リングのモデル問題? 高橋貞子/御船千鶴子/福来友吉…どう関わる


サクラさん
『リング』の貞子といえば、
中谷美紀さん,仲間由紀恵さん,
木村多江さん…と錚々たる
美人女優が演じてこられた
問題の人物。

ところで、ほんとに美人
だったんでしょうか?

ハンサム 教授
いや「ほんとに」と言われ
ても、実在していなければ
確かめようもないですし;^^💦

サクラさん
でも高橋貞子という
超能力者については
記録がありますよね。

ハンサム 教授
ええ。でもその人が
モデルになってるのは
貞子ではなく、母親の
山村志津子の方。

 

その志津子と”T大”助教授
伊熊平八郎との関係が、
明治末に東大助教授だった
福来友吉と高橋貞子をモデル
にしていることは間違いない
ですけどね。

サクラさん
ああ、伊熊ってあの…
貞子を井戸に落とす(ドクロ)…

ハンサム 教授
いや、それは映画の話。
   
原作の小説はもっと複雑で、
貞子は伊熊に殺される
わけではないんです。

  

ただ「これ程きれいな女は
見たことがない」と言われる
ほどの美女で、この世ならぬ
その美貌が不幸な死に
絡んではいますね~。

サクラさん
あ~やっぱり美人なんだ(😻)

ハンサム 教授
いや、それは小説の話;^^💦

どうも混乱してしまうので、
《映画/小説/事実》ときっちり
区分けしながら「貞子」に
迫っていきましょう。


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さて、早いものでなんと第206回を数える
“感想文の書き方”シリーズ、今回は
シリーズ化してハリウッドでもリメイク
された、あのジャパニーズ・ホラーの
記念碑的傑作『リング』(1998)!

その原作小説(鈴木光司作、1991)とそこに
採り入れられている明治・大正期の実際の
出来事について、もちろんネタバレあり⦅📢⦆で
ガンガン探りを入れていきますよ~((((((ノ゚⊿゚)ノ

すなわち『リング』の「山村志津子/貞子」の
母娘と実在の人物「高橋貞子」の異同を
軸として、フィクションとしての『リング』と、
そのモデルになった歴史的事実の両方について、
驚異と恐怖に満ちた面白さをお見せしていこう
と思うんです。

どうぞお楽しみに~。

       




ところで、『リング』に続いて現れた
もう一つの傑作ジャパニーズ・ホラーが
『呪怨』シリーズ(2000~)ですね。

今や、そのヒロイン伽椰子を貞子と対決
させた『貞子VS伽椰子』(2016)という
映画もあるんですよ~;^^💦

参考までにその予告編をどうぞ。



というわけで、本日は以下のような
内容で参ります。




1.貞子が産んだ”呪いの子”とは?

「貞子」と聞いてまず思い浮かべるのは
長い黒髪で顔を隠した白装束の女性…

幽霊のようなその女性がテレビの画面から
のそのそ這い出して来る場面では
ないでしょうか。

  

でもこの場面、実は映画で作られたもので、
原作小説にはないんですね。


映画の竜司(真田広之)はこうして出てきた
貞子に殺されるという末路をたどるわけ
ですが、でも特に貞子の恨みを買うような
ことをしたわけではありません。

殺される唯一の理由は、貞子が「念写」した
とされる「呪いのビデオ」を1週間前に見て
しまったことで、この設定は小説も同じ……


さて、ここからは小説『リング』の話に
なりますので、映画や事実と混同されない
よう、違う色の囲みで示していきますね。

主人公の浅川に協力して調査を進め、
謎を解いた頭脳明晰な竜司は、ビデオを
見てちょうど1週間となる時刻に、心臓を
摑(つか)まれるような激痛に襲われます。

そして朦朧とし始める意識のなか、
ようやく見えてきた結論とは……

山村貞子は何を産み出したのか……。
〔中略〕
彼女は子供を産みたかったのだ、
だが、産める身体(からだ)
ではなかった


そこで、悪魔と契約を結んで……、
たくさんの子供を……。

    (引用は上記”角川ホラー
     文庫”から。以下同様)


「悪魔と契約を結んで」作った「たくさんの
子供」が例の「呪いのビデオ」であり、
これを見た者はダビングなどして他の
誰かに見せないと死ぬしかない。


俺より先に見た浅川がまだ死なないのは
それを俺に見せたからだ…。


竜司がついに到達したこの結論が浅川に
伝えられることはなかったのですが、
浅川も様々な手掛かりから独自に、この
「呪い」の正体が「ウイルス」のように
伝染していくものだと悟ります。

