リリーのすべて 鼻血/下半身/死因…5つの《?》実話(原作小説)と映画の違い

リリーのすべて 鼻血/下半身/死因…5つの《?》実話(原作小説)と映画の違い

サクラさん
体は男だけど心は女とか
あるいはその逆とか……
性自認に問題を抱える
トランスジェンダー
人が性別適合手術
受けるのは今や珍しい
ことではありませんね。

ハンサム 教授
その種の手術を受けた
世界最初の男性とその妻
の苦闘を描いた映画が
『リリーのすべて』。


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サクラさん
結婚もしてうまく行って
いたした男性が、ある
きっかけから、もともと
自分の中に潜んでいた
《女性》に目覚めて
しまうんですね。





ハンサム 教授
ええ。主演のエディ・
レッドメインはシス
ジェンダー
(性別安定
者)の自分がこれを演じた
のは間違いだったとも
発言しているようです。

サクラさん
それはあまりにも厳しい
自己批判ですね。

ハンサム 教授
その後『ナチュラル
ウーマン』(2017)、
『Girl/ガール』(2018)
など現実にトランス
ジェンダー
である
俳優によって演じられ
始めたことが大きい
でしょうね。

サクラさん
そうなんだ~(🙀)

『リリー』を観ていると、
そこはなぜそうなるの❓
……とか、疑問の残る
部分もいくつか
ありました。

ハンサム 教授
なるほど。それでは
原作になった小説とも
照合しながら、疑問点を
解明していきましょう。

サクラさん
え? 原作は小説?

実話じゃないんですか?

ハンサム 教授
基本的には事実に
基づいているものの、
小説的フィクションも
かなり混じってます。

そこも気を付けないと
いけない点ですね。


というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第249弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第336回)となる今回は
アカデミー賞、ゴールデングローブ賞など
各賞の監督賞・主演女優賞・主演男優賞等々
数々の受賞に輝くアメリカ・イギリス・
ドイツ合作映画『リリーのすべて』(2015、
The Danish Girl,トム・フーパー監督 👇)に
取り組んでみま~す((((((ノ゚🐽゚)ノ


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デイヴィッド・エバーショフ著『リリーのすべて』
(The Danish Girl日本語版)⦅広告⦆
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未見の方は、映画予告編をこちらでどうぞ。
   👇  

さて、そんなわけで、本日の内容は
ザッと以下のとおり。



それではまず、映画のあらすじをやや詳しく
【起】【承】【転】【結】の四部構成で
述べて行きます。

その途中、アレ?と思われそうなところ
とか、原作ではどうなっているの❓
といった疑問の湧きそうなところには、
👉➊のような印をつけていきます。

その下線部をクリックすれば、後半の
映画から浮かぶ《❓》【実話(原作小説)
との違い】
」でまとめてある違いの理由・
背景の解説➊~➎に飛んでいける
という仕組みです。

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かなり詳しいあらすじ
ネタバレあり】

以下ではあくまで映画に則してストーリーを
追い、原作との違いなどに言及する場合は
👉印で注釈を入れて参ります。


【起】仲睦まじい画家夫妻

1926年。
コペンハーゲンの画家夫妻ヴェイナー
(Wegener)は、結婚して6年になる。

すでに名高い若手の風景画家のアイナー
(Einar/エディ・レッドメイン)は自宅で
絵筆をとる時も👉➊とても高い襟
(カラー)のシャツにスーツ、上着を脱いでも
ネクタイ・チョッキに身を固めている


   


妻のゲルダ(Gerda/アリシア・ヴィキャン
デル)は有力者の肖像画などで稼いでいる
ものの、芸術家としてまだ自分に
納得できていない。

個展を開催しようと画商に売り込んでも、
「自分に合ったテーマではないのでは?」
と批判される。

性の交わりには互いに積極的で、子供も
ほしいが出来ないまま、愛犬と暮らす。


ある時、絵のモデルとして来るはずだった
バレリーナのウラ(アンバー・ハード)に
ドタキャンされて、ゲルダは代わりに
アイナーにモデルを頼み、ストッキングを
履かせ、さらにドレスを抱きかかえさせる。




