サクラさん
バレエにもなっている
『冬物語』はもともと
喜劇? それとも悲劇?

ハンサム 教授
怒涛のような悲劇的展開
…と思ったらラストは
すべて丸く収まって
観客はハッピーに
劇場を出て行ける。

サービス精神旺盛な、
シェイクスピア円熟期
“ロマンス劇”の傑作!

サクラさん
“四大悲劇”を並べて
みせた文豪が息を抜いて
喜劇時代に戻った?

ハンサム 教授
ええ。そういう風にも
見える、悲劇と喜劇の
みごとな綜合ですね。



前半は嫉妬に狂う王様に
ひっかきまわされて、
傑作悲劇『オセロ』の
再来を思わせますが、
それが後半では『夏の
夜の夢』のような夢幻的
な喜劇へと飛翔します。

サクラさん
死んだはずだよ、
ハーマイオニさん…
という奇跡ですね(😹)

ハンサム 教授
なんだ、知ってたん
ですか;^^💦

でも、その奇跡も深い
哲学に裏打ちされてる
ところがさすがです。


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というわけで、おなじみ””あらすじ暴露”
サービスの第189弾(感想文の書き方
シリーズ第271回)となる今回は
シェイクスピア後期のロマンス劇
『冬物語』(1611年ごろ)に挑戦!
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原題は The Winter’s Tale で、ほかに
「冬の夜ばなし」などの訳題もあります。


さて、一口に「あらすじ」をといっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文やレポートを書くんだから、
ある程度詳しくないと……という場合まで、
千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「ごく簡潔なあらすじ」と
「かなり詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~(^^)у


ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単」ヴァージョンのあらすじ。

ボヘミア王ポリクシニーズは、親友
であるシチリア王レオンティーズの
もとでの滞在が延びて9か月にもなった
ので、明日こそは帰国すると告げるが、
レオンティーズは妃のハーマイオニに
これをさらに延ばすよう説得させる。

妃がそれに成功すると、この二人は
姦通しているのでは…という疑惑が
レオンティーズの胸に突如発生し、
彼は嫉妬と怒りで狂乱する。

   

ポリクシニーズの毒殺を命じられた
忠臣カミローは、命令に反して
逃亡の手引きをする。

逃亡を知り激怒したレオンティーズは、
身重のハーマイオニを投獄し、彼女は
獄中で女児を出産。

その子も「私生児」だから火あぶりに
しろと言うが、これをなんとかいさめた
貴族アンティゴナスに、他国のどこかへ
捨てて来いと命じる。


法廷で潔白を主張するハーマイオニは
一人息子のマミリアス王子が死んだと
聞いて失神し、運び出される。

妃はそのまま死んだと告げられて
レオンティーズは反省し、悔恨の
日々を生き始める。

アンティゴナスはボヘミアの地に
赤ん坊を置いた直後、熊に襲われる。
👉このあたりから人物関係が
やや錯綜しますので、未来も先取りした
人物相関図を掲げておきます。
(💓は恋愛・結婚〔の可能性〕、
💀は途中で死ぬ人の意)



16年後、ボヘミアのポリクシニーズ王と
カミローは、フロリゼル王子の挙動調査
のため、変装して田舎へ潜入。

王子が結婚しようとしている羊飼いの
娘パーディタは、類まれな美しさと
賢さで、ポリクシニーズらを驚かす。

結婚には父への報告が必要だという
ポリクシニーズの意見を王子が頑強に
拒否するので、王はついに激怒。

お前を息子と認めないし、パーディタも
「魔女」だから死刑にするとと宣告。


もうこの地にいられないと観念した
フロリゼルとパーディタはカミローの
助言で、シチリアのレオンティーズ王を
頼ることにする。

そのレオンティーズのもとにフロリゼル
とパーディタが到着し、続いてそれを
追ってポリクシニーズとカミローも来る。

結局、彼ら全員は、完成したばかりの
ハーマイオニの彫像を見に集まることに
なり、カーテンが引かれて「生き写し」
といわれるその像が姿を現わす。



像は実は生きているハーマイオニで、
パーディタに対面して「お前が生きて
いる」という神託の「結果を知りたい
一心で今日まで生きてきたのです」
などと語りかける。

レオンティーズは彼女に「これが
お前の婿」だとフロリゼルを紹介し、
みなが和解する。

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さあ、いかがでしょう。

どんな物語か、概略はわかって
いただけたのではないしょうか。

参考までに、こちらの上演例も覗いてみて
いただきましょうか。👇



え? やっぱりよくわからない、
なんでそうなるのか…??

