テンペスト(シェイクスピア)のあらすじ 魔法と赦しのロマンス | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

テンペスト(シェイクスピア)のあらすじ 魔法と赦しのロマンス

サクラさん
『テンペスト』といえば
仲間由紀恵さん主演の
琉球王朝ドラマですね。

ハンサム 教授
いやそのタイトルが
そもそもシェイクスピア
の『テンペスト』を
拝借したもの;^^💦

主人公は魔法使いなん
ですよ~。


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サクラさん
ゲッ、魔女ですか?(🙀)

ハンサム 教授
いやいや、男ですけど。

タイトルになっている
「テンペスト」(大嵐)
自体、主人公が魔術で
起こしたもの。
 

その嵐がもたらす一目
惚れのラブ・ロマンス
あり、復讐劇ありの
スリリング・ドラマ
なんです;^^💦

サクラさん
あ~それなら面白そ~。

私も大嵐に巻かれて
みたい~(😻)



というわけで、おなじみ「あらすじ」
暴露サービスも第137弾。

“感想文の書き方”シリーズとしては
ついに大台に迫る第196回((((((ノ゚🐽゚)ノ


今回はシェイクスピア最後の作品と
される”ロマンス劇”の傑作『テンペスト』
(1612年ごろ初演)に挑戦です。
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さて、一口に「あらすじ」を、といっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文あるいは論文を書くんだから、
ある程度詳しくないと……という場合まで、
千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚🐽゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~(^^)у


ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した
「ごく簡単」ヴァージョンのあらすじ。

ナポリ王アロンゾー、ミラノ大公
アントーニオらを乗せた船が
大嵐にあって孤島に漂着。

この嵐、実は12年前にこの二人の
結託により大公の地位を奪われた
アントーニオの兄、プロスペローの
魔術によるものだった。

ナポリ王子ファーディナンドの死を
見込んだアントーニオは、王弟
セバスチャンをそそのかし、国王
暗殺による王国乗っ取りを画策。

   
  プロスペローを中心とした人物関係図


父らとは別のところに漂着した
ファーディナンドは、プロスペローの
15歳の娘ミランダとたちまち恋に
落ちる。

プロスペローの現地人奴隷で魔女の
生んだ化け物であるキャリバンは、
別個に漂着した執事ステファノーらを
うまく巻き込んでプロスペロー殺しを
企てる。

二つの悪だくみはいずれもプロスペロー
の魔法と空気の妖精エアリアルの活躍で
食い止められ、ナポリ王父子は再会し
王子とミランダは結婚する。

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う~ん、やっぱりよくわからない…

というか、これではなんだか子供
だましのメロドラマで、文豪
シェイクスピアの偉さがどこに
あるのか全然わからん┐( ̄ヘ ̄)┌?

    William_Shakespeare
    シェイクスピア

それはそうでしょうね。

話を単純化しちゃうと、
どうしてもそうなります。

でも、もう少しストーリーに分け入って
登場人物の言動を細かく見ていくと、
ああ、さすがはシェイクスピア(🙀)…
という感動も起こってくるはずなんです。


とりあえず、雰囲気を知るために
2010年イギリス映画『テンペスト』の
予告編を覗いておきましょうか。

ただしここでは主人公が女性(プロスぺラ
=ヘレン・ミレン)に置き換えられて
いますが、それは原作とは違うので要注意。


ん? ますます原作のもっと詳しい
ストーリーを知りたくなった?

そうでしょう、そうでしょう、
そう来なくっちゃいけません。


かなり詳しいあらすじ

というわけで、それではそろそろ
本式の幕開けです。

が、その前に、登場人物の相互関係ですが、
上に入れた図ではまだわかりにくいと
思いますので、日本語でわかりやすく
図示した「相関図」(人物関係の
見取り図)を掲げておきましょう。

