サクラさん
歴女としては無視でき
ない映画『関ケ原』。

面白く鑑賞できましたが、
友人たちはよくわからん
とブーブー言ってます。

ハンサム 教授
私も聞き取れない
セリフがあって困り
ましたが、全体的には
まずまずの出来かな。

サクラさん
三成(岡田准一)と家康
(役所広司)という二大
個性の衝突に、女忍者
初芽(有村架純)と三成と
の恋愛というもう一つの
軸を加えて、映画らしく
仕上げていましたね。

でも初芽のような人、
ほんとにいたんですか?

ハンサム 教授
いやいや;^^💦、司馬
遼太郎さんの原作に
出ますが、その時点で
すでに架空の人物。

サクラさん
なあんだ(😹)…でもまあ
美人女優なしだと
観客動員が難しい
でしょうしね。

ハンサム 教授
ええ。事情は司馬さんの
小説でも似たようなもので、
物語的必然性の薄いお色気
場面を時折挟んでいくのが
司馬流歴史小説のパターン
ですね。

 

その初芽がアクション
豊富な忍者にされた
ところが今風ですね;^^💦

サクラさん
人気俳優の東出昌大
さんが小早川秀秋と
いうのも驚きましたが、
さすがにそんなにひどい
役ではなかったですね。

あれも原作通り?

ハンサム 教授
いやいや;^^💦 そこも
変えているんですが、
こうあちこち変える
のは何のためなのかを
知るためにも、原作を
しっかり押さえておく
必要がありますね。


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というわけで、おなじみ”あらすじ”暴露
サービスの第160弾(“感想文の書き方”
シリーズ第225回)は2017年映画
『関ケ原』の原作。

司馬遼太郎の名作『関ケ原』(1964-66)に
挑戦です((((((ノ゚⊿゚)ノ
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原田真人脚本・監督の映画
(2017年公開)もDVD化ずみです!
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この映画が原作をどう変えているかにも
目配りしながら”あらすじ”を押さえて
行こうというのが今回の狙い。

その前にこちらの動画(映画予告編)を
チラ見しておいていただきましょう。




さて、記事は以下の内容でお届けします。



大まかな流れ(歴史的経緯)

さて、あらすじですが、ごく大雑把な
ことを言えば、豊臣秀吉没後の政権闘争
(天下取り)で徳川家康が勝利を収めるまで。

すなわち天下分け目の「関ケ原」で、
東軍の家康が、石田三成率いる西軍を
降すまでの経緯…ということになります。

もちろんこの勝敗は誰でも知っています
から、戦争の経緯だけ描いても、あまり
面白くはありませんよね。


ここはぐっと深みに降りて、徳川方の勝利
というこの結果が水面下でどのように準備
されていたのかというあたりを読みたい。

その欲求に、三成と家康のみならず
彼らを取り巻く多数の人物の行動・性格・
心理の複雑な絡みをひもとくことで
しっかりと応えてくれたのが司馬版
『関ケ原』だということになるでしょう。


歴史にあまり詳しくない人のために、
この小説で扱われる歴史的経緯を骨子だけ
書きとめておくと、以下のようになります。


  1. 太閤秀吉は、五大老(家康が筆頭)、
    五奉行(三成が主導)らに後継者
    秀頼を支えるよう遺言して
    伏見城で死去。

  2. 秀吉子飼いの武将のうち加藤清正・
    福島正則ら武断派(尾張系/北政所派)と
    三成ら文治派(近江系/淀君派)の
    対立が先鋭化。(背後に家康の策動)

  3. 清正らに接近する家康は私的に
    姻戚関係を作るなど秀吉の遺した
    禁制をあえて破り、四大老・
    五奉行の非難決議を受ける。


  4. 徳川家康


  5. 清正ら七将による三成屋敷襲撃
    事件が発生し、大老家康の裁定により
    三成は奉行職を退いて佐和山城で謹慎。
    (これで実質的に家康の天下)

  6. 三成は会津の大老上杉景勝と
    結び、家康を挑発して北へ進軍
    させた上で、反家康の西国大名を
    糾合した自軍とで挟撃する
    という作戦を構想。

