エリザベス(映画)のあらすじ【人物相関図つき】愛人ありの処女王? | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

エリザベス(映画)のあらすじ【人物相関図つき】愛人ありの処女王?

サクラさん
映画『エリザベス』で
女王を演じたケイト・
ブランシェット。

女王がそこにいるのかと
思うような名演でした。

ハンサム 教授
美しいばかりでなく
娘らしさやユーモア、
そして権力者としての
豪胆で冷徹な計算…
渾然一体の人物像を
見事に演じきり
ましたね。


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サクラさん
25歳で即位して69歳で
没するまで独身の処女王
(ヴァージン・クイーン)
だと思っていたら、映画
では愛人と深い仲に…



あれは本当にあった
関係なんですか?


ハンサム 教授
アハハ、そういう部分が
全然なかったら
映画にならないでは
ないですか。

サクラさん
するとフィクション?

ハンサム 教授
さ~て;^^💦 その
あたり
が一つの見どころに
なるのかな。


というわけで、おなじみ”あらすじ”暴露
サービスの第176弾(“感想文の書き方”
シリーズ第253回)はイギリス映画
『エリザベス』(1998年。シェーカル・
カプール監督)で行ってみます((((((ノ゚🐽゚)ノ
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さてこの映画、エリザベス女王を描いた
ものということはお断りするまでもないと
思いますが、念のためお断りしておきますと、
エリザベスとはいっても2022年9月に96歳で
みまかった2世女王ではなくて、エリザベス1世

今から500年以上前、シェイクスピアなどが
いたころの女王ですよ~;^^💦。

どんな人か全然知らないという人のために、
まずはこの映画の超カンタンなあらすじというか
要約(ほぼ史実どおり)をお見せした上で、
さらに映画の詳しいストーリー(もちろん
フィクションあり)へ、さらにはいくつかの
話題へと羽を伸ばしていきましょう(^^)у

そんなわけで内容はザッと以下のとおり。


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ごく簡単なあらすじ(要約)

16世紀半ば、カトリックの英国女王
メアリー1世は国教会派(プロテスタント)
に激しい弾圧を加えていたが、やがて
病死し、異母妹のエリザベスが即位。

国教会を国の中心に据えるとしたため、
カトリック勢力から攻勢を受け、
命さえ狙われる。

またスペイン王やフランス王族から
求婚攻勢も受けるが、愛人や忠臣の
支えもあってこれらに賢く対処。

結婚しない生き方を決め
「私はイングランドと結婚した」
と宣言する。

ま、そういうことなんですが、
これだけじゃ、どこが面白いのか
サッパリわかりませんよね┐( ̄ヘ ̄)┌

というわけで、「かなり詳しいあらすじ」の
方を読んでいただくことになるのですが、
その前に、ザッと様子をうかがう意味で、
映画の予告編を覗いておきましょうか。



かなり詳しいあらすじ

ではそろそろ幕開けです。

が、その前に、登場人物の相互関係が
かなりややこしいので、はじめに
人物相関図を掲げておきましょう。

読んでいてわかりにくくなったら、
ここへ戻って確認してください。


 『エリザベス』登場人物相関図

👉この図はあくまでも映画のストーリーに
即してのものですので、「相愛」「暗殺」など
微妙な部分まで史実どおりかどうかは
保証できません。

図中、は親子などの血縁関係、
は夫婦または愛人関係、
は求婚、攻撃などなんらかの働きかけを
表しています。

なお左下のメアリ・スチュアートはこの
映画に登場しませんが、続編の『エリザベス
ゴールデンエイジ』(2007)や2019年公開の
『二人の女王 メアリーとエリザベス 』
となどでクローズアップされる重要人物。

その息子でエリザベス没後の英国王となる
ジェイムズ1世や、ヘンリー7世(エリザベス
の祖父)も出ませんが、歴史的な理解の上では
欠かせない人たちですので、頭に入れて
おくと映画は10倍楽しめます;^^💦



さて、お待たせしました。
いよいよホントの始まりですよ~。

👉印では史実との違いや映画出演者に
ついての情報などを注釈していますが、
不要と思われる場合はすっ飛ばして
行ってください。



👑【起】

16世紀半ばのイングランド。

前王ヘンリー8世の創設にかかる英国教会
(プロテスタント)とカトリック勢力との
間で国は割れていたが、1553年に即位した
カトリック派の女王メアリー1世は
プロテスタントに激しい弾圧を加える。
👉映画はプロテスタントの男女が丸刈りに
され、火あぶりの刑に処せられるという
ショッキングなシーンに幕を開けます。

