シャイニングのネタバレ 原作とキューブリック映画の違いは?


やあやあサイ象です。

キューブリック監督の『シャイニング』
(The Shining,1980)といえば「世界最高の
ホラー映画」(叫び)と謳われた芸術映画の絶品!

でも原作者のスティーヴン・キングはこれが
お気に召さず、「エンジンのない高級車だ」と
批判的でした。

ついにはリメイク映画の『シャイニング』
(Stephen King’s The Shining,1997)で
自ら制作総指揮に乗り出したほど。

なぜ? 

キューブリック映画のどこがいけなかったの?

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というわけで、おなじみ”あらすじ暴露”シリーズの
146弾(”感想文の書き方”第215回)は
小説『シャイニング』(1977)👇((((((ノ゚⊿゚)ノ。

       



原作のあらすじを【ネタバレあり】でかなり詳しく
たどった上で、キューブリック映画はどこを
どう変えているのかを見きわめたいと
思うんです。


🌞 かなり詳しいあらすじ

それではさっそく参りましょうか。

「 」内と「”」印のグレーの囲みは
原文(上記文庫本)からの引用です。

第一部 その日まで

鼻持ちならん気取り屋のげす野郎め、
というのがジャック・トランスの
まず感じたことだった。

これが第1行。

「げす野郎」はジャックが就職の
面接を受けているホテルの支配人
アルマンで、この男のいやらしさと
同時に癇癪(かんしゃく)持ちな
主人公の性格も伝えてしまう、
巧妙な書き出しですね。

高校教師をしながら書いた短編小説が
すでに20篇も雑誌掲載されているものの、
近年は振るわないジャック。

ある日、学校で自分への恨みから車のタイヤに
ナイフで切りつけていた生徒を取り押さえ、
殴りつけたことで失職してしまう。

また以前には、原稿にいたずらしたことに
腹を立て、愛息ダニーの腕をひねって骨折
させてしまうという事件もあって、こうした
癇癪の発作と無関係ではない飲酒癖を
治そうと、しばらく断酒していた。


再就職の話は、10月から5月まで閉鎖する
コロラド州山中の高級リゾート・ホテル
《景観荘(オーバールック)》の冬季管理人。

これなら一家で移住して執筆中の戯曲に
打ち込む時間もある…とジャックは乗り気。

  

面接でアルマンが言うには…

――半年もの間、ホテルは陸の孤島のように
なるので、アルコール依存の履歴があり、
癇癪で学校をクビになった君のような人は
適任とはいえない。

実際、グレイディという前の管理人はついに
気が狂って家族を惨殺したあげく自殺した――


それでもジャックが採用されたのは、
経営会社の理事になっている資産家の息子、
アル・ショックリーの後ろ盾のおかげ。

かつて酒酔い運転事故を起こして一緒に
逃走したりした、飲み友達のジャックに
アルは恩義を感じていた。


妻ウェンディは大学で優秀だったジャックを
熱愛したものの、その後の夫には悩まされる
ことも多い。

特に息子の彼への愛に嫉妬を感じると、
「お父さん子」だった自分の父が離婚で家を
出ていき、支配的な母のもとで育った不幸な
子供時代がよみがえり、時に自分がその母に
似てきたようにも感じてゾッとする。


情緒は不安定で、離婚を考えることもあるが、
実はジャックの側でも妻に腹を立てて離婚を
切り出そうとしていた時期もある。

それでも性愛に燃え上がる夜もあり、
二人の仲は一進一退。

   

5歳のダニーは両親から「先生(ドック)」
と呼ばれるほど聡明だが、過敏でもあって、
彼に変調が訪れるのは、両親が互いに口には
しないまま離婚を考えているなど危機的な時。

「リコンするの?」などと言いだすので
親は驚くが、それは人の心を見通したり
未来を予知したりする特殊な能力を
もっていたから。

時折出現してダニーに話しかける少年
「トニ-」(ダニーの別人格)は、
ホテルへは「行っちゃいけない」と言う。

ジャックを視点人物として
開始されたこの小説は、やがて
視点をウェンディやダニーに
リレーし、またジャックに戻す
という”たらい回し”のような
方式で物語が進んでいきます。

