悪意(東野圭吾)のネタバレ ここまでやるか!の叙述トリック連鎖

サクラさん
“語る”というのは本来は
事実を伝えるための行為。

でもむしろ”隠す”ために
語るような場合も
ありますよね。

ハンサム 教授
ええ。東野圭吾さんの
『悪意』なんかまさにそう
いう”トーサク”をとことん
追求した小説ですね。

サクラさん
ほほ~”盗作”ですか?

ハンサム 教授
いえ、”倒錯”です。

通常の生き方の裏返しを
楽しむといいますか…

いや、実際”盗作”の話
でもあるんですが;^^💦

サクラさん
❔ なんだかワケわかん
なくなってきました。

裏返し…ですか?(🙀)

ハンサム 教授
容疑者のもっともらしい
物語が名探偵によって
次々に裏返されていく…

       

どんでん返しの連続ですね。

サクラさん
ほほ~これは読まない
手はありませんね(😻)


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というわけで、おなじみ「あらすじ」
暴露サービスの第156弾(“感想文の
書き方”シリーズ第194回)は 2001年に
NHKでドラマ化もされた東野圭吾さんの
異色作『悪意』(1996)で行ってみます!



述べていきます「あらすじ」はもちろん
完全ネタバレありになりますので、
「すべてを知りたくはない」という人は
最後までは読まないようにして
くださいね;^^💦



物語が変容していく世界

さてこの小説、ミステリー(推理小説)
にはちがいないんですが、ハンサム教授も
ご指摘の通り、異色の構成をもつ
途方もない野心作。

そのことは目次を開いて見ただけで
一目瞭然ですので、まず目次がどう
なっているかをご覧ください。

   目次
  • 事件の章 野々口修による手記
  • 疑惑の章 加賀恭一郎の記録
  • 解決の章 野々口修による手記
  • 追及の章 加賀恭一郎の独白
  • 告白の章 野々口修による手記
  • 過去の章 その一 加賀恭一郎の記録
  • 過去の章 その二 彼等を知る者たちの話
  • 過去の章 その三 加賀恭一郎の回想
  • 真実の章 加賀恭一郎による解明

「野々口修による手記」が3つあって、
そのあとに一回一回「加賀恭一郎の○○」
が続くという構成ですね。

実はこれ、野々口容疑者の”物語”に
加賀刑事が反証や突っ込みをいれることで
疑者の”物語”が変容していく…それによって
真実に近づいているかと言えば…❔❔❔

という世界なんですね。


NHKドラマでは野々口役が佐々木蔵之介さんで
加賀恭一郎にあたる刑事(名前は違う)が
間寛平さんという、あっと驚くキャスティング。

“浪速のコロンボ”という触れ込みで
売り出そうとしたようですが、その後
聞かないところをみると1回きりで
ポシャったのかな?


とかく”コロンボ”ばりの切れる刑事が
野々口の”物語”を解体していくところに
『悪意』のスリルとサスペンスは異常な
盛り上がりを見せます。

これをしっかり味わっていただくために
「あらすじ」もできるだけ構成を壊さない
よう、各章ごとにまとめていきますね。

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かなり詳しいあらすじ

では始めましょう。

「 」内は原文(上記文庫本)
からの引用です。


【事件の章 野々口修による手記】

4月16日の午後、中学教師で児童文学
作家でもある私(野々口)は、カナダへの
移住を2日後に控える友人の人気作家、
日高邦彦の邸宅を訪ねた。

見知らぬ女が庭に入り込んでいたことを
日高に告げると、あれは猫を探して
いるんだが、その猫は毒ダンゴを
仕込んで「俺が殺したんだ」と笑った。

  

編集者からの原稿催促の電話に日高が
「今夜中にはなんとか」と答えたところへ
『禁猟地』という小説のモデル問題で
賠償金を要求している藤尾美弥子が来訪。

私は、日高の結婚後まだ1か月の
理恵さんに見送られて日高家を辞去。

    
帰宅すると予定通り童子社の大島君が来て、
原稿を読んでもらっていると、6時過ぎに
日高から電話が入り、相談があるので
8時に来てほしいとのこと。

8時ちょうどに到着したものの、邸宅は
真っ暗でインターホンにも応答がない。

ホテルにいる理恵さんに電話すると、
40分ぐらいで戻って来るという。

近くの喫茶店でマスターと30分ほど
話して時間をつぶし、現れた理恵さんと
一緒に家に入ると、日高の死体が…(ドクロ)


駆けつけた捜査員の加賀恭一郎刑事が
かつて自分のいた中学校の新任教諭
だという奇遇に驚く。

   