それはそうかもしれません。

細かい情報が入ってこないので、
どうしてもそうなるんです。

本気で楽しむためには、少々時間が
かかっても、入り組んだストーリーを
もっと解きほぐし、登場人物の性格や
セリフをじっくりと味わって行く
必要があるんですね。

というわけで、ここはどうしても
「かなり詳しい」ヴァージョンの
あらすじを読んでいただく必要が
あるんですね;^^💦


かなり詳しいあらすじ

お待たせしました。

それではホントの始まりです。

「”」印のある白い囲みの中は原作
(上記広告のちくま文庫の松岡和子訳)
からの引用で、シェイクスピアの”名言”
として知られる台詞も多く含んでいます。

👉印の注釈は、より深く理解したい
人に向けてかなり突っ込んだ解釈や
解説を試みたものですが、お急ぎの
方は飛ばして行ってかまいません。

【第一幕】

シチリア王レオンティーズと
ボヘミア王ポリクシニーズは、
幼少期、一緒に養育を受けた親友同士。

シチリア滞在を9か月にも延ばして
しまったポリクシニーズが、
明日こそは帰国すると言うので、
レオンティーズが引き留める。

「お前も何か言ってくれ」と促されて
妃のハーマイオニも説得に乗り出し、
逗留の延期を引き出そうとする。

どうしても無理だと言うポリクシニーズに
「それでは客人としてではなく、囚人
として留まって」もらうしかなくなって
しまうが、それでもいいかとハーマイオニ。

ついにあきらめたポリクシニーズ、

ではあなたの客として、
お妃様。

あなたの囚人になるのはあなたに
対して罪を犯したということだ。

そんなことは私には到底できません。

そこから二人の幼少期に話題が移り、
罪のない子供にもやがて(女性という)
「誘惑」が…
というような話になったところで、
レオンティーズが「どうだ、落とせたか」
と声をかけ、「居てくださるわ、あなた」
とハーマイオニ。
👉ここからレオンティーズの嫉妬心に
火がついてしまうという展開なの
ですが、戯曲を読んでいるだけだと、
ん? なんでそうなるの?…
サッパリわからないという読者も
多いのではないでしょうか。

まず「囚人として留まって」もらう云々は
あくまで軽口(ユーモアとしての嘘)として
受け取るのが普通ですよね。

したがって、これを断るポリクシニーズの
「囚人になるのはあなたに対して
罪を犯したということ」だからもその
「嘘」に乗っての軽口であり、(女性という)
「誘惑」云々の話題もその流れにある、
軽いものでしょう。

ただこの流れの、たとえば「罪を犯した」
云々のあたりから聞いた人が、すべて
嘘でなく事実を言っているものと
受け取ってしまったらどうでしょう。

それはありえないことではないはずで、
レオンティーズの狂乱が始まるのはまさに
ここらからだったということも十分に
考えられるのではないでしょうか。

      

これは一つの解釈ですが、これに則って
上演するなら、レオンティーズが二人に
接近してその部分だけしっかり聞きとる
という演出が必要になるでしょう。

松岡和子訳・蜷川幸雄演出の『冬物語』では
実際その演出が実行されたのですが、
これは、松岡さんが見てきたイギリスと
日本のどの『冬物語』でもやらなかった
画期的な演じ方でした。

その発案者はまさにレオンティーズを演じた
唐沢寿明さんで、彼が考え抜いてたどり
着いたこの新しい演出に松岡さんはいたく
感動し、たちまち「これしかない!」
という話になったとか。

詳しくはこちらの本で。
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二人の話しぶりを見て「熱すぎる、
熱すぎる! 行き過ぎた友情の交わり」
は「血の交わり」(性交の意)ともなる!

