サクラさん
テレビ番組『恋のから
騒ぎ』は英語では”Much
ado about love“だそう
ですが、本家シェイク
スピアの『から騒ぎ』は
“Much ado about
nothing“。

台風のような大騒ぎが
あった…でもその渦の
目には何もなかった?

ハンサム 教授
ええ。ダブル・プロット
の喜劇で、二つの恋が
成就するわけですが、
どちらも”無”から
発生したようなもの…

サクラさん
ヒロインの片方は仮面を
つけた別人に口説かれて
恋に火がつく。

恋する相手は実は仮面の
奥にいないんだから
まさに”無”ですよね。

ハンサム 教授
もう一方の男女は相手が
自分を愛していると人が
言うのを聞く
ことから
恋が発動する。



二人にそれを聞かせる
ことが周りの人々の狙い
だったわけで、これも
“無”から恋を生む巧妙
な策でした;^^💦

サクラさん
ふ~む(🐱)…とすると
どちらの場合も”無”を
“有”に変えたのは言葉
の力だったとも言える
のでは?

ハンサム 教授
ええ。シェイクスピア劇
の怖さは中身のない
“から”な言葉が人が
動かしてしまう、その
プロセスを舞台にのせて
いるところにあるかも
しれませんね。


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というわけで、おなじみ”あらすじ暴露”
サービスも第180弾((((((ノ゚⊿゚)ノ

“感想文の書き方”シリーズとしては
257回になります。

今回は数あるシェイクスピア喜劇の中でも
最も人気の高い『から騒ぎ』(1600)。

引用は、蜷川幸雄の「彩の国・シェイクス
ピアシリーズ」で常に使用されたもので、
原文のユーモアを巧みに伝え、注釈も
親切な松岡和子訳(ちくま文庫)で参ります。
 👇


もちろんケネス・ブラナー監督・主演の
1993年映画『から騒ぎ』の原作ですね。
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共演はエマ・トンプソン、キアヌ・
リーヴス、ケイト・ベッキンセイル
ほかの豪華キャスト。

なかでも出色だったのが準主役とも
いえるドン・ペドロ公にアフリカ系の
デンゼル・ワシントンを抜擢したこと。

白人であるはずの役に有色人種の俳優を
あてるのは、今ではディズニーの実写映画
『美女と野獣』『シンデレラ』などで
見慣れた光景になっていますが、1993年
当時はハッとさせられたものでした。

とりあえず、チラ見して
いただきましょうか。



さて「あらすじ」ですが、これも話の
骨子だけわかればいいという場合から、
読書感想文やレポートを書くんだから、
ある程度詳しくないと……
という場合まで用向きは色々でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚⊿゚)ノ

「簡単」と「やや詳しい」の2段階で
用意してますよ~(^^)у


簡単なあらすじ

まずは”簡単”ヴァージョンのあらすじ。

知事レオナートの邸宅に到着した
ドン・ペドロ公の側近、ベネディックは
レオナートの姪ビアトリスに再会して
以前からの口喧嘩を再燃させる。

もう一人の側近クローディオは
レオナートの娘ヒアローに恋して
しまったというので、ドン・ペドロは
仮面宴会で彼の代わりに口説き、
成功して縁談が進む。

 
 
が、ペドロの異母弟ドン・ジョンらは
一計を案じ、ヒアローの淫行をでっち
あげて縁談を壊そうとする(叫び)。

他方、口喧嘩ばかりのベネディックと
ビアトリスも、相手が自分を愛して
いるようにお互いに思わせるという
ドン・ペドロの作戦がはまって、
相愛を自覚していく。

ヒアローの不貞を信じたクローディオは
婚礼の「取りやめ」を言い出して新婦を
失神させてしまう。

が、やがてドン・ジョンらの
悪だくみも露見し、みな和解して
二組の夫婦が誕生する。

う~ん、なんだか…
わかったようでわからない? 

