アントニーとクレオパトラ【あらすじと解説】シェイクスピアの恋愛史劇
とエジプト女王クレオパ
トラの愛と滅亡を描いた
シェイクスピアの悲劇が
『アントニーとクレオ
パトラ』。
言いきれるのかな;^^💦
『ロミオとジュリエッ
ト』とは違って、没年
39歳と53歳という中年
の、しかも不倫の恋
ですしね。
死のうと両方が考える。
この展開は『ロミオと
ジュリエット』に似て
いますが、クレオパトラ
の場合は自分は死んだと
知ったら相手がどう反応
するかを見ようとした
気配もあって、どこまで
本気かには”❓“も…
そこは『ロミオ』より
二十代の恋を描いた
『トロイラスとクレシ
ダ』に通じる、むしろ
皮肉で喜劇的な部分
ですよね。
喜劇が迷彩模様のように
渾然一体となった傑作!
すじも詳しくたどって
いく必要がありますね。
というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第247弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第334回)となる今回は、
歴史劇にして悲劇とも喜劇とも、また
“問題劇”とも称され、”ぬえ”的と評し
たくなるシェイクスピア後期の異色作
『アントニーとクレオパトラ』
(1607ごろ)((((((ノ゚🐽゚)ノ
エリザベス・テイラー主演の大ヒット映画
『クレオパトラ』(1963)もストーリーは
この名作をなぞっていますが、これを乗り
越えようとしたチャールトン・ヘストン
脚本・監督・主演のイギリス・スペイン
・スイス合作映画が『アントニーと
クレオパトラ』(1972)。
その予告編で、アントニー(ヘストン)の
雄姿とクレオパトラ(のヒルデガード・
ニール)の美貌をご堪能ください。
本編の内容はザッと以下のとおりです。
ごく簡単なあらすじ(要約)
では参りましょう。まずはぎゅっと要約した”ごく簡単”
ヴァージョンのあらすじ。
オクテーヴィアス・シーザーらと
三頭政治の一角を担うアントニー。
遠征したエジプトで女王クレオパトラ
との愛に耽溺し、子も設けている。
ポンペイの反乱と正妻ファルヴィアの
戦死の知らせにより、ローマに戻った
アントニーは、三頭会談でシーザーの
姉オクテーヴィアとの結婚を受諾。
この知らせを受けたクレオパトラは、
戻ってきたアントニーを責める。
シーザーはやがてポンペイを倒し、
レピダスも投獄して権力を一手に
掌握し、エジプト遠征へ。
映画『クレオパトラ』(1963)の
エリザベス・テイラーとリチャード・バートン
アントニーはクレオパトラと結束して
海戦に臨むも、会戦中、女王の船の
逃亡に追尾して自分も逃げる形になり、
海戦は惨敗に終わる。
敗戦後はクレオパトラのシーザーへの
態度の曖昧さがアントニーを怒らせ、
女王は自分は死んだと彼に伝えさせる。
それを信じたアントニーは自害し、
その死を看取ったクレオパトラは
ローマへの連行を拒否し、毒蛇に
胸を噛ませて自殺する(
いかがでしょうか。
はい、これだけでは悲劇性と喜劇性の
迷彩模様というか、モザイク的な構成と
いったところまではわかりませんよね。
そこで、どうしても、より詳しい
あらすじの方へ進んでいただく必要が
あるのですね。
かなり詳しいあらすじ
引用はこちら(👇)の松岡和子訳で。(広告)クリックすると楽天市場へ
ところどころ、史実との照合など【解説】
が立った方がよいと思われた箇所については
👉印で注釈していますが、不要と思われる
場合は飛ばされてかまいません。
【第一幕】愛の生活に亀裂?
