サクラさん
桐野夏生さんの新作
小説『デンジャラス』が
評判ですが、何がデン
ジャラス(危ない)だと
いう話なんですか?

ハンサム 教授
文豪・谷崎潤一郎を
囲み、彼の創作意欲を
掻き立てた女たちの
生々しい葛藤…

それが一触即発で、
お~怖ッと。

サクラさん
谷崎先生、そんなに
モテモテだった?(🐱)

ハンサム 教授
まあ、そうでしょうね。

傑作小説のヒロインに
なるあるいは「なった」
ということをめぐる
女たちの複雑・隠微な
心情のアヤ…

  

それが複数女性の間で
交差することでやはり
微妙な三角/四角関係も
生まれて、それがまた
小説になる…
という次第;^^💦

サクラさん
Wao! これはもう
読まずにはいられ
ませんね(😻)


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というわけで、ついに大台を超え、
151弾となります”あらすじ”暴露サービス
(感想文の書き方シリーズ第226回)は
桐野夏生さんの『デンジャラス』(2016)!



まずは、ごく簡単にアウトラインだけ
わかればいいいという人のための
「ごく簡単なあらすじ」から。

簡単なあらすじ


⦅あらすじ⦆
戦後、「文豪」と呼ばれるようになった
「兄さん」(谷崎)は理想としてきた
「家族王国」――男たちは排除し、
妻松子のほかその妹の「私」
(『細雪』の雪子のモデルとされる
重子)らをそばに置く──を完成
させつつあった。

空襲のさなか、不仲になっていた夫、
田邊が一旗揚げて迎えに来た時も、
「うちは兄さんや姉ちゃんと一緒に
死にたい」と私は夫を見捨てた。

このことについて兄さんから「僕は嬉し
かった」「僕はあなたが好きです。
あなたのためには、すべてを擲(なげう)つ
覚悟があります」とまで言われて
舞い上がるものの、『細雪』の雪子の
つもりで言っている幻想的な言葉に
すぎないとも思える。

  

やがてよりを戻した田邊が死んだ
42歳のころからは、寂しさから
アルコールに依存。

「田邊」の家名を残すための養子として
松子姉の連れ子である清一と恵美子が
迎え入れられたが、今度はその清一の
嫁として来た21歳の千萬子に兄さんの
関心が向かう。

変幻自在の松子姉もさすがに変調を
来たし、千萬子夫妻と姑の私は
兄さんに家を買ってもらって、
そこに同居。

新しい連載小説『鍵』の第一回を読んだ
松子が「あの人は千萬ちゃんに魂を
抜かれている」と言うので、私も読んで
みると、そのヒロイン郁子は40代で
むしろ自分がモデルだとしか思えず
「内心、小躍り」する。

しかし5年後の『瘋癲老人日記』での
「新境地」を開かせたのが千萬子である
ことは明白で、兄さんは「巷の好奇心に
応えるかのように、ますます千萬子への
執心を隠さなく」なる。

松子の悲嘆を見かねた私は、ホテルに
兄さんを呼び出して談判。

「あなた様が仰るなら、千萬子にはもう
手紙は出しません」「あなた様こそが、
私の創作の源流でした」という言葉を
引き出す。

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ン? なんだかよくわからない?

まあそうでしょうね。
ずいぶん説明をはしょってますから。

というわけで、この世界に興味を引かれた
人は、どうしても「かなり詳しいあらすじ」
の方へ入っていただく必要があるのですね。

かなり詳しいあらすじ

では参りましょう。

作品は大きな3つの章からなっていますが、
それぞれの章について、話の流れがわかる
ようにかなり詳しく、もちろん⦅ネタバレ
あり⦆であらすじを追っていきます。


「 」内や「”」印の囲みは上記
単行本からの引用。

より深い理解のために👉印の注釈を
入れていますが、うるさいと思われたら
飛ばしてください。

【第一章 つまいもうと】

つまいもうと
娘花嫁
われを囲む
潺湲亭(せんけんてい)の
夜のまどゐ哉

👉冒頭第1行に置かれるのが
谷崎のこの短歌(1951年作)。

「つま」以下続々と並べられた言葉たち…

具体的には何を指すものなのか、
わかります?