と心を乱したレオンティーズは、
一人息子のマミリアスにも疑いの目を向け、
「お前は俺の子か?」としつこく尋ねる。

ポリクシニーズと妻がむつまじく「腕まで
からませて」退場していくのを見ては、
姦通は「間違いない」と確信する。


レオンティーズは忠臣カミローを呼んで、
この嫌疑をぶちまけ、ポリクシニーズを
毒殺せよと命じる。

カミローはポリクシニーズにこの命令に
ついて密告し、夜のうちに逃亡するよう
手引きする。

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【第二幕】

 
身重のハーマイオニと王子マミリアスに、
侍女を加えての団らん。

「楽しい」お話をしてと母に頼まれた
王子が「冬には恐い話がいい」と
「妖精や鬼の出て来るお話」を始める。
👉タイトルになっている
“winter’s tale”はこういう他愛もない
お話のことで、その意味では訳題も
「冬の夜ばなし」などの方が適切
かもしれません。


ポリクシニーズの逃亡とカミローの
裏切りに激怒したレオンティーズは、
ハーマイオニを王子から引き離し、
妃を投獄。

本人の弁明にも、貴族アンティゴナスの
意見にも耳を貸さない。


アンティゴナスの妻ポーライナが牢獄に
妃を訪問すると、侍女のエミリアが
出てきて、可愛い女児を出産したと告げる。

    

「王様の狂気の発作」をいさめる役を
自分が買って出るというポーライナに
妃も同じことを考えていたとエミリア。


ポーライナは赤ん坊を抱き、夫やほかの
貴族とともに王に謁見して意見するも、
レオンティーズ王はこの「男勝りの
魔女」を叩き出せと激怒。

「そのガキは俺の子ではない。
ポリクシニーズの子」で「私生児」だ、
火あぶりの手配をしろと命じる。

が、アンティゴナスの懸命の嘆願で考えを
変え、「生きるも死ぬも運次第という
よその国のどこかへ捨ててこい」と命じた
ので、アンティゴナスは「誓ってやり
遂げます」と赤ん坊を抱いて出て行く。


【第三幕】

シチリアの法廷。

姦通を事実と疑わないレオンティーズに、
ハーマイオニは「命など藁(わら)しべ
ほどにも思」わないが、「私の名誉は、
何としても潔白の証(あかし)を立てたい」
と弁明する。


そこへ、アポロの神託を受けにデルフォイに
派遣されていた臣下のクレオミニーズと
ダイオンが帰国・到着し、神託の封を
切って読み上げる。

「ハーマイオニは貞淑なり」と始まって、
ポリクシニーズもカミローも潔白であり、
レオンティーズは失われた真の子が
見いだされぬ限り世継ぎを得ない…云々。

  
  デルフォイ(デルポイ)の神殿の現在
  

「でたらめだ」とレオンティーズが叫ぶと
従者が登場し、マミリアス王子が
「お妃様のことをご案じになるあまり」
死んだと告げる。

ハーマイオニは気を失って倒れ、
ポーライナらが彼女を運び出す。


ようやく自らの誤りに気づいた
レオンティーズがポリクシニーズとの
和解やカミローへの感謝を口にして
いるところへ、ポーライナが登場。

レオンティーズに面と向かい「馬鹿で
不実で呪うべき恩知らず」等々、
さんざん非難したあとで、お妃様が
「お亡くなりになったのです」と告げる。

打ちひしがれたレオンティーズは
二人を一つ墓に納め、自分はこれから
「そこで涙を流すのを唯一の慰めにし、
生まれ変わろう」と口にする。


ところ変わってボヘミアの海辺。
👉ボヘミアは現在のチェコの
中・西部に相当する地域なので、
実際は海に面していませんが、
この劇ではシチリアと海路で
結ばれているのですね;^^💦