アレクサンドリアの宮廷で愛の言葉を交わしあうアントニー(アントニウス)、
とクレオパトラ。
ローマから使者が帰国し、アントニーの
本妻ファルヴィア(フルヴィア)が弟
ルーシアスとともに反シーザーの軍を上げ、
敗れてイタリアを追われたと告げる。
👉「シーザー」とはいってもこの劇では
ほとんどジュリアス・シーザー(ユリウス
・カエサル)ではなく、その甥で養子の
オクテーヴィアス・シーザー(オクタヴィ
ウス・カエサル)を指していわれています。
ジュリアスの暗殺からアントニーと
オクテーヴィアス、レピダスの(第二次)
三頭政治成立に至る経緯を描いた
シェイクスピアの先行作品が
『ジュリアス・シーザー』でした。
この劇についての詳細はこちらで。
・ジュリアスシーザー(シェイクスピア)のあらすじを簡単に【&詳しく】
アントニー(マーロン・ブランド)を
押し立てる1956年映画のポスター
続いて第二、第三の使者が登場し、
ファルヴィアの戦死を告げると、
アントニーは「偉大な魂が逝って
しまった」「死なれてみるといい女
だった」と妻を悼む。
クレオパトラに対しては「何としても
あの魅惑の女王の呪縛を断ち切らねば」
「あの女の手練手管は想像を絶する」
「あの女には会わねばよかった」
といった思いがこみあげる。
セクスタス・ポンペイ(ポンペイウス。
グナエウス・ポンペイウス・マグヌス
[大ポンペイウス]スの息子)も反シーザー
の戦いを進めて海を支配していると知って
アントニーは、側近の臣下イノバーバスに
ローマへの帰国を告げる。
その心が気にかかるクレオパトラは
侍女シャーミアンに彼の様子を見て
来るよう命じて、いわく、
私の言いつけで来たとは
言わないで、あの人が沈んで
いたら、私はダンスをして
いると言いなさい。
楽しそうにしていたら、
私が急病だと伝えるのよ。
(第3場)
アントニーが来るなり、「具合が悪くて」
と病気を装いながら引き留めようとする
クレオパトラだが、事情を説明されると、
やがて勝利を祈って送り出す。
ローマでは、ポンペイの進撃に手を焼く
シーザーらがアントニーの帰国を
待ちわびている。
クレオパトラは臣下らと思い出話などをし、
かつて深い仲だったジュリアス・シーザーを
たたえた侍女の言葉を聞きとがめ、
「素晴らしいアントニーとお言い」と叱る。
【第二幕】アントニー、シーザーの姉を娶る
ローマに到着したアントニーが、シーザー、レピダスとそれぞれの臣下らを交え会談。
ファルヴィアの蜂起は「あなたのための
戦いだった」という疑惑や、有事の際に
武器・援軍を送るという約束を果たして
いないことなどを難詰するシーザーに対し、
アントニーは「誤解だ」と弁明しきり。
シーザーの臣下アグリッパから、結束を
強めるため、シーザーの姉で今は未亡人
となっている美女オクテーヴィアを
アントニーに娶ってもらってはどうか
との提案が出され、両雄が合意する。
👉プルタルコス『英雄伝』によると、
オクテーヴィアの美貌がクレオパトラを
しのぐことは誰の目にも明らかでした。
クレオパトラ自身もそれを意識すればこその
苦悩と狂乱が、現実にあったとしても
不思議ではありません。
そのあたりについてはこちらで情報提供
していますので、ぜひご参照ください。
・クレオパトラの鼻は実際に低かった?デナリウス銀貨や英雄伝に見る実像
オクテーヴィア像(ローマ国立美術館蔵)
銀貨に鋳造されたクレオパトラ像(実像に近いといわれる)
三頭が立ち去ると、イノバーバスは
アグリッパらにクレオパトラの魔力に
ついて話すが、それでもアントニーは
もう手を切らねばといわれると、
とんでもない!
あの女は年を重ねても枯れ
しぼまず、無限の変化をみせる
ので、いくら一緒にいても
飽きることがない。
並みの女が相手なら、欲望を
満たした男の食指はもう
動かないが、あの人の場合は別だ、
心ゆくまで味わってもますます
飢えがつのり、どんなに下卑た
ことをしても好ましく映る。
(第2場)
アントニーはオクテーヴィアに面会して
「愛しい方」と呼びもするが、占い師に
シーザーと俺とで勢いはどちらにあるかと
尋ねて「あなたは必ず負けます」と言われ、
「エジプトへ戻ろう」と思う。
この結婚、和解のためにするには
したが、俺の喜びは東方にある。
(第3場)
👉「俺の喜びは東方にある」なんて、
われわれ凡人も場合によっては使えそうな
名セリフですね。
このほか、この戯曲に出る名言・
名セリフはこちらでまとめています
ので、ぜひご参照ください。
・アントニーとクレオパトラ(シェイクスピア)の名言13【英語原文付き】
アレクサンドリアでは、アントニーの
結婚を知らせた使者をクレオパトラが
殴り倒す。
ローマの三頭とポンペイが会談し、
停戦に合意。
【第三幕】ローマ・エジプト戦争へ
アテネへ向かうアントニーとオクテーヴィアの新夫婦を祝福して
送り出すシーザー。
アレクサンドリアのクレオパトラは
オクテーヴィアを見てきた使者を
「背丈は?」「声は?」と質問攻めにし、
回答をすべて悪意に解釈して満足する。
「歩き方にはどんな威厳が?」という
問いには「這っています」の答え。
さらにクレオパトラは「顔は?」
と切り込む。
使者 丸顔です、丸すぎる
くらいで。
クレオパトラ そういう女は
たいてい馬鹿と決まっている。
髪は? 何色?
