吾輩は猫である。
名前はまだない。どこで生まれたか
とんと見当が……
いや、挨拶は抜きにさせてもらうが、
近頃、吾輩についての問い合わせが
五月蠅(うるさ)い。
その中には、
お前はちゃんと去勢しとるんか
といった、いささか不躾なものもある。
現代社会で人間と共存する雄猫として、
吾輩もその義務は果たしておる。
ただ、ご承知のように吾輩の生誕は
明治38年(1905)のことで、去勢手術を
受けたのはほんの数年前のことであるから、
その時期はやはり遅きに失したと
言わざるを得ん。
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もちろん吾輩のように百歳を超えてから
などというのは異例中の異例であって、
あまり深くお考えにならん方がよいが、
それでは生まれてどれほどたったころが
時期として最も適切なのか。
本日はこれについて最新の情報を
お伝えしておこうと思う。
😿 もくじ
- 最も望ましい時期は?
- 性格も変わる?
- 去勢のメリットとデメリット 👉 一覧表
- 費用や面倒の問題
👉 理不尽ではあるが…
まとめ
1.最も望ましい時期は?
一般に雄猫の性的な成熟は雌より遅く、9~12ヶ月齢といわれておる。
ちなみに雌猫ではこれが生後3~9ヶ月齢で、
(ちと脱線するが)こちらの方面では
男の方が奥手だというのは人間界と
同じであるな。
このことは漱石先生も喝破されておる。
関心おありの方は、こちらをご覧あれ。
・漱石の名言でたどる恋愛💛『吾輩』猫が読み直す『こころ』etc.
前の生後6ヶ月齢以内に去勢手術を
行うのがよい、というのが「国際猫医学会」
(ISFM)のお達しである。

研究調査の結果、7週齢~6ヶ月齢までの早期
去勢でも、発育的・身体的・行動的な
問題点は見いだせなかったという。
早い時期の方が体へのダメージは少ないとの
ことで、早期去勢が泌尿器系の病気を誘発
する懸念も以前はあったようだが、現在では
そんなことはあまりないという話だ。
まあ、このへんが気になる飼い主は
手術をお願いする獣医さんに徹底的に
確認された方がよいかもしれん。
2. 性格も変わる?
早い方が良いという理由には、性格が変わるという問題もある。
つまり去勢することで、雄猫にありがちな
攻撃性・凶暴性を抑え、雌猫同様あるいは
それ以上に穏やかな猫にしたい、
という下心がおありかもしれん。
が、それは、いったん成猫となって
すでに凶暴性が出てしまってからでは
遅い……という場合も少なくないんである。

実際、吾輩が現在寄食しておるサイ象君の
家に遅れて入ってきた麦平(むぎへい)君
は今やあの車屋の黒(『吾輩は猫である』
に出てくるボス猫)にも劣らぬ大猫
であるが、ふらりと現れた当初は
痩身のノラ猫にすぎなかった。
憐れに思ったサイ象君は彼を受け入れ、
やがて去勢手術も受けさせたんであるが、
去勢後は食うこと以外に関心がなくなったか
のようで、まるまると太り、
性格的にも丸くなった。

サイ象家の先輩に小柄だが気の強い雌猫が
いて、自分が女王だと思っているらしいん
であるが、彼女に猫パンチの連打を
食らっても、麦平は逆らわず平伏している。
ところが、これが外では豹変するらしい。
先日も近所の屈強な雄猫を半殺しの目に
あわせてしまい(

