その女は人間じゃなかったんだ。

わしが見たのは夢だったのか、
それとも雪女だったのか、
いまだにわからんのだが……」


⛄【結】

お雪は縫い物を放り出して立ち、
巳之吉の上に身をかがめて彼を
正面から見つめて叫びます。

「その女こそ私でした。

私はあのときあなたに、もし
あの晩のことを人に話したら
殺すと言ったでしょう。

そこに眠っている子供たちさえ
いなければ、すぐにもあなたの
命を取るところですが…

この上は、子供たちの面倒を
よく見てやってください。

さもないと、私もそれ相応の
ことをしますから」


お雪の声は風の叫びのように細くなり、
やがてその姿は白い霧になり、
煙出しの窓を抜けて消えていきました。

それきり、お雪の姿は二度と
見られませんでした。

Sponsored Links


👉1890年に来日したハーン(八雲)は松江、
熊本、神戸と移動して最後は東京帝国大学の
英文科講師(その後釜が夏目漱石)でしたが、
この作品は東京時代のもの。

大久保の家に奉公していた西多摩郡調布村
(現・青梅市南部多摩川沿い)出身の
親子の話がもとになっていると序文に
書いてあります。

そのころの東京西部は大雪も珍しくなく、
この物語もリアルに語り継がれて
いたのでしょうね。


Sponsored Links


どこが怖いのか❓

さあ、どうでしょう。

コワい コワい コワいでしたね~(叫び)


ん? ちっとも怖くない…
こんなのよくある話じゃん?

そうかもしれませんね、21世紀の
スサマジい怪談に慣れちゃった人は…


でもね、できればもう少しビミョ~な
ところを怖がってほしいんですよ。

おそらくそのあたりに、原話には
たぶんなく、ハーンがプラスした
近代的な芸術性もあるはずですから。

    vampiros_goticos_04-1


たとえば上記「あらすじ」の【転】で、
巳之吉が昔の出来事の話を始めた時、
お雪は針仕事から目を離さないまま
「話してください」と話を続けさせますね。

この時、「やめて!」と制止するなり
なんらかの方法で話させないようにして
別れを回避する…という選択肢もあった
のではないでしょうか。


それをお雪はむしろ破局を呼び寄せる
かのように、無表情に話の進展を
促すのです。

これはむしろ別れを望んでいたことの
あかしなのではないか……。

Sponsored Links


いずれにもせよ、この物語は「鶴女房」
(鶴の恩返し)と同型の典型的な
「異類婚姻譚」(雪女は人間ではないから)
であり、別れは避けられない運命だった
とも考えられます。

それは原話からしてそうなのですが、
それをさらに怖くしているのが、
上に見た部分のような
「雪女=お雪」の描き方。

   
   小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)


ハーンのこのような手法の背景にある
意匠として19世紀後半のヨーロッパ文学
・美術に流行を見ていた”宿命の女”
(femme fatale)のイメージがあると
思われるんですね。

感想文やレポートを書かれる場合は
そのへんに絡んで思うところを
述べてみてはどうでしょうか。
👉“宿命の女”的な女性の描き方は
『怪談』に収められた別の短編、たとえば
「おしどり」などにも感じられます。

「おしどり」についてはこちらを参照。

おしどり夫婦の意味 🐥八雲怪談などに見る”永遠の愛”は本当?

      


👉“宿命の女”的なヒロインの登場する
作品としては下記のようなものもあります。

こちらの記事もご参照ください。

雪の女王(アンデルセン)のあらすじ💛アナ雪”原作の怖い童話

    


浦島太郎は意味不明?善行も”禁断の玉手箱”で罰せられ…

マクベスのあらすじを簡単に【&詳しく】これぞシェイクスピア最高傑作!

       macbeth  b0209199_5652a49d7cc68

谷崎潤一郎 痴人の愛のあらすじ 💘ナオミと譲治のM的結末…


👉そのほか世界の神話・民話・童話などと
比べてみれば色々と面白い問題が見つかる
はずですよ。

これらの記事から探してみてください。

シンデレラの原作は怖い!足を切断しても靴に入れる執念…そのルーツは?

      


眠れる森の美女 原作のあらすじ:グリム版にない後日談とは?

白雪姫は怖い?こんなに違う原作(グリム童話)とディズニー映画

  


童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ💛本当は怖い恋物語

赤い靴(アンデルセン童話)原作のあらすじ:怖いのはどこ?



まとめ

さあ、これでもう大丈夫。

生意気な子供のツッコミにも対応でき
ますし、感想文やレポートもOKですね。


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?

Sponsored Links




う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

    

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を知るには
実際に出品され大臣賞などを受賞している
感想文をじっくり読んで分析してみるのが
いちばんの早道。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

    

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

 

そちらで解説している「書き方」を踏まえて
当ブログでは多くの感想文例を試作し
提供してきましたが、このほどそれらの
成果を書籍(新書)の形にまとめることが
できましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
  👇

⦅広告⦆クリックすると楽天市場へ

買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

読書感想文 書き方の本はこれだ!サイ象流≪虎の巻≫ついに刊行!!!

    

👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事のほんの一部
でして、載せきれていない記事もまだまだ
沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


(Visited 6,893 times, 1 visits today)

コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