大半の読者にはわからないと思いますので
ここでザッと説明しておきますね。

それらを知っておくことは、この小説の
理解の早道にもなるはずですので、

  1. つま:谷崎(旧姓森田)松子。
    『細雪』の幸子のモデル

  2. いもうと:田邊〔渡辺〕(旧姓森田)重子。
    松子の妹で田邊弘に嫁ぐも1949年に
    死別し、以後、谷崎と同居。
    『細雪』の雪子、『鍵』の郁子のモデル。

  3. :田邊〔渡辺〕美恵子。
    松子が前夫小津清之介〔根津清太郎〕
    との間になした子で谷崎が引き取り、
    のち田邊の養女となる。

  4. 花嫁:田邊〔渡辺〕(旧姓山伏)
    森田千萬子(ちまこ)。
    山伏病院院長夫人で美貌の歌人
    として知られる山伏節子の娘で
    美恵子の兄田邊清一〔清治〕の新妻。
    『瘋癲老人日記』の颯子の(また
    おそらく『鍵』の敏子の)モデル。

  5. 潺湲亭:谷崎が京都に構えた2つの邸宅。
    1946年からの南禅寺下河原町の
    家が「前の潺湲亭」、49年からの
    下鴨泉川町のが「後の潺湲亭
    と呼ばれる。

つまりこれらの女性たちに囲まれ、
自ら買い求めた瀟洒な邸宅で
にんまりとするわれ自らを
詠んだ歌…ということなんですね。

そしてこの小説全体の語り手兼主人公の
「私」が『細雪』と『鍵』の美しき
ヒロインのモデルとなった重子さん…
と来ては、これはもう谷崎ファンなら
見逃すわけにいかない世界。

登場人物の名前も実名と変名(〔 〕内が
その実名)が入り混じり、ご存命の方や
ご遺族への配慮を思わせ、そのあたりにも
なんだか生々しい妖しさが漂います;^^💦



👉右から松子、美恵子、信子(『細雪』の妙子)、重子
(潤一郎撮影、1940年)



戦後、『細雪』完成のころから「文豪」と
呼ばれ、1949年には文化勲章も受章した
「兄さん」(谷崎)はまさに我が世の春を
謳歌しており、家庭的にも理想としてきた
「家族王国」を完成させつつあった。

「家族王国」に男は不要で、私の夫、田邊や
美恵子の兄、清一はかなり露骨に排除
されたが、清一の嫁、千萬子は可愛がり、
翌年彼女が生んだ娘には「のゆり」
〔たをり〕という風雅な名を授けた。

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田邊は『細雪』の雪子がラストでついに
結婚を決める華族の三男、御牧のモデル。

結婚前は堅実なインテリを装っていたが、
これが学歴も含めてウソだらけで、
実際はろくに働かない大酒飲み。

『細雪』の雪子のモデルになったことを
誇る私の微妙な心理を感知しては「フン、
谷崎が…」などとけなすので、私が
言い返すと暴力も出るようになって、
不仲だった。

     Fotolia_64352096_XS
    倚松庵(『細雪』執筆の家。神戸市)


戦中、一念発起した田邊は一人で函館に
渡り、私は熱海市西山の兄さんの家に
居させてもらっていたのだが、昭和20年
(1945)春、仕事を軌道に乗せた田邊が
私を迎えに来訪。

「どうしますか?」と兄さんに聞かれ、
私はここにいさせてほしいと答えた。

空襲で「もし死ぬんやったら、うちは
兄さんや姉ちゃんと一緒に死にたい」

しばらく話してから、私のこの
発言のことに戻った兄さんは、
「いや、僕は嬉しかった」と言い、
こう続けた。

重ちゃん、ずっと一緒に
いてください。

死ぬときも一緒です。

僕はあなたが好きです。

あなたのためには、すべてを
擲(なげう)つ覚悟があります。


私は舞い上がり、また思い悩む。

もしかすると、生身の私が、
小説の「雪子」と同化する
こともあるのでしょうか。

私が現実と小説、そのどちらの
世界にも生きられるのだとしたら、
何と不思議なことでしょう。

私はその思い付きに陶然と
したのでした。


田邊について行くのはいやだと姉の
松子に告げると
「心配しなさんな」
「あの人もあんたがいてくれたら
喜ぶさかい」などと言う。

私は「内心どきり」とし「姉を
騙している」ような気にもなった。

         

泣いて頼む田邊を一人で帰らせた私は
兄さんに礼を言うが、その表情は穏やかな
だけで、「好き」云々に関しては
「知らん顔」。

落胆したものの顔には出さないように
したが、それは兄さんが「私が激しい
内面を見せずに耐え忍んでいる風情が
お好きなのだ、と気付いていたから」。

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姉の松子はといえば「女優のように
変幻自在で、掴み所がない」。

