ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ【詳細版 後編】と感想文

 


やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第63回、
「あらすじ」暴露サービスとしては第40弾。

今回は前回に続き、ロシアの文豪
ドストエフスキーの傑作長編小説
『罪と罰』(1865)。

       



その「あらすじ:詳細版」の後編です。

前編はこちら。
ドストエフスキー 罪と罰のあらすじ:簡単版と【詳細版 前編】


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ここでは「第四部」から「第六部」そして
「エピローグ」のストーリー展開を
しっかりと追い、哲学・思想的な台詞も
できるだけ拾い上げて「あらすじ」を
記述していきます。

その上で、感想文などを書く場合の、
着眼方法などについて考えたいと思います。

では、参りましょう。     016423



👉 やや詳しいあらすじ


【第四部】
スヴィドゥリガイロフはラスコーリニ
コフに「自分のドゥーニャへの恋心は
もう冷めているが、ルージンは性悪男
なので結婚すべきでない。迷惑の
お詫びに1万ルーブリを渡す」などと
述べ、これらを伝えるために
ドゥーニャに会いたいと懇願する。

ラスコーリニコフは「断る!」と
突っぱね、スヴィドゥリガイロフは
去りぎわ、「あなたとは仲良く
なれそうだ」。


ルージンとラスコーリニコフ一家との
会食が始まり、ドゥーニャは彼と兄を
仲直りさせようとするが、やがて
ルージンの恩着せがましさが露見し、
ドゥーニャは自ら婚約破棄し
「二度と会いたくない」と告げる。

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ラスコーリニコフは突然立ち上がり、
「もう会うことはないかもしれない」
と言い残して出ていく。

追って来たラズーミヒンに「母と妹を
よろしく頼む」と言って顔を見つめ、
「わかったろう? 今度こそ」。


その足でソーニャのアパートを
訪ねると、彼女は喜びを隠せない。

聖書を朗読してもらい、
君と僕は同類だと口にする。

話の流れで、彼女はあのリザヴェータと
友だちで、聖書をもらったこと、
その葬式にも参列したことを言う。

ラスコーリニコフは、自分は老婆殺しの
犯人を知っている、「明日、それを君に
教えてやる」と告げて去る。

実はスヴィドゥリガイロフは   walter_medium
数日前、偶然となりの部屋に引っ越して
きており、二人の会話をドアの向こうで
聞いてしまう。


翌日、ラスコーリニコフは老婆への
質入れ品を受け取る手続きのため、
予審判事ポルフィーリイを訪れる。

ポルフィーリイの探りを入れる話し方に
ついに堪えきれず、「疑っているなら、
はっきりそう言え! 逮捕したら
どうだ!」などと大声を上げる。

そこへ飛び込んで来たのが、事件当日、
犯行現場の下の階で働いていた
ペンキ屋のニコライで、自分が犯人だと
わめき出したので、ラスコーリニコフは
驚きながらも解放される。



【第五部】
マルメラードフの葬儀後の会食の席で、
肺病やみの未亡人のカテリーナは、
話に熱が入って咳き込み、ついに喀血。

彼女が出席者と口論してつかみ合いに
なりかけたところへルージンが入って
来て、「さきほど、私の部屋から
100ルーブリ紙幣が1枚盗まれた。
ソーニャが怪しいから、
身体検査をさせろ」と言う。

ソーニャのポケットから    132766   
100ルーブリ紙幣が出てくるが、
これは実はルージンが数時間前に
会って10ルーブリを渡したとき、
本人が気づかないよう巧みに
押し込んでおいたもの。

その経緯を目撃していたルージンの
同居人、レベジャートニコフがそこへ
登場して証言し、ラスコーリニコフも
弁護してソーニャは危機を救われる。

ルージンはその日のうちに部屋を引き払い、
ペテルブルグを去る。


動揺したソーニャは会場を飛び出して
帰宅してしまうが、彼女を追いかけて
部屋まで来たラスコーリニコフは、
ついに自身の犯行を告白する。

自分は常人とおなじ「しらみ」なのか、
「人を殺す権利」をもつ「非常人」
なのか知る必要があった、などと
例の理論を述べるうち、はげしい
憂鬱に襲われ、「これから何をすれば
いいんだ、教えてくれ!」と尋ねる。