アンティゴナスが赤ん坊を抱いて登場し、
道案内の水夫と別れると、自分の夢に
ハーマイオニが現れたことを赤ん坊に
語りかける。

ボヘミアの人里はなれた場所にその子を
捨て、「失われた者」という意味で
「パーディタ」と名づけるようにと
お妃は言われたのだと。

出生を記した手紙と金貨・宝石の類と
ともに赤ん坊を置いたアンティゴナスは、
折しも現れた熊に追われて退場。


やがて登場した羊飼いと道化によって
赤ん坊と金品は持ち去られる。

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【第四幕】

16年後、ボヘミアの王宮。

この間ポリクシニーズ王に仕えてきた
カミローが、シチリア王も前非を悔いて
私をお呼びなので、帰国させてほしいと
王に打診する。

ポリクシニーズはレオンティーズとは
和解ずみながら、有徳の臣下カミローを
手放したくないと言い、それより近ごろ
王子フロリゼルの様子が心配なので、
一仕事手伝ってほしいと頼む。

すなわち王子は美しい娘を目当てに貧しい
羊飼いのところに入り浸っているらしい
ので、二人で身分を隠して潜入・調査する
という仕事で、カミローはこれを快諾。


その羊飼いの小屋でフロリゼルと愛を
語り合う美しい娘の名はパーデイタ。

王様に反対された時に残される道は
殿下の変心か「私が命を捨てるか」
だと案ずるパーデイタに、
「僕は覚悟を決めたんだ、君の夫に
なるか、父上の子でなくなるか」
とフロリゼル。

        


そこへ変装したポリクシニーズと
カミローを連れた羊飼いたちが登場。

羊飼いに促されてポリクシニーズに
挨拶し、花を差し出すパーデイタ。

花の話になったので、パーデイタが
「この季節のいちばん美しい花は
カーネーションと、自然の私生児とも
呼ばれる縞石竹(しませきちく)です」が、
これはうちの庭にはないし、私も
欲しいと思わないと言う。

    
    縞石竹(streaked gillyvors)
  

理由を聞かれたパーデイタは答えて
「あの花のまだら模様は大自然の
神の偉大なわざに人工のわざが
加わったもの」と聞いているから。
👉ここでパーデイタがさりげなく
口にした「自然」(nature)と「人工のわざ」
(art)の対概念は、ポリクニシーズの
哲学的議論を呼び込むことになり、
結局これらが作品全体のキーワード
でもあることがわかってきます。


これに反論してポリクシニーズは
「その人工のわざそのものも自然に
よって作り出され」たものだし、
それで「自然はよりよくなる」のだから、
「あなたのいう自然に加えられた
人工のわざも、実は自然が作り出す
ものなのだ」と説く。

人間界でも…

野育ちの幹と育ちのいい
若枝を結婚させ、高貴な芽に
よって卑しい木に子供を
宿らせることがある。

これもまた自然を改良する
――というよりむしろ――
自然を変える人工のわざ、
そのわざそのものが自然なのだ。
〔中略〕
ならばあなたの庭に縞石竹を
咲かせなさい、私生児などと
呼んではいけない。

👉これにパーデイタは
「でも私は」とまだ食い下がります。

「野育ち」の16歳の娘の賢さには
驚くほかありませんが、ともかく
ここでのキーワードは「私生児」。

この語は、生まれたばかりの彼女が
父王レオンティーズによってそう呼ばれた
という過去(第二幕)を背負っており、
ポリクシニーズの過敏な反応もそれに
関わりそうですが、この時点ではまだ
その赤ん坊がこの娘だとは知りません。

したがって「野育ちの幹と育ちのいい
若枝を結婚させ」ること…



と彼のいう「人工のわざ」は、結果から
見れば自分も関与して実現させてしまう
ことになる《息子とパーディタとの結婚》
を暗示しているようにも受け取れます。

このように、いちいちのセリフに文字通りの
意味と別の意味(裏の意味)を伴わせるのは
シェイクスピアの得意としたところ。

思えば【第一幕】でのレオンティーズの
狂乱も、妃の態度にこの種の”裏の意味”を
読んでしまったところに発していたわけです。

ともかくここでの「自然」と「人工」の結実
(=結婚)は、私生児に近い「野育ち」と
見えたパーデイタが実は貴種(高貴な出自)
であったことを暴露する結果となります。

このアイロニカルな展開が「人工のわざ(Art)
ももともと自然(Nature)から発生している
という意味で大自然の一部であり自然な
(natural)ものだ」というポリクシニーズの
哲学に重なってくるわけですね。


シェイクスピアをよく勉強していた日本の
作家に夏目漱石がいますが、蔵書(英語原文)の
この部分に漱石は「Art ト Nature」という
書き込みを入れています。

Art(技巧)とNature(自然)の対立・葛藤の
問題が漱石文学の大きなテーマだったこと
などについては、こちらもご参照ください。

漱石 それからのあらすじと解説 《自然》に復讐された男?