だからこそ「兄さんほどの人も
翻弄された」。

ならば「私は松子姉とは違う女に
ならなければいけないのでしょう」

松子姉が太陽なら月、
松子姉が光なら影、
松子姉が動なら静。

私あっての松子、
松子あっての私。

兄さんが好きなのは、
松子姉と対になった
私のはずでした。

         

爵位を継いでいる田邊の兄の世話で
岡山県津山に疎開先を見つけた
兄さんと私たちは5月はじめに
熱海から移住。

6月、そこへリュックいっぱいの
食料を運んできた田邊が現れて
皆に感謝され、私も前より好きになる。

【第二章 娘花嫁】

私にはない「女の実績」を誇る松子姉への
対抗心もあり、また「もう兄さんに翻弄
されたくない」という決意から、その後
私は田邊との愛に生きようとしていた。

が、1949年、田邊は胃癌で死去し、
兄さんは「潺湲亭にいらっしゃい」
と言ってくれた。

「あんたの面倒は一生見るよ。
この度こそ死ぬまで一緒だ」


以前同じことを言ってくれましたねと口に
すると、あの時は「弘さんと別れるつもり
でしたね」「だからですよ」とアッサリ
返される。

落胆のあまり涙が滲んだが、兄さんは
その涙を田邊を哀悼してのものとしか
思わなかっただろう。

    

42歳で田邊を失って「心も体も寂しくて
ならない」の私は、やがてアルコールに
依存するようになった。

心配した兄さんから「次の男を探そうか」
と言われるも、「いやです」と断る。


ただ、「田邊」の家名を残す意味で養子を
とることは亡夫の遺志でもあったので、
松子姉の連れ子である清一と恵美子を
養子とする話がまとまった。


やがてその清一の嫁として21歳の千萬子が
嫁ぎ、「後の潺湲亭」の離れで暮らし
始めるが、これにより松子姉に変調が…。

「兄さんの心が千萬子に移ったのでは
ないか」と私の目にも見え、松子が
自負していた「女の実績」への
「絶大な自信」も揺らぐようだった。

『細雪』で妙子として描かれた森田家
四女の信子を「新しい女」として兄さんは
嫌ったけれども、時代も大きく変わり、
「アプレゲール」的でもある千萬子は
「これまで想像したことのない新しい女
だったのです」。
👉『細雪』での「新しい女」観に
ついて、また『細雪』全体の
ストーリーなどの情報は
こちらで提供していますので、
どうぞご参照ください。

谷崎潤一郎 細雪のあらすじ 💞映画とは違う原作の芸術性は?

谷崎潤一郎 細雪で感想文を ”下痢の美女”か”新しい女”か
    
    


やがて千萬子夫妻は兄さんに北白川に
家を買ってもらい、姑の私もそこに同居する
ことになったが、嫁とのそりは合わず、
私のアルコール依存は昂進する。


兄さんが潺湲亭を売って熱海に永住する
と決めたと聞いた私は、自分もそちらに
住みたいと頼んだが、松子姉は
「うん」と言わない。

千萬子と住み続けて兄さんとの関係を
「監視してほしい」というのだ。

    

清一との仲が悪化しているはいっても、
まさか兄さんと妙なことにはなるまいと
問い返すと松子いわく、

「あの人はもう夫婦生活はでけへんから、
体のことやないの」
「あの人は千萬ちゃんに魂を抜かれている」
「あたしは、もうお役ご免かもしれんよ」

「いくらなんでも」と絶句すると、
最新の連載小説『鍵』の第一回を読んで
怖くなったのだという。

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女のあたしはどんどん衰えて
いくのに、あの人は逆に燃え盛って
いるんやとわかって、もう付いて
いけんと思うた。

捨てられるとは思わんけど、
離れてゆく。

まさか、あたしにこんな老年が
待ってるなんて、思うても
いんかったんよ。

それが怖いねん。


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そこで私も『鍵』を読んでみると、
ヒロインの「郁子」は年齢的にはもちろん、
寝室で醜貌の夫から逃げ腰だったことや、
酒のせいで風呂場で何度か倒れたことなど
私と符合する部分が少なくなかった。

『細雪』完成から十年以上を経て
「兄さんが再び、私をモデルに小説を書く
日が来るとは思ってもいなかった私は、
驚くと同時に、内心、小躍りして
いました」。

妻でありながら夫から激しく
焦れられ、しかも日記という
ゲームに興じる「郁子」は、
悪妻です。

しかし、これほど賢く魅力的な
悪妻がありましょうか。

       