言われるままに、女性らしいポーズを
取るうち、アイナーは妙に官能的な
感覚を覚え、胸騒ぎさえするらしい。

そこへウラが現れて大笑いし、持参した
百合の花束を渡して「あなたの名前は?
リリー(百合)よ」と言い、頬にキスする。


夜、ベッドでゲルダがアイナーがシャツを
脱がすと、その下にゲルダのシュミーズを
つけているので驚く。

アイナーの女性としての美しさに感動した
ゲルダは彼の肖像画をさかんに描き始める。

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【承】リリー(男の中の女)の出現

舞踏会への招待を受けたゲルダは、
乗り気でない夫をその気にさせようと、
別人──たとえば「リリー」──になって
ゲーム感覚で行けばいいと言い出しす。

強引に彼に化粧させたりし始めると
アイナーもその気になり、歩き方などの
レッスンもした上で、着飾って舞踏会へ。

ウラは一目で見抜いて「リリー」と
呼びかけ、アイナーは踊らずに着席して
いてたが、男の視線を集め、ヘンリク・
サンダールという画家に話しかけられる。

アイナーの従妹のリリーだと名乗ると
ヘンリクは「僕らはともに『影』を持つ
人間だ」などと言い、室外へ連れだして
キスし、アイナーもこれを受ける。

すると、👉➋アイナーはかなりの量の
鼻血を出して
倒れそうになり、キスの現場を
見ていたゲルダに連れ帰られる。




翌日、このキスを問題にしたゲルダに対し、
アイナーはあれは自分ではなく「リリー」の
したことだと本気で弁解し、それならもう
「リリー」は出さないようにしようという
話になる。

妻に突き放されたアイナーは劇場の裏の
女性更衣室のようなところへ入り込み、
鏡に全裸の自分を映し、やがて
👉➌下半身の余計なものを股に
挟み込んで
見直し、女性らしくなった
自分を喜ぶような笑みを浮かべる。
👉このシーンを切り取った動画がこちら。
1分40秒を過ぎたあたりからご覧に
なれます;^^💦



その場で女装して「リリー」になった
アイナーはヘンリクに会いに行く。


こうして女性美を増していく夫をモデルに、
ゲルダは、独自の芸術世界を切り開き、
画商も一驚して、これなら「売れるかも
しれない」から取り扱うと言う。

ヘンリクのアパートを訪れたアイナーは、
そこでキスしながら下半身に手を伸ばされ、
また(「リリー」でなく)「アイナー」と
呼ばれたので、素性を知られていたことにも
衝撃を受け、取り乱して女装のまま帰宅。

そこへ帰ってきたゲルダに、彼は涙ながらに
ヘンリクと会っていたこと、リリーの出現を
抑えられないこと、そして男性とのキスは
少年時代、男友達のハンスともしたことが
あると話す。

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【転】リリーがアイナーに
取って代わる

夫を一種の病気と考えたゲルダは、
有名な医師の診察を受けさせる。

問診に対し、夫婦の性交渉はあったが、
「今はあまり……」などと答える
アイナーに、医師は「悪いところを治す」
効果があるという放射能を局部に当てる
治療を試みるが、アイナー自身の予想通り、
なんの効果もない。

後日届いた診断結果はたんに「性的倒錯」
というものだった。


アイナー・ヴェイナー/リリー・エルベの肖像写真

一方、リリーを描いたゲルダの絵は
よく売れてパリで個展を開くことになり、
ゲルダは渋るアイナーを連れてパリへ。

アイナーはそのパリで風俗店などで魅惑的な
女性を観察して自ら女を磨く喜悦に浸り、
ゲルダから絵を描けと言われても
その気が起らず、妻の助手の身分に
甘んじる。

つまり多重人格的に交替するらしい
「アイナー/リリー」の比重は、どんどん
「リリー」の方に偏っていくようなのだ。
👉このころのゲルダ・ヴェイナー
(デンマーク語原音ではゲアダ・ヴィーイナ)
が描き、よく売れていた絵画は、
荒俣宏さんによって蒐集され、
下記の本に多数収載されています。

表紙ももちろんその一つで「疲れた
ガルソリエール」と題した1915年の作。

コトの始まりを1926年としている映画とは
つじつまが合いませんが、これも映画や
その原作(エバーショフの小説)が事実を
だいぶ改変していることの一例。


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リリーの絵で評判を取り、個展も盛況だった
ゲルダは、かつてアイナー少年がキスをした
ハンス・アクスギルが今、パリで画商に
なっていると知り、面会して事情を話し、
友達として助けてほしいと頼む。

三人での一席を設けるも、アイナーは来ず、
ゲルダがハンスを連れて帰宅すると、そこに
美しく着飾ったリリーがいて、ハンスを
歓迎し、思い出話を始めるも、泣いて中座。