こころ(漱石)のお嬢さんはなぜよく笑う?先生はそれが嫌いだった?

サソリとカエルの話 その意味は?自らの自然(ネイチャー)を知れ…

         


フロリゼルが王子だとは知らぬまま、
羊飼いも二人の相愛を認め、フロリゼルは
ポリクシニーズに(それが父とは知らぬ
まま)結婚の証人として立ち会って
ほしいと頼む。

それならまず父親に知らせなさいという
ポリクシニーズの条件をフロリゼルは
頑固に拒否。

ついに激怒したポリクシニーズは、
むしろ「離縁に立ち会おう」、お前など
「実の息子と認めない」、魔法で息子を
たぶらかしたパーディタも「魔女」と
見なし「手の込んだ残酷な死刑に処す」
と宣告して立ち去る。
👉この急激な怒りはポリクシニーズ
自身が16年前に困らされた
レオンティーズの暴君ぶりをそっくり
そのまま再現するようで、ここにも
シェイクスピアらしいアイロニーが
生きています。


もうこの地にいられないと観念した
フロリゼルはパーディタと二人で
海に出るつもりだとカミローに語る。

パーディタは16年前に捨てられた王女に
違いないと見抜いていたカミローは、
それならシチリアのレオンティーズ王を
頼りなさいと助言して二人を見送る。

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【第五幕】

シチリアの王宮。

レオンティーズ王は、ハーマイオニを
死なせた16年前の愚行への悔恨を
ポーライナらを相手に苦しげに語る。

そこへフロリゼルとパーディタが到着。

挨拶を交わしているところへ、
ポリクシニーズもカミローとともに
すでにシチリア入りし、フロリゼルの
逮捕を望んでいるとの情報が伝えられる。


完成したばかりのハーマイオニの彫像が
あると聞いてレオンティーズが
ポーライナの家を訪ねると、そこには
和解ずみのポリクシニーズとフロリゼル、
パーディタとカミローも待ち受ける。

「お妃様に生き写しの像」をご覧ください
とポーライナがカーテンを引く。

    

レオンティーズが、ついでパーディタが
感嘆の言葉を述べ、触ろうとするが、
ポーライナはこれを制止。

「これからもっと不思議なことが
起こります」が、それには「信じる力」
(faith)を目覚めさせる必要があると言う。

音楽が鳴ると、ハーマイオニは動き出して
台から降り、ポーライナが彼女と
パーディタを引き合わせる。

ハーマイオニ お前が生きているという
望みがあるという神託のことを
ポーライナから聞き、その結果を
知りたい一心で今日まで生きて
きたのです。


「皆様大切なものを勝ち得られた」、
私は亡夫を悼むばかりです…
と退こうとするポーライナを
レオンティーズが止める。

「今度は私がお前に立派な夫を見つけて
やる番だ」とカミローに彼女の手を取れ
と命じ、ハーマイオニに向かっては
「これがお前の婿だ」とフロリゼルを
紹介する。
👉ハーマイオニは16年の間、
どこで何をしていたのか?

死なせまいとするポーライナの機転により
一種の監禁状態に置かれていたと考える
ほかありませんが、それでも圧倒的な
美貌を保っていたところが”ロマンス”。

彫像であったはずのものが生身の人間
として現れるという奇跡はまた
「人工のわざ(Art)も自然(Nature)の
一部」というポリクシニーズの哲学を
地で行くものでもありますね。

ん? それもこれも信じられない?

だからこそ「信じる力」を目覚め
させる必要があるとポーライナは
言うのです。

この”faith”を「信じる力」と訳すのは、
松岡さんが苦心の末たどりついた新訳
だそうですが(前掲書)、この意味で
まことに当を得た名訳ではないでしょうか。


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悪役(イアーゴ)なしのオセロ?

さて、いかがでした?

