君たちはどう生きるか(原作)のあらすじ おじさんのノート解説


サクラさん
宮崎駿監督の新作映画
『君たちはどう生きるか』
…公開が待ちきれません。

ハンサム 教授
引退宣言を撤回して取り
かかられたんですから、
これだけはどうしても
伝えておきたいという
メッセージがあるのかな。

サクラさん
それはどんな?…

ハンサム 教授
いやまだわかりません
けど;^^💦

   

原作は戦前からよく読まれた
本で、哲学的な論説のような
部分もありますが、校内
暴力やイジメ、登校拒否
などが主筋になるところで
現代に通じますね。

サクラさん
あ~、それならぜひ
原作も読んでおきたい
ですね~(😻)


スポンサーリンク



というわけで、おなじみ”あらすじ”暴露
サービスの第148弾(”感想文の書き方”
シリーズとしては第221回)は制作中の
宮崎駿映画『君たちはどう生きるか』の
原作、吉野源三郎の同名小説(児童文学)
(1932)で行ってみま~す((((((ノ゚⊿゚)ノ

👇下右(スマホでは下)はそのマンガ化。

       



一度は(いや、二度以上かな?)引退を
表明された宮崎監督が「やっぱり撮る。
次はこれだ」と宣言されたのが2017年10月。

おかげで上記のマンガ化作品は
たちまち30万部以上のバカ売れとか。

でも宮崎さんが若き日に感銘を受けたのは
もちろんマンガではなく原作の方ですから、
その内容をしっかり押さえて行こう
というわけです。



🐥 かなり詳しいあらすじ

さてこの『君たちはどう生きるか』ですが、
やや変則的な小説で、「一」~「十」の
全10章構成のうち7章の章末に「おじさんの
ノート」という、高度に知的な文章が
つけられているんですね。

それがまたけっこう長い場合が多く、
へたをするとストーリー部分より長いん
じゃないかと思えるほど。

    

まあこの「おじさん」が作者(吉野源三郎)
の意見や知識をかなり直接に伝えているように
読めますので、作品の主張なりメッセージ
なりは明快ですね。

その「おじさんのノート」の内容をすべて
見ていくことはできないので、どうしても
つまみ食いになりますが、「名言」といえる
言葉も含む吉野思想の核心になんとか
切り込んでいきたいと思います。


引用のあとで、【CHECK!】印の注釈を入れて
解説を補足していますが、うるさいと
思う人は飛ばしてかまいません。

これらの「ノート」のほか、「”」印の
グレーの囲み、また本文中の「 」内は
上記の文庫本からの引用です。

それらを含め、ここでは10章を「起承転結」に
4分割し、もちろんネタバレありで話を
バラシていきますので、結末を知りたくない
という人は読まないでくださいね;^^💦



【起】(一~三)

コペル君こと本田潤一は、体は小さいが、
敏捷でスポーツもでき、成績も優秀な
中学(旧制)2年生。

大銀行の重役だった父を2年前に亡くし、
今は母と二人暮らしだが、近くに住む
若い法学士の叔父さん(母の弟)が
よく家に来て相手になってくれている。


「コペル君」というあだ名も
この叔父さんがつけたもの。

二人でデパートの屋上に上ったとき、
地上を見下ろしたコペル君が人々を
「分子」にたとえたことから、天動説
から地動説へのコペルニクスの「転回」を
連想し、この発想を大事にしてほしい
との思いをこめたのだった。

    

コペル君の親友は資産家の子で優美な
水谷君と、軍人の子で頑固なので
「ガッチン」とあだ名される北見君。


富裕な家庭の子がほとんどのこの中学校で、
例外的に貧しい豆腐屋の子、浦川君は、
運動も勉強も(漢文以外)できないので、
仲間はずれにされたり、からかわれたり。

弁当のおかずがいつも油揚(あぶらげ)
だけなので、山口をボスとする仲間は
彼に「アブラゲ」というあだ名をつけて
からかうが、義憤にかられた北見君が
山口に飛びかかってケンカになる。

📓 おじさんのノート

本当に人間らしい関係とは?

―君のお母さんは、君のために
何かしても、その報酬を
欲しがりはしないね。

君のためにつくしているという
ことが、そのままお母さんの
喜びだ。
〔中略〕
人間が人間同志、お互いに、
行為をつくし、それを喜びと
しているほど美しいことは
ほかにありはしない。

「人間らしい」ということの
定義として、無償の愛―相手に
尽くすことがそのまま喜びと
なる状態―という考え方が
示されました。

この考えが吉野哲学の底流に
あるといえそうです。



【承】(四~五)

