ジュリアスシーザー(シェイクスピア) 12の名言!英語原文つき解説
ザー』といえば、
刺されたシーザーの吐く
セリフ「ブルータス、
お前もか」が有名。
これ、原文では
なんと?
ないじゃないですか。
シェイクスピアがなぜ
そうしたのかは不明です
が、ともかくその後、
英語の中でもこれを
言うのがフツーに
なったのです。
続けて「なら死ね、シー
ザー」と言いますね。
これ、ブルータスになら
殺されていもいい
ということ?
していた…
ということかな。
ブルータスって
ひどくないですか?
ぬいていて、その苦悩と
悲運は次に書かれる
『ハムレット』に
そっくり。
だから名言はその
ブルータスからも、彼を
追い詰めるアントニー
からもどんどん
出てきます。
というわけで、シェイクスピア劇の
“名言・名セリフ 原文つき解説”
シリーズもなんと第9弾。
今回はシェイクスピアが”四大悲劇”の
時代に入る直前の歴史劇で悲劇としての
評価も高い『ジュリアス・シーザー』
(1599年)に挑戦です((((((ノ゚🐽゚)ノ
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いろんなところで引用されてすっかり
有名になっている、登場人物たちの
キラリと光る言葉たち。
それらを含む部分を12か所挙げていき
ますが、その中には、ああこれ
『ジュリアス・シーザー』だったの?…
とはじめて知って得した気分になる
ものもあるにちがいありません。
さらにそれらが英語原文ではどう言われて
いるのかをも確認しておけば、将来的に
ひけらかして尊敬のまなざし(😻)を
受けるチャンスも倍加します;^^💦
というわけで、文豪の世界を探索する
少々知的なこのセッション、内容は
ザっと以下のとおり。
さて、せっかくの名言も劇のストーリーが
頭になければその深い意味が響いて来ない
ので記憶に残りにくく、残ったとしても
ついてくる価値は半分しかありません。
なので、全体を観劇するか戯曲を読むか
しておくに越したことはないのですが、
残念ながら時間がない、あるいはもう
忘れた…という人は、まず以下で
ストーリーの概略をインプット
しておきましょう。
必要のない方は飛ばして、ただちに
「2.対訳で読む12の名言・名セリフ」
の方へ進んでくださいね。
1.簡単なあらすじ
まずは全体の概要をご理解いただくため、ごく簡単なあらすじをどうぞ。
・シーザー(ユリウス・カエサル)は
王位を狙うものと見られ、反対派は
暗殺の機をうかがっている。
その首謀者キャシアスは、市民に徳望の
ある義兄、ブルータスを懸命に口説き、
一味に加えることに成功。
議事堂を歩くシーザーに嘆願を行うと
見せかけて、一味は四方から彼を刺す。
刺した一人がブルータスだと知った
シーザーは「お前もか、ブルータス」
と言って死ぬ。
野望への当然の報いだと市民に
呼びかけるブルータスは、シーザーに
愛されていたアントニーから、
葬儀で「追悼の言葉を述べたい」との
願い出を受け、これを許可する。
葬儀では、まずシーザー殺害の大義を
説いたブルータスが喝采を浴びるが、
続いて演説したアントニーは、その
弁舌の巧みさで民心を一気につかみ、
民衆は反=ブルータスの暴動を起こす。
アントニーはシーザーの甥で養子の
オクテヴィアスと結び、レピダスを
加えての三頭政治を掲げて、
ブルータス軍との戦争に持ち込む。
愛妻ポーシャに死なれ、シーザーの
亡霊にも悩まされるブルータスは
苦戦し、キャシアスの後を追うように
自決する。
「これこそは、人間だった」と
アントニーはブルータスをたたえる。
ん? わかったようでわからない?
まあそれはそうでしょう、ずいぶん
はしょってますからねえ;^^💦
それでは参考までに、1953年のアメリカ
映画『ジュリアス・シーザー』(J・L・
マンキーウィッツ監督、マーロン・
ブランド、ジェイムズ・メイスンら共演)
の予告編を覗いておきましょうか。
こないとあんまり面白くないし、名言
・名セリフも響いてこない…
という欲求不満の残った場合は
こちらの「かなり詳しいあらすじ」
の方をご覧ください。
・ジュリアスシーザー(シェイクスピア)のあらすじを簡単に【&詳しく】
1956年映画のポスター
2.対訳で読む12の名言・名セリフ
というわけで、それではそろそろ本式の幕開けです。
まず日本語訳から名言・名セリフを含む
部分を12個抜き出し(その中でこれぞ
名言!という部分を で強調)、
そのあとに英語原文と👉印の注釈
(セリフの脈絡や名言たるゆえん、
歴史的背景などを解説)を置いていく
という手順です。
なお日本語訳はこちらの安西徹雄訳
(光文社古典新訳文庫)を用いており、
文中の「 」内と ” 印のある白い囲みは
そこからの引用です。
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🌗 第一幕/Act Ⅰ
【名言 その1】キャシアス (ブルータスを仲間に加える
べく説得して) 人間も時として、
おのが運命を支配することはできる。
おれたちがこんな惨めな体たらく
でいるのは、ブルータス、運命の
星のせいではない。
われわれ自身の罪なのだ。
「ブルータス」「シーザー」──
なぜこの名前が、君の名より
轟き渡らなくてはならんというのだ?