メアリー1世はこの弾圧の苛酷さから
“ブラディ・メアリー”(Bloody Mary/
ブラッディ・マリー/血まみれマリー)
と呼ばれ、例の真っ赤なカクテルの
起源ともなりました。



メアリー1世の母はスペイン出身の
キャサリン・オブ・アラゴンで、
しかも夫はスペイン国王フェリペ2世と
来ていますから、カトリックへの固執は
自然の成り行きかもしれません。

またそもそも父ヘンリー8世の国教会
創設の目的が、侍女だったアン・ブーリン
との結婚のためにキャサリンと離婚する
ことだった(カトリックでは離婚が認められ
ないため)と言われてますからね~;^^💦

こうして王妃になったアンの生んだ子が
エリザベスですが、アンはその後、流産
続きで男児を生めず、しかもヘンリーは
アンの侍女との結婚を望むなどで、
2年後には結局、処刑の憂き目に。

その間、メアリは庶子(私生児)に転落して
エリザベスの侍女となることを強要されて
さえいましたので、この異母妹を激しく
憎んでいても不思議はありません。


メアリー女王に体調異変があり、
懐妊の情報も流れるが、実は腫瘍と
わかり、余命わずかの状態となる。

エリザベスの即位を望まないメアリーは、
謀反の容疑により彼女をロンドン塔
(アン・ブーリンもここで処刑)に幽閉。

が、やがて釈放され、幼ななじみの
ロバート・ダドリー卿と楽しく過ごす。


1558年、メアリー死去により、25歳の
エリザベスがイングランド女王に即位。

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👑【承】

 
フランスを後ろ盾に不穏な動きを見せる
スコットランドを牽制すべくエリザベスは
軍を派遣するも、結果は惨敗で、退位を求める
声もあがる。

フランス王家出身のスコットランド女王
メアリ・オブ・ギーズ(マリ・ド・ギーズ)は
平和な関係維持を理由に、甥にあたる
アンジュー公(エルキュール・フランソワ・
ド・フランス)との結婚をエリザベスに要求。

他方で、スペイン大使アルヴァロは妻を
亡くした国王フェリペ2世の再婚相手と
なるよう勧める。
(これも平和のためで、年2~3回会うだけの
夫婦という条件)


招待されて訪英したアンジュー公は結婚に
大いに乗り気だが、フランス貴族らしい
頽廃を絵に描いたような男。

夜は乱交めいた騒ぎのなかで女装趣味に
うつつを抜かしている。
👉ここが大いに異色で楽しめる
見どころの一つ。

映画では登場前から「ハンサム」とされる
このアンジュー公、実際ハンサムな
ヴァンサン・カッセルが演じていますが、
史実としては「醜い」との噂が伝えられて
いました。

実際に会ったエリザベスは「それほど醜くは
ない」ので「蛙 (frog)」の愛称をつけたとか…。
(👉 Wikipedia

   
   フランソワ・ド・フランス(アンジュー公)

女装趣味があったという記録は見当たらない
ので、映画での創作と思われます。

なおハンサムで調子のいいアンジュー公を
見事に演じたヴァンサン・カッセルは、
こちらの映画では”青髭”のモデルとされる
人物を好演しているフランスの名優です。

ジャンヌダルク(映画)のあらすじ 姉の悲惨な最期も史実通り?

     
      イングリッド・バーグマン主演映画
       『火刑台のジャンヌ』(1954)ポスター。
       ジャンヌ・ダルクを火あぶりにしたのも
       イングランド政府でした。