12月のはじめ、浦川君が二、三日
学校を休んだので、コペル君は
病気かと思い家を訪ねてみる。

その豆腐屋で油揚を揚げている
浦川君に出会ってびっくり。

病気になったのは彼ではなく店の者で、
父も金策に出ていて、人手が足りない
せいで学校を休んだのだった。


浦川君はコペル君に家庭の秘密を
打ち明け、二人は「誰にもいわない」
という指切りの約束をする。

📓 おじさんのノート

自分が消費するものよりも、
もっと多くのものを生産して
世の中に送り出している人と、
何も生産しないで、ただ消費
ばかりしている人間と、どっちが
立派な人間か、どっちが大切な
人間か、―こう尋ねてみたら、
それは問題にならないじゃあないか。
〔中略〕
生み出す働きこそ、人間を人間
らしくしてくれるのだ。

「生産者」は「消費者」より
立派で大切だという思想が
明快に打ち出されています。

「消費」の軽視は現代では
あまり受けない考え方ですが、
ともかく、著者の「左」寄りの
立場が示されたといえますね。


正月の5日、水谷君の招待を受けた
コペル君、北見君、浦川君の3人は高輪の
大きな洋館を訪問し、姉のかつ子さんを
加えた5人で楽しく遊び、話す。

ナポレオンの「英雄的精神」をたたえる
かつ子さんは「こういう精神に貫かれて
死んでいく方が、のらくら生きているより、
ずっと、ずっと立派なことだ」と力説する。

    

話題が変わって北見君が言うには、
柔道部の上級生が、「校風」にそむく
「非国民の卵」のような下級生に一斉に
制裁を加えることにしたという噂があり、
その対象に山口と自分も入っているという。


浦川君が、もし現実に北見君が殴られる
ことになったら僕たちも同行しようと提案。

「いっしょに殴れっていってやるのさ」と。

「偉いわ!」「それが英雄的精神よ」
とかつ子さんは大いにほめ、北見君は
辞退するものの、水谷君とコペル君が
うなずいて4人の約束が成立する。

📓 おじさんのノート

英雄とか偉人とかいわれている
人の中で、本当に尊敬が出来るのは、
人類の進歩に役立った人だけだ。
〔中略〕
世間には、悪い人ではないが、
弱いばかりに、自分にも他人にも
余計な不幸を招いている人が
決して少なくない。

人類の進歩と結びつかない英雄的
精神も空しいが、英雄的気魄
(きはく)を欠いた善良さも、
同じように空しいことが多いのだ。

左派である著者にして
「英雄的精神」「英雄的気魄」
をダイレクトに称揚する
あたりにも戦前という時代が
反映しているのでしょう。

戦後の吉野さんなら、こういう
書き方はされなかったのでは?


スポンサーリンク




【転】(六~七)

二月も終わり近く、コペル君、北見君、
水谷君は雪の積もった運動場に出て、
雪弾丸の投げっこ遊びを始める。

すばやいコペル君が追撃を逃れて
自分の陣地まで逃走し、振り返ると、
北見君と水谷君が五、六人の
上級生に囲まれている。


中心は柔道部の黒川で、彼らの作った
雪人形を損傷したと因縁をつけ、
「あやまれ!」と迫っている。

   

「服従するか」の問いに北見君が
「いやです!」と答えると、黒川の
子分格の横禿(よこはげ)が彼を
殴ろうとする。

そこへ浦川君が現れて横禿に何か言おう
とするが、横禿はかまわず北見君を殴打。

コペル君は飛び出すなら今だと思う
ものの、全身がふるえて踏ん切りが
つかない。


黒川はまわりに立っている下級生に
「北見の仲間はみんな出て来いッ」と
恐ろしい声を出す。

コペル君が怖じ気づいているうちに、
「やっちゃえ」という叫びが上がり、
倒れた北見君とそれに寄り添う水谷君と
浦川君に雪弾丸の集中砲火が浴びせられる。


それでもコペル君は動けず、始業の
鐘が鳴ってみんな引き上げ、残された
3人は「くやしい!」とむせび泣く。

ひとり青ざめて、しょんぼりと
立つコペル君は…

そうです。コペル君は暗い
暗い世界に落ち込んで
しまっていました。

 卑怯者
  卑怯者
   卑怯者

聞くまいとしても聞こえて
来るのはこの無言の声です。


「殴られるならいっしょに」という
あの「固い約束」を破ってしまった
のだから…。


体を寄せ合って校舎の方へ引き上げる
3人を見送るコペル君。

目が合った浦川君は「憐れみの目」を
投げただけで無言で去り、コペル君には
「今までに味わったことのない苦しい、
熱い涙が眼にあふれ」3人の姿もかすむ。


その晩、感冒にかかったコペル君は
翌日から学校も休んで、苦しい思いを
抱えつづける。

   

やがて病気も快方に向かってから
叔父に「学校にゆきたくないんだ」
と悩みを打ち明ける。

叔父は、手紙で北見君にあやまって
しまえばいいと助言し、コぺル君は
手紙を書いて出す。

📓 おじさんのノート

人間は、自分自身をあわれなものだと
認めることによってその偉大さが
あらわれるほど、それほど偉大である。
〔中略〕
苦しみの中でも、一番深く僕たちの
心に突き入り、僕たちの眼から
一番つらい涙をしぼり出すものは、
自分がとりかえしのつかない過ちを
犯してしまったという意識だ。
〔中略〕
「誤りは真理に対して、ちょうど
睡眠が目醒(めざ)めに対する
のと、同じ関係にある。〔中略〕」