こまれて、サイ象君は平身低頭
したんであるm(_ _)m。
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そのような次第で、成猫に施した手術の場合、
期待どおりの成果がすべて得られるとは
限らんので、そう心得た方がよい。
ともかくここで、雄猫を去勢する場合に
期待される一般的な利点(メリット)と
難点(デメリット)を表にまとめておこう。
3. 去勢のメリットとデメリット
メリット | デメリット | |
---|---|---|
生殖・性欲 | 性的な欲求不満から来るストレスから解放される。 またそれが原因の問題行動がなくなる。 ![]() |
繁殖させたくなった場合、元の体に戻すことは不可能。 |
健康・病気 | 前立腺の病気、精巣や肛門周辺の腫瘍などの心配がなくなる。 | 性的ストレスがなくなることで基礎的な消費カロリーが減少し、肥満になる傾向がある。 |
性格・行動 | 男性ホルモンと女性ホルモンの割合が近づくため全般的に中性化する。 早期去勢の場合は特に子供っぽさ、甘えの傾向が残る。 他の猫への攻撃性が軽減するので、叫び鳴きやマーキングも減少し、去勢雄同士での「アロラビング」(互いの体をこすり付けること)も行うようになる。 |
遅い去勢では、あまり変化しない場合もある。 |
寿命 | ストレスと病気の軽減により、結果的に長生きする可能性が高い。 | ![]() |
👉 理不尽ではあるが…
吾輩はといえば、初代の主人である苦沙弥先生には、明治時代のこととて、もちろん
放っておかれたんであるが、現在の飼い主
であるサイ象君によって無理矢理
この手術を施された。
まあ、吾輩の場合は、発情ももう
百回以上にわたって経験してきたので、
もうよかろうと思わんでもないが、
生後6ヶ月かそこらで去勢される諸君
にとっては、生きる喜びの一つを
はじめから奪われてしまうんであるから、
理不尽といえば理不尽な仕打ちと
思われんでもないな(iДi)。

もし吾輩が今一度『吾輩は猫である』の
世界に戻ることができるならば、人間の
勝手さを存分に書き散らしてやるところ
だが、今となってはそれもかなわん。
『吾輩は猫である』の世界をご存じない
読者諸君は、是非こちらをご覧
いただきたい。
・夏目漱石 吾輩は猫であるのあらすじ:名言を押さえて感想文へ
人間側のこの仕打ち、いかに理不尽で
あっても、猫も涙を呑んで協力する
ほかないんではあるまいか。
なぜといって、もしこれをしないまま雄猫が
外を歩けば、多くの子猫を作てしまい、
かつその子猫らのほとんどは保健所で
殺処分という運命をたどる。
生き延びても泥棒猫になるしかない。
外へ出さなければ出さないで、発情期の
うるささ、欲求不満から来る問題行動に
飼い主は手を焼き、下手をすると
これも保健所行きである。

というようなわけで、現代の、特に都市部では
去勢(雌猫の場合は不妊)手術はもはや
飼い主の義務として避けられん
と思うんである。
4. 費用や面倒の問題
なに? 金がない?だから吾輩にはもう金(キン)は……
え?、その金でなく金(カネ)?

いや、これは失礼をば申し上げたm(_ _)m。
費用はさほどかからんはずである。
日本獣医師会によれば、去勢手術の相場は
15,000~25,000円だが、今は大概の
市町村で補助金を出してくれるので、
無料になってしまう場合もある。
そういったことも含め、獣医院(ペット
クリニックなど)で尋ねるとよい。
たいていはまず手術日を決め、
手術前夜は絶食させるように言われる。
手術当日は日帰りできてしまう場合と
1日ぐらい入院になる場合とがある。
術後は、施術部をなめるといけないので、
こんな感じでエリザベス・カラー
かなんかをつけられる。
もちろんこれで終わりではない。
最近は抜糸をしなくてよい手術法もあるが、
たいていはやはり必要なので7~10日後に
また行って抜糸をしてもらわねばならん。
抜糸後約1週間は入浴できぬが、
そもそも入浴は、猫の健康にとって
ありがた迷惑(免疫力を下げる)なので、
これを機にやめたらよかろう。

👉 まとめ
さて、おわかりいただけたであろうか。要するに「人猫共存」社会の健全な
進展のためには、雄猫の去勢は理不尽
であっても受忍せねばならん。
それに伴って何が発生し、
飼い主は何をせねばならんかは
上に述べた通りである。

雌猫にかんしても、事情はだいたい同じ
だが、異なる部分についてはまた
機会を改めて述べさせて貰おうと思う。
なお「人猫共存」をめぐっては、吾輩は
ほかにも下記のような記事を投稿して
おるので、ご覧いただけると幸甚である。
・猫と犬ではどっちが賢い?飼うならどちらか動画で検証!
・猫は恩を知る:猫嫌いの人に心を開いてもらう方法?
・「お宅の猫、迷惑よ」と言われる前に:提案したい対策グッズ
本日はこれにて、吾輩は失礼する。
いずれまたお会いしたいものである。
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