展開がスローになる原因の一つ
ですが、三者三様の世界の見え方、
その食い違いなどが見えることで
小説は奥行きを増していきます。


第二部 ホテルへ

10月のホテル閉鎖の当日、トランス一家が
《景観荘》に到着。

去り際に仕事内容を説明してくれた営繕係の
ワトソンによると、もともそホテルの創立者は
ワトソン家で現オーナーのダーウェントは
金力でこれを奪ったようなもの。

支配人のアルマンもしみったれた野郎で、
老化したボイラーを交換しないから、毎日、
圧力調節しないと爆発の危険があると説明、


食糧の保管場所などについて説明してくれた
黒人の料理人ディック・ハローランは
ダニーの特殊な能力に気づく。

庭に連れ出して二人きりになって試してから、
それは“シャイニング”(輝き)と呼ばれるもので、
自分と祖母も持っていたが、お前さんのは
ずっと強力だと告げる。

ダニーはディックに自分の能力を自覚し、
この時からディックと心での通信を始める。

      

ホテルの217号室から出ている凶悪な霊気に
ついてダニーが尋ねると、ディックは
そこには絶対に近づくなと警告。

この「217号室」が
キューブリック映画では
「237号室」になりますが、
変更の理由は不明。

それでも何か起こるかも知れないと予感した
ディックはダニーに、何か困ったことが
あったら心で自分を呼ぶようにと告げ、
マイアミへと去って行く。

この時点からディックが第4の
視点人物となって、視点の
リレー(たらい回し)は
さらに錯綜していきます。


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第三部 すずめばちの巣

屋根の修理をしていてスズメバチに
刺されたジャックは、巣ごと殺虫剤を
噴霧してハチを皆殺しにしてから、
巣をダニーに見せようと室内に持ち込む。

意外にも生き残っていたハチに刺され、
ダニーは放心状態になるなど、
精神に異常を来す。

  

翌日、ダニーを病院へ運んで刺し傷を
治療させた両親は、心の問題についても
医者に見せることにする。

エドマンズ医師の催眠的な療法で心を
開いたダニーには、「トニー」の声と
パパ(ジャック)の父親がパパに怒鳴る
声とが重なって聞こえる。

(出てこい)
(この非人間的な場所は)
(出てきてお仕置きを受けるんだ!)
(人間を怪物にする)


妻と子がハイキングに出かけた日、ジャックは
地下室に《オーバールック》の創立以来の
記録文書を束ねたスクラップブックを見つける。

創業者である富豪ダーウェントの犯罪的な
所業などがわかり、ホテルの歴史を小説化
したいという野心も芽生える。


アルマンに電話してその内容について
問い合わせ、「《オーバールック》について
本を書く計画を持ってる」と告げる。

やがてアルから電話が入り、「どぶさらいの
ようなことをやって」小説を売って儲けよう
なんて「むかむかするぜ」と罵倒される。

心臓のまわりでは、憤怒の石炭が
赤く燃えあがりはじめていた。

最初はアルマン、つぎはウェンディ、
そして今はアルだ。

いったいなんだってんだ、これは?

“全国ジャック・トランスを
いびりましょう週間”か?


烈しい怒りで脳血管が脈打つように
感じたジャックはやがて精神に変調を
来たし、児童遊園の生け垣のウサギなど
動物型に刈り込まれた樹が、生きた
動物さながら動きだすように見える。

    

ダニーが217号室へ来ると「約束は
破られるためにあるのだよ」という
声が聞こえ、彼は中へ入っていく。

浴室のドアを開けると、水を張った
浴槽で女の死体がにやにや笑って
起き上がろうとする。

絶叫したダニーは室外へ逃走しようと
するが、ドアは閉まっている。



第四部 雪ごもり

動物型の樹が動き出すという幻覚は
「神経衰弱」のせいだ、アルとの間が
どうなろうと「意地ででもあの本を書いて
やるぞ」と考えるジャックは、やがて
死んだ父のことを思いだす。


大兵肥満の粗暴な男で、二人の兄と姉は
みな彼を嫌い、母も「たんにカトリック教徒
としてのたしなみから我慢している」だけ
だったが、ジャックは7歳ごろまで父を
「無批判に、そして強烈に愛していた」。

が、その愛も9歳の時、父が母を杖で
殴打して重症を負わしてから
「しこり」に変わった。


ラジオからも父の声が聞こえる。

――殺せ。

あいつを殺すんだ、ジャッキー。

それからあの女も。

なぜなら、真の芸術家は堪えねば
ならんものだからだ。

どんな男も、それぞれ愛する
ものを殺さねばならん。
〔中略〕
杖で思いきりぶったた叩いて、
半殺しにしてやれ。

ダニーの悲鳴を聞きつけた両親は
探したあげく、首を腫れ上がらせた
ダニーを見つける。

ジャックがふれようとすると、
「さわらないでよ」とウェンディが
鋭く言う。

「二度とこの子に手をかけたら
殺してやるから。このひとでなし!」


加害者はジャック以外にないと思い
込んだのだが、気がついたダニーは
おおパパ、パパ、彼女だったよ!