エリザベスは、メアリー1世の治世には
大陸に逃れていた敬虔なプロテスタントの
フランシス・ウォルシンガムを呼び戻し、
国王秘書長官として重用。

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👑【転】

国教会をイングランドの中心に置くことを
宣言したエリザベスは、国内外の
カトリック勢力の反発や策動により、
苦境に追い込まれる。

ヴァチカン(教皇)からエリザベス殺害の
指令が下り、スペイン大使アルヴァロや
国内のカトリック貴族ノーフォーク公が
これに関与。


一方、王宮の舞踏会などでエリザベスが
踊る時は、「ヴォルタ!」という掛け声と
ともにロバート・ダドリーとペアになって
見事なダンス💃を披露すること2回。

二人は公然の仲とも見えた。
👉上の予告編動画でもフィーチャー
されているとおり、二人のダンスの
華麗さも大きな見どころ。

ロバート役のジョセフ・ファインズの
顔がイマイチ…と感じた人もこの
ダンスの素晴らしさで惚れ直し、
抜擢の理由に納得されるかも。

「ヴォルタ」(volta)はそのころ流行
していたフランス発祥の軽快なダンスで、
男性が女性の腰を抱いて高く持ち上げる
などの激しい動きがあり、英国では
スキャンダラスとも見られたようです。

エリザベスが踊り好きだったことは
事実のようで、ヴォルタに似て激しい
動きのある「ガイヤール/ガリアード」
(Galliard)を6~7曲踊っていたとも
言われています。

そのガリアードをロバート・ダドリーと
踊ったことが2回あると記録に残っている
そうで、映画での”2回”という回数は
そこにこだわっているのかもしれません。


エリザベスを抱き上げて踊るロバート・ダドリー


が、やがてこのロバートに妻があると知り、
しかもその妻が不審死を遂げたという
噂も流布してロバートは立場を失い、
二人は疎遠に。


陰謀に巻き込まれたか、ロバートは
エリザベスのドレスを着た侍女を抱くが、
そのドレスに塗られていた毒で侍女が死ぬ。

女王暗殺の策謀があることを知った
エリザベスは、関係者を一人残らず
捜し出すようウォルシンガムに指令。


ウォルシンガムはスコットランド女王
メアリ・オブ・ギーズに接近し、
性的な誘惑によりベッドで暗殺。
👉このメアリを演じたのがファニー・アルダン
という、これまたフランスの美人女優。

最期は全裸でベッドに横たわっていますが、
メアリ・オブ・ギーズがそういう死に方を
したという史実はないようです。


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👑【結】

ノーフォーク公は教皇を後ろ盾にエリザベス
潰しにかかるが、これもウォルシンガムに
動きを見破られ、信愛していた情婦に
裏切られる形で捕縛される。

そのほか次々に逮捕された加担者を
エリザベスは処刑していく。

関与の疑われるロバートについては、
「自分の戒めのために生かしておく」
として処刑は免れさせたものの、絶縁。

宮廷内の聖処女マリア像の前で
ウォルシンガムいわく「国民は偉大な
ものを崇めたいものです」

  

エリザベスは、長かった髪を短くして
カツラをかぶり、顔は真っ白に化粧して
儀式の場に現れる。

ひざまずく臣下たちを見下ろし、
「私はイングランドと結婚した」
と高らかに宣言する。


実は秘密に結婚していた❔

さて、いかがでした?

“処女王”エリザベスの華麗にして
スリリング、しかも謎めいた前半生。


建物や衣装、メイキャップなどいずれも
徹底した凝りようで時代が再現されており、
観ていると、ほんとうにエリザベス1世
治世のイングランドに運ばれてしまい
そうです。

見どころは、それこそ挙げきれないくらいで、
そのいくつかは「あらすじ」途中の👉印の注釈で
解説しておきましたが、ますます興味をもって
もらえたでしょうか。


ん? でもやはり気になるのは
ロバート・ダドリー卿の存在?

そうですよね~;^^💦

   
   エリザベス1世とロバート・ダドリー卿


彼が寵臣の一人であったことは間違いの
ない史実で、「秘密結婚をあげていた」
という説まであるようです。

ところがその一方で、実は深い仲など
ではなく、そんな噂が立つようにした
こと自体がエリザベス自身の謀略だった
という説もあるんですね。


なぜわざわざそんなことを?


外国の王族らとの政略結婚を断る
(またはペンディングにしておく)
ためのカムフラージュ?