操作後の加賀が私に説明したところでは、

  • 日高は文鎮で後頭部を殴られた上に
    電話のコードで首を絞められていた。

  • 死亡直前まで連載中の小説
    『氷の扉』を打ち込んでおり、
    その分量は400字×27枚にも
    及んでいた。
帰宅してからこの日の体験を記録して
おこうと思い立ち、書き始めたのが
この手記だ。


翌日はテレビなどの取材攻勢にあい、
日高には「結構冷酷なところもあって」
などとも口にし、夕方には加賀と同僚の
牧村刑事とが来、レストランで食事しながら
事情聴取を受けた。

レストランを出て歩きながら、手記のことを
告げると、ぜひ見せてほしいというので、
マンションへ戻ってプリントアウトして
渡しながら、「日高が猫を殺した件」も話す。


二日後、葬式で藤尾美弥子と話して日高を
かばう形になり、帰宅するとまた加賀に
呼び出されて話す。

日高殺害の「動機がある人間」として
藤尾を挙げ、殺害の可能性について
自分の推理を加賀に話す。

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【疑惑の章 加賀恭一郎の記録】

犯人は日高邸への訪問者であり、いったん
辞去した後に、窓から侵入して犯行に
及んでいる。

訪問者は藤尾美弥子と野々口修のみで、
藤尾のアリバイは完璧だが、野々口は
どうか。

彼の手記は整然としており、もし彼が
犯人ならば記録などしないはずだし、
ましてやそれを我々に進んで見せる
などありえない…

誰でもそう考える。

だが、あるいはそここそ野々口の狙いが
潜んでいて、自分への嫌疑が避けられない
ことを見越した上での手の込んだ工作…
という可能性もあるのではないか。

   

たとえば6時過ぎに日高から電話が
あったというが、それが日高からの
だったと証明する材料は何もないのだ。



【解決の章 野々口修による手記】

本日(4月21日)のこの1時間ほどの
経験を加賀刑事の許可を得て書く。

午前10時に加賀刑事が令状を持って
来訪し、日高殺しの証拠探しのため
家宅捜索するという。

私への嫌疑の理由として加賀が
挙げたのは以下の諸点。

  • 6時過ぎの電話は日高からの
    ものと証明できない。

  • 日高の灰皿に残っていた吸い殻は
    私といた時の1本のみ(彼の習慣
    からして考えにくい)。

  • 私が退去する際に理恵夫人が
    門の外まで見送ったと手記には
    書かれているが、夫人は玄関で
    別れたと証言。

  • 私が退去する際に理恵夫人が
    門の外まで見送ったと手記には
    書かれているが、夫人は玄関で
    別れたと証言。

  • 『氷の扉』の原稿は私が書き、
    持参していたフロッピーディスク
    から日高のパソコンに入力。
  
     

つまりこの時、私は玄関からただちに
窓の方へ回って犯行に及び、原稿の
入力など一連のアリバイ工作を
開始した…

ゆえに『氷の扉』の原稿データが
見つかれば、証拠になるので
逮捕するというのだ。


私は加賀の推理に感服し、「絶望しつつ、
その反面で自分が安堵しているのも感じ」
つつ逮捕を受け入れた。



【追及の章 加賀恭一郎の告白】

容疑事実をすべて認めた野々口は
4日後もその「動機」を語らない。

彼の部屋からは厚めの大学ノート8冊、
原稿用紙を綴じたもの一冊のほか、
フロッピーディスク8枚が押収されたが、
そこには『氷の扉』の既発表分すべて
の原稿(細部に変更部分はある)が
入力されていた。

これにより私は「野々口修は日高邦彦の
ゴーストライターだった」という自分の
仮説に自信をもつが、野々口はこれを
否定し、押し黙る。

    

やがて野々口は「癌の再発」で入院し、
余命いくばくもないとという自覚が
本人にもあると判明。

また部屋から発見された写真、エプロン、
ネックレス、旅行申込書などから、
5年前に交通事故で死亡した日高の前妻、
初美と野々口との不倫関係が浮かび上る。

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【告白の章 野々口修による手記】

加賀刑事が病室に持参した証拠品――
ナイフとビデオテープ――により抵抗を
あきらめた私(野々口)は、日高初美の
名誉のために「告白文」(下記)を
書きたいと申し出て了承された。


日高邦彦と私は小学校時代、作家になる
夢を語り合った仲で、再会したのは
日高が新人賞受賞で名を挙げてから
2年後(今から7年前)のこと。

小学校時代に知っていた花火師のことを
書いた小説『丸い炎』を日高に送り、
読んでくれたところで訪問した。
(この時に初美さんに「一目惚れ」した)