それでは参考までに、上記「彩の国」
シリーズ、蜷川幸雄演出の『から騒ぎ』
(2008)も覗いていただきましょうか。

こちらも小出恵介・高橋一生・長谷川博己・
吉田鋼太郎…という豪華キャスト。


こちらは人種どころかジェンダーも交錯
しており、女役もすべて男が演じるという
「オールメール・キャスト」。

まあ実際、シェイクスピアの時代、
役者はすべて男だったので、その意味では
リアルともいえます。


全編ご覧になりたい場合はコチラ。
  👇


さてさて、これらのつまみ食い的な
映像では、やっぱりわかりませんよね。

「なんでそうなるの?」という
ストーリーの流れは。

というわけで、どうしても「かなり詳しい
あらすじ」の方を読んでいただかなく
ことになるんですね;^^💦

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かなり詳しいあらすじ

さて、それではいよいよ幕開け…

それではホントの始まりです。

ところどころ👉印の注釈を入れていますが、
不要と思われる場合はすっ飛ばして
行ってください。

文中の「 」内と「”」印のある白い囲みは
上記の松岡和子訳からの引用です。


💑【第一幕】

シチリア島(現イタリア)、メッシーナの
知事レオナートの邸宅に、戦闘から凱旋
したアラゴン大公ドン・ペドロの
一行が到着する。


側近の貴族ベネディックとクローディオは
ともに「結婚しない」と誓った親友同士。

ベネディックはレオナートの姪である
ビアトリスに再会して以前からの
口喧嘩を再燃させるが、クローディオは
レオナートの一人娘ヒアローに初対面で
一目惚れの模様。
👉ここで女性たちの名前について一言。

「ビアトリス」は”Beatrice”で、
「べアトリス」とする訳本もあります。

これはよいとしても、「ヒアロー」
(訳本によっては「ヒーロー」)は
まさに”Hero”で、これはちょっと
女性名としては変なのでは?

いえいえ、変ではありません。

ギリシャ神話で愛の女神アフロディテに
仕えていた女神官ヘロ(Hero/ヘーロー
とも)からいただいた由緒ある
名前なんですね。

このヘロ、離島に住む恋人レアンドロスが
泳いで来ようとして溺れ死んだので、
絶望のあまり海に身を投げて果てた…
という一途な恋の女。

ヒアローの名にヘロの運命と重ねられて
いることは、第四幕で言及されることに
なります。

 
  ウィリアム・エッティ画「ヘロとレアンドロス」(1828)

ヒアローが「妻になってくれるなら…」
とまでクローディオが言うので
ベネディックはがっかり。

「六十まで独身を通す男にはもうお目に
かかれないのか」と嘆き、「一生、独身で
生きていきます」とドン・ペドロにも宣言。


クローディオの恋を打ち明けられた
ドン・ペドロは一計を案じ、今夜の宴会で
自分がクローディオに変装してヒアローを
口説いてとりこにし、それから父親に
交渉するという。


一方、ペドロの異母弟ドン・ジョンは
「率直な悪党」を自任する陰険な男。

部下ボラキオが小耳にはさんだ兄たちの
計画を知り、戦場で「俺を蹴落とし栄誉を
独り占めにしやがった」クローディオの
足を引っ張ってやろうとたくらむ。

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💑【第二幕】

 
レオナート邸の広間で宴会。

ドン・ペドロとその臣下バルサザーや
ベネディック、クローディオらが仮面を
つけて登場し、ドン・ペドロはさっそく
ヒアローを口説きにかかる。

   

ドン・ジョンとボラキオはベネディックだ
と思ったふりをしてクローディオに
話しかける。

ドン・ペドロはヒアローに本気で惚れて
いて、「今夜結婚する」と誓っていた、
すぐにもレオナートに話をつける
つもりだと吹き込む。


ドン・ペドロの計画は成功し、ヒアローを
連れてきたレオナートはクローディオに
「娘をお受け取りください」と申し出、
クローディオもこれを受けて、婚礼は
1週間後にという話になる。

仲の悪いように見えるベネディックと
ビアトリスが実は「お似合い」とみている
ドン・ペドロは、この1週間のうちに
こちらの二人も夫婦にしてやりたいと言い、
レオナートに協力を要請。


ボラキオはドン・ジョンに、ヒアローと
クローディオの縁談を壊す陰謀を提案。

ヒアローの侍女でボラキオに好意を持つ
マーガレットを抱き込み、彼女と自分とで
婚礼の前の晩に、ヒアローの窓の上下で
「クローディオ~」「ヒアロ~」と
呼び合いを演じ、「ヒアローはボラキオと
出来ている」という噂を立てましょう…と。