でもそれだけならロバートと結婚して
しまうことも不可能ではないはず。

彼も立派な貴族ですし、現にエリザベス
2世は国内の貴族(エディンバラ公)と
結婚されているわけですし…。

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実は男性だった❔

この謎への回答の一つとして、最近の
調査から唱えられ始めたのが
実は男だったから」説。

    

実際、顔だちも男性的といえば言えますし、
体形は手足の長い長身、残された手袋の
指は異常に長かったとか。


それらはもちろん昔からわかっていた
ことですが、最近の調査をもとに
発生した仮説は以下のようなもの。
エリザベス10歳の時、ロンドンに疫病が蔓延
したためヘンリー8世は彼女をコッツウォルズ
という小さな村で養育させた。

ところがそこで、疫病に罹患して死んで
しまったが、それは父王が面会に来る日の
前日。

王の怒りを恐れた家庭教師と後見人は
身代わりを立てることにしたものの、
似た年格好の女の子が見つからず、
やむをえず男の子に女装させて
「エリザベス」と名乗らせた。

その後、この男子が終生、女装して
「エリザベス1世」を演じ続けた。
(出典:Mail Online News)


なるほど。それなら誰とも結婚できない
わけですよね;^^💦

まあ実は男だったにせよ、やはり女だった
にせよ、40年以上在位してイングランドの
「ゴールデンエイジ」(黄金時代)を実現した
功績はたしかに偉大というべきでしょう。

それを可能にした才能の一つが、10人を
超える求婚者に対して、すぐにOKするでも
なく言下に断わるでもなく、宙づり状態を
利用してじらすような戦略の巧みさでした。


まあ実は男だったのならそうするしかなった
でしょうけど、ともかくこの女(?)王には、
同時代人の劇作家シェイクスピアも大いに
敬意を払い、劇のストーリーやセリフには
女王に気を遣った跡も指摘されています。

それはもちろん観劇にお出ましになることも
あったからですが、もし実は男だったのだ
としたら、エリザベスは観ていてどんな
気持ちになっていたのでしょうか。

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というのも、日本と同じく英国でも当時は
女優というものはなく、女役もすべて男が
こなしていました。

その点では毎回毎回、身につまされて
いたのではないでしょうか;^^💦
👉同じエリザベス一世の役を演じて
アカデミー助演女優賞を獲得した
イギリスの名優がジュディ・デンチで、
その映画は『恋におちたシェイクスピア』
(ジョン・マッデン監督、1998)。

あのシェイクスピアが、実はロミオばりの
熱い恋のさなかにあった…
という設定のロマンティック・コメディです。

詳しくはこちらでどうぞ。

恋におちたシェイクスピア(映画)考察!どこまで実話かネタバレする

     


この映画もそうですが、シェイクスピア
による、または彼についての諸作品には
エリザベス女王について考えるヒントが
たくさん埋まっています。

たとえば同じく女王という地位にあって
周囲の男たちをどう愛し利用したか…
というような局面でまず浮かぶのが
クレオパトラを悲喜劇的に描いた
『アントニーとクレオパトラ』。

これとその前哨をなす『ジュリアス・シーザー』
をめぐってはこちらで情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

クレオパトラ歴史秘話!愛と謀略の生涯をシェイクスピアはどう描いた?

ジュリアスシーザー(シェイクスピア)のあらすじを簡単に【&詳しく】

      

👉シェイクスピアの傑作はもちろん
これらにとどまりません。

抱腹絶倒の喜劇のほか、上記の『リア王』
『マクベス』を含む”四大悲劇”のほか、
歴史劇・ロマンス劇など21作以上について
当ブログでは「あらすじ」などの情報を
提供しています。

気になる作品をこちらからお探しください。

シェイクスピアの本でおすすめは?喜劇・悲劇…各ジャンル21作品の紹介!

       

そのほか、シェイクスピアの本を早く安く
手に入れたい場合は、Amazonが便利。

こちらから探してみてください。👇
  🔱シェイクスピアの本:ラインナップ🔱
 


まとめ

さあ、もうこの映画に関するかぎり、
なんでも来い! ですよね。

人から何を尋ねられても、大概の
ことには答えられるでしょう。


感想文とかレポートを書こうという
場合も、もう完璧でしょう。

これだけストーリーが明快に頭に入り、
かつ歴史的背景とか演じた俳優なんかの
情報もバッチリ仕込まれていれば;^^💦


ん?書けそうなテーマは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう場合はこちらを覗いてみて
ください。
👉当ブログでは日本と世界の多くの
作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

お役に立ちそうなものをこちらの
リストから探してみてくださいね~(^^)у

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょ~~(^O^)/



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