斜陽(太宰治)の感想文を簡単に【800字の例文つき】


サクラさん
太宰治の『斜陽』で読書
感想文を書きたいと思うん
ですが、どう書いていいか
わからなくて…(😿)

ハンサム 教授
全八章中の「七」が弟の
直治の遺書で、これが全体の
結論かと思ってると、続く
最終章の「八」でヒロイン
かず子がそれがひっくり返す
感じもある。

    

サクラさん
だからどうも作者が何を
伝えたいのかも、よく
わからないんです。

ハンサム 教授
それはわからないとしても、
「七」で直治が、「八」で
かず子がそれぞれ言ってる
ことを理解することは
できるでしょう。

どちらかを選んで、それへの
自分の意見を書いてみたら?

サクラさん
な~るほど、
その手があるか(😻)


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今回でなんと第211回((((((ノ゚⊿゚)ノ
を数えます”感想文の書き方”シリーズ、
今回は太宰治の『斜陽』(1946)に挑戦です!




まだ全文をちゃんと読んでいない人、
または読んだけど整理できていないという
人は、こちらの「あらすじ」記事を読めば
だいたいのところがわかりますよ;^^💦

斜陽(太宰治)のあらすじ 🌄簡単/詳しくの2段階で解説

         
                

🌄 感想文の例(800字)

はい、ストーリーがしっかり理解できたら、
さっそく感想文に取り組みましょう。

まずはみなさんのために字数制限800字
(400字詰め原稿用紙2枚)でハンサム
教授が試作した文章をお目にかけます。

たんなる感想でなく論理的・批判的な
突っ込みもありますので、「批評文」を
求められている場合でも十分通用する
と思います。

 太宰治の『斜陽』を通読しての印象は、
ヒロインのかず子とその愛人上原と
弟の直治の三人がかわるがわるに
出てきて自分の考えを述べけれど、
それらが互いに矛盾しているので、
どれが作者の伝えたいことなのか、
わからないということだった。

結局、作者は矛盾しあった思想の
いずれも捨てがたく思い、それらを
そのまま読者に投げかけることに
したのではないだろうか。

それらのうち、私を最も深く考え
させた直治のものそれについて
感想を述べてみたい。

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 華族の子弟として育った直治は、
高等学校以来、平民の子弟と交流し、
さらには農家出身の作家上原に師事
することを通して、どんどん「下品」に
自分を作り替えようとするけれども、
変えきれないものが残り、引き裂かれる。

『斜陽』第七章を構成する直治の遺書は
そのような彼が到達した哲学として
読めるが、その核心は「人間は、みな、
同じものだ」という思想への
徹底した否定である。

これは「酒場に於いて醜男が美男子に
向って投げつけた」嫉妬にすぎず、
民主主義ともマルキシズムとも
全然関係のない卑屈で猥せつな
「奴隷根性の復讐」だと
決めつけるのだ。

   

 私はこの部分を読んで冷や汗の
出るような思いがした。

私自身、これまで学校で教わった通り
「人間は、みな、同じものだ」という
考えを述べ、級友に教えるようなこと
さえしてきたのだが、そこに貴族を
うらやむ奴隷根性のようなものが
混じっていないとは言い切れない
気がしたからである。


 実際、ほんとうに思っていることを
いわせてもらえば、人間は「みな、同じ」
でなどなく、みな「違う」と思う。

でも、「同じ」だということにしないと
民主主義が成り立たないから「同じ」
部分を認めるよう努力しましょう、
と学校で教えることになっている
のだと思う。

「みんな違って、みんないい」という
金子みすずの詩は、その教え方の一つ
として面白いとも思った。

「みんないい」という点において
みんな同じなのだ、と。
          (792字)

どうです?

うまくまとまっているでしょう。

これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、適宜、自分らしい
ものに文章を変えて使ってもらうのは
かまいませんよ~;^^💦


もちろんテーマもいろいろ可能でしょう。

上記は直治の遺書で考えた例ですが、
かず子、あるいは上原の考えについて
あなたの意見・感想を述べて行っても
いいわけですし、そのほかいろんな
角度から見ていけるでしょう。 

たとえば……


🌄 宮様も身につまされた

出版後たちまちベストセラーになった
『斜陽』の英訳題は”The Setting Sun”。

まさに「沈む夕日」としての戦後の
没落貴族一家の一様態を痛切に
描き出したことが売れた要因の一つに
ちがいありません。

宮様も読まれて「見につまされる」と
おっしゃったということが太宰の
自慢ともなっていました。

宮様といっても昭和天皇では
ありませんよ。

昭和天皇は小説など読まない
人で、「読んでもお分かりに
ならないだろう」と近親者から
いわれていました。

宮様に読まれて太宰が喜んで
いたことについては、
こちらをご参照ください。

“お~になる”敬語は要注意☆”お~になられる”で太宰・志賀論争

        


ついでのようで畏れ多いこと
ながら、昭和天皇の興味深い
エピソードについては
こちらもどうぞ。

柏餅の葉っぱ ❁天皇陛下はなぜお食べになったのか…

              


さて、ともかくそういうことを誇るという
太宰の心理はやはり直治らの貴族性に
寄り添うものともいえて、その意味では、
太宰がかつてのめり込んだ「マルキシズム」
(左翼運動)には背を向けるものでしょう。

そのへんを問題にして書くのも
面白いのでは?