   

夕刻、庭園でベネディックが独り言を言う
ところへドン・ペドロ、レオナート、
クローディオらが現れ、ベネディックは
四阿(あずまや)に隠れる。

「もう一度」とねだられて歌いだす
バルサザー。

ため息つくな、嘆くな、乙女
男心はあてにはならぬ
海と陸とを股にかけ、
ひとつ所に留まりゃしない。

だから泣かずに行かせておやり、
明るくかわいい顔をして
泣きの涙は振り捨てて
気楽に歌おう
、ヘイ、ノニノニ

👉映画でもしっかり曲のつけられた
この歌にはシェイクスピアのいわゆる
“名言”も含まれていますので、
念のため原文を掲げておきます。

Sigh no more, ladies, sigh no more,
Men were deceivers ever,
One foot in sea and one on shore,
To one thing constant never:
Then sigh not so, but let them go,
And be you blithe and bonny,
Converting all your sounds of woe
Into
Hey nonny, nonny.

もう一連続きますが、そこでもリフレイン
される最後の(Converting…/泣きの涙は…)
のところだけ、ほかの訳本も
見ておきましょう。

泣けるのどなら どうせの事に
 浮かれ調子で…
   (福田恒存訳)

どうせ悲しい人の世ならば
せめて楽しいふりをしよう…

          (小田島雄志訳)

泣かずに陽気に歌いなさい。
ほら、
     (河合祥一郎訳)

いずれもなかなかの名訳ですね。

映画での歌唱もご堪能ください。




ベネディックがいることに気づいている
ドン・ペドロは「ビアトリスが
ベネディックに恋をしているとか?」
と振り、レオナートとクローディオも
ビアトリスは手紙を何度も書いては
破りしていたと調子を合わせる。

聞いたベネディックは、レオナートの
ような老人が「悪ふざけをするはずがない」
と考え、「こっちも恐ろしくあの人に
惚れこみそうだ」と思い始める。

「俺は死ぬまで独身でいると言ったが、
あの時は結婚するまで長生きするとは
思わなかったからだ」


そこへビアトリスが食事に呼びに来、
「気が進まないけど、お言いつけだから
知らせにきました」と憎まれ口をたたくが、
ベネディックはこれらの言葉のすべてに
「裏の意味」を読み、愛されていることを
確信する。

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💑【第三幕】

ドン・ペドロの意を受けたヒアローが、
ビアトリスにもベネディックへの愛に
目覚めさせるための一計を侍女の
アーシュラに言い含める。

ビアトリスが現れて四阿に隠れたので、
「間違いないんですね、ベネディック様が
ビアトリス様にぞっこんだっていうのは」
などと長く話してから立ち去る。

ビアトリスは人が変わったように
「ベネディック、愛し続けて、
私もお返しします」などと心に思う。

  

レオナート邸の一室でドン・ペドロと
レオナート、ベネディック、クローディオ
が話すところへ、ドン・ジョンが登場し、
ヒアローは「ふしだらです」と言う。

その証拠には「ご同行願えれば、今夜
あの女の窓から忍び込む男の姿が
見られるはずだ」と。


計画を実行したボラキオは、街路で
同僚のコンラッドに手柄話をしている
ところを、張り込んでいた夜警に
聞きとがめられ、逮捕される。

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💑【第四幕】

教会で挙式。

が、クローディオは「結婚は取りやめだ。
札付きの淫売に私の魂を捧げるつもりは
ない」などと言い出し、ドン・ペドロも
これに賛同。

「うわべの美しさのせめて半分でも」
その心にあれば、レアンドロスの恋人
ヘロの再来になっていただろうに!
とクローディオは罵倒する。

だがもうお別れだ、
最も汚れた、最も美しい人。

さようなら、清らかな冒涜の人、
冒涜的に清らかな人、
お前のせいで私は愛の扉に錠をおろし、
まぶたには疑惑の覆いをかけ、
すべての美人を悪女とみなすだろう


ヒアローは失神し、ドン・ペドロ、
クローディオ、ドン・ジョンは退場。

      