涙を払って、ソーニャは決然と
「今すぐ行って十字路に立ち、まず
大地に接吻なさい。それから全世界に
お辞儀をして、みなに聞こえるように
『私は人を殺しました!』と
言うんです」と命ずる。

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「ぼくが監獄にはいったら、面会に来て
くれるかい」の問いにソーニャは
「ええ、行ってよ」と即答。

ラスコーリニコフは自分に注がれる
愛の深さを知り、さらに苦しむ。


そこへレベジャートニコフが来て
「カテリーナが発狂した」と知らせ、
ソーニャは飛び出す。

ラスコーリニコフは帰宅してしばらく
休んだあと再び街へ出ると、
レベジャートニコフに呼び止められ、
カテリーナの狂態を目撃する。

やがてカテリーナは大量に喀血して
路上に倒れ、ソーニャの部屋に
運び込まれるが、ほどなく死亡。

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【第六部】
ポルフィーリイがラスコーリニコフを
訪問し、「老婆を殺したのはペンキ屋
じゃない。あなたですよ」と断定。

「あと2日ほどは逮捕しないので、自首
しなさい。そのほうが刑が軽くなる。
自殺するなら、自分がやったという
遺書を書いて」と言い残して立ち去る。


スヴィドゥリガイロフに会おうと
外出したラスコーリニコフは、
料理店に彼を見つけ、話を始める。

スヴィドゥリガイロフは「ドゥーニャは
非常に美しかった。私の女好きは、
もはや仕事だ。今回ペテルブルグに出て
きたのは、ドゥーニャとは別の16歳の
少女と結婚するためだ」などと話す。

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ドゥーニャを部屋に呼んだ
スヴィドゥリガイロフは、「君の兄が
老婆殺しの犯人だ」と告げ、「金は私が
用意するから彼を海外に逃亡させよう。
ただし、あなたが私を愛するという
条件で」と提案する。

ドゥーニャはこれを拒否して去る。

スヴィドゥリガイロフはピストルを
持って街へ出、料理店をハシゴして
見知らぬ人におごってまわり、そのあと
ソーニャを訪問して「自分はアメリカへ
行く。自由に使ってください」と
3,000ルーブリを渡す。

ついで婚約者である16歳少女の家へ
向かい、彼女に1万5,000ルーブリを託し、
自分は重大な案件のためペテルブルグを
去ると言い残して立ち去る。

翌日、彼は路上でピストル自殺する。

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ラスコーリニコフは母と妹の宿泊先に
行き、母だけいたので最後の別れを
言って下宿へ戻ると、ドゥーニャが
彼を待ちうける。

「戦争で罪のない命が奪われるのは
許されて、害のある命を奪うことは
許されないのか。僕は老婆を殺したが、
犯罪だとは思わない」などと語り、
ドゥーニャにも別れを告げて去る。


ソーニャの部屋へ行った
ラスコーリニコフは、十字架の
首飾りをもらって、部屋を出る。

警察署に出頭し、顔を真っ青にして
声をしぼり出す。
「あれは僕が、老婆とその妹
リザヴェータを斧で殺して、
金や品物を盗ったのです」



【エピローグ】
裁判ではこれまでの善行やむしろ重罰を
希望した潔い態度が考慮され、懲役8年
という寛大な判決を受け、シベリアの
監獄に服役する。

ドゥーニャはラズーミヒンと結婚し、
母は発狂し、まもなく死亡。

ソーニャはシベリアに移住し、
ラスコーリニコフを見守り励ますが、
彼は心を閉ざしがちで監獄内でも
孤立し、体調も悪化している。

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ある日、ラスコーリニコフは作業場で
おずおずと伸ばされたソーニャの手を
取ると、次の瞬間、足下に身を投げて
彼女の両膝を抱き号泣する。

もはやソーニャへの愛を疑わず、彼女が
持ってきてくれた聖書が目に入ると、
「いまや、彼女の信念(信仰)がおれの
信念になっていいはずではないのか?」
という考えが頭をかすめる。




👉 信仰に囲い込まれる《悪》?

