サクラさん
2017年のアカデミー賞
授賞式では一度は『ラ・
ラ・ランド』と発表され
た作品賞が『ムーンライ
ト』に訂正されるという
前代未聞のハプニング
が(叫び)…

ハンサム 教授
ミスと思う人はあまり
いないようなミスでした。

なにしろ『ラ・ラ・ラン
ド』は史上最多の14部門
ノミネートで、監督賞・
主演女優賞などの受賞も
決まっていましたから。


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サクラさん
『ムーンライト』の受賞
にショックを受けた人々
からは、純粋な芸術的
評価よりむしろ政治的な
力によるものなのでは
ないかという声も
上がっています。

ハンサム 教授
出演者全員が黒人で
しかもLGBT(同性愛)や
麻薬・校内暴力などを
描いた問題作への授賞は
人種主義や保守的な傾向
への批判をかわすのに
もって来い…




サクラさん
やはりそういう力が
働いていた❔(😼)

ハンサム 教授
いやいや、それは
わかりません;^^💦

ただ英語圏での評価を
見渡すと、『ムーンライ
ト』への授賞を疑問視
する声も多い一方で、
絶賛のレビューも決して
少なくないんです。

サクラさん
やはり作品自体に力が
あると…。

『ムーンライト』がどう
評価されているのか、
賛否両論のレビューを
いくつか紹介してもらえ
ませんか?


というわけで、本日の素材は2017年
アカデミー賞で『ラ・ラ・ランド』を
押しのけて見事、作品賞を獲得した新鋭
バリー・ジェンキンス監督(やはり黒人)の
『ムーンライト』(Moonlight 2016, 👇)。
   

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驚きをもって迎えられた作品賞受賞の
背景には何があり、また作品自体への
評価にはどのようなものがあるのか。

本国アメリカを中心とした英語圏に
飛び交う賛否両論を公平に見渡して
ながら考察して参ります((((((ノ゚🐽゚)ノ

まずどんな映画なのかという概要を
こちらの予告編(日本版の)で
ご覧ください。   👇 
   

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試し見(無料)もできますよ~。
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本日の内容はザッと以下のとおり。


絶賛とブーイング

冒頭の会話で『ムーンライト』のアカデミー
作品賞受賞が一つの衝撃であったかのように
言いましたが、実はこれはジェンキンス監督
以下のスタッフに対して失礼な言い方だった
かもしれません。

というのも同賞でのノミネートは『ラ・ラ
・ランド』の14部門に次ぐ8部門に上って
おり、脚色賞と助演男優賞(マハーシャラ・
アリ)はすでに受賞が決まっていました。

であれば、作品賞が『ムーンライト』の
方へ行ったとしても、そう驚くような
ことではなかったはずなのですね。

      

その他の映画賞でも、ゴールデングローブ
賞で作品賞(ドラマ部門)、インディペン
デント・スピリット賞では作品賞のほか
監督賞・脚本賞など5部門で、全米映画
俳優組合賞で助演男優賞(アリ)を授賞する
など、数々の受賞とノミネートに輝いて
いるのです。

ちなみにこの年の日本アカデミー賞の
最優秀外国映画作品賞は『ラ・ラ・
ランド』で、『ムーンライト』は毎回
5本挙げられる優秀外国映画作品賞
にも入っていません(『ダンケルク』
『美女と野獣』などが入選)。

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そんなわけで、日本でのウケはイマイチ
としても国際的には非常に高い評価を
受けた映画だといえるのですが、それでは
一体どこがどう素晴らしいのか❔❓

「本国版」の予告編では、メディアからの
批評の言葉を交えながらそれをかなり
雄弁に語っていますので、ぜひじっくりと
字幕にも目を凝らしてご覧ください。 👇



ご理解いただけましたね。

英語圏のメディアではザッと以上の
ような賛辞が浴びせられているのです。


が、その一方で、この高い評価に異を
唱え、むしろ酷評する声も小さくない
ことは冒頭でもふれたとおりです。

『ムーンライト』を賞賛する批評家は
間違っており、これは「退屈で的外れな」
(boring and pointless)作品だと
断じたのは『スペクテーター』の
批評家メラニー・マクドナフ。
(👉 The Spectator)

また「オスカー釣りの映画」(‘Oscar
bait’ movie)の一つだとにべもなく
切り捨てたのは『パルプフィクション』
などで知られる個性派の黒人俳優、
サミュエル・L・ジャクソンでした。
(👉 IndieWire)

つまり黒人社会でのLGBT問題という
素材自体にオスカー狙いが透けて見え、
アカデミー賞の審査委員たちもそこを
忖度(そんたく)しての授賞だと…

いや、そう明言しているわけでは
ありませんが、そのあたりを匂わせる
発言と受け取れます。


批評家や俳優など映画人の間での評価が
このように真っ二つに割れている
『ムーンライト』ですが、それでは
特に専門家ではない一般の人々の評価は
どうなのか、次ではそのあたりを
探っていきましょう。

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海外の一般映画ファンの評価は?