       

となると、すでにこれを見てしまった
妻子の命が危ない。

だから早くそれを義父母に見せるように
妻に電話で伝えます。

その先、義父母も誰かに見せて…と永遠に
続けられる保証は全然ないけれども……。

このエンディングは映画もほぼ同じで、
こちらの浅川は女性(松嶋菜々子)で
竜司はそのモト夫という設定ですが、
ともかくわが子を救うため義父にビデオを
見せるという決心で車を飛ばす…
というのがラストシーン。

  

要するに「呪いのビデオ」とはそういう
もので、運悪くそれを見てしまった人を
無差別に呪い殺してしまうわけです(叫び)。


なぜ「無差別」なのか?
その説明は小説も映画も同じです。

要するに、貞子の母で超能力者だった
山村志津子の自殺の原因となったのが
「インチキだ」だという大衆全般からの
嘲罵であって、特定の誰かを怨んでいた
わけではないらしいから…。

      
  

ところで、山村志津子が嘲罵を受けるのは
不倫の恋の相手でもあった伊熊平八郎博士が
設定した「念写」の公開実験においてでしたが、
この設定は、実在の高橋貞子が福来友吉博士を
信頼して大正2年に行った実験とほぼ同じ
として描かれています。

高橋と福来の間に恋愛などはなかったと
思われますが、ともかく『リング』の
公開実験は「実話」の部分が大きいので、
どこまでがホントにあったことなのか、
事実をほじくり返して見ると面白い…

いや、事実は小説より奇なり…
もっと怖いかもしれませんよ~(ドクロ)



2.高橋貞子と福来友吉

『リング』では1950年代のこととされますが、
山村志津子は伊熊博士のしつらえた「念写」の
公開実験を行ったものの、不調だったため、
インチキだと罵倒されてしまいます。

その際、まだ幼かった貞子が粗暴な記者を
呪い殺すという母以上の超能力を発揮する
のですが、ともかくメディアでペテン師
呼ばわりされた志津子はその後、伊熊との
関係のもつれもあったか、自殺をとげます。


さて、この公開実験の経緯ですが、記者を
死なせたり自殺したりを別とすれば、
ほぼ実際の出来事をなぞっているんですね。

すなわち”T大”ならぬ東京帝国大学(現東大)
で心理学を研究する助教授だった福来友吉
(ふくらいともきち)が大正2年(1913)に
行った高橋貞子の「念写」実験。

   
   高橋貞子 (福来友吉著『透視と念写』(1913)口絵)


福来は実はそれ以前、明治42年(1909)から
御船千鶴子、長尾郁子という超能力者の
「透視」や「念写」の能力を証明する
公開実験を学者や新聞記者の立ち会いの
もとで試みてきていました。

明治44年1月には東大元総長の物理学者、
山川健次郎らも立ち会っての長尾郁子の
実験が行われたものの、写真フィルムが
盗まれて脅迫文が残されるという事件が
起ってしまいます(千里眼事件)。

しかも同月、熊本の御船千鶴子が25歳の
身空で服毒自殺し、翌2月には丸亀の長尾郁子
(39歳)も心臓麻痺で急死したのです。


これら一連の不祥事とペテン疑惑で東大での
地位を危うくしていた福来が打って出た
起死回生の一策、”最後の”超能力者が
高橋貞子……

福来本人はともかく、世間にそう見えた
ことはたしかでしょう。

が、この実験も強い説得力をもちえず、
福来は結局、東大を追われることに
なったのです。

      
      現在の東京大学 本郷学舎 


高橋貞子はその後、行方をくらましたきり、
杳として消息を知られていません。

『リング』の志津子のように自殺したか
どうかは不明ですが、ほぼ同じ運命を
たどった先行者、御船千鶴子の自殺は事実
ですし、もう一人の長尾郁子の死も1か月後
というあまりに近接した時期でした。

彼女らはやはり「呪われて」いたのか…

そうだとすれば、『リング』の貞子が
大衆全般に「無差別」に投げ掛けた呪いには
そのような彼らの「呪い」への報復という
意味があったのか……

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3.山村貞子の”超絶”美貌のウラに…

その呪いは『リング』では「呪いのビデオ」の
形をとって無差別に伝播しようとするわけ
ですが、結果的に命と引き換えにこの真相を
理解した竜司の考えは、上の引用文で
見たところです。