〔第二場〕
Cassius Men at some time
are masters in their fates:
The fault, expensive Brutus,
isn’t in our stars,
But in ourselves,
that we’re underlings.
“Brutus” and “Caesar”:
what should be in that “Caesar”?
Why should that name be sounded
more than yours?
👉響きの良さに何の変りもないし、
そもそも「ブルータス」の名は
王政を絶対的に否定した祖先から
君が受け継いでいるものだ…と
キャシアスの口説きは続きます。
“運命”は神が定めたものでなく、
各自の努力で変えられるのだ
という人間主義が、シェイクスピア
のもう一つの持論らしい”名前”の
哲学と連結されています。
たとえばロミオに恋したジュリエットは
「名前がなんだというの?
バラと呼ばれるあの花は、ほかの
名前で呼ぼうとも、甘い香りは
変わらない」、だから、ロミオも
ロミオという名でなくてもすばらしさに
変わりはないのだと言い放ちます。
詳しくはこちらで。
・ロミオとジュリエットの名言・名セリフ 英語原文では何と?
【名言 その2】
シーザー (腹心アントニーに)
おれのそばに置くのは、肥った
男だけにしてもらいたいな。
〔中略〕
あそこにいる、あのキャシアス、
〔第二場〕
Caesar Let me have men approximately
me which can be fats,
[ellipsis]
: Yond Cassius has a lean
and hungry appearance;
He thinks an excessive amount
of: such guys are risky.
👉今度は”名前”でなく実質──
体格や顔つきで人を見分ける一種の
処世術ですね。
キャスト次第では使いにくくなる
セリフで、キャシアスに吉田鋼太郎、
アントニーに藤原竜也を配した
蜷川版(予告編をご覧いただいた)
などはまさにそれ。
アントニーの方こそ警戒すべきだ
ということになりそうで…;^^💦
演出家の腕の見せどころとは
なるでしょう。
【名言 その3】
シセロ (大嵐などの異変が大事の
予兆だと言うキャスカに)
だが
事態の本当の意味とは、まるで
違っていることもめずらしくない。
〔第三場〕
Cicero But men might also construe
things after their fashion,
Clean from the motive of the
things themselves.
👉「事実というものはない。
あるのは解釈だけだ」という
ニーチェの哲学にもつながる洞察。
これに類する名言として有名なのが
『ヴェニスの商人』の「悪魔も自分の
都合次第で聖書を引用する」
(The devil can cite Scripture
for his purpose.)。
詳しくはこちらで。
・ヴェニスの商人 10の名言【ポーシャらの名セリフを英語原文つきで】
🌗 第二幕/Act Ⅱ
【名言 その4】ディシアス (シーザーの警戒心を解く
方法を説明して) 一角獣を捕まえるには、
走って逃げて木の陰に隠れればいい。
一目散に追ってきた一角獣は、
その木の幹に角を突き立て、
動けなくなってしまう。
熊なら鏡を見せればいい。
熊のやつ、鏡に映ったわが身の姿に、
ギョッとして立ちすくむ。
象なら落とし穴、ライオンなら網、
そして人間を捕まえるのには、
お追従の罠にかけるのが一番。
シーザーにむかって、閣下はお追従が
大嫌いでいらっしゃると水を向ければ、
〔第一場〕
I can o’ersway him,
for he loves to hear
That unicorns may be betray’d
with trees, And bears with glasses,
elephants with holes, Lions with
toils, and men with flatterers.
But once I inform him he hates
flatterers,
He says he does, being then
most flattered.