一般の人々の評価を知るのに手っ取り早い
のがIMDb(Internet Movie Database:
インターネット・ムービー・データベース)。

映画・テレビ番組・俳優・芸能人・ビデオ
ゲーム関連の情報を配信する英語圏で最も
有力なオンラインデータベースです。

このサイトで集計した『ムーンライト』
評価(会員による10段階評価の集計)の
平均は☆7.4個で、『ラ・ラ・ランド』
の8.0個に引けを取っていることは
たしかです。
👉『ラ・ラ・ランド』の内容や
その評価の状況については、
こちらで詳しく情報提供して
いますので、ぜひご参照ください。

ララランド あらすじ【ネタバレなしで簡単に】&英語つき 結末まで詳しく

ララランド(映画)の評価は?ラストで分かれる好き嫌い…海外でも?

         
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で、『ムーンライト』評価の内訳を
みますと、☆10個をつけたレビューが
190(全体の20.9%)でやはり最多。

☆9個以下で数値は徐々に減少して、
☆3個で底をついて37(4.1%)で、
☆1個は124(13.7%)となっています。

ここで☆10個(20.9%):☆1個(13.7%)
の比を褒貶比(ほうへんひ)と呼ぶことに
しますと、これが概数で「7:4」ぐらいに
なります。
👉褒貶比はここで私が勝手に
でっちあげた造語です;^^💦

つまり「毀誉褒貶」の「褒貶」──
褒めると貶(けな)すと──の人数の
度合いがどれくらいかを示す指標
として使えると思っています。


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この褒貶比を近年の他の人気映画で
見ていきますと、たとえば2019年の
映画賞を総なめにした『ジョーカー』
では56.5%:5.3%で、およそ「21:2」
ですから、これは絶賛が悪評を圧倒
しているといっていいでしょう。

今を時めくクリストファー・ノーラン監督
作品はどうかといえば、『インセプション』
(2010)では43.6%:6.3%の「7:1」と
これもさすがですが、『ダンケルク』
(2017)になると18.9%:13.4%で「7:5」。

『ラ・ラ・ランド』はこれが29.9%:12.0%
の「5:2」ですから、『ムーンライト』の
褒貶比「7:4」は『ダンケルク』には一歩を
譲るものの、『ラ・ラ・ランド』を
大きく上回っているといえますね。

つまり絶賛されている一方で、酷評も
また多い作品だということになります。
(👉 IMDb 2020.07.19閲覧)
👉引き合いに出しました『ジョーカー』
『インセプション』『ダンケルク』の
内容や評価をめぐっては、こちらを
ご参照ください。

ジョーカー(映画)のあらすじ⦅ネタバレなし⦆&⦅あり⦆で詳しく紹介

         

インセプション(映画)のあらすじを簡単に【 &詳しくネタバレ解説】

インセプション(映画)の評価!海外でも絶賛だけ?不評のポイントは?

                 

ダンケルク(映画)のあらすじ(ネタバレなし)&⦅あり⦆凝った編集を解説

ダンケルク(映画)の評価は?海外でも「つまらない」の声がもっぱら?

        


「政治的に正しい」授賞?
:IMDb☆1個のレビュー

さて以下では、『ムーンライト』の褒貶比
「7:4」の「7」すなわち上記”IMDb”で
☆10個をつけた190人と、「4」つまり
☆1個しかつけなかった124人のそれぞれの
レビューをいくつかずつ紹介することを
通して、この映画についてより立ち入った
考察を加えていきたいと思います。

☆10個のレビューと☆1個のとをそれぞれ
“Helpfulness”(役立ち度)順に並べ換えた
場合に上位に出てくるレビューから、
他のレビューとも共通点の多い平均的な
意見と思われるものを訳出してみます。