これはゲーテの言葉だ。

「自分が無知であることを
知っている」というソクラテスの
アイロニーに倫理的な色づけを
ほどこしたとでもいうか…

ともかく「あわれさ」の自覚こそ
偉大で、これも「人間らしい」のだ
という独自の哲学が表明されています。




【結】(八~十)

学校を休んで2週間、手紙を出して
3日がすぎた日にに、北見君、水谷君、
浦川君が見舞いに来る。

「あんなこと、君、いいんだよ。
僕たち、なんとも思ってやしないよ」
という彼らの言葉にコペル君は
救われる。


それより「見舞いの手紙もあげないで
すまないと思ってたんだ」と浦川君。

それは今回の事件でそれぞれの家族が
憤慨し、学校に談判して大騒ぎに
なっていたから…

黒川と横禿は停学3日、ほかの仲間は
みな「譴責」処分を受けたという。


水谷君は姉のかつ子からの手紙をわたすが、
それにはあなたの手紙を読ませてもらい、
「こんな良心的な方」を友にもって
弟は幸せだと思った…などとある。


春休み、叔父さんから「改めて読んで
みたまえ」と例のノート(📓)を
わたされたコペル君は、母が買って
おいてくれた大きなノートに、今度は
自分の感想を書いていこうとする。

📓 コペル君のノート

僕は、消費専門家で、なに一つ
生産していません。
〔中略〕
しかし、僕は、いい人間に
なることは出来ます。

自分がいい人間になって、
いい人間を一人この世の中に
生み出すことは、僕にも
出来るのです。
〔中略〕
僕は、すべての人がおたがいに
よい友だちであるような、
そういう世の中が来なければ
いけないと思います。
〔中略〕
そして僕は、それに役立つような
人間になりたいと思います。

            




🐥 宮崎駿と吉野源三郎をつなぐ漱石

さあ、いかがでした?

感想文や批評文、レポートなどを書こう
という場合もそう難しくないでしょう。

上記「あらすじ」中の特に「おじさんの
ノート」やラストの「コぺル君のノート」を
読み返せば、そこに作者の言いたいことは
はっきりしていますから、それを押さえた
上で自分の意見を書いていけばいいんですよ。


メッセージがわかりにくい場合は
【CHECK!】での解説もよく読んで…

…それでもダメだったら、これはやはり
本を買って(借りてもいいですけど)
全文を読むしかないですね;^^💦

    

ん? たんなる感想では物足りないので
そこにもう少し色をつけたい?

それなら、たとえば宮崎駿さんの夏目漱石
愛読というトピックにふれてもいいかも
しれません。

宮崎さんは漱石の『草枕』が大好きで、
何度読んだかわからないほど。

でも『こころ』などは「つらくて」苦手…
というふうにおっしゃってるんですね。

👉 朝日新聞digital


宮崎駿とその作品、それから
漱石との意外な関係については
こちらもご参照ください。

方丈記 冒頭を英語にすると❔ゆく河の流れを漱石はどう訳したか

風立ちぬ(堀辰雄)のあらすじ 🐥小説はジブリ映画とどう違う?

    
    クロード・モネ『散歩,日傘をさす女』

ところで原作者の吉野源三郎(1899-1981)
は、岩波書店の功労者で、総合雑誌『世界』
の初代編集長であり「岩波少年文庫」の
創設に尽力した人でもありました。

その岩波書店の歴史をたどると初代社長の
岩波茂雄が漱石の弟子の一人でもあって、
『こころ』の出版を請け負わせてもらう
ことで岩波書店を軌道に乗せたという
経緯がありました。

現在も岩波版『漱石全集』の装丁は
『こころ』初版のデザインを使用して
いますが、この歴史を大事にするという
意味も込められているのでしょう。


ともかく漱石門の落とし子でもあった
岩波書店は、その後の日本のリベラルな
教養主義・進歩主義の思潮をリードする
存在になったわけで、そこにおいて大きな
役割を果たされたのが吉野さんなんですね。

漱石の『草枕』や『こころ』を
めぐってはこちらもどうぞ。

夏目漱石 草枕のあらすじ 感想文に向けて内容を解説

夏目漱石 草枕♨冒頭の名言を意味付きで解説「智に働けば…」

       

夏目漱石 こころのあらすじ 💙簡単/詳しくの2段階で解説

夏目漱石 こころの感想文どう書く?【800字/400字例文つき】



🐥 まとめ

さあ、これでもうバッチリでしょう。

読書感想文やレポートだろうが、
エッセイだろうが…。


ん? でも具体的にどう書いていって
いいか、方法がわからない( ̄ヘ ̄)?

その場合は「感想文の書き方」記事の
どれかを見て参考にしてくださいね。

当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

      

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


スポンサーリンク
(Visited 74 times, 5 visits today)

合わせて読みたい関連記事


コメントを残す

サブコンテンツ

このページの先頭へ