ただ千萬子のことは書いてないと
思ったので、松子にそう告げると、
郁子の娘、「敏子」を挙げた。

最初、美恵子かと思ったが、あの子は
「ええ子やから、あんな何を考えて
いるかわからへん娘やないやろ」。

「よう読むと、何や小憎たらしい」から
「あれが千萬ちゃんやないかと思う」と。


『鍵』の第2回は過激さを増して国会で
問題にされたほどで、失神した郁子を
夫が裸体にして眺め回し、写真に撮る
という「嫌らしい場面」があった。


そのような場面を想像すると「私は息が
詰まるほど苦しくなり、やがて兄さんが
恋しくて堪らなくなるのでした」。
👉この問題小説『鍵』については
こちらで情報提供しています
ので、ぜひご覧ください。

鍵(谷崎潤一郎)のあらすじ 原作小説が映画の何倍も凄いワケ

 


兄さんは、私をそんなに思って
いたのか、と優しい気持ちに
なるのです。
〔中略〕
小説と実人生は一緒ではありませんが、
小説に影響される人生があっても
いいのです。

いいえ、素晴らしい小説ならば、
実人生が小説に吸い取られて
しまった方がどんなにいいか。


夕食後、兄さんと二人で飲む機会が
できたので『鍵』の母娘について
探りを入れてみた。

敏子のような「厭味な娘は、千萬ちゃん
以外にいやへんやろ」と小声で言うと
兄さんはむきになった。

「千萬ちゃんは面白い人です」
「持って生まれた観察眼」で「何かを
仕掛ける陰謀も持ち合わせているかも
しれない」…

『細雪』の雪子に話頭を転じると、
「あれは重ちゃんの話だよ」
「僕は、重ちゃんの皮も中身も
全部入れて、物語を書いたんだ」

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【第三章 狂ひけん人の心】

千萬子は病院長の父と歌人の母をもち、
その母の父は日本画家・本橋寿雪
〔橋本関雪〕という知的・芸術的な
血筋の娘。

教養があり英語にも堪能なので、
秘書のスペルミスを指摘するなどして
兄さんに喜ばれていた。

北白川に移住してからは兄さんと文通
していたが、その頻度は増す一方で、
一日に何通もの速達が行き来することも。

1949(昭和34)年、雑誌に出た兄さんの
短編小説「夢の浮橋」を読んだ私は
「しばらくは体が張って動けないほど、
悲しくてなりませんでした」。

六歳で生母「茅渟(ちぬ)」を喪った糺
(ただす)少年がやがて後妻に来てやはり
「茅渟」と呼ばれた継母を愛し、12,3歳に
なっても乳を吸い続けるという妖しい
物語で、二人の母にはどうしても
松子姉と自分を思わずにいられなかった。

       

谷崎は「松子と重子二人と結婚したような
ものだ」と誰かが言ったと聞いたが、
「まさしく二人で一人の妻、それが
私たちでした」。


さて「夢の浮橋」の後半で父親に死なれて
しまう糺は、その遺言通り「澤子」という
娘と結婚するのだが、この澤子が継母の
白い胸に百足(むかで)を這わせて死に
至らしめるというのが小説の
「薄気味悪い最後」。

「さわこ」とは「ちまこ」では
ありますまいか。

私は最後の場面を読んだ時、
まるで自分の胸に百足が這って
るかのように、震えたのでした。

        

やがて千萬子が死産し、清一との仲は
さらに冷えているようで、「兄さんが
密かに不仲を奨励しているのではないか」
松子姉と私も気が気ではない。

兄さんの留守中に書斎から書き損じの
手紙や千萬子からの手紙を姉妹で盗み読む
ようなことも始めたが、兄さんはむしろ
それを望んで放置しているようでもあった。


新作『瘋癲老人日記』で展開されている
「新境地」を兄さんに開かせたのが千萬子
であることも明白だったから、
「うちらが千萬ちゃんに嫉妬するのを
楽しんでるねん」と松子姉。

