浦島太郎は意味不明?善行も”禁断の玉手箱”で罰せられ…

 


やあやあサイ象です。

少し前に「桃太郎」の謎や歴史的背景に
ついて書きましたが、この「太郎」より
もっと謎が多く、かつ物語の発生自体は
実は桃太郎よりずっと古いもう一人の
「太郎」が浦島さんですね。

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ところで、この物語もまた「?」が
多いんですよね。

桃太郎への「?」は「鬼=悪」という前提が
危うくなってはじめて出てくる類のもの
なので、子どもを悩ませることは少ないと
思われますが、浦島さんの場合は、
幼いお子さんでも疑問をぶつけてくる
ケースがかなりあるのでは?



👉 浦島太郎の???

たとえば…

(1)浦島は亀といっしょに海に潜っても、
どうして呼吸困難にならないの(叫び)?

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(2)浦島は亀を助けるという善いことを
したのに、なぜいっぺんに年老いる
という不幸な目に合うの(ドクロ)? 

「勧善懲悪」の原則にはずれて
いるのはなぜ?

(3)姫は玉手箱を渡しながら、
なぜ「あけるな」って言うの(ニコニコ)?

あけちゃいけないんなら、
渡さなければいいんでね?

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(4)浦島はなぜ乙姫の言いつけを守らず、
玉手箱をあけてしまうの(叫び)?
 
子供たちの疑問に、ごまかさずきちんと
答えてこそ尊敬されるオトナ((((((ノ゚⊿゚)ノ

いやいや大丈夫!

次章以下を読めば、あなたも
一夜にして物知り博士ですよ。



👉 『日本書紀』に登場

まず「浦島物語」がもともとは(事実に
基づく可能性が大きい)伝説であって、
「勧善懲悪」を子供に教えるために
作られたフィクションではない、
という点を押さえましょう。

最初は「太郎」という名はなく「浦嶋子」
(うらのしまこorうらしまのこ)ですが、
これが登場する最古の文献は『日本書紀』
(720年)、雄略天皇廿年(477年)
秋七月の条。

丹波国余社郡の管川の人「端江浦島子」が
舟に乗って釣りをしていたところ、
こういうことが起こったというのです。

遂に大亀を得たり。

便(たちまち)に女に化せる。

是(これ)に、浦島子、
感(たけ)りて婦(め)にす


相遂ひて海に入る。

蓬莱山(とこよのくに)に到りて、
仙衆(ひじり)を歴(めぐ)り
観る。


つまり釣った亀はたちまち姫と化した
のですから、別に助けてあげるとかの
「善い」ことをしたわけではありません。

それどころか、ただちに「感(たけ)」って
妻にしてしまったのですから、現代の倫理
からすれば、むしろ「いかがなものか」…
と眉をひそめるところではないですか。

浦島 ちりめんyjimage
”The Fisher Boy, Urashima ” (1886/明治19)の挿絵  

それはともかく、「海に入る」とあるので、
海底へと潜って行ったかのように
読めないでもありませんが、後続部分から
すると、そんな不合理なことを言って
いるわけではないとわかります。

で、どこへ行ったかというと、
「蓬莱山」。

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これが「とこよのくに」と訓じられるのは
いろんな背景があってのことと思われ
ますが、「蓬莱(山)」が中国山東省に
実在する現実の土地であることは、
477年当時も現在も変わりのない
事実なのです。

蓬莱は仙人たちのいたところとされ、日本の
「七福神」の起源となった「八仙」の彫像や
画像もある「蓬莱閣」は現代も
行楽地として賑わっています。

山東省蓬莱閣 

「浦嶋子」が「仙衆を歴り観」た
というのはもちろん像ではなく、実物に
会ったということで、仙術を体得して
帰国したのかもしれません。
(帰国しないと報告できないので)

この「蓬莱」で出会った
仙人と、日本の「七福神」の
「八仙起源説」をめぐっては
こちらの記事をご参照ください。

七福神の名前の覚え方:新作決定版!🐢なんで浦島太郎が…?