👉「お追従が嫌いなあなたのこと
ですから…」と持っていくお追従も
あるのですね;^^💦
それにしてもスピーディな英語原文が
和訳ではいかに長くなるかを示す
典型例でもあります。
ところでシェイクスピア時代の英国で
熊がいかにバカにされ、いじめられて
いたかについては、こちらを
ご参照ください。
・熊がかわいいのはなぜ?怖い猛獣にやさしく抱かれ…という心理の歴史
【名言 その5】
ブルータス 恐ろしい行動をいざ
実行に移す時まで、最初に
思いついた瞬間から、 。
〔第一場〕
Brutus Between the performing
of a dreadful thing
And the primary movement,
all the intervening time is
Like a phantasma, or a hideous dream:
👉「その間に横たわるすべての時間」
に長くとどまり苦しみ続ける点で
ブルータスは次作『ハムレット』の
主人公を先取りするかのよう。
“四大悲劇”はもう始まろうと
していたのです。
【名言 その6】
ブルータス (アントニーも道連れに…
というキャシアスらに反対して)
神々に捧げる供え物として彼の肉を
切るのであって、猟犬に投げ与える
屑肉として切り刻むのではない。
われわれの心も、すべからく
同じ手を用いねばならない。
それでこそ、われわれの行動は
やむをえざるもの、単なる
憎しみによるものではないと、
世間にそう認めてもらえよう。
〔第一場〕
Brutus O, that we then
should come by Caesar’s spirit,
And now not dismember Caesar!
[ellipsis]
Let’s carve him as a dish
suit for the gods,
Not hew him as a carcass
suit for hounds.
And let our hearts,
as diffused masters do,
Stir up their servants
to an act of rage,
And after seem to chide ’em.
This shall mark
Our purpose necessary,
and now not envious;
Which so appearing
to the common eyes,
We shall be call’d purgers,
no longer murderers.
👉ここでこの主張を通してアントニーを
生かしたことが結果的にブルータスの
命取りになる…という皮肉な展開。
が、ブルータスの論法は高度に狡猾でも
あって、アントニーに情けをかけたわけ
ではなく、世間にどう見えるかという
冷徹な計算に基づいていたのです。
【名言 その7】
ポーシャ(ブルータスに) 確かに私は女。
でも、ブルータスに妻と選ばれた女です。
〔中略〕
明かしてください、あなたの秘密を。
けっして人に洩らしはしません。
私の決心の堅い証(あか)しに、
われとわが手で傷をつけた、
ここに、この太腿に。
〔第一場〕
ブルータス(ジェイムズ・メイソン)とポーシャ
(デボラ・カー)を前面に出した1956年映画のポスター
Portia I furnish I am a girl;
however withal A woman that
Lord Brutus took to wife;
[ellipsis]
Tell me your counsels,
I will now not divulge ’em.
I have made sturdy evidence
of my constancy,
Giving myself a voluntary
wound Here, inside the thigh:
can I bear that with persistence
And now not my husband’s
secrets and techniques?
👉ブルータスの愛妻ポーシャは驚くべき
烈婦でもあって、この時は太腿を自ら
傷つけていますが、後には、炭火を
呑みこむというすさまじい死を遂げた
との知らせが戦場のブルータスに
届けられます。
【名言 その8】
シーザー (凶兆があるから元老院へ
行くなと言う妻カルパーニアに)
世に不可思議なことはさまざま
耳にしてきたが、何より不可解
なのは死を恐れるということ。
死を免れることは誰にもできぬ。
来る時には必ず来る。
それだけのことだ。
〔第二場〕
Cæsar Cowards die in many
instances before their deaths;
The valiant by no means taste
of dying however once.
Of all of the wonders that
I yet have heard,
It seems to me most abnormal
that guys ought to worry,
Seeing that demise,
a essential give up,
Will come when it will come.
👉この日、元老院で暗殺されるという
史実は知れわたっていますから、
カルパーニアの必死の引きとめと
それを振り切るシーザーの豪勇は
痛切なドラマティック・アイロニー
として観客に迫ります。
🌗 第三幕/Act Ⅲ
【名言 その9】シーザー (暗殺者たちに四方から刺され)
。
なら、死ね、シーザー。
〔第一場〕
Cæsar Et tu, Brute?
Then fall, Cæsar!
👉あまりにも有名なセリフで、紹介の
必要もないほどですが、この「お前もか」
が英語でなく、ラテン語で言われていた
ことまで知っている日本人は少ない
でしょう。
このラテン語が有名になったのは実は
まさにこの戯曲からであって、主たる
典拠とされるプルターク『英雄伝』
(プルタルコスの『対比列伝』)にそう
書かれているわけではありません。
可能性として、帝政ローマ初期の歴史家
スエトニウスの『皇帝伝』に古代ギリシャ
語で「息子よ、お前もか?」
(“καὶ σὺ, τέκνον;”[カイ・スュ・
テクノン])とあることとの関係が
考えられています(Wikipedia)。
【名言 その10】
アントニー (シーザーの葬儀に集った
市民に) 友よ、ローマ人諸君よ、
わが同胞よ、どうか、耳を貸してくれ。
私はシーザーを葬るためにここへ
来た、彼を讃えるためではない。
人間が生前に犯した悪事は、
往々にして死後もなお生き続ける。
だがその功績は、骨と共に葬り
去られることが、あまりに多い。
〔中略〕
彼は私の友人だった。
常に公正、誠実を尽くしてくれた。
Antony Friends, Romans, countrymen,
lend me your ears;
I come to bury Caesar,
now not to reward him.