ところで、その中に引っかかる言葉というか、
意味不明な部分はなかったでしょうか。


そう、貞子は子供を「産める身体では
なかった
」というポイントですね。

これは一体、何を根拠として
言われる話なのか…


さあ、ここからが映画では完全にカットされた、
小説『リング』の最も怖い…というかアブナイ
部分なので、まだ読んでいない人は心して
お読みください。
(18歳未満の方はご遠慮くださいね;^^💦)

母、志津子に置いて逝かれた山村貞子は
伊熊平八郎の婚外子として美しく成長し、
1970年代には女優の卵になっていました。

年老いた伊熊が南箱根のサナトリウム
(療養所)に入ると、そこへ頻繁に
見舞いに来る貞子は、たちまち
「山村貞子以上の美人を見たことがない」
という医師たちの間の評判に。



若い医師だった長尾城太郎はある
成り行きから貞子を犯すことになる
(貞子の抵抗は激しくない)が、

その際、衝撃の事実に襲われる。

陰毛に覆われた恥丘の
奥には完全に分化発育した
睾丸がついていた。
〔中略〕
私はこの症例をテキストの
写真で知っていた。

睾丸性女性化症候群。
〔中略〕
男性仮性半陰陽のひとつである
睾丸性女性化症候群は、
外見的には完全に女性の
からだで、乳房、外陰部、
膣はもっていても子宮の
ない場合が多い。

性染色体はXYで男性型、
そして、なぜかこの症候群の
人間は美人ぞろいなのである。

         

さあ、これでおわかりですね。

調べをつけて訪ねて来た竜司と浅川の前で、
長尾城太郎はこの経験をアケスケに話します。

強姦殺人罪の自白ということになるのに、
そう簡単に吐くかね? と思ってしまいますが
(このへんは筆を急いでしまったようで残念)、
ともかく、これにより竜司は貞子が子供を
産める身体ではなかった」ことを
知っているんですね。

ともかく小説の貞子は長尾の行為のあと
「殺してやるわ!」と口にしたため、
長尾は防衛本能から彼女の首を絞めます。

この際も「抵抗は少なく、まるで死ぬのを
望んでいたかのように気持ちよさそうに
眼を細め」た貞子を、長尾は井戸に
放り込むわけですね。

    

映画ではこの長尾の存在を省略し、貞子を
放り込む役も伊熊に押しつけています。

つまり伊熊は完全な悪役になってしまう
わけで、モデルにされた福来友吉から
すれば、これはひどい話。

もし存命なら裁判になったかもしれません。


福来は自分が発見した事実を世間に認めて
もらおうとした真面目な学者にすぎず、
伊熊の悪行のオオモトになった不倫の
恋愛なども全然ない清廉潔白な人だった
と思われますから。

福来友吉の生涯と業績
について詳しくはこちらの
本などをご覧ください。



おっとそれから、「男性仮性半陰陽」云々は
もちろん小説でのフィクションであって、
実在の高橋貞子について、そんな事実は
知られていません。

このことも高橋貞子さん(どこへ消えたのか?)
の名誉のために、一言申し添えます。


👻 まとめ

さて、ジャパニーズ・ホラーの不滅の
スーパースター、「貞子」のルーツを
根掘り葉掘り掘り返してきました。

「貞子」に関するかぎり、あなたは
今やいっぱしの物知りです。


周囲のウブな人たちに教えてあげることも
できますし、小説・映画『リング』で
感想文やレポートを書くことも
むずかしくありませんね。

上に提供してきた情報や解説を活用すれば、
高度なものになること、間違いありません。



ホラー映画といえば元祖は
やはりアメンリカン・ホラー。

その三大傑作といわれるのが
『ローズマリーの赤ちゃん』
『エクソシスト』『オーメン』。

当ブログではこの3作をはじめ
多くの作品について情報提供
していますよ。

ローズマリーの赤ちゃんのネタバレ👶戦慄の結末は原作でしか読めない!

エクソシスト(映画)のネタバレ ❔…な部分を原作小説で補うと

オーメンのあらすじ【ネタバレあり】映画も小説も全部丸わかり



シャイニングのネタバレ 原作とキューブリック映画の違いは?

キャリーのネタバレ👻スーの思いは?映画(1976)も怖いが原作はもっと…

ミザリーのネタバレ📢)))原作は映画の10倍も怖いゾォ~~~👻

これらアメリカン・ホラーの基底に
たいていあるのが「悪魔vs.神」
の対決という構図。

その原型はゲーテの『ファウスト』
などにも見られますね。

詳しくはこちらで。

ゲーテ ファウストのあらすじ 👻名言「時よ止まれ」の意味は?

    


当ブログでは、そのほか
日本と世界の種々の文学作品に
ついて「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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