「今のあの人は、本物の瘋癲老人に
なろうとしてるるんや。
熱に浮かされる自分を演じている
うちに、その気になってるねん」


数年後、『瘋癲老人日記』で毎日芸術大賞を
受賞した兄さんは「巷の好奇心に応える
かのように、ますます千萬子への執心を
隠さなく」なった。

自分の小説に毒されたように「現実を、
小説に近づけていったのです」。



その兄さんが千萬子らの新居として法然院の
土地を買おうとしていると聞いたが、
それは松子との墓所として購入済みの
土地に近かった。

あの人が「死んでもそばにいたい」のは
千萬子だと松子は言い、「この一線を
越えたら、松子姉と私の存在価値がなく
なる」から阻止しなくては、と私も思う。


姉がなんと言っても兄さんは「芸術」至上の
論理をかざして聞き入れないので、私は
医者通いのため上京していたホテルに
兄さんを訪ね、談判に及んだ。

千萬子に手紙を出し続けるのなら
「姉ちゃんは兄さんと別れたいと
言うてます」。


それに千萬子から来た膨大な量の手紙は
あなたの死後、書簡集になって出て姉を
さらに苦しませるだろうが、それについては
どうするつもりか、とも問い詰めた。

低い声で「送り返しました」と答えた
兄さんは、おもむろに床に手をつき
「申し訳ありません」と土下座した。


「あなた様が仰るなら、千萬子にはもう
手紙は出しません」
「あなた様こそが、私の創作の源流でした」

松子が輝いて夫婦仲よくいられたのも
あなたがいたからこそで、
「あなた様ほど大事な方はおりません。
あなた様ほど複雑で素晴らしい
女人はおられません」

「ほんまでっしゃろな」と念を押してから…

私は足袋を穿いた右足を、
兄さんの左肩に置きました。

兄さんがびくりとして身じろぎします。

「なら、千萬子はどないするんや」

足先に力を籠めます。

兄さんの肩は固くて岩のよう。

   

「千萬子とはもう二度と会わない」ので
「お許しください」と兄さん。

ふと顔を上げると、続き部屋のドアが
少し開いて、そこには青ざめて戸惑った
松子姉が…

「私は、松子姉の付録ではなかったのです」


「千萬子との交流が断たれてから、兄さんの
体調は、あっという間に悪く」なり、一切を
松子姉の世話になりながら、昭和40年、
腎不全で亡くなった。

千萬子は病状悪化を知らされず到着が死後に
なり、そのことについて私を詰ったが、
私は何も言わなかった。

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虚々実々の桐野ワールド


サクラさん
いや~スゴい世界。

重子さんの「私」語りが
生々しいんですが、これ
桐野さんが重子さんから
聞き取ってまとめた作品
なんでしょうか。

ハンサム 教授
重子さんは1974年に
亡くなってますので、
それはない;^^💦

サクラさん
え? それじゃ文豪の
肩に足をのせるという
ラストシーンは…❔

ハンサム 教授
そういうことがあった
という証拠はないね;^^💦

サクラさん
じゃ、それは桐野さんの
空想にすぎない…

ハンサム 教授
ということになるかな。

そのへんの虚々実々が
この小説のミソなんで、
どこまで事実でどこから
フィクションか、眉に唾
つけながら読んで行く
というのも楽しみ方の
一つじゃないかな;^^💦


まとめ

さて、いかがでした?

稀代の問題小説にして文芸作品
としても一級の『デンジャラス』。

谷崎が自分の小説に毒されたように
桐野ワールドの妖艶さ、えげつなさに
毒されてしまった…という人は、ほかの
桐野作品も覗いてみてください。
👉たとえば映画も大ヒットの
『OUT』、そして『東京島』。

さらに2017年刊行の問題作
『夜の谷を行く』。

桐野夏生ワールド全開のこれらの
作品については、こちらで詳しく
情報提供していますので
ぜひご覧ください。

東京島⦅ネタバレ📢⦆小説のあらすじとアナタハンの女王事件

OUT(小説)完全ネタバレ!映画にはない凄惨で過激なラストとは?

     

夜の谷を行く(桐野夏生)のネタバレとモデル 虚を突かれるラストまで


そしてもちろん、ほとんどハーレムのような
「家族王国」を築き上げていた谷崎潤一郎
という男も、憎いというか、やっぱりエラい
というか、型破り・桁外れの大作家。

大いに研究に値する傑物です。
(重子さんに足を乗せられたなんて
ことはなかったと思いますよ;^^💦)

感想文やレポートの素材としても
文句なしでしょう!

👉読書感想文の素材としては、
「あらすじ」中でにふれた『細雪』
『鍵』のほかにも多くの作品についての
情報をこちらに集めていますので、
ぜひご参照ください。

谷崎潤一郎でおすすめの小説は?絢爛豪華 妖艶な文章美で魅了する10冊

         


👉そのほか谷崎の本を早く安く
手に入れたいという場合は、
Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。


谷崎潤一郎の本:ラインナップ
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さあこれでもう感想文なんか
へっちゃらですよね。

ん? 書けそうなことは浮かんできたけど、
でも具体的に、どう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

👉当ブログでは、日本と世界の種々の
文学作品について「あらすじ」や
「感想文」関連のお助け記事を
量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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