使者 茶色です、女王様、
それに額の狭さときたら
もっと狭くなりたいと
思っても無理です。
クレオパトラ さあ黄金をお取り。
(第3場)
アントニーは、シーザーが三頭での合意を
破って戦争を仕掛けポンペイを殺したと
聞き及び、もはや決戦は避けられないと
オクテーヴィアに告げる。
アントニーはクレオパトラにエジプトの
永久所有権を与え、近隣地域に権限をもつ
女王に仕立てており、これを聞き及んだ
シーザーは「ローマへの侮辱」だと激怒。
そのシーザーのもとへオクテーヴィアが
帰還し、戦争を止めるために自発的に来た
のだというが、シーザーはアントニーが
今やエジプト側に立ってローマと戦う気だ
と告げる。
アクティアム(ギリシアの港町)では、
アントニーとクレオパトラがそれぞれ
武装し、海戦の準備。
開戦するや、不利となったクレオパトラの
戦艦が逃走し、アントニーの艦も「雌の
尻を追う雄鴨のように」逃る格好となり
エジプト軍は惨敗。
ロレンゾ・A・カストロ画『アクティウムの海戦』(1672)
陸上で再会し、クレオパトラに許しを
乞われたアントニーいわく、
俺はお前の舵に心の
琴線でくくりつけられている、
お前に引かれてゆくしかないのだ。
俺の魂も完全にお前に支配
されている。
〔中略〕
あなたも知っていたはずだ、
私にとってあなたがどれほど
強大な征服者か、また、私の剣が
愛のせいでなまくらになり、
どんな場合にも愛の言いなりに
なったことを。 (第11場)
二人は接吻し、酒宴へ。
シーザーの陣営に嘆願が届く──
アントニーにはエジプトかアテネでの
一市民としての余生を、クレオパトラ
には息子への王位継承をと。
シーザーは、クレオパトラの願いは受諾
してもいいが、アントニーの追放か
処刑かが条件だと伝えさせる。
シーザーの意向を伝えに来た使者に
クレオパトラは、
シーザーは神様、
何が真実かをご存じだ。
私の名誉は捧げたのではなく
攻め落とされたのです。
〔中略〕
私の名代として偉大なシーザーに
こう伝えなさい、征服者のお手に
口づけしますと。
そして、いつでも喜んで私の王冠を
お足もとに差し出し、ひざまづき、
万民を服従させるエジプト女王の
運命の宣告を聞き取ります、
そう申し上げて。 (第13場)
そこへアントニーが登場し、「ああ、
この売女(ばいた)!──神々も悪魔も
くそ食らえ」とクレオパトラを罵倒。
あなたは私と知り合う前にもう
しぼみかけていた。
〔中略〕
初めて会ったとき、あなたは死ん
だシーザーの皿で冷たくなった
食い残しだった──
いや、ニーアス・ポンペイの
食べこぼしだった。
まだある、世間の噂にはのぼら
なかったが、もっと熱い情事の
時を逃さず人知れず快楽三昧に
耽ったのだ。
〔中略〕
ああ、地上の月クレオパトラも
いまは月食、アントニーの
失墜の予兆だ。 (第13場)
👉ニーアス・ポンペイ(グナエウス・
ポンペイウス・ミノル[小ポンペイウス])は
ジュリアス・シーザーと戦ってエジプト入り
した際に、クレオパトラに手厚く援助
されました。
このとき二人の間に「情事」があり、
その経験がクレオパトラの未来──
シーザー、アントニーとの経緯──に
希望を持たせることになった…
とプルタルコス『英雄伝』。
失意のアントニーにクレオパトラは、
もしそうなら、自分はシーザリオンや
アントニーとの間の子らともども滅亡する
ばかりだと言いつのり、アントニーは
「それを聞いて胸が晴れた」と陸上での
徹底抗戦を決意する。
👉シーザリオンはクレオパトラが
ジュリアス・シーザーとの間に
もうけたとされる子(異説もある)で、
戦後、帝位についたオクテーヴィアス
によって殺害されます。
ジャン=レオン・ジェローム画『クレオパトラとカエサル』(1886)
【第四幕】クレオパトラの寝返り?