    

『丸い炎』への日高評は「悪くない」が
「魅力に欠ける」といったところで、
彼はこの花火師の話は白紙にして
「別の話を書くこと」をアドバイス。


その後、日高家で初美と二人きりになる
こともあって「私たちの真剣な愛」が
始まったが、彼女はやがて日高が私を
「陥れようとして」いること、私の
作家デビューをむしろ妨げようと
していると告げた。

日高は二人の仲に気づいたらしく、
きっと報復されると初美が怯えるので、
私は初美に迷惑をかけない方法で
「日高を殺す決心」をし計画を練った。

       

12月13日、日高邸に窓から侵入し、
初美が飲ませた睡眠薬で熟睡している
はずの日高をナイフで刺そうとする。

その瞬間、日高が起き上がってナイフを
取り上げ(体力・運動神経とも私は日高の
敵ではない)、「今日のところは見逃して
やる」が、お前の犯行の「証拠」はナイフ
だけではないぞ、と告げる。


やがて出た日高の『燃えない炎』は
私の『丸い炎』作品の完全な盗作。

その後、日高は私の殺人未遂現場を撮影
したビデオテープを見せてから、すでに
枯渇気味の自分に代わって今後も書くこと
(ゴーストライター)を要求し、私は
これを呑むしかなかった。


交通事故死ということになっている
初美の死の実態は自殺である。



【過去の章 その一~三/真実の章】

「起承転結」でいえば「結」に
当たるのが、加賀刑事の側から
語られる最後のこの4章。

前章の野々口の「告白」で
ついに”真相”にたどりつき、
ミステリーが解かれることで
小説も終わったように感じた
読者もおられることでしょう。

ところが実際はそれもまだ”真相”
ではなく、野々口の作り上げた
虚構の”物語”にすぎないのです。

野々口の「過去」を知る人々の
証言を集めることでそのことを
暴露していくのが、この
「過去の章 その一」~「その三」
で、それらに基づいて真の
“真相”が明かされるのが
最終の「真実の章」という
ことになります。


明かされる真相は、かいつまんで
いえばこんなところ。

  • 小学校時代の野々口は
    藤尾正哉(美弥子の兄)の
    イジメの支配下にあった。

    『禁猟地』に描かれた少女
    暴行の手助けもしていたが、
    それが世間に知られることは
    なんとしても避けたかった。


  • 『燃えない炎』に描かれた
    花火師と親しかった少年は
    野々口でなく日高。

    👉日高は盗作もしないし、
    「悪意」のない人だった。


  • 野々口宅にあったノートや
    ディスクのデータはすべて
    急造のもの。

    👉ゴーストライターを
    していた云々は虚構。


  • 日高初美との不倫関係も
    虚構で日高殺害未遂の
    ビデオも自作自演。


  • 日高邸の庭で猫を
    毒殺したのも野々口。
  
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虚々実々の東野ワールド

サクラさん
いや~参りました!

野々口には二度も三度も
騙されてしまいましたよ。

ハンサム 教授
読者を信じさせてしまう
見事な叙述トリックですね。

しかもそれが突き崩されても
また新しいものを繰り出して
だましてしまう;^^💦

サクラさん
さらに”3D”的というか、
トリックのための物証も
しっかり作っておく周到さ。

ハンサム 教授
その執念がどこから来る
のかといえば、それが彼の
奥深い「悪意」…という
ことになるのかな。

サクラさん
でもそれって不当な悪意…
逆恨みの一種じゃ
ないですか。

ハンサム 教授
ええ。そこに”妬み”という
人間心理の最も怖い部分が
絡むんでしょうね…

お~怖(叫び





まとめ

さあ、いかがでした?

天性の物語作者である犯罪者とこれまた
天才的な分析的批評家ともいえる
名探偵との丁々発止、息もつかせぬ展開!

東野文学の一つの頂点を形作る傑作
といってよろしいんじゃないでしょうか。

       


読書感想文やレポートを書くにも
格好の素材となるはずですよ。

やってみようという人はやはり「あらすじ」
だけでは無理なので、本文全体をしっかり
読むことが必要でしょうね。

さらにほかの東野作品にも当たって比較・
対照などしてみると、さらにいい
アイディアも浮かぶかもしれません。

東野圭吾さんのほかの傑作、
『変身』『分身』『手紙』
『プラチナデータ』などと
読み合わせても面白い発見が
あるはずですよ。

こちらを参照してください。

手紙(東野圭吾)のあらすじ:ネタバレ御免で感動を最後まで!

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👌東野圭吾の本:ラインナップ👌

ん? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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