二人きりになると、ゲルダは「自分には夫が
必要だから、アイナーに戻ってほしい」と
真剣に頼むが、リリーはつらそうに「もう
それはできなくなった」と告げる。

「夫」の喪失を自覚したゲルダはハンスの
はアパートへ行き、抱き合う。

その後、食事に誘われ、一度は「私はまだ
アイナーの妻」と断るも、徐々に二人は
親交を深める。


【結】世界初の性別適合手術へ

アイナーはゲルダやハンスの勧めで何人かの
医者の診察を受けるが、
👉➍診断は結局、「同性愛」
「精神分裂」など全く納得の
いかないものばかり


が、最後の試みとしてゲルダは、以前、
ウラからも聞いていたドレスデンの名医、
ヴァルネクロス博士の診察を受けさせる。

博士は、男から女へと性を転換してしまう
世界にまだ成功例のない外科手術を提案し、
命の危険を覚悟でアイナーはこれを受諾。
  

手術のため、アイナーは一人でドレスデンへ
行くと言い張り、心配するゲルダはゲルダは
別れ際に自分のスカーフを渡す。

ハンスから「やはり行くべきだ」と言われた
ゲルダが病院に着いた時には、アイナーは
1回目の手術を終えたところで、体調は
悪くない。

2回目の手術までの体力回復期間を
デンマークで過ごそうというアイナーの
提案から、二人はコペンハーゲンへ戻り、
彼はデパートガールとして香水売り場で
働き、好評を得る。

再手術の時期が来ると、同行するかためらう
ゲルダに、彼はほとんど命じるように
「来てほしい」と言う。

ドレスデンでの手術は終わったが、
アイナーの衰弱は甚だしく、博士も
命の危険を認める。

遅れてハンスも到着し、二人に付き添われて
車椅子で戸外へ出たアイナーは、うとうと
して目覚めると、「自分が生れたばかりの
赤ん坊で、母親からリリーと呼ばれた」
という夢の話をし、微笑みながら
息絶える(ドクロ)。
👉前出の荒俣著によれば、手術は
合計4~5回。

映画が2回で終わらせたのは物語展開を
スピーディーにするための改変と思われ
ますが、最期にアイナーが語る夢の内容は
ホイヤーの伝記に書きとめられている
ものと同じです(荒俣著、p.289)。


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映画から浮かぶ5つの《❓》
【実話(原作小説)との違い】

さてここからは、上記「あらすじ」中の
ところどころ、➊~➎の印をつけて
きました映画と原作とはこう違うという
5つの注目部分について、その違いの内容や
変えられたことの意味・理由について
多角的な考察を加えていきます。


➊アイナーはなぜ家でも正装している❔

これ、始まって早々、誰もが奇異に感じる
ことの一つでしょうが、エバーショフの
原作本には言及がありません。

ということは、アイナーも妻のゲルダや
たいていの画家と同じく、仕事中は絵の具で
汚れてもかまわない簡便な服に身を包んで
いるということなのでしょう。

映画はそこを大きく改変したわけですが、
それはやはり、日本語の慣用句でいう
「身を固める」ことにほかなりません。

これに徹することで、自身のどこかに
潜んでいる女性(リリー)をガッチリと
抑え込むという(無意識の)衝動……
云々の表現として採り入れられたものと
思われます。

そのことは主演のレッドメイン自身が
この動画(👇)の半ばで雄弁に語っています。


この後ヘンリクに下半身に手を伸ばされて
慌てるシーンがありますが、あれもおそらく
男性器を股に挟み込んだ状態のままである
ことが一因でしょう。

というのも映画では描かれませんが、小説に
は「ペニスを股の間に押し込むと、そこを
テープで固定した」(ハヤカワ文庫、p.120)
とありますので、かなり不自然で
窮屈な状態。

ヘンリクには好意をもっているわけです
から、勃起もありえますし、そうなると
それは慌てますよね。

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➋大量の鼻血はなぜ❓

このシーンでの鼻血、かなり大量に流るの
ところが、やや不思議です。

つまり何かとの接触・打撲とか、何らかの
興奮で鼻から出血するとしても、普通は
少量で、すぐ止まりますよね。

映画ではこのシーンだけだからわかりにくい
のですが、実は小説ではアイナーの出血は
この時にとどまらず、しかも鼻からばかり
ではないのです。

「ももの内側」を流れ落ちるという描写
(同上、p.198)がありますから、おそらく
性器からも出血しているのですね。

    