アカデミー賞決定直後、2017年2月の
eev7627さんの投稿です。

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 オスカーに値せず、退屈で安っぽい
 
どうしてこんな政治的なクソが
オスカー作品賞を獲れるのか。

答えはそれが政治的メッセージを
伝えるものだからで、過去8年
オスカーでは同様の経験をしてきた。

でも映画はすべて芸術だと
思いだしてほしい。

『ムーンライト』からあなたは何を
学ぶだろう──ドラッグ売り、売春、
成長してリッチな売人になる方法?
〔中略〕
(この映画の受賞は)「私たちが
たとえそう思わなくても、
『ムーンライト』を選ぶことで
政治的に正しい判断を
しなければならない!」と
見せつけているのだ。

それはすべて覆いをかぶって
生きるような話だが、私は
覆いの中で生きない。
人々は自分の人生を生きようと
望む必要がある。
〔中略〕
『ムーンライト』はどん詰まりだ。
またかよ!


注釈しますと「政治的に正しい」
(politically correct)というのは
1980年代からの新造語で、いかなる
差別も偏見も含まないという意味での
「正しさ」を強調するスローガン。

下のような本も出ていますので、
詳しくはそちらで。

   
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ともかく『ムーンライト』への授賞は
審査委員たちの「政治的に正しい」判断に
よるものであって、作品自体は芸術的に
「クソ」だというのがこの投稿者の
見方です。

また「覆い」の原語は”hood”で、アメリカ
のスラングで”neighborhood”(近隣地域)
のことを言う場合もありますので、その
ニュアンスも混じっているかもしれません。


ではもう一つ、やはりこの”hood”の語を
使っていて、「政治的」云々より芸術的に
見て「クソ」だという部分にも多少
立ち入ったレビューを見ておきましょう。

上記のものと同月のriproar-8326425
さんのレビューです。

   時間の無駄
 
映画はタフな環境でゲイに育っていく
黒人少年の話であり、それだけだ。

ただビーチにすわっていたり、
結局どこへも(ANYWHERE)
行きつかない会話があまりに多い。

全体として、映画は”hood”(近隣地域)
での生活についての、かなり味の薄い、
表面的な絵を描いていくという、使い
古されたフォーマットに従っている。

黒人女性の性格造型は
ステレオタイプ的だ。

この映画のポイントや要約を
これ以上書くことは正直言って
できない。時間の無駄だから。

なぜこれに賞が?

アリのすぐれた演技は別として、
私には理解できない。

     
     子供時代の主人公(アレックス・ヒバート)と
       その父親代わり的人物(マハーシャラ・アリ)



会話は総じて少ないのですが、それらに
しても「ブツブツいう(mumble)セリフが
多くて75%は聞き取れなかった」という
レビューもあり、聞き取れてもそれらが
「結局どこへ行きつく」のか(何のために
その会話があったのか)わからないままに
終わる…
という戸惑いを表明したレビューも
少なくありません。

でも、この「よくわからないままに終わる」
…つまりオープン・エンディングである
ところもまた『ムーンライト』を評価する
人には、イチ押しのポイントになって
くるんですね。

というわけで、☆10個をつけたレビュー
の方も覗いていきましょう。

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LGBT成長物語以上の”芸術”
:IMDb☆10個のレビューから

まずは、上に見たような否定的なレビュー
の多さに失望したという、2018年4月の
sarahdsilvas11さんの投稿。

 芸術的センスなく主要登場
 人物を理解しない人は、
 この映画を好かないだろう


(否定的レビューは)正直言って
無知から来ている。
 
この映画はアクションものでも
お笑いでもなく、見守らせ、
聴かせ、そして少し泣かせる
かもしれない作品だ。

少なくともそれが意図された
映画だと私は思う。

私はこの映画のありのまま
すべてが好きだ。

いいですか、観客を放り出すような
ラストだけれど、でもそれは
何らかの優しい気持ちを奪い去る
ようなものではないのだ。

必見の作品。一心不乱に見よ!