読んでいてわかりにくくなったら、
ここへ戻って確認してください。
『テンペスト』相関図(人物関係の見取り図)
💓は恋愛関係を示します 


なお「”」印のある白い囲みの中は原作
(上記広告のちくま文庫の松岡和子訳)
からの引用で、シェイクスピアの”名言”
として知られる台詞を含んでいます。

👉印は話をわかりやすくする
ための注釈ですが、不要と思われる
場合はすっ飛ばしていただいて
かまいません。

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⚡【第一幕】

ナポリ王アロンゾーの船は、チュニス王に
嫁ぐ王女の結婚式を済ませての岐路に
あったが、大嵐にあい沈没寸前。

同乗の弟セバスチャン、顧問官
ゴンザーローやアントーニオ
(現・ミラノ大公)らは死を覚悟。

   

近くの島では、15歳の娘ミランダが
父のプロスペローに「これもあなたの
魔法による嵐ならば鎮めて」と頼んでいる。


「そのとおりだが」
とプロスペローは答える。

「それは12年前、アロンゾーと
結託して自分の地位を簒奪した
弟のアントーニオへの復讐だ。

そのころ学問と魔術の研究に没頭し、
政治は弟に任せていたら裏切られた俺は、
まだ乳飲み子のお前を抱いてミラノを
逃げ出さねばならなかった。

そして漂着したこの孤島で、なんとか
生活を切り開いてきたのだ」と。


空気の妖精エアリアルが戻ってきて、
船中で炎に化けるなどして(🔥)
暴れてきたと報告。

  

12年もの間松の幹の中に閉じ込められて
いたのを助けられた恩義から忠実は
召使いになっているエアリアルに、
プロスペローは次の任務を与える。


奴隷のキャリバンが出てきて
プロスペローに「この島はおれの
もんだ」と悪態をつく。

    
「お袋のシコラクスに譲られたのに
お前が横取りしやがった」

はじめは大事にしてくれたから
「この島のことは全部教えてやった」
のに、今は固い岩穴に閉じ込めて…と。


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それはお前が「俺の娘を犯そうとした
からだ。例の罰(体を痙攣させる)を
加えてやろうか」とプロスペローは威嚇。


アロンゾーの息子ファーディナンドは、
島に流れ着いてミランダに出会う。

プロスペローが「心に念じたとおり」に
エアリアルがはからい、二人は互いに
一目で恋に落ちる。

    


ミランダを「ナポリの王妃にします」
とまで言うファーディナンドに、
プロスペローは「ひと苦労させなくては
なるまい」と考え、過酷な労働を課す。


⚡【第二幕】

 
アロンゾー一行は島の別の場所に漂着。

息子は死んだと思い嘆くアロンゾーと
忠実な老顧問官ゴンザーローらはやがて
寝つき、目覚めている公弟セバスチャンに
アントーニオが話しかける。


ナポリの王子が死に王女は遠方へ嫁した
以上、ここで「一芝居打って」王を
暗殺すれば、王位はあなたのもの。

なるほど「君がミラノを手に入れた
ように俺もナポリを頂戴しよう」
とセバスチャン。


二人が剣を抜いたところへ「何もかも
魔法の力でお見通し」のプロスペローに
派遣されたエアリアルが「見えない姿で」
登場し、ゴンザーローを起こす。

  

二人は「身辺の警護をしていた」などと
ごまかし、暗殺は未遂に終わる。


薪を運んでいたキャリバンは
アロンゾーの道化トリンキュローを
妖精だと思い、上着をかぶって身を隠す。

すると雷鳴が鳴り、トリンキュローが
キャリバンの上着に潜り込んところへ
アロンゾーの執事ステファノーが来て
「脚が四本、声ふたつ」の化け物だと思う。

飼いならして売り飛ばそうとキャリバンの
口に酒を流し込んでいると、
トリンキュローが上着の下から
出てきて二人は再会を喜ぶ。


飲まされた「天国の飲み物」に驚いた
キャリバンは、ステファノーを崇拝し、
「俺の神様になってくれ。家来になる」
と誓う。

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⚡【第三幕】

ファーディナンドとミランダは
ますます愛し合い、夫婦約束をする。


キャリバンはステファノーに、
プロスペローを殺して、あんたが
「島の王」になれとそそのかす。

「本がなけりゃあいつもただの馬鹿、
俺と同じだ」から、日課の昼寝を
している間に本を取り上げれば、
もう妖精たちを動かすこともできない。

妖精たちもほんとは「心底あいつを
憎んでる」んだから、と。


『ステファノー、トリンキュローとキャリバン』(J・H・ランベルグ[1763-1840]画)