👉【転】リリーがアイナーに取って
代わる
」で紹介した荒俣宏さんの本は、
エバーショフの小説と同様、ニールス・
ホイヤーによる伝記(1931)に多くを依拠
しているものと思われますが、
その荒俣著によれば「鼻から大量の出血」
が起こったのはダンスの稽古中のこと。

それ以来、彼を襲った出血は「まるで女性の
メンスみたいだ」と周囲の人に言われ、
アイナー本人もこう考えるに至ります。

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自分の中に男女が同居している
気がする。

しかも、女性の方が勢いがよく、
男の自分を吸収してしまう勢いだ。

私はどっちに味方すればよいのか、
しかし、放っておけば、やがて
両方が死ぬだろう。   (p.146)



ニールス・ホイヤーによるアイナー=リリー伝
Lili:Portrait of the First Sex Change
(最初の性転換者の肖像),
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そしてこのことと決して無関係ではない
驚くべき事実が、やがて病院での
X線検査によって明らかになります。

すなわち、エバーショフの小説では未発達な
「ひと組の卵巣」が、荒俣著(p.179)では
「委縮した子宮」が発見されたのです。

また小説ではそれ以前、パリに移住した
ころからの現象として「胸のあたりの筋肉が
やわらかく、ふっくらとして」きて、水着の
カップにもきれいに収まるようになっていた
というのです(p.198)。

これらのことから、アイナーは生まれつき
いくぶんか《女性》でもある男性
──昔からの言葉でいえば「半陰陽」──
だったと言うほかありません。

現代医学の用語でいえば、通常の男性の
性染色体(XY)よりX染色体が一つ多い
「XYY」の形を取る「クラインフェルター
症候群」ということになります(荒俣著、p.198)。

➌鏡に映ったアイナーの下半身は❔

【承】リリー(男の中の女)の出現」に
挿入した動画からお分かりの通り、
「下半身の余計なもの」はもちろん
男性器(陰茎と陰嚢)。

子供のころこういうことをやってみた経験の
ある男性も少なくないのではない
でしょうか。

それにしてもこの場面、ひと昔前の日本の
DVDなどでは(あるいは現在でもテレビ放映の
場合は)ボカシをかけられてしまいかねない
ところで、そうなると何をやってるのか全く
わからなって、作品の芸術性は大いに
損なわれることになりますね;^^💦
👉現実に「ボカシ」のせいで芸術性を
大いに損なってしまったDVDも
少なくありません。

ブラッド・ピット主演の『ファイト・
クラブ』(1999)もその一つでしたが、
これはその後に発売されたブルーレイで
「ボカシ」がなくなったのが不幸中の
幸いでした。

詳しくはこちらで。

ファイトクラブ 原作小説と映画との違い⦅結末まで英語原文で考察⦆




このあとアイナーはヘンリクに下半身に手を
伸ばされて狼狽しますが、あれもおそらく
男性器を股に挟み込んだ状態のまま坐って
いることが大きな要因でしょう。

というのも映画では描かれませんが、
小説には「ペニスを股の間に押し込むと、
そこをテープで固定した」(同上、p.120)と
ありますので、かなり不自然で
窮屈な状態。

好きで付き合い始めたヘンリクとキスすれば
勃起してもおかしくありませんし、
そうなると痛みも発生しかねません。

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➍同性愛でも精神分裂でもなくて何なのか❔

舞踏会でキスしたことで鼻血を誘発した
ヘンリク・サンダールが同性愛者だった
(つまり初めからリリーを男と見ていた)
ことは、映画の後半で明らかになりますが、
そのヘンリクとキスを楽しんだから
といって、アイナーを同性愛者と断定する
わけにもいきません。

本人もそれをきっぱりと否定しています。

つまりアイナーという男の中の女(リリー)が
ヘンリクらの男を愛するのだから異性愛者に
違いないのだと。

     

では、人格が男と女とに分裂しているから
「精神分裂症」(今は「統合失調症」と呼び
変えられている)かといえば、そんな単純な
話ではなく、それらしい症候も
見られません。

それなら、もしアイナーがもし病気だとして
それを何と呼ぶべきかというなら、かつて
解離性同一性障害(Dissociative Identity
Disorder:DID)──かつては多重人格障害
(Multiple Personality Disorder:MPD)
と呼ばれていた──に分類されるのではない
でしょうか。

アイナーの場合は、リリーという別人格の
出現による「解離」なのですが、それが
彼の場合、体内に卵巣ができていたという
形で、先天的に「半ば女性」(半陰陽)で
あったことに誘発されていたわけです。
👉解離性同一性障害(多重人格障害)の
人物を物語化したとみられる文学・映画は
『ジキルとハイド』のスティーブンソン
からダニエル・キイス、東野圭吾まで
枚挙にいとまがないほどです。