「ウェンディ、きみはこの子になにを
したんだ?」とジャックは問い、
ウェンディは顔面蒼白になる。

このあたりから特に
ネタバレ注意】!

小説は映画とかなり異なる
筋道をたどって、ジャックの
いないエンディングへと
進んで行きます。

具体的な違いは後で表に
まとめていますので
ご参照ください。

やがてダニーの説明から「彼女」は
ウェンディでなく217号室の死体だと
わかり、ジャックはそこを調べる。

   

浴槽は空で、完全に乾いていたが、
「シャワー・カーテンの奥には
なにかがい」ると思えた。

やがて雪で下界との交通・通信は遮断され、
それと並行して怪異現象はいや増してゆく。

管理人も辞職してこの呪われたホテルから
脱出すべきだとウェンディは主張するが、
小説に執着するジャックはこれを拒否して
激しく口論。

ウェンディへの殺意さえ強く意識しはじめた
ジャックは、下界との唯一の交通手段である
スノウモービルも使えなくしてしまう。

        

ダニーは《オーバールック》全体の邪悪な
霊気のようなものの攻撃を受けていたが、
それも強度を増し、「トニー」との交信も
妨害される。

追いつめられたダニーは助けを求め、
マイアミのディックに強烈な
“シャイニング”を向ける。



第五部 生死の問題

ダニーの呼び出しに気づいたディックは
急遽、空路でコロラドへ。

ここから小説は、一刻も早く
《オーバールック》へ戻ろうと
するディックの道中のトラブルと、
ホテルでのジャックらの、現実と
幻覚の交錯するドラマとが交互に
置かれる形で進行します。

いろんな事情でディックの到着が
遅れることでサスペンスが
極大化し、これが読者への
ジラしにもなります。

(幻覚に入り込んだ)ジャックは大広間で
盛大に催されている1920年代風の仮面舞踏会に
入り込んで美酒を味わい、ダーウェントや
「217号室でダニーの首を絞めようとした」
にちがいないと思える女に会う。

      

ウェイター役を務めているグレイディ
(自殺した前管理人)とも遭遇。

彼の話では…

――こうしてさらに豊かになろうとしている
《オーバールック》に敵対しているのが
「すぐれた才能」をもつ息子さんのダニーで、
彼はここへ第三者(ディック)を呼び込んで
抵抗しようとしている。

あなたは「生まれついての学者」だから
将来は《オーバールック》組織のトップに
上りつめることもできる。

が、それはダニーの「わがまま」を処理
する「その決断いかんにかかっている」――

   

幻覚に入り込んで「グレイディ」がどうのと
言っているジャックを見たウェンディは
自分たちも殺されると思い、包丁を
手にして身がまえる。

それでもジャックにつかまって倒され、
首を絞められて気が遠くなったものの、
転がっていたワインボトルに最後の気力で
手をのばし、ジャックの脳天を痛打。

気絶したジャックをダニーと二人で
引きずって食料室に閉じ込める。


気づいたジャックは「ここから出せ」と
口汚く怒鳴り、怯えてうなるダニーに
ウェンディは平静に諭す。

「いましゃべってるのは、あんたの
パパじゃないのよ、ホテルなの」

食料室のジャックの前にグレイディが現れ、
ジャックは、あんたらの希望通り「倅を
ひきわたす」、必要なら妻も殺す…という
誓約と引きかえに外へ出してもらう。


木槌を携えたジャックが現れ、
ウェンディは腹に一撃を食らって
肋骨が折れ、その場に倒れる。

 

倒れるウェンディに接触して木槌を落とし、
それを拾おうとジャックがかがんだところを
ウェンディは包丁で背中を刺す。


まだ息のあるジャックはダニーに
いっしょに行こうという誘うが、ダニーは
「おまえはパパなんかじゃない」と振り切る。

ウェンディとダニーはディックが運転して来た
スノウモービルに乗り込んで脱出。


ジャックがチェックを怠っていたボイラーが
爆発を起こし、ホテルは大火災で壊滅。


その後就職したメイン州のレストランで
ウェンディとダニーの訪問を受けた
ディックは、父の死に涙するダニーを
励まし、前を見るように諭す。




🌞 キューブリック映画はどう違うか

さあ、いかがでした?

