中島敦 山月記のあらすじ🌛簡単/詳しくの2段階で解説


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズ
「あらすじ」暴露サービスも、
今回でついに第10弾!
(シリーズ通算では第33回)

とりあげるは中島敦『山月記』(1942)!
  


さて、一口に「あらすじ」を、といっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだからもう詳しくないと
という人まで千差万別でしょう。

そこで出血大サービス!

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~(^^)у

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🐯 ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単」ヴァージョンの「あらすじ」。

若くして高級官僚となった秀才、
李徴は、詩人として名を残そうと
考えて辞職し、詩作に専念した。

が、これに挫折し、仕方なく
地方の小役人となったものの、
ついに発狂し、消息を絶つ。

虎 animal-158907_640
実は虎に変身していたのだが、
翌年のある月夜、旧友の高官、
袁蛯ェ(えんさん)に遭遇する。

これまでの経緯を話し、自作の詩を
書き取ってもらい、妻子には自分は
死んだと伝えるよう頼んで姿を消す。


え? なんだか要領を得ないし、
主題がわからない?


それでは平易な日本語による絵本の
朗読をお聞きいただきましょうか。



さあ、もうわかりましたよね?

うん、まあだいたいわかったけど、
やっぱり文章になってないとなあ……?


ハイハイ、それではこれから
「やや詳しいあらすじ」をお目にかけます。

原作に切れ目はありませんが、主題や
創作意図がよくわかるように、私の判断で
「起承転結」の4部に分けてみました。

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🐯 やや詳しいあらすじ


【起】
唐代の中国。

隴西の李徴は若くして高級官僚となった
博学の秀才であったが、狷介(かたいじ)
で自負心が強く、役人の身分に
満足しきれなかった。

Artistic-Book-s

官職を辞し、詩人として名を成そうと
詩作に没頭したものの、思うように名声は
上がらず、生活のため地方の小役人に
再就職して、屈辱的な生活を強いられた。

その後、地方へ出張した際に発狂し、
そのまま山へ消え、行方知れず
となった((((((ノ゚⊿゚)ノ


【承】
翌年、李徴の親友であった高位の役人、
袁傪(えんさん)が、公用で南方を
旅していた。

商於(現河南省)の宿を未明に出立しよう
として、人食い虎が出るから昼にした方が
よいと止められたが、振り切って出ると、
やがて草むらから虎が襲いかかる(叫び)。

虎は身をかわして茂みに隠れたが、
やがてその正体が李徴であると知れ、
李徴は姿を隠したまま経緯を語る。

「一年ほど前、誰かが名を呼ぶので
走ってゆくと、山林に入り込んで、
気がついたら虎になっていた。

Tiger-Predator-s

人間の意識に戻る時もあるが、獣や人を
襲って食らう、虎としての時間の方が
次第に長くなっている。

そこで君に頼みだが、まだ自分が記憶
している数十の詩編を書き記して
残してくれないか」


袁傪は快諾し、明るい月光の下、
李徴の朗ずる詩を部下に書き取らせる。

それらは見事な出来ばえであったが、
一流となるには、微妙な点で何かが
欠けるように袁傪は思う( ̄ヘ ̄)。

「嗤(わら)ってくれ、この哀れな男を」
と自嘲する李徴は、「今の懐(おもい)」を
即席の漢詩にした。

書き下し文
偶(たまたま)狂疾に因りて殊類と成る
災患相仍(よ)りて逃がるべからず
今日の爪牙誰か敢(あえ)て敵せん
当時の声跡共に相高し
我は異物と為る蓬茅の下
君は已に軺(よう)に乗りて
気勢豪なり
此の夕べ溪山明月に対(むか)ひ
長嘯を成さずして但だ
噑(ほ)ゆるを成す



現代語訳
思いがけず狂気に冒され
獣となってしまった
災難と病とが重なり
逃れることができない
今の私の爪や牙には誰もかなうまい
あの頃の君と私は共に評判が高かった
だが私は獣となって草むらの中におり
君は既に車に乗る身分となって
羽振りが良い
今夜、山渓を照らす明月に向かいながら
私は詩を高らかに歌うこともできず、
ただ哀しく吼えるばかりだ


【転】
李徴は話を続ける。

「こんな運命になったことについて
思い当たるのは、詩で名をなそうと
しながら、すすんで師についたり詩友と
切磋琢磨したりしようとしなかった
『我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥心』だ。

007026

己(おれ)は人から遠ざかることで、
この『臆病な自尊心』をふとらせた。

人間は誰でも自分の性情という猛獣を
飼い慣らす猛獣使いだというが、己の場合
この『尊大な羞恥心』が猛獣であり、
虎だった。

これが自他を苦しめ、「己の外形」を
このように「内心にふさわしいものに
変えてしまったのだ」。


【結】
夜は明けかけると、「自分はもうすぐ
虎に戻ってしまうから別れねばならぬ」
と李徴は言い、最後の願いとして、妻子には
自分はもう死んだと伝えた上で、できれば
経済的な援助をお願いできないかと頼む。

Tiger-teeth-s

別れてあの丘に上ったら振り返るようにと
李徴が言い残したので、そのとおりにすると
虎が姿を現わして咆哮し、姿を消した。



🐯 創作意図は?

さあ、これでもうすっかりわかりましたね。

読書感想文を書こうという人も、もう鬼に
金棒…、いや虎に牙でしょう(^^)у

Photo-Manipulation-s

でもなんというか……
作者は何が言いたかったのかとか、
主題というか、創作意図は何なのかとか、
そのへんの問題が……

うーむ( ̄ヘ ̄)、そのあたりを考えると
また、ひと仕事になってきますね。


最後に一つだけヒントめいたことを
言わせてもらうと、考えていく上で
大きなポイントになるのが『山月記』
というタイトルでしょう。

原作は中国の古典、『人虎伝』で、
そこで李徴が虎にされてしまうのは、
恋人との逢瀬を妨げられたことに怒り、
その一家を焼き殺したことの報いなんです。

これは『山月記』の李徴と
エラい違いではないですか。

もちろんそこ――原作とまったく別の李徴を
作り出すこと――に作者、中島敦個人の
思いが込められているに違いないですし、
創作意図はそのあたりにあるはずですよね。

創作意図をめぐっては、
さらに突っ込んだ記事も書いて
いますので、ご参照ください。

中島敦 山月記の創作意図は?虎になった理由と原典『人虎伝』

で、なぜ『山月記』かといえば、
虎になった李徴が詠む漢詩(上記
「あらすじ」の「承」参照)の一節に
「此夕渓山対明月」(今夜、山渓を
照らす明月に向かいながら)
とあるのを採ったものと思われます。

物語の内容を直接に言い表わすわけではない
「山」と「月」をタイトルに持ってきた
ところが「詩的」ですね。

それがなんで「詩的」かって?
その話は少々長くなりますので、
関心がおありの方は、こちらの
記事をご参照ください。

夏目漱石「月が綺麗ですね」の出典は?I love youはこう訳せ?

046281



🐯 まとめ

さあ、どうでしょう、
なんとか書けそうですか、感想文?

ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)

やはりお手本がないと……ですって?

その場合は、こちらの記事で
ちょっとお勉強をお願いします。

山月記の感想文を高校生らしく書く 🐯600字/400字の例文つき


ともかく中島敦、たいへん知的で
興味深い作家に違いありません。

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🐯中島敦の本:ラインナップ🐯



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ともかく頑張ってやりぬきましょ~~(^O^)/

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