これらの作家・作品についてはこちらで。

ジキルとハイドのあらすじ:スティーヴンソン原作を簡単に…        

   


アルジャーノンに花束を(キイス原作) あらすじ ネタバレ注意



東野圭吾 秘密のあらすじ⦅ネタバレあり⦆妻が娘で娘が…???

      whisper-408482_640



➎死因となった2度目の手術とは❓

【結】世界初の性別適合手術へ」の
注釈でもふれたように、事実としての
手術は4~5回に及んだと見られます。

1度目の手術は要するに男性器の切除で、
2度目にはすでに子宮の移植──荒俣著に
よれば、健康な27歳の女性からの(p.209)
──に成功しています。

3度目以降、何をどうしたのかの詳細は
不明ですが、ともかく「膣」や「卵巣」を
完備して、妊娠出産を実現できる《完全な
女性》たらんとしたもののようです。

   


性別適合手術(「性転換」という呼称は
今では不適切とされるようです)は今日では
件数が大いに増えており、命を落とす
危険などあまり考えられなくなっている
ものの、それでも、それに踏み切るには
相当な苦痛に耐える覚悟が必要とされる
ようです。

男性から女性への性別適合手術を経験された
青木歌音さんの報告を聴いてみましょう。👇


手術の第二段階がいかに苦しいものかが
よくわかったと思いますが、さて、
これをなんとか乗り越えた場合、はたして
パートナーとの性行為なども円滑に
行えるものなのでしょうか。

まるまるいちかさんがそこのところを
赤裸々に語ってくれています。👇



トランスジェンダー
トランスジェンダーを演じる
──『リリー』以後の映画

『リリーのすべて』では主演のエディ・
レッドメインが、自身はシスジェンダー
ありながらトランスジェンダーの主人公を
演じたことを間違いだったと言っている
という話が冒頭の会話に出ていましたね。

この自己批判にはおそらく、『リリー』
以後、実際にトランスジェンダーである
俳優がトランスジェンダーの主人公を
演じるという映画が続々と制作され、
しかも高い評価を受けてきていることが
大いに関わっているように思われます。

その代表的な作品として、トランス
ジェンダーの歌手ダニエラ・ベガが主演した
2017年チリ・米・独・西合作映画
『ナチュラルウーマン』(A Fantastic Woman,
セバスティアン・レリオ監督。アカデミー賞
外国語映画賞,ベルリン国際映画祭銀熊賞
[脚本賞])があります。
   👇

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この映画では、すでに性別適合手術を受けて
女性になった人が主人公ですが、2018年の
ベルギー映画『Girl/ガール』(Girl,ルーカス・
ドン監督。カンヌ国際映画祭カメラ・ドール
[新人監督賞],「ある視点」賞など受賞)は、
これから受けようとするバレエ練習生が
主人公。

リリーがしていたような「テーピング」を
して練習に臨むララ(本名ビクトールで、
これは主演俳優の名でもあります)の姿が
大変痛々しく、けなげで、心打たれます。

予告編をどうぞ。👇



まとめ

さて、いかがでした?

ともかくこれくらいの知識・情報が
あれば、もうバッチリでしょう、
こと『リリーのすべて』に関するかぎり。

誰かさんにちょいと知ったかぶりを
してやろうかという場合も、あるいは
読書感想文やレポートを書こうか
という場合も。

ともかく『リリーのすべて』は性自認
トランスジェンダー性別適合手術……
といった現代的主題に切り込んだ
物語内容においても、驚嘆すべき
俳優たちの演技においても、
映画史に残っていく傑作の一つに
違いありません。
👉『リリーのすべて』の近辺にある
同性愛・異性装などLGBTQ関連の
テーマを扱った映画や小説は、
当ブログでも積極的に採り上げて
きました。

下記の記事で詳しく情報提供・考察して
いますので、ぜひご参照ください。

十二夜(シェイクスピア)のあらすじ【人物相関図つきで詳しく】

お気に召すまま(シェイクスピア)のあらすじ⦅”男”ロザリンドの恋愛学⦆

   


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これでもうバッチリですよね。
感想文だろうとレポートだろうと、
何を書けと言われた場合も。

ん? 書けそうなことは浮かんできた
けど、具体的にどう進めていいか
わからん( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、ぜひこちらを
ご覧くださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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