  7. 諸方に交渉して西軍を構成
    するも、動きを読んだ家康側の策動で
    毛利一族(吉川・小早川を含む)・
    島津らの戦意は開戦前すでに曖昧に。

  8. 開戦当初優勢だった西軍も、
    小早川秀秋の東軍加勢などにより
    半日で総崩れし、敗走した三成は
    7日ほど後に捕縛され、引き回しの
    上、斬首される。

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ま、つづめてしまえばこういう話。

歴史はなぜそのように流れたのかを、
三成と家康の強い個性を両輪に、周囲の
多様な人物像を絡めて面白すぎるほど
痛快に解き明かしたのが司馬流『関ケ原』
というわけなんですね。

   

で、原田真人脚本・監督の映画『関ケ原』は
どうかというに、上記の「大まかな流れ
(歴史的経緯)」を踏まえることにおいては
司馬『関ケ原』をほぼ踏襲しています。

ただ全く忠実かといえばそうではなく、
すでにふれたとおり、初芽が実は伊賀もの
忍者で仲間も大勢いるとか、小早川秀秋の
心理が違うとかの変更があるわけですね。


以下ではこの映画の原作とは違う面白みにも
注目して、特にそのような改変部分の
いくつかに光を当てて行きましょう。

「 」内や「”」印の囲みは上記
文庫本(全3巻)からの引用です。



映画での改変① 阿茶の局は忍者だった?

まず、前半の大きな山場。

上記「大まかな流れ(歴史的経緯)」の
4に出てくる「加藤清正ら七将による
三成屋敷襲撃事件」に着目しましょう。

この当時、有力武将の多くは伏見と大坂の
両方に居を構える形になっていたのですが、
七将の来襲があるとの通報を受けた三成は
大坂から伏見に逃走します。

  
  現在の伏見(桃山)城


それ自体は史実に違いないのですが、
伏見へ来てあえて家康の屋敷に身を寄せた
というのは後世の『常山紀談』あたりからの
講談ネタで、事実とは認められません。

でもませんこんな面白い話を、司馬遼太郎が
捨てるわけもありません。

あたかも事実のごとく、しかも小説全体の
要をなす場面(前半のクライマックス)に
仕上げており、映画もそれを踏襲しています。


つまりここで三成を殺してしまうことも
十分に可能であるのにあえて生かしておく。

三成の側でも家康はそう考えるだろうと
踏んであえて屋敷に踏み込む。

さて、この”袋のネズミ”をどうするか…

家康はまず側近の本多正信、井伊直政らに
諮ったうえで、いや、ここで殺しても
天下は転がり込まぬ、今はあえて
「虎を野に放つ」ばくちを打つのだという
深謀遠慮を開陳するのですね。

わしはあの男を刺激して立ち
あがらせるべくずいぶんと
苦心をかさねてきた。

どうやらあの男も立ちあがる
覚悟がついたようだ。

      Samurai_in_gala_costume

家康のこの謀略は映画でも同様ですが、
映画では三成の傲慢さを忍ぶことで鬱屈を
きわめてきた感情が強調されており、これを
表現する役所広司の怪演がスサマジいことに
なっています(一見の価値あり;^^💦)


それはさておき、明確に違うのはこの場に
居あわせる側室で、小説では「お勝」だった
のが、映画では「阿茶の局(つぼね)」に
変えられているんですね。

これにもそれなりのワケがあって、映画では
この阿茶(伊藤歩)は実は「蛇白」といい、
初芽とつながる伊賀もの忍者。


阿茶は史実としてはこの時点ですでに故人
なのですが、なんだか似てるとのことで、
そう名乗るよう家康に言われます。

ところが、さすがは家康、見抜いていたか、
ラストでは家康自身が手にかけて
あわれ、殺害してしまいます。

この映画の”忍者もの”的な味付けに
とっては重要な存在なんですね。

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映画での改変② 小早川秀秋は「阿呆」でない

もう一つ、違いとして目を引くのが
小早川秀秋の扱い。

この人はもともと北政所(秀吉の正室、ねね)
の甥で、豊臣家の養子に取られ、秀吉の
後継者に…と期待されていたものの、大きく
なるにつれ周囲に失望を蔓延させた人物と
見られています。