👉キャリバンを初めて目にした
トリンキュローのセリフに「何だ、こりゃ?
人間か魚か?」、イングランドへ連れて
行けば「この化け物で一山当てられる」
などとあることから、こういう姿に。



アロンゾー一行は一縷の望みを抱いて
ファーディナンドを探し続けているが、
その陰でセバスチャンとアントーニオは
「やるなら今夜」と密議。


突然、不思議な音楽とともに、
「不思議な姿をした者たち」が饗宴の
(豪勢な食事)の場をしつらえる。

アロンゾーたちが食べ始めようとするや、
ハーピーに姿を変えたエアリアルが現れ、
食卓の上で羽ばたくと料理はすべて
消えてしまう。
👉ハーピー(Harpy)はギリシャ神話の
怪鳥ハルピュイア。

顔は女、足には鉤爪、体は猛禽で、卓上の
食物をあっという間に平らげるとか。

   


「お前たち三人は罪びとだ」と
エアリアルはアロンゾー、セバスチャン、
アントーニオに呼びかけ、お前たちを
「発狂させてやったぞ」と告げる。

それは死をも呼ぶ狂った勇気で、
心から悔い改めなければ神罰が下ると。


大波や風や雷に罪状を言い渡されるのを
聞いたアロンゾーは息子とともに
「海底の泥に埋もれ」ようと考えるが、
残りのふたりは「悪魔の全軍とでも
戦ってやる」と去ってゆく。

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⚡【第四幕】

プロスペローはファーディナンドに
苦しい思いをさせたのは愛を試すための
試練だったと告げ、ミランダとの
結婚を許す。

やがてアイリス、シーリーズ、ジュノー
らの女神を演じる妖精たちの壮麗な劇が
上演されるが、それは自分が魔法で
「呼び出し、頭に浮かぶ空想をそのまま
演じさせた」ものだとプロスペローは
説明する。

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この地上のありとあらゆる
ものはやがて融け去り、
あの実体のない仮面劇が
はかなく消えていったように、
あとにはひとすじの
雲も残らない。

我々は夢と同じ糸で
織りあげられている。

ささやかな一生をしめくくる
のは眠りなのだ

👉名言としてよく引用されるセリフです。

英語原文が気になるという人はこちらで。

テンペスト(シェイクスピア)の名言・名セリフ 英語原文ではなんと?



何人かのニンフ(nymph。乙女姿の精霊)も
呼び出されて踊るうち、プロスペローは
「キャリバンとその一味が俺の命を狙う」、
その時刻が近いことを思いだす。

妖精たちを去らせ、エアリアルに命じて
きらびやかな衣裳を木にかけておかせる。


通りがかったステファノーたちが
臭くなった衣服をその衣裳に替えるべく
運ぼうとしているところへ、何人かの
妖精が猟犬に姿を変えて現れ、追い回す。

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⚡【第五幕】

閉じ込められたアロンゾーたちは
「狂乱の体」で、特にゴンザーゴーの
あご鬚からしたたる涙は雨のようだと
エアリアルの報告。

プロスペローは「連中が後悔していると
あれば、唯一の目的はもう遂げた」、
「荒々しい魔術はこの場で捨てる」
と宣言。

四人の前に現れたプロスペローが
経緯を語ると、アロンゾーは
「ミラノ公国はお返ししよう、そして
私の犯した罪をお赦し願いたい」と言う。


プロスペローが帳を開けると、ミランダと
ファーディナンドがチェスの真っ最中。

息子の生存を喜んだアロンゾーが、
自分を「父」と呼ぶミランダに
過去の罪をわびようとすると、
プロスペローが止める。

いや、もういい。

お互いの思い出に、過ぎ去った
悲しみの重荷を負わせるのは
よしましょう。


多数の人を初めて目にしたミランダは、
「人間はなんて美しいのだろう」と感動。

  