キューブリック映画をすでに見た人なら、
大きな違いに驚かれたことでしょう。

そして原作者キングが不平を鳴らした
ワケもなんとなくわかっていただけた
のではないでしょうか。


違いを細かく見ていくとキリがないんですが、
両作品をじっくり鑑賞した人なら誰でも
気づきそうな大きなポイントをいくつか
並べて表にすると、こんな感じになります。

テーマ/モチーフetc. キューブリック映画 キング原作
ジャックの前歴(高校失職やホテル就職の後援者、アルとの関係) 言及なし 詳細に語られる
夫婦の歴史 言及なし 結婚前から詳述
夫婦の現在の葛藤・性関係 入り込まない 性描写を含め精細に描かれる
夫婦各自の親との関係 言及なし 現在の病的な心理を深いところで規定する問題として詳述
217(237)号室の双子の女児 亡霊のように登場 登場なし
217(237)号室浴槽の裸女とジャックの接吻 エロティックかつ戦慄の場面 なし
ジャックの死に様
(特にネタバレ注意
雪深いホテルの庭の迷路でダニーを追いきれず凍死 妻に刺され、置き去りにされたホテルの爆発で焼死

この表をザっと見ただけでお気づきですね?

キューブリック監督の芸術家魂はホラー(恐怖)
の映像表現というところに凝縮していて、
人物の心理の掘り下げのような部分には
入り込まないと決めているんですね。

ですから、「エンジンのない高級車だ」という
キングの批判も別にこたえなかったでしょう。

「エンジン」つまり心理を動かす深い部分まで
搭載した映画にしようとしたら、たぶん
「高級車」には仕上がらなかったでしょうしね。

   

実際、リメイクの『シャイニング』(M・
ギャリス監督,1997)はなるほど原作に忠実に
主人公夫妻の心理問題も描いていく映画ですが、
お互いの親の問題まで掘り下げるには
至っていません。

3時間以上の長尺でも、心理ドラマとしては
中途半端になってしまうので、「やっぱり
無理かな」とキング御大も悟られたのでは
ないでしょうか。


そこを(たぶん)はじめから見抜いていた
キューブリックの慧眼は、主演にジャック・
ニコルソンを据えたところにも光っています。

これも、キングが推したジョン・ヴォイトを
退けての起用だったとのことで、この時点で
両者の思い描きが大きくズレていたことが
想像できますね。


そのジャック・ニコルソンの怪演を
予告編でチラ見してください。



なおこの作品に「世界最高のホラー
映画」のお墨付きを与えたのは英国の
王立ロンドン大学(Imperial College
London, ICL)の研究グループ。

独自に考案された公式に当てはめて
数学的にはじき出した結果との由。

詳しくはこちらを。👉 x51.org


また「エンジンのない高級車」云々の
キングのキューブリック批判について
詳しくはこちら。

👉 総合文学WEB情報誌 文学金魚


ともかく全編を鑑賞しようという
方はこちらでどうぞ。
  👇



🌞 まとめ

さあ、いかがでした?

同じく『シャイニング』と名のっていても
スティーヴン・キングの原作小説と
キューブリックの映画とは別の
芸術品と見た方がよさそうですね。

とにかくどちらもそれぞれに傑作。


キングはキューブリックの映画を認めていない
とはいえ、人間の奥底に潜む邪悪なものに
徹底的な表現を与えようとする芸術家魂において
通じ合っていることは明らかでしょう。

それぞれに一見/一読の価値アリ!
と断言できますよ~Y(😻)Y。

キング作品については
こちらの記事もご参照ください。

キャリーのネタバレ👻スーの思いは?映画(1976)も怖いが原作はもっと…

ミザリーのネタバレ📢)))原作は映画の10倍も怖いゾォ~~~👻
            
  

またキューブリックのもう一つの
傑作が『時計じかけのオレンジ』。

こちらもご参照を。

時計じかけのオレンジ(小説)のあらすじ 原作は映画とどう違う?

このほかキング作品を早く安く
手に入れたいという場合はこちらから
探してみてください。

叫びスティーヴン・キングの本:ラインナップ叫び



当ブログではこのほか、日本と
世界の種々の文学作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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