『オセロ』を観たり読んだりしたことの
ある人なら、前半は、あれ?
レオンティーズってオセロの再来?
という風に感じられたかもしれませんね。

まわりから見れば全然ありそうもないと
知れ切ったことなのに、妻への熱愛があだと
なってか、その姦通を疑う疑心暗鬼の果てに
狂える暴君となり…
愛妻を死なすというとんでもない
アイロニーに陥ってしまう。


ただ違うのは、徹底的な悲劇のヒーロー、
オセロが妻を殺して自分も死ぬという
ところまで突っ走ってしまうのに対し、
レオンティーズは妻を死なせはしても、
その妻が生き返るという、おとぎ話の
ような幸運に恵まれるところ。

    

それはもちろん死んだと聞くや反省して
“いい人”に変身したからこそなんですが、
その折り返し地点が【第三幕】第二場、
すなわち作品のちょうど真ん中に来ている
あたりも、さすがシェイクスピア…
溜息の出るような構成の妙です。


それからもう一つ大きな違いがあって、
それは『オセロ』の場合は、悪意ある
耳打ちや囁きによって主人公の疑心暗鬼を
作り出す悪役(イアーゴ)の存在が大きな
役割を果たすのに対し、『冬物語』に
そういう人物はいないこと。

つまりレオンティーズは全くの独り相撲を
取っているわけで、ある意味で”より純粋”
な焼きもち焼きなのかもしれません。

ともかく、「嫉妬の狂乱」という趣向の
同じ物語を二度も創作したところを見ると、
ひょっとしたらシェイクスピア本人も
嫉妬に苦しむことの多い人だったのかな…
と思わされます;^^💦
👉それなら『オセロ』もぜひ…
と思われた方は、ぜひこちらで
どんな世界かを覗いてみてください。

シェイクスピア オセロのあらすじ 漱石講義のコメントつきで

シェイクスピアの『オセロ』で読書感想文【1600字の例文つき】

            

また【第四幕】の👉でもふれている
夏目漱石がこの『オセロ』、特に
イアーゴという悪役の造型を絶賛
していたことについては、こちらで
詳しく情報提供しています。

オセロ(シェイクスピア)の名言/セリフ 東大で漱石はどう講じたか
  

👉『冬物語』と並び称される
“ロマンス劇”の傑作として『テンペスト』
(大嵐)があり、また”四大悲劇”以前の
喜劇ながら、悲劇的な要素を含む
傑作として『ヴェニスの商人』が
あります。

この2作と、上記「あらすじ」中でも
ふれている喜劇の傑作『夏の夜の夢』や
『十二夜』については、こちらで
情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

テンペスト(シェイクスピア)のあらすじ 魔法と赦しのロマンス

ヴェニスの商人のあらすじ【簡単/詳しく】喜劇にして悲劇?

十二夜(シェイクスピア)のあらすじを簡潔に&人物相関図つきで詳しく

夏の夜の夢のあらすじを簡単に &詳しく【人物相関図・動画つきで】

      

また考えてみると『冬物語』の世界は
壮大な”から騒ぎ”だったとも
言えそうですね。

悲劇性の全然ない正真正銘の”から騒ぎ”を
やっている喜劇、その題もズバリ
『から騒ぎ』についてはこちらで。

から騒ぎ(シェイクスピア)のあらすじ【簡単&詳しく】恋は”無”から?

       


👉シェイクスピアの本を早く安く
手に入れたい場合は、Amazonが便利。
こちらから探してみてください。

シェイクスピアの本:ラインナップ
William_Shakespeare



まとめ

さあ、これだけの情報があれば
読書感想文やレポートを書こうとして
いる人も、もうバッチリですよね。


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?

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う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

    

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を
知るには、実際に出品され大臣賞などを
受賞している感想文をじっくり読んで
分析してみるのがいちばんです。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

                 

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

    

そちらで解説している「書き方」を
踏まえて、当ブログでは多くの感想文例を
試作し提供してきましたが、このほど
それらの成果を書籍(新書)の形にまとめる
ことができましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
  👇


買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

読書感想文 書き方の本はこれだ!サイ象流≪虎の巻≫ついに刊行!!!

            


👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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