プロスペローはエアリアルに命じ、
盗んだ服を着たステファノーらを
連れてこさせ、主人のアロンゾーと
再会させる。

彼らもキャリバンも赦してやり、
エアリアルにはアロンゾー一族の
快適な航海を最後の仕事として
「そのあとは大気のなかへ自由に
帰って行け」と命令。


⚡【エピローグ】

(プロスペローが観客に向けて語る)

祈りは天に達し、神のお慈悲に
訴えかけ、すべての罪は
赦されます。

皆様も罪の赦しを乞われるからは
ご寛容をもってこの身を自由に。



“魔法”とは話がうますぎる?

さあ、どうでしょう。

面白いところを挙げていったらキリが
ないでしょうが、たとえば主君殺しの
陰謀が

  • アントーニオ 👉 プロスペロー
  • セバスチャン 👉 アロンゾー
  • キャリバン 👉 プロスペロー
と3つも重なり、それらが引き起こしていた
不幸な事態が一挙に解消されるという
ストーリー展開なんか、さすが
シェイクスピア! と言いたくなる
鮮やかさではないでしょうか。

ん? でもそれもこれも結局は魔法の
威力で何もかも主人公の思い通りに
事が運ぶわけだから、ご都合主義の
子供だましだともいえるんじゃないか?



まあ、そこを突っ込めばそうですよね。

でもそのへんこそこの戯曲が
「ロマンス劇」と呼ばれるゆえん。

『ハムレット』『マクベス』『オセロ』
『リア王』など息詰まる傑作悲劇の制作を
潜り抜けて来た文豪の息抜きという感じは
たしかにします。

しかもこれが最後の戯曲だという意識を
持ちながらの執筆だったことは
「エピローグ」での挨拶からも
窺われますね。


考えてみれば、小説や戯曲の作者が
登場人物を自由に動かすのは、「魔法」を
使っているのとよく似ていますよね。

長年にわたってそういうことをやってきた
自分自身をパロディ化してみようという
意図もあったんじゃないでしょうか。

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復讐からも主従関係からも解放されて

結末でのプロスペローが「みんな赦そう」
という寛容の気分に満ちてくるのも、
最後の作品だという作者の意識を映しだす
ものかとも思われますね。

アントーニオ、セバスチャン、そして
キャリバンら悪だくみをした奴らが十分
悔い改めたようにも見えないまま
赦されていくのもそれまでの
シェイクスピアにない展開では?…と。


このことと重なって、現代的な批評の
的になっているのがキャリバンの扱い。

    

つまり彼はプロスペローという”西洋”
によって支配されてきた”植民地人”の
比喩(メタファー)として読めるわけで、
そのキャリバンも赦され解放される。

奴隷を解放しなければ主人の解放も
ないという弁証法的真理がみごとに
表現されているとも読めるわけです。
👉このように色々と問題含みで哲学的でもあり、
悲劇でも喜劇でもあるという総合的なドラマが
シェイクスピア後期の”ロマンス劇”。

そのもうひとつの傑作、『冬物語』に
ついてはこちらをご参照ください。

冬物語(シェイクスピア)のあらすじ【簡単&詳しく】狂王と監禁妻のロマンス

    

またこれら”ロマンス劇”にたどりつく
前の”四大悲劇”を含む名作たちに
ついてはこちらで。
👉シェイクスピアの傑作はもちろん
これら”ロマンス劇”ばかりではありません。

当ブログでは、”四大悲劇”をはじめ
喜劇・歴史劇など21作以上について、
「あらすじ」などの情報を提供しています。

気になる作品をこちらから
お探しください。

シェイクスピアの本でおすすめは?喜劇・悲劇…各ジャンル21作品の紹介!

     

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こちらから探してみてください。👇
シェイクスピアの本:ラインナップ
         



まとめ

さあ、これでもう大丈夫ですよね、
感想文だろうがレポートだろうが…。

え? 書けそうなテーマは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?
👉当ブログでは日本と世界の多様な文学や
映画の作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

お役に立ちそうなものをこちらの
リストから探してみてくださいね~(^^)у

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょ~~(^O^)/



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