「これは阿呆ではないか」…と。

   
    小早川秀秋


やがて秀頼が誕生するや、秀秋様を養子に
貰い受けたいと小早川隆景が申し出、
秀吉はこれに二つ返事で応諾するわけです。

小早川隆景のこの思い付きは、長年秀吉に
仕えてきた策士、黒田官兵衛(如水)の
入れ知恵によるものだというのが司馬版の
ストーリーですが、この官兵衛は映画には
出ません(息子の長政は出ますが)。

この官兵衛こそ実は映画で
三成を演じている岡田准一さんが
時代劇づく端緒となったNHK
大河ドラマ『軍師官兵衛』の
主人公。

秀吉第一の側近という地位を
官兵衛から奪う形になったのが
三成で、息子の長政にも
憎まれることになりますので、
岡田さんも因果な役回りというか
皮肉なキャストとなりました。

黒田官兵衛をめぐっては
こちらもご参照ください。

坂口安吾の小説 二流の人は大河ドラマ 軍師官兵衛より面白い

軍師官兵衛のキリスト教入信:ほんとに”二流の人”だった?


ついでに言いますと、三成には
淀君(秀頼の母)との間に
怪しい噂もありました。

このことは映画でも三成自身が
口にしますが、その真偽など
詳細はこちらの記事で
お確かめください。

秀頼の本当の父は?三成は当時不在…では茶々は一体誰と💓?

  Hideyori_Toyotomi
  豊臣秀頼像(京都・養源院所蔵)

ともかくこうして秀秋はやがて小早川家を
率いる身となっていたのですが、小説では
上記の露骨な「阿呆」呼ばわりも示す通り
知能も性格もどうしようもない人物に
終始しています。

これが映画ではなにしろ東出昌大さん
ですから、そんな最低の男ではなく、
「阿呆」と呼ばれることもありません。


この違いも実は映画の脚本が確信犯的に
やっていることなんですね。

映画では前半に朝鮮の役から戻った秀秋が、
家康・三成ら重臣の居並ぶ場で秀吉の前に出、
その働きについて報告・吟味されるという
(小説にない)場面が設定されています。

ここで三成が、秀秋は戦績を挙げるには
挙げたが逃げる敵兵を背後から襲っていた
などと暴露し、「武門」としての行状に
疑問を呈します。

これを受けた秀吉は激怒、秀秋を面罵し
報償も大幅に下げてしまいます。


みな立ち去ってその場でガックリと
している秀秋に取り入るのが家康で、
彼はここで秀秋の心をガッチリと
掴んでしまうんですね。

色々と助言した上に、柳生流の剣の
達人を一人、部下として献上します。

  

つまりこれは、加藤清正・福島正則ら
もともと三成を憎んでいる連中を懐に
抱き込んで豊臣家を分断しようという
家康の戦略の一環。

小説では清正・正則ばかりでなく多くの
武将について家康のやり口が細かく描かれて
いくのですが、2時間の映画にまとめるには
すべてを描くわけにいかないので、これらを
一括する形で「小早川秀秋篭絡」の場面を
設定したということなのでしょう。


ともかくこの時点で家康に大きな借りを
作っているというのが映画版「小早川
秀秋」の小説との決定的な違い。

「三成憎し/家康はいい人」という風に
心の固まった秀秋ですが、毛利一族としての
立場などから形は西軍につかざるをえず、
最後の最後まで迷い悩む…というわけです。

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作り込まれた”役所家康”

さて、上の2つの(小説にない)エピソード
から何が浮かび上がってくるでしょうか。

一つ明らかなのは、家康という人物の
したたかさを小説以上に強烈に描きだそう
という映画の狙いですね。


“役所家康”という想定で脚本が書かれたのか
どうかはわかりませんが、これがハマって
いることは間違いありません。

晩年は「狸おやじ」とも呼ばれ、ひどく肥満
していたことが小説でも繰り返し語られる
家康ですから、容姿からいえば役所さんは
全然NGなキャスティングのはず。

それをハマり役と思わせてしまうんだから
これは大変な俳優の底力!