アントニーからの挑戦的な手紙を読んだシーザーは、彼を生け捕りにするには、
最近まで彼の配下だった将兵ばかりで
十分だとうそぶく。
酒宴で兵士らをねぎらったアントニーは
翌朝、クレオパトラに接吻して出陣。
アントニーは、イノバーバスの寝返り
(その意思は前幕でほのめかされていた)
を聞いて、彼が置いていった貴重品を
届けてやれと兵士に命じ、「ああ、
俺の運命が実直な者たちを腐敗させて
しまった!」と嘆く。
出撃を命じるシーザーのかたわらで、
イノバーバスは、自分の所持品が
アントニーから届けられたと聞いて、
「胸が張り裂けそうだ。〔中略〕どこか
どぶでも探して、そこにはまって死のう」
と考える。
シーザー軍を本陣へ後退させて凱歌を
上げるアントニーとクレオパトラ。
映画『アントニーとクレオパトラ』(1972)より
シーザーは相手の主力部隊が艦隊に
あるとにらむ。
アントニーは、彼の艦隊がクレオパトラの
寝返りにより降伏したと知って(つまり
シーザーの女になったと考えて)激怒。
あのきたないエジプト女が
裏切った。
〔中略〕
淫売め!
〔中略〕
俺の心が戦う相手はお前一人だ。
全軍に逃げろと命じろ!
俺もあの魔女に復讐すれば、
何一つ心残りはないのだから。
(第12場)
そこへ現れたクレオパトラ自身に対しても
「魔女め、失せろ!」「全女性最大の
面汚しだ」「魔女には死んでもらう」
と口を極めて罵り、立ち去る。
クレオパトラは「ああ、あの人は狂って
しまった」と、霊廟へ向かい、
あの人に私が自害したと伝えて。
私の最後の言葉は「アントニー」
だったとお言い、お願い、哀れを
誘うように言っておくれ。
〔中略〕
あの人が私の死をどう
受け取ったかを教えて。
(第13場)
宦官マーディアンがアントニーのもとへ
来て、クレオパトラが「誰よりも気高い
アントニー!」を最期の言葉として
死んだと伝える。
アントニーは「すぐ追いつくぞ、泣いて
許しを請うからな」と、臣下エーロスに
自分を刺せと命じるが、エーロスは
命令に従うとみせて、自分を刺殺。
アントニーも後を追おうとするが、
死にきれない。
アントニーは衛兵に運ばれて霊廟まで
来て、クレオパトラと最後の接吻を交わし、
「シーザーにあなたの名誉と身の安全を
求めなさい」と言い残して死ぬ。
【第五幕】クレオパトラの最期
アントニーの死について報告を受けたシーザーは、クレオパトラのもとへ臣下を
派遣して「恥辱を加えるつもりはない」
旨を伝える。
霊廟でこれを聞いたクレオパトラは
隙を見て自殺を図るも、止められる。
やがてシーザー自身が配下を引き連れて
登場し、あなたの罪を「許そうと思う」
という意向を悦明し、私は「あなたの
友人だ。では、ご機嫌よう」と去る。
臣下ドラベラが戻ってきて、三日以内に
あなたとお子様方をローマへ連行する
というシーザーの計画を耳に入れたので、
クレオパトラは恩に着る。
ローマで何をさせられるかを侍女らと話す
うち、衛兵が、イチジクを持参したという
田舎者(道化)がお目通りを願っていると
伝え、クレオパトラは通せと命じる。
「ナイルのかわいい蛇を持ってきましたか、
苦痛を与えずに人を殺すという?」という
女王の問いに「へえ、持ってきたです」と
応じた道化は、蛇の毒の効力を説こうとして
意味不明なことを言い、沈んだクレオパトラ
とトンチンカンな対話を交わす。
👉このトンチンカンな対話は、カナダの
文学理論家ノースロップ・フライが
『ハムレット』の亡霊との対話、
『マクベス』の門番の独語と並べて
「半獣神(サテユロス)的対位法」と呼んだ
もので、わが夏目漱石が『文学論』で
「仮対法」と呼んで追求した手法に
重なります。
詳しくは、わたくしサイ象が長年の研究を
まとめて2022年に刊行しましたこちらの
著書をご覧いただければと思います。
👇
若い侍女のアイラスがまず死ぬと、あの世の
アントニーがこの娘を誘うだろうと言い、
それは私のもの、私の天国なのに。
(胸に当てた蛇に向かって)さ、
ちっちゃな殺し屋、お前の鋭い牙で
このもつれた命の結び目を
ひと思いに噛み切って、かわいい
毒殺屋さん、怒りなさい、
そしてさっさと片付けて。
ああ、お前に口がきけるなら、
偉大なシーザーに馬鹿が
まんまと出し抜かれたと
言ってくれるだろう!