🌄 「恋と革命」の意味するところは?

「革命」の語も『斜陽』に頻出しますが、
これはもともとマルキシズムの
目指すところ。

ただ、そこからすでに離脱している
作者による『斜陽』では、微妙に
ひねられたニュアンスを帯びます。


「恋と革命」というのがかず子の
スローガンになってきますが、彼女において
「革命」は結局「恋」と同義語のように
なっているようにも思われます。

実際、彼女の上原への「恋」は特異といえば
特異なもので、上原という男のどこが
よくてそんなに惹かれるのかは
立ち入って書かれていません……

だから「成就」しても「かなしい」。

つまり「上原への恋」というより
「私の恋」という側面の方が支配的で、
対象よりむしろ「恋する」こと自体が
目的のような……「かなしい」恋。

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自己の絶対的な個別性(singularity)に
目覚めたがゆえに「常識」や「道徳」が
わからなくなって、「新しい倫理=
道徳革命」を目指すのです。

かず子の場合、その闘いと重なるもの
として「恋」が経験され、それが
「子を得る」という形で完結した
ということなのか……


あの『火花』で芥川賞を受賞された
又吉直樹さんが太宰について語った下記の
談話も、主に『人間失格』についてのもの
ながら、『斜陽』にもそのままあてはまる
核心的なことが言われていますので、
ぜひ参考にしてください。



どうしても「人間」とか「女」とかの
カテゴリーで一括りにできない各個人の
個別性といったところでしょうか。

又吉さんの作品にについては、
こちらをご参照ください。

ピース又吉 火花のあらすじ:笑いながら泣く芸人哲学の世界

又吉直樹 火花で感想文・批評文を☆火花を散らす”ボケ”師弟



🌄 マイ・チェホフ、マイ・コメディアン

そのあたり、考え方としては賛否両論ある
ところでしょうから、感想文ならここに
突っ込んで自分の意見を書いていけば
いいんじゃないでしょうか。

その場合、かず子が上原にあてて
書き続けた手紙が重要になってきます。

【第1信】で上原の仮称として使い始めた
M・Cについて、末尾で「マイ・チェホフ」の
意味と明かしながら、ラストの【第4信】では
これが「マイ・コメディアン」に変わって
いるのも、とても苦い(作者にとっては)
自虐的なオチになっていて、痛切ですね。


ところで、こういうふうに使われた
「チェホフ」(アントン・チェーホフ)
への太宰の敬意というか、思い入れが
半端でなかったことは無論でしょう。

実際、『斜陽』の人物設定の方法は
チェーホフの『かもめ』に多くを学んで
いるはずで、「チェホフ」の名を出した
のはそのことへのオマージュでしょうね。

『かもめ』について詳細は
こちらをご参照ください。

チェーホフ かもめのあらすじ🐥ニーナとコースチャの運命は?

   seagull


ともかく、そのあたりをじっくり
読み込んで自分なりに考えて
みましょうよ。

かず子や直治は考えをはっきり出して
いますから、それらに対して賛成でも
反対でもいいので、自分の考えを
打ち出して論理的に述べていくことが
できれば、きっとすぐれた感想文になりますよ。

『斜陽』の見事な達成の一つが
男性作家の女語りという
太宰得意の手法ですが、
それに先鞭をつけた初期の
傑作が『女生徒』。

これついてはこちらを。

太宰治 女生徒のあらすじと考察:女はいやだ…曲折する意識を読む

           365633  

またこれを逆転した
女性作家の男語り
試みたのが山崎ナオコーラの
『人のセックスを笑うな』
(2004)で、これも面白い。

詳しくはこちらへ。

人のセックスを笑うな 📖原作小説のあらすじ【ネタバレあり】

     


ともかくこの太宰という男、
女になりきって書く…ということに
関してはほとんど天才的だったよう
なんですが、これ、いってみれば
文章での女装

いわゆる「LGBT」の「T」すなわち
トランスジェンダー(transgender)
の問題に引き寄せて考えることも
できるでしょう。

そのあたりにご関心の向きは
こちらも覗いてみてください。

三島由紀夫 仮面の告白のあらすじ:LGBT文学の先駆作を解説

寺山修司 毛皮のマリーのあらすじ:LGBTの世界的傑作を解説

       lgbt

また他の太宰作品に関しては、
これらの記事も参考にして
もらえればと思います。

太宰治 人間失格で感想文◆「恥の多い生涯」という名言から

太宰治 人間失格のあらすじ💛生田斗真主演映画の原作をネタバレありで

太宰治おすすめ作品「カチカチ山」💛名言《惚れたが悪いか》

          

太宰治 走れメロスのあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説

太宰治 津軽のあらすじと感想文◆タケ母子との心の交流を…

人間失格から河童へ:太宰の芥川”愛”で連想の感想文を書こう

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🌄太宰治の本:ラインナップ🌄


ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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