さあ、いかがでした?

これでもう大丈夫ですよね、
感想文だろうが、なんだろうが…。


感想文なら、とりあえず前後編の
「あらすじ」のうち面白いと思った、
あるいはこれは名言だ、と思った
ところについて、多少こだわって
考えてみたらどうでしょう。


たとえば「常人」(しらみ)と「非常人」
とをめぐってラスコーリニコフが温めて
いた理論について追求する……。

これ、ニーチェの「超人」哲学や、
それを曲解したヒトラーのナチズム、
優生学の考え方につながっていく
危険な思想であることはたしかですね。

現代的な視点からそのへんをきっちり
批判しつつ、なぜそんな考えが
生まれたのかを考えてみるとか。

  これはローマの「真実の口」ですが……  a6bc59e3dd000f5b9d94cd717505b394_s

ただ、小説全体の構想としては、それは
あくまで作品内部の「悪」であって、
最終的には、ソーニャによって代表される
信仰の「枠」内に包括されてゆくものとして
提示されているわけですね。

このような意味での「枠」が小説世界の
善悪を結局は仕切ってしまう……

そのあたりがドストエフスキーの限界と
いえばいえるわけで、哲学者の
永井均さんにいわせれば「……枠の中で
出来ているお話なので、僕には馬鹿らしく
感じられます」ということにもなます。



その永井均さんによって徹底的に解析された
ニーチェその人も、もちろんドストエフ
スキーには不満を示しています。

ニーチェに関してはこちらもご参照ください。
ニーチェ:人生の名言「復讐と恋愛にかけては女は男より野蛮」
マンガ・ドラマCD『ニーチェ先生』をもしニーチェが読んだら


哲学・思想的な問題は敬遠したい?

それなら登場人物に入り込んでみましょう。

それも主人公だとありきたりになりがち
なので、それ以外の人物に目をつけると
いいかもしれません。

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ソーニャも特異で魅力的ですが、
マルメラードフやスヴィドゥリガイロフも
面白い。

”ダメ”と知りつつ”ダメ”にしか生きられない
ほんと困った人たち……でも、あなたは
そうならないと言いきれますか?

彼らこそひょっとしたら、永井さんが不満を
述べるドストエフスキー的な「枠の中」を
勝手にはみ出しちゃっために作者によって
殺された(?)愛すべき”悪”人なのでは……



👉 ダメ男を盗んだ藤村、乱歩

ともかく、この種の”悪”人のうち、特に
マルメラードフが日本の作家に愛好された、
というか盗まれた(ひそかに自作に採り
入れられた)ことは事実です。

たとえば島崎藤村の名作『破戒』が
『罪と罰』に学んでいることはストーリーの
構成からして明らかなのですが、なかで
特に老教師、風間敬之進のその娘志保の
一家は、マルメラードフとソーニャの家族に
何から何までソックリなんですね。

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藤村以後では、江戸川乱歩も初期から
『罪と罰』に多くを学んだ形跡がありますが、
『影男』に出て来る元陸軍大尉、大曽根の
一家がやはりマルメラードフ家に
恥ずかしいほど似ています。

『破戒』と『影男』については
こちらもご参照ください。
島崎藤村 破戒のあらすじ:簡単/詳しくの2段階で解説
影男(江戸川乱歩)のあらすじ:ネタバレ御免で結末まで




👉 まとめ

さあ、もう書けますよね?

日本文学にもこれほど大きな影響を
与えた『罪と罰』の読書感想文。


ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、
日本と世界の種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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