The evil that men do
lives after them,
The good is oft interred
with their bones;
[ellipsis]
He changed into my friend,
devoted and just to me;
But Brutus says he was
ambitious;
And Brutus is an
honorable man.
👉アントニーはこの調子でシーザーの
偉大さや美点を称揚しては、その直後に
「ブルータスは彼が野望を抱いていた
と言う。そしてブルータスは公明正大
の士だ」と付け加えるという反復を
3度も続けます。
聴衆の心理を巧みに誘導するこの
演説は、弁論術の一つのお手本として
多くの本で採り上げられてきたもの。
これを怪優マーロン・ブランドに
やらせるとどうなるか。
こちらの動画をご堪能ください。
👉『ジュリアス・シーザー』では主役の
ブルータス以上にカッコいいのがこの
マーク・アントニー。
映画でもこのマーロン・ブランドや
チャールトン・ヘストンなどビッグ・
スターがキャスティングされて
きましたが、ブルータスを破って
権力を掌握して以降はどうなのか。
エジプト女王クレオパトラに
つかまって、やや情けない末路を
たどる経緯を描いた悲喜劇が後年の
『アントニーとクレオパトラ』
(1607)です。
詳しくはこちらで。
・クレオパトラ歴史秘話!愛と謀略の生涯をシェイクスピアはどう描いた?
🌗 第四幕/Act Ⅳ
【名言 その11】(陣営で非難の応酬を続けたあと)
キャシアス 君があんなに怒るとはな。
思いもよらなかった。
ブルータス いや、いろいろ、胸に
つかえていることもあってな、
悲しみが。
キャシアス 君の哲学はどうした。
たまさかふりかかった不幸など、
意志の力で克服できるのでは
なかったのか?
ブルータス 誰にも負けず、耐えている
つもりだがな。
キャシアス え? ポーシャが?
ブルータス 死んだ。
CASSIUS. I did not assume
you may have been so indignant.
BRUTUS. O Cassius, I am ill
of many griefs.
CASSIUS. Of your philosophy
you are making no use,
If you deliver area
to unintended evils.
BRUTUS. No guy bears sorrow better.
Portia is useless.
CASSIUS. Ha? Portia?
BRUTUS. She is lifeless.
👉「ポーシャが死んだ」。
この一言だけでは名言でもなんでも
ありませんが、それが出てくるのが、
いつものブルータスとは別人のような
険悪な態度で盟友キャシアスと長く
口論してからポロリと…
という流れにおいてであることで
感動が倍加するように仕組まれて
いるのですね。
このなにげない一句について、まさに
「神」級の絶賛を書きとめていたのが
あの夏目漱石です。
詳しい情報は3.「ポーシャが死んだ」
への漱石の絶賛で。
⚡
【名言 その12】
ブルータス (陣営でキャシアスに)
時機を捉えて上げ潮に乗ればいいが、
機を逸すれば、人生の船旅はたちまち
浅瀬に乗り上げ、破船に終る。
There is a tide within
the affairs of fellows,
Which, taken on the flood,
leads directly to fortune;
Omitted, all the voyage
of their lifestyles
Is bound in shallows
and in miseries.
