山月記の感想文を高校生らしく書く【600字/400字の例文つき】 | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

山月記の感想文を高校生らしく書く【600字/400字の例文つき】

サクラさん
『山月記』で読書感想文
を書くんですが、どう
書いたものか…(😿)

ハンサム 教授
読みながらどんな
こと思いました?


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サクラさん
虎になっちゃったのは
「我が臆病な自尊心と、
尊大な羞恥心」のせい
だと言ってますが、
これ日本語として
変では?(🐱)

Photo-Manipulation-s

尊大な自尊心と、
臆病な羞恥心」なら
わかりますけど…

ハンサム 教授
それ、わざと入れ換え
てるんで、そういう
ところにも詩人らしさ
が見て取れる。

でもそれがやっぱり
二流でたいしたことない
という悲哀もにじみ
出てるかな;^^💦

サクラさん
ほほ~(🙀) そういう
ことなのか…

気づかなかったことに
“羞恥”を感じます(😹)



“羞恥心”なら実は私も
強い方なので、感想文も
それで行ってみるかな…

ハンサム 教授
それだよ、それ!;^^💦 
“自尊恥心”をもって
やりたまえ!


というわけで、”感想文の書き方”の開演
ですが、当ブログのこのシリーズ、
今回でなんとついに第200回“に
到達((((((ノ゚🐽゚)ノ

取り上げるは、お待たせしました、
高校現代文教科書の定番、中島敦の
『山月記』(1942)です。


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👉本文をまだちゃんと読んでなくて
ストーリーがよくわからないという
人は、まずはこちらでしっかり
「あらすじ」をインプットして
おいてくださいね。

中島敦 山月記のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説

         


さて、そんなわけで、本日は『山月記』の
感想文をどう書くか、その高校生レベル
での実例を示した上で、さらにその先へ
進んで、この作品の成り立ちや作者の
周辺について、有益な情報を提供して
まいります。

そんなわけで、内容はザッと
以下のとおり。


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🐯 読書感想文(600字の例文)

はい、ストーリーがしっかり理解でき
ましたら、さっそく感想文に
取り組みましょう。

字数制限600字(400字詰め原稿用紙1.5枚)
ということで感想文のサンプルを作成して
みましたので、まずはじっくりと
読んでみてください。

 「山月記」の主人公李徴は地方の官吏
という地位に満足できず、詩人として
大成しようとして孤独に研鑽するうち、
虎に変身してしまう。

私はそれがなぜ「虎」でほかの動物や
虫などではないのかが気になった。

そもそもなぜ変身したのかについては
「我が臆病な自尊心と、尊大な羞恥
心」のせいだと旧友に説明しているが、
それが理由だとなぜわかるのか、
そこも疑問に感じた。

   Tiger-Predator-s

 これらについて考えながら読み
直して思うのは、李徴は、虎になって
しまった自分を見てから、それまでの
自分が虎にそっくりだったことに
気づいたのだろうということだ。

つまり虎が「強い自尊心をもちながら
臆病で、尊大なくせに羞恥心も強い」
動物だとすれば、それはまさに
自分自身ではないか、と。

生物としてのトラが実際にそうなのか
どうかはわからないが、草むらに隠れて
獲物を狙う様子からは、たしかに
陰険さや「羞恥心」を感じない
でもない。

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 ともかくそういうイメージとしての
「虎」に李徴は一致してしまった
わけだが、それを読んで私自身も
「羞恥心」を覚えた。

誰にも負けたくないという「自尊心」と
同時に、それを人に見透かされたくない
という気持ちも強いので、授業でも
部活でも、積極的に発言して友人と
切磋琢磨するということになると
「羞恥心」から尻込みしてしてしまう
ことが多い。

このままでは私も虎になってしまう
かもしれないので、なんとか
「羞恥心」を振り捨てて積極的に
なろうと思っている。      【597字】

どうです?

うまくまとまっているでしょう。

これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、適宜、換骨奪胎
して(自分らしいものに文章を変えて)
使ってもらうのはかまいませんよ~;^^💦

    

ん? これでは長すぎる?

なにしろ400字以内で書くという
宿題だから?

それなら上の600字でなくてもいいと
思える部分をカットして、ギュッと
縮めればいいんですよ。

たとえばこんなふうに。

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🐯 読書感想文(400字の例文)

小役人の身分に満足できない李徴は、
大詩人になろうと励むうちに虎に
変身してしまう。

私はそれがなぜ「虎」なのか、また
変身した理由が「我が臆病な自尊心と、
尊大な羞恥心」だとなぜわかるのかを
疑問に思って全文を読み返した。

 気づいたのは、李徴は、虎になった
自分を見てから、それまでの自分が
虎に似ていたこと、つまり「強い
自尊心をもちながら臆病で、尊大な
くせに羞恥心も強い」と虎とは、
まさに自分のことだと。

  

草むらに隠れて獲物を狙う虎は
「自尊心」と「羞恥心」を兼ね備えて
いるというイメージに見えなくもない。

その「虎」になってしまう李徴の
物語を読んで、実は私も「羞恥心」を
覚えた。

「自尊心」は人一倍強いくせに、
授業や部活で積極的に切磋琢磨する
ということになると「羞恥心」から
尻込みしてしてしまう性格だから。

このままでは私も虎になるかも
しれないので、なんとか自分を
変えていきたいと思っている。
             【387字】

ほ~ら、これまたウマいもんでしょ?