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👉 『万葉集』から『御伽草子』へ

さて、「浦嶋子」のこの事件があってから
『日本書紀』に書かれるまで、約250年が
経過していますので、それほど長く語り
継がれたということは、かなり広く
流通する伝説であったものと思われます。

同時代の『丹後国風土記』(編纂命令713年)や
『万葉集』(783年完成)に、フィクションを
加えてより面白く語られた「浦島物語」が
書き残されていることから、
それがわかります。


『万葉集』巻九で高橋虫麻呂が詠む長歌の
「浦島物語」の大意は次のようです。

水江の浦島子が7日ほど鯛や鰹を釣り
帰って来ると、海神(わたつみ)の
娘(亀姫)と出会った。

二人は結婚し、常世(とこよ)にある
海神の宮で3年ほど暮らした


父母にこの事を知らせたいと娘に
告げると、「これを開くな」と
篋(くしげ・玉手箱のこと)を渡され、
水江に帰ってきた。

海神の宮で過ごした3年の間に
家や里はすべてなくなっていた。

箱を開ければ元の家などが戻ると思い
開けたところ、常世との間に白い雲が
わき起こり、浦島の子は白髪の老人の
様になり、ついには息絶えてしまった

竜宮門 長崎崇福寺
長崎崇福寺の竜宮門  


この「常世にある海神の宮」というのが
竜宮(城)」に変わるのは、室町時代に
成立した短編物語集『御伽草子』からと
思われますが、そこでもまだ、浦島が
亀と一緒に潜水したという記述は
ありません。


ともかくここで初めて浦島に「太郎」という
名が付きますが、『御伽草子』版「浦島」の
新味、そして大きな救いは、たちまち老人に
なった太郎がそれでも「息絶え」ないこと。

しかも鶴になって蓬莱山へ向かって飛び
去り、同時に乙姫も亀になってそちらへ
向かい、太郎と乙姫は再び巡り会って
夫婦の神になったというのです。



👉 明治以降、恋愛の要素が消された

さて、最初に挙げた疑問点:
(1)海に潜っても呼吸困難にならないのか、
(2)善いことをしたのに、
なぜ不幸な目に合うのか、
(3)玉手箱を「あけるな」と言うなら、
渡さなければよいのではないか、
(4)浦島はなぜ乙姫の言いつけに
背いて玉手箱をあけるのか

は、すでに述べたことから、だいたい
解ける、というか、それなりの回答を
こしらえることができますよね。

え? やっぱりわからん?

それではもう一つのポイントを
申しましょう。

それは、すでにお気づきのように、浦島と
乙姫(亀姫)の恋愛こそが「浦島物語」の
主筋とさえいえる重要部分であったこと、
そしてこの要素が明治以降、子どもへの
配慮から大きく削られていったことです。

鶴と月Free-to-fly-s

つまり「うらしまたろう」は国語の
国定教科書(全国の小学校で一律に使用)に
のせられるというような事情もあって、
話のはじめで亀を助けるとか、故郷の両親を
案じるとか、子どもの模範となるような
人物へと改変されていくわけですね。

だからもちろん、竜宮で乙姫と快楽の
かぎりを尽くしたなんていう…江戸期までの
「浦島物語」の主要部分(むしろ
クライマックス?)はそぎ落とされますから、
それによってつじつまが合わず、わかり
にくい部分が出てきてしまうのですよ。

浦島と乙姫2
Edmund Dulac,” Urashima Taro”(1916)

ですから、疑問点の(3)(4)も、二人の
恋愛感情を抜きにしては解けないはず
なのですが、現代の多くの人の頭には
それがないために、サッパリわからん
ということになるのです。

もちろん、この2点にも公認の
正解というものはありません。

ただこの「玉手箱」という不思議な小道具
には、乙姫の浦島への強い感情(憎しみや
復讐心なども含め)が込められている
ことは確かのようですから、そこに
あなたなりの解釈を加えて、疑問への
「回答」を作ってみてはいかがでしょう。


え? ギリシャ神話の
「パンドラの箱」に似てる?

そうですよね。この着眼はあの
太宰治にもありました。

それについては、コチラで。

浦島太郎 玉手箱の意味は?パンドラの箱を重ねた太宰治

またまた冒頭でふれました
「桃太郎」の記事はこちらです。
桃太郎は「悪くない鬼を退治した」から悪い?子供にどう話す?

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これでもう書けますよね、
感想文でもレポートでも。

え? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

「感想文の書き方」一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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