身動きしたヒアローに「生き返るな!」
と怒り狂うレオナート。

ベネディックは彼をなだめ、クローディオと
ドン・ペドロを「はめたのは私生児のドン・
ジョンに違いない、悪だくみが命という
任だから」とさとす。

「娘の名誉を傷つけたなら」存分に
「仕返ししてやる」とレオナート。

ここで修道士が、彼らはヒアローが
死んだと思っているから、死亡したと
公表し、時を置いてクローディオが
後悔するのを待ってみようと提案。


一同退場して二人きりになると、
ベネディックとビアトリスは
互いの愛を告げあう。

「君のためならなんでもする」と言った
ベネディックに、ビアトリスは
「殺して、クローディオを」と命じ、
ベネディックは彼と決闘すると約す。




💑【第五幕】

邸の前でレオナートと弟アントーニオが
話すところへ、クローディオがドン・
ペドロとともに登場し、あやうく斬り合いに
なるところをアントーニオがなだめ、
兄とともに退場。

そこへベネディックが現れ、
クローディオに決闘を申し込む。

ドン・ペドロに対しては罷免を願い出、
「弟君はメッシ-ナから逃げました。
あなた方は、罪もない優しい女性を
寄ってたかって殺したのだ」と
糾弾して退場。

    

そこへドグベリー警察署長に引っ立て
られてボラキオらが登場し、ドン・
ペドロの裁きを乞い、経緯を供述する。

自らの悪事については「死をもって
封印しとうございます」とも。


ヒアローの潔白を知ったクローディオは
レオナートと和解し、彼の要求を承諾する。

要求とはヒアローの貞節を世に知らせ、
墓前に哀悼の歌を捧げること、また彼女に
瓜二つだという姪と結婚してレオナートの
跡継ぎになること。


葬儀の翌朝、婚礼に臨んだクローディオの
面前に現れた花嫁が仮面を取ると、
なんとそれはヒアローその人。

一同が二人の結婚を喜ぶ中、相変わらずの
減らず口が止まらないビアトリスの口を
ベネディックが接吻でふさぐ。

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“無”に突き動かされる人々

さて、いかがでした?

から騒ぎ』という日本語タイトルが
原題の”Much ado about nothing“に
なかなかよく対応する名訳で…
あるいはむしろ原題以上に作品の
趣意をよく表しているかもしれない
(その証拠には明治以来、これ以外の
邦訳題が現れていない)こと。

そのあたり、なんとなく納得して
いただけたのではないでしょうか。


つまり『から騒ぎ』の主人公たちは、内容は
から(nothing)“な言葉たちによって
恋に火をつけられ、てんやわんやの
すったもんだを繰り広げるわけですが、
これこそはおそらくシェイクスピア劇の
基本パターン。

『から騒ぎ』の次あたりに書かれた
『ハムレット』に始まる”四大悲劇”の
世界にも持ち込まれるものなのです。


たとえば『リア王』第一幕で、娘たちに
「誰がいちばんわしを愛しているか、
言ってみよ」と要求する父王に対して、
末娘コーディリアが答えるただの一語は、
まさに”Nothing”(無)でした。

この”nothing”には多様な解釈が試みられて
きましたが、いずれにしても『リア王』の
ドラマはこの”無”に突き動かされて
進んでいきます。

      

『マクベス』を謀反から自滅へと駆り立てる
のは、やはり冒頭での魔女の予言(その時点
ではなんら”実体の無い”言葉)でしたし、
また『オセロ』での死に至るまでの狂的な
「嫉妬」も、悪役イアーゴの、これまた
“実体の無い”言葉に操作されたものでした。

このような見方をすると、傑作喜劇
『から騒ぎ』には”四大悲劇”の楽しい
予告編というような意味もあったのでは?
とも思えてきます。
👉シェイクスピアの傑作悲劇に
ついてはこちらの記事などで
詳しく情報提供しています。

ぜひご参照ください。

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👉また喜劇の傑作についてはこちらで。

どうぞご覧ください。

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まとめ

さあ、これでもう大丈夫ですよね、
感想文だろうがレポートだろうが…。

え? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でも具体的に、どう
進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

👉当ブログでは日本と世界の多くの
作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

お役に立ちそうなものをこちらの
リストから探してみてくださいね~(^^)у

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょ~~(^O^)/


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