これももちろん丸コピ(全文をそのまま
コピーして使うこと)は厳禁ですが、
適宜、言葉を変えて自分なりのものに
変形してもらうぶんにはOKです。
👉丸コピがなぜいけないのかは、こちらの
記事を参照してほしいのですが、
大学も高校以下も基本的な考え方は
同じはずです。

大学のレポートでコピペは0点!それでもやる合法的裏技とは?

   


ん? もっと長い800字とか
1200字とかを要求されている?

その場合は、逆に、上記のサンプルで
足りないと思うことを挿入したり、
説明が足りないと思う部分について
言葉を補ったりして、膨らまして
いけばいいんですよ。

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🐯 作者の伝えたいことは?

感想文の内容は、もちろんサンプルと
全然違うものにしてもらって
かまいません。

ただ、もしなるべくいい点数を取ろうとか、
先生に評価されたいとか思っている場合は、
「感想文の王道」を踏み外さないように
した方がいいでしょう。


つまり作品のテーマや作者のメッセージ、
つまり「伝えたいことは」は何なのかを
自分なりにしっかり考えて押さえた上で、
「だから自分は〇〇しようと思う」という
ような自己反省を結論にしていく…。

この「王道」にうまくはまりそうであれば、
どういう内容でもいいわけです。

   

そういうわけですから、いずれにしろ
『山月記』を書いた中島敦が何を考えて
いたのかを考えてみることは欠かせない
わけですが、その場合、気になるのが
古代中国を舞台にしているこの小説の
原話(元ネタ)ですね。

もともとのオオモトは唐の張読による
伝奇小説集『宣室志』の一篇「李徴」
なんですが、中島敦が直接に取材したもの
としては明代の『古今説海』、清代の
『唐人説薈』(『唐代叢書』とも)も
挙げられています。

『唐人説薈』では、これがズバリ「人虎伝」
(晩唐の李景亮の作)という題。

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しかも驚いたことに、そこでの李徴が虎に
なってしまうのは、ある寡婦(やもめ)との
密会と、それを禁じられた腹いせにやって
しまう放火などの悪行への報い(叫び

     

これはまたエラい違いではないですか。

すっかり変えられたこの部分にこそ、
中島敦がこの作品を通して伝えたいものが
込められていると考えるのは、
しごく当然でしょう。

つまりは文学者として生きてきた自己を
振り返って思い当たる「臆病な自尊心と、
尊大な羞恥心」…というあたりだろうと。
👉この「人虎伝」について、より詳しい
情報はこちらでどうぞ。

中島敦 山月記の創作意図は?🐯虎になった理由と原典『人虎伝』

          



🐯 そもそもなぜ”虎”?

あるいは方向転換して、そもそも李徴が
変身する先の動物がなぜ”虎”なのかを
考えてみるというのも面白いテーマかも
しれません。

なぜ象でもカバでも豚でも猿でも犬でも
蝶でもミミズでも竜でも麒麟でも鵺(ぬえ。
猿の顔、狸の胴体、虎の手足、蛇の尾を
もつ想像上の動物)でもなく”虎”なのか?

    

そもそも漢文学(中国の古典)の世界では
“虎”にはどんなイメージや性格・人格
(パ-ソナリティ。もちろん人間が勝手に
想像したものですが)が付与されていたのか。

日本人の受け止め方はそこから
ずれていったのか。

少なくとも『山月記』の中島敦が”虎”に
託したイメージはだいぶ違うのでは
ないか…とか。

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👉また「虎」ばかりでなく、たとえば
桃太郎に従った「犬」「猿」「雉」
の動物たちそれぞれの性格づけ。

犬は犬、猿は猿で、なんとなく
もっともらしいわけですが、そういう
性格って一体なにを根拠に創造(=想像)
されているんでしょうかね?

そのへんの問題はこちらで詳しく検討
していますので、ぜひご参照ください。

熊がかわいいのはなぜ?怖い猛獣にやさしく抱かれ…という心理の歴史

  


はたまた目先を変えて、たとえば狂言師
野村萬斎さんのユニークな試み、
『敦――山月記・名人伝――』なんかを
覗いてみると、面白い発想が浮かぶ
かもしれません。
 

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2015年6月には公演もありました。



🐯 まとめ

ともかく中島敦、たいへん知的で興味深い
作家に違いありません。

中島の本を安く早く手に入れたい場合は
こちらが便利です。

🐯中島敦の本:ラインナップ🐯


さて、これだけ情報があればもう
バッチリ書けますよね、読書感想文。


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?


う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

 

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を
知るには、実際に出品され大臣賞などを
受賞している感想文をじっくり読んで
分析してみるのがいちばんです。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

    

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

 

そちらで解説している「書き方」を踏まえて
当ブログでは多くの感想文例を試作し
提供してきましたが、このほどそれらの
成果を書籍(新書)の形にまとめることが
できましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
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買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

読書感想文 書き方の本はこれだ!サイ象流≪虎の巻≫ついに刊行!!!

     


👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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