👉「潮時」というのは、日本人も昔から
感覚的に捉えてきた人生の知恵の一つ。
これが西洋文学では(神の定めた)”運命”を
人間の力で変えられるのかという様相で
出てきがちで、この問題意識は【名言
その1】にも垣間見られました。
「潮時」に乗りさえすれば”運命”は
変えられると考えるブルータスですが、
この時すでに潮目は彼にないことが
観客にはわかっている分、悲痛に
響きます。
3.「ポーシャが死んだ」
への漱石の絶賛
教師時代の夏目漱石はロンドン留学中もシェイクスピアの専門家について勉強
しましたし、その前後に教えていた第五
高等学校(現・熊本大学)でも東京帝大
(現・東京大学)でもさかんに
シェイクスピアの購読をやりました。
彼の蔵書にはシェイクスピア作品も
多数あり、そのほとんどに講義メモにも
使えそうな書き込みがびっしりと残され
ているのですが(今も東北大学図書館で
閲覧できます)、『ジュリアス・シーザー』
第四幕で「ポーシャが死んだ」が出る
箇所には、こう書き込んでいるのですね。
一句、意外に出づ。
妙なり(すばらしい)。
「カシアス」の問を借り、
読者をして「ブルタス」の
憤れる所以(ゆえん)を知らしむ。
老手(老練な手並み)、老手。
「ポーシャ」の一句、妙
言うべからず、覚えず頭
(こうべ)を俯して地に低(た)る。
(原文は漢文。『漱石全集』27巻
[1997]の読み下し文[p.323]による)
またその数頁前、キャシアスをテントに
入れてからの場(第三場)の開始部分には、
英語と漢文で漱石はこうも書いています。
No man but Shakespeare
could have written this scene
(シェイクスピア以外の誰にも
この場面は書けなかった)。
読みて此の■(歯ヘンに句。こま)に
至りて始めて沙翁の筆端
神(しん)あるを知れり。
「沙翁」はシェイクスピアのこと。
「神ある」というのは、その芸術的手腕を
絶賛したもので、今でいえば”神の領域!”
ということになるでしょう。
漱石がいかに深く(学者より作家としての
目で)シェイクスピアを読み込んでいたかを
示す好例ですが、そういう例はほかにも
多く見ることができます。
特に四大悲劇の一つ、『オセロ』に
ついては講義録が残っていますので、
漱石独自の読みが手に取るように
伝わってくるんですね。
👉詳しくはこちらで。
・シェイクスピア オセロのあらすじ 漱石講義のコメントつきで
この作品を仕上げた翌1600年の
シェイクスピアが書きあげた傑作が
『ハムレット』で、これに続いたの
『オセロー』『リア王』『マクベス』を
加えて「四大悲劇」と呼ぶのが習わしに
なっています。
もしオマケして「五大悲劇」を設定
するなら、『ジュリアス・シーザー』が
入ってくるのは当然でしょう。
思い悩みつつも決断するブルータスが
ハムレットの一歩手前にいることは、
すでに「詳しいあらすじ」で見てきた
とおりです。
👉すでに紹介した『ヴェニスの商人』
『オセロ』のほか、シェイクスピアの
諸作品に見る名言・名セリフはこちらの
記事から拾っていただくことができます。
ぜひご参照ください。
・ハムレットの名言 英語原文では何と? 生きるべきか死ぬべきかetc.
・ロミオとジュリエットの名言・名セリフ 英語原文では何と?
・リア王(シェイクスピア) 15の名言/名セリフ!英語原文つき解説
・マクベスの名言 英語ではなんと?シェイクスピア最高傑作は何を教える
・テンペスト(シェイクスピア) 10の名言/名セリフ!英語原文つき解説
・夏の夜の夢(シェイクスピア) 12の名言/名セリフ!英語原文つき解説
・十二夜(シェイクスピア) 12の名言/名セリフ!英語原文つき解説
👉シェイクスピアの傑作はこれらに
とどまりません。
当ブログでは各ジャンル21作以上にわたり、
その「あらすじ」などの情報を
提供しています。
気になる作品をこちらから
お探しください。
・シェイクスピアの本でおすすめは?喜劇・悲劇…各ジャンル21作品の紹介!
そのほか、シェイクスピアの本を早く安く
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まとめ
さて、いかがでしょう。シーザーといわれて、現代日本人が
まず思い浮かべるのはシーザーサラダ
かもしれません。
でもこの名の由来になった人は別の
シーザーさんで、ジュリアス・シーザー
には関係なんですよね。
つまりシーザーのほか、セザール、セサル、
チェザーレなどカエサルに由来する名前を
もつ男性は欧米に無数にいらっしゃる
わけで、この名がそれほど広がったのも、
ひとえにジュリアス・シーザーの
偉大さゆえではあります。
👉詳しくはこちらで。
・シーザーサラダ 名前の由来//カエサルが食べた可能性は?
で、その末期のセリフ、「お前もか、
ブルータス」(Et tu, Brute?)が
世界中に知れわたったのは、ひとえに
シェイクスピアの偉大さゆえ…
ということになります。
さて、これでもうOKですよね。
テキトーに知ったかぶりする場合も
感想文やレポートを書こうかという
時にも、これだけの情報があれば…。
ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でも具体的に、どう
進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?
👉当ブログでは日本と世界の多くの
作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。
お役に立ちそうなものをこちらの
リストから探してみてくださいね~(^^)у
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
それではまたお目にかかりましょう(😸)
こんなコメントが来ています