      

実は阿茶の局(蛇白)らにかしずかれて、
家康が半裸になる場面があるのですが、
なんとここで”役所家康”は見事な
太鼓腹を披露するのですね。

さすが2017年映画のCG。

顔から首、胸とどこからが役所さんで
なくなっているか全然わかりませんでした。


ともかく、ここまで徹底的に作り込まれた
“役所家康”は、上に述べた「七将の三成
屋敷襲撃事件始末」での怪演を中核として
とんでもないレベルの出来栄え。

対する”岡田三成”も高い評価に値しますが、
有村架純ちゃんと惚れあうぐらいですから、
やっぱり甘いっちゃ甘い;^^💦

岡田さんなら、もっと憎たらしい男に
役作りすることもできたのでは…
と惜しまれないでもありません。



三成辞世の名言「柿は…」

あくまで憎たらしい男として生を終えた
石田三成の”辞世”の名言として知られて
いるのが「柿は痰の毒だ」というやつ。

これも映画には出ないので、私個人は
がっかりでしたが、まあそれも2時間で
まとめるには目をつぶるしかないのかな。


司馬版『関ケ原』にはもちろんしっかりと
描かれていて、囚われの身となった三成が、
小西行長、安国寺恵瓊とともに刑場(京都
六条河原)まで檻に入れられて移送されます。
(この「檻」も映画にはなし。
カワイソすぎますもんね;^^💦)

この檻の中の三成が「湯はないか」と役人に
所望したところ、「湯はないが、干し柿なら
ある」とその干し柿を檻の中に投げ入れました。

    

しばし沈黙した三成がやがて放った言葉が
「柿は痰の毒だ」なんですね。

それは昔から言われていることだったの
ですが、あとは死ぬだけなのに「痰の養生を
しても詮がないではないか」と大笑い
されてしまいます。

これに対し三成は「下郎っ」と
叱咤し、こう説きます。

一世の事は小智ではわからぬ。

いまのいま、どのような事態が
おこるか、天のみが知るであろう。

さればこそ眼前に刑死をひかえて
いるとはいえ、生を養い、
毒を厭うのである。


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まあ実情は、まるで猿に餌を与えるように
投げ入れられたことに腹を立てただけなの
かもしれないのですが、それでもとっさに
これだけの理屈を言ってしまうところが
さすが「智の人」!

この説法によって、戦場で切腹して
果てなかったことの弁明も、一挙に
成り立たせたわけですから。


ともかくこの経緯は実話とされていて、
しかも司馬版では、関ケ原の戦場において
三成が下痢に苦しんでいた経緯がかなり
丁寧に描かれています。

柿の毒に強く反応したことの伏線にも
なっていたわけですね。


ところでこの、柿にあるとされる「痰の毒」
というのが、現代科学でいえば何に相当
するのかは、どうもはっきりしていない
ようなんですね。

ともかく柿は食べ過ぎると胃に穴があく
ほどの病気を誘発することが知られて
いますが、度を過ごさないかぎり、
ビタミンC含有量は最高レベルの
すぐれた食品です!

柿の栄養と毒素、また
これにこだわった石田三成に
関連する話はこちらで
情報提供していますので、
ぜひご覧ください。

柿の食べ過ぎで胃に石ができる?1日何個なら安全?

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まとめ

さて、いかがでしょうか。

映画の改変部分も視野に入れながら
司馬遼太郎の小説『関ケ原』のあらすじは、
これでほぼご理解いただけたのでは
ないでしょうか。

もちろん原作は全3巻にもわたる大長編。

出てくる人物も映画の何十倍もの人数に
上るはずで、それらの人々がまた一人一人、
過去に遡って人となりを語られ、三成と
家康、その対立との関連をひもといて
ゆかれるので、全体としてずいぶんな
長さになっているわけですね。

2時間の映画にまとめなければならない
脚本家の苦労もよくわかります。

   samurai-161642_640

ともかくこれぐらいの情報があれば、
読書感想文だろうが、レポートだろうが、
スイスイと書けてしまうのでは
ないでしょうか。

武士の生きざまや悲しみを
描いているという点では、
日本文学のその流れを決定
づけた先駆的な長編文学が
『平家物語』ですよね。

これなども照らし合わせると
高度なレポート・感想文が
書けるかもしれません。

平家物語のあらすじを簡単に ☄”滅びの美”を現代語訳で読もう

     敦盛270px-Taira_no_Atsumori,Ichinotani  


ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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