 
            

『ムーンライト』に感動しない人は
いわば”芸術オンチ”なのかもしれない。

そして物語が「結局どこへ行きつく」のか
わからないままに終わる、あの曖昧な
ラストを含めて、素晴らしい作品として
堪能した人も少なくない…

そのことを教えてくれるレビューでしたが、
もう一つ、ラストのわかりにくさについて
さらに突っ込んだ感想を述べている
レビューを紹介しましょう。

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こちらは劇場公開直後、賞レースなどは
まだ始まらない2016年11月の「自己発見
には時間がかかる
」と題した
bardia-moose2さんのレビュー。

「ありきたりな語り方から離れて詩的に
なる」ことを恐れなかったジェンキンス
監督をたたえ、映像・音楽・演技の
洗練度をかなり精細に指摘した上で、
さらにこう論じています。

しかしこの映画の最も称賛に
値する部分はそのオープン・
エンディング性にある
かもしれない。

それは単純なカテゴリー化と
概括に対する戦いである。

『ムーンライト』はゲイとしての
成長を描きはしても、はるかに
それ以上のものだ。

それは不運を克服すること、
環境の産物ではあっても、
どんな人間になりたいかを
自分で思い描いていくことに
ついての映画なのだ。 

自己発見には時間がかかり、
そしてそれは誰もが人に語る
ことのできる何かである。

        


サイ象の評価

さて、いかがでしょう。

『ラ・ラ・ランド』を押しのけて横取り
してしまったかにも見える『ムーンライト』
のオスカー作品賞受賞は、「政治的に
正しい」と見られたいハリウッドの
歪んだ姿勢の表れなのか。

それとも、そんな”裏”は全然なくて、
『ムーンライト』は純粋にその芸術性に
おいて『ラ・ラ・ランド』を上回ると
考えられたのか。


このような問いへの正解が出て来る
ことは永久にないでしょう。

思えば個々の映画を評価するのに
いちいちアカデミー賞審査委員会の
判断を気にかける必要などなく、
各自が良いと思う作品に良い点を
つければよいのです。

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ん? そういうお前は『ムーンライト』
に☆を何個つけるのか…ですって❔

はい、私は惜しみなく☆10個を
配給します。

『ラ・ラ・ランド』への配給は9個
でしたので、アカデミー賞審査委員会
と同じく、『ムーンライト』に軍配を
上げたことになります。
👉『ラ・ラ・ランド』への評価を
めぐっては、すでに紹介済みの
こちらの記事をご参照ください。

ララランド(映画)の評価は?ラストで分かれる好き嫌い…海外でも?

             


軍配の理由は?

なかなか微妙ではありますが、冒頭近くの
「本国版」予告編動画に出ていた賞賛の
言葉を借りれば、「心の奥底から揺さぶ
られる」というか、主人公の「心の奥底に
入り込んだ感覚にさせられる」度合いと
いったところで『ムーンライト』は『ラ・
ラ・ランド』を(私にとっては)上回って
いたから…
ということになるでしょうか。


もちろんここには、人種の違いと
それにまつわる「ステレオタイプ」
(固定的イメージ)の問題が絡みます。

実際、主人公の母親など黒人女性の
描き方は「ステレオタイプ」にはまって
いるとの批判もありました。

 
  日本人の「ステレオタイプ」にもとづいて
  造型された『ティファニーで朝食を』(1961)
  の登場人物”ユニヨシ”



ただ、小学生・高校生・成人後と3人の
俳優で演技がリレーされる主人公に関する
かぎりでいえば、「ステレオタイプ」の
殻を突き破って「心の奥底」を覗かせる
ことに成功しており、その意味で稀有の
作品と思われるのです。

『ロサンゼルス・タイムズ』に寄稿した
中国系の批評家(写真で見るとアフリカ
系の血も引くらしい)ジャスティン・
チャンいわく

(この映画は)彼の過去の外見や
アイデンティティの表面的な
符牒について、それらを超えた
見方をし、慣れ親しんだステレオ
タイプの内側に入り込んで
それらを静かに解体するよう、
観客に強く促してくる。

👉出典はこちら。Los Angeles Times

なおほぼ同じ部分が日本版Wikipediaで
訳出されていますが、誤訳を含む意味
不明の日本語になっていますので、
それを読んで考え込まないように
してください。


アフリカ系アメリカ人の「心の奥底」に
どの人種の人をも導きいれる世界を、
驚くほど美しい映像と音楽とで渾然一体
の芸術品に仕上げたこのような作品の例は
映画史上かつてなかったと言って間違い
なさそうなのです。
👉上記”ユニヨシ”の登場する
映画『ティファニーで朝食を』に
ついては、こちらで詳しく
情報提供していますので、
是非ご参照ください。

ティファニーで朝食を あらすじ//原作小説は映画とどう違う?

        


まとめ

さて、これだけの情報があれば
もうバッチリですよね。

誰かさんにちょいと知ったかぶりを
してやろうかという場合も、
あるいは感想文やレポートを書こうか
という場合も…。


ん? 書けそうなことは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、ぜひこちらを
ご覧くださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の
文学や映画の作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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