(第5場)
クレオパトラが死ぬと、シャーミアンも
自らを蛇に噛ませて後を追う。
やがて登場したシーザーは、「女王は恋人
アントニーの傍らに埋葬してやろう」
「二人の物語が掻き立てる憐みは、
二人をこれほどの嘆きの的にした者の
胸を打たずにはおかない」などと言う。
【解説】中年の恋と嫉妬の心理劇
さて、いかがでした?この『アントニーとクレオパトラ』、
まずは『ジュリアス・シーザー』(1599)の
続編として、勝利した英雄アントニーの
その後を追う…
という主題が基軸にあったはずですが、
そこに『ロミオとジュリエット』
(1594-6)、『トロイラスとクレシダ』
(1601-2)と流れてきた恋愛劇の最終版
という色彩が濃厚に入り込みます。
お互いに決して初恋ではない中年男女の、
過去の、また現在の別の恋人たちへの
嫉妬、死をちらつかせた手練手管などを
批評的・喜劇的にえぐり出しながら、
終局的には悲劇にもっていく。
クレオパトラの過去の男たち──ジュリス
・シーザー、ニーアム・ポンペイ──への
前半は隠されていた嫉妬を、破滅の淵へと
追い詰められたアントニーがついに爆発
させるあたりも、『オセロー』(1603-4)
や『冬物語』(1610-14)で嫉妬の恐ろしさを
描いたシェイクスピアならではの凄みを
感じさせます。
『ハムレット』から『マクベス』に至る
四大悲劇の時代(1600-6)を経て老辣無双
となった文豪の、全作品中でも最高と評して
過言でない、いわば”総合的”な傑作が
『アントニーとクレオパトラ』なのです。
👉『ジュリアス・シーザー』については
上で紹介済みですが、そのほか、ここに
列挙したシェイクスピア作品については、
いずれも別記事で詳しく情報提供して
いますので、是非ご参照ください。
・シェイクスピア ロミオとジュリエットのあらすじ//簡単&詳細に
・トロイラスとクレシダのあらすじ⦅シェイクスピア問題劇を結末まで詳しく⦆
・シェイクスピア オセロのあらすじ 漱石講義のコメントつきで
・ハムレットのあらすじを簡単に【&詳しく】オフィーリアの狂気はなぜ?
・マクベスのあらすじを簡単に【&詳しく】これぞシェイクスピア最高傑作!
・冬物語(シェイクスピア)のあらすじ【簡単&詳しく】狂王と監禁妻のロマンス
当ブログでは上記のもののほか、
喜劇・悲劇・問題劇・歴史劇など
21作以上について「あらすじ」などの
情報を提供しています。
気になる作品をこちらから
お探しください。
・シェイクスピアの本でおすすめは?喜劇・悲劇…各ジャンル21作品の紹介!
そのほか、シェイクスピアの本を早く安く
手に入れたい場合は、Amazonが便利。
こちらから探してみてください。
🔱シェイクスピアの本:ラインナップ🔱
まとめ
さて、どうでしょう。これだけの情報があれも、もう万全
ですよね。
誰かさんに知ったかぶりしたい場合も、
感想文やレポートを書かねば、
というような危急の時も。
ん? シェイクスピア作品よりむしろ
歴史上の人物としてのクレオパトラ
その人の方に興味を引かれた?
それもわかります。
その美貌については疑問符がつくことは
上記あらすじ中でふれた通りではあり
ますが、なにしろ彼女がローマの英雄たちと
深い関係になったこと、7か国語を駆使する
才気縦横の女性だったことに間違いは
ありません。
シェイクスピアの描きだした彼女の性格——
移り気のくせに嫉妬深く、強烈な自意識や
芝居気、無責任、暴虐etc.——はプルタルコス
『英雄伝』などの史料にもとづいている
とはいえ、それらの史料が偏見に満ちたもの
でないという保証もないのですから。
👉ともかく世界三大美女の一人として
ゆるぎない地位を保持している
クレオパトラその人をめぐっては、
これらの記事で、別角度から
詳しく情報提供していますので、
ぜひご覧ください。
・クレオパトラとカエサルの華麗なる関係⦅絨毯巻きの私を召し上がれ⦆
・クレオパトラの美容とは?⦅実際は鼻も低い不美人?⦆英・仏語で名言チェック
ん? シェイクスピア作品の感想にせよ、
クレオパトラその人にせよ、書けそうな
ことは浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、ぜひこちらを
ご覧くださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
こんなコメントが来ています