サクラさん
「クレオパトラの鼻が
もっと低ければ世界は
違っていた」とは
パスカルの名言。

でももし本当に低かった
のなら、世界はどうなっ
ていたのでしょうか。

ハンサム 教授
今の世界と同じですよ。

だって彼女の鼻は実際に
低かったんですから;^^💦




サクラさん
オヨヨ(🐱)それは初耳。

低かったって証拠でも
あるんですか?

ハンサム 教授
彼女の治世に鋳造された
硬貨に描かれた肖像を
見ると、実際に鼻が
低いんです。

サクラさん
そうなんだ~(🙀)

でもそれなりに美しかっ
たからこそ、カエサルや
アントニウスを落とせた
わけですよね。

ハンサム 教授
実はそれも…;^^💦

彼女を目にしたローマ人
は正妻のオクタヴィアの
方がずっと美しいので
「アントニウスを気の毒
に思った」という記録が
あります(プルタルコス
『英雄伝』)。

サクラさん
これは驚き(叫び)

ではクレオパトラは一体
どうやって英雄たちを
トリコに?

ハンサム 教授
そこですよ、この女王に
学ぶべきなのは。

男をゲットするのに
不美人が美人に負ける
とはかぎらないという
古代からの真相!

どうです? 希望が
湧いてきましたか?

サクラさん
いやな感じ…(😾)


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というわけで本日は、”世界三大美女”の、
しかもその頂点のごとくに見られてきた
あのクレオパトラ7世が実は美しくなく
有名なその鼻(👃)も意外に低かった
のでは?((((((ノ゚🐽゚)ノ

という世にも由々しき大問題について
徹底検証して参ります。

内容はザっと以下のとおり。


1.銀貨に描かれた肖像は?

エジプト・プトレマイオス朝最後の
ファラオー(女王)が美女として名高い
このクレオパトラ7世(紀元前69-30)。

エジプトとは言いましてもプトレマイオス
王家はマケドニア(ギリシア系)の血統
ですから、人種的には彼女も純然たる
白人(アーリア人)であったと考えられます。

生前の制作(紀元前40年頃)と見られる
像(👇)もこのように立派な鼻をそなえた
美人のようではあります。

     
     ベルリン美術館蔵/出典:Wikipedia


ただ、この鼻がいわゆる”盛った“もので
なかったという保証もないわけですよね。

クレオパトラの鼻は実は低かったという
説も以前からあるにはあるのですが、
その根拠となっているのが、
「デナリウス銀貨」というローマ時代に
流通していた少額の硬貨(コイン)に
刻まれた彼女の肖像なのです。


アントニウスとクレオパトラとで
エジプトを共同統治していた時代には
この二人の肖像を表と裏に刻印した
コインも何種類か発行されていたことが
発掘などにより明らかになってきた
のですね。

その一つで、シリア出土の銀貨の
クレオパトラ面がこちら。

  
   古代オリエント博物館蔵


当時のコインの肖像は、民衆に王の姿を
伝える必要性から、実際の容姿に忠実に
描かれた
と言われていますので、
鼻の高低も事実通りと思われます。
(出典:東京国立博物館)

でもこの写真は顏の線がはっきりしません
ので、別のコインの例も見ておきましょう。

以下の2例はいずれもクレオパトラの
肖像を刻んだ銀貨です。


(出典:Pinterest:Roman coins)

             
             (出典:Parisii)


どうです?

日本人の感覚からすれば、長くて一応
立派な鼻ということになるのかもしれ
ませんが、少なくとも最初にご覧
いただいた像の高大で優美な鼻とは
似ても似つかないものですよね。

また同じコインの裏面のアントニウスや、
ほかのコインの王・女王らの肖像に
比べて歴然と低いことは否定できません。

そして、貨幣においては実像をリアルに
描くことが求められたという史実が
ある以上、クレオパトラ7世の鼻は
事実として低かったという結論が
必然的に導かれます。

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恋愛遍歴が彼女を美しくした❓

というような次第で、これらの貨幣を
日常的に使用していたクレオパトラの
同時代人は、彼女が特に美人という
わけでもないことを承知していたに
違いありません。

それが何百年もしてデナリウス銀貨も
人目につかなくなると、いつか彼女は
“絶世の美女”だったということになり、
パスカル(1623-62)の時代にはそれが
すでに強固な「常識」として根を張って
いたわけですね。

パスカルのような、当時の常識を覆した
天才科学者でも、つゆ疑おうとは
していないんですから…。


そうなった要因の一つは、絵画や文学など
芸術の世界で彼女を競って美しく描きだす
ことが常識化していったことでしょう。

  
  ジャン=レオン・ジェローム画『クレオパトラとカエサル』(1886)


なぜ美しく描くのか?

だって、カエサル(英語読み「シーザー」)、
アントニウス(同じく「アントニー」)
という二大英雄を相次いで愛人として
(カエサルの前に小ポンペイウス〔英語読み
「ポンペイ」〕との情事があったとも…)
ヨーロッパ史の流れに多大の影響を与えた
女性がもし美しくないとしたら?……

いささか格好がつかず、人は「なるほど」
と思いにくいではありませんか;^^💦

美しくなかったという歴史記述

でも実際のクレオパトラがそう美しくは
見えなかったという同時代人の証言は、
プルタルコス『英雄伝』(「アントニウス
伝」の部)がしっかりと伝えるところ
なのです。

以下ではザっと史実を辿りながら、
適宜『英雄伝』(👇)の文章を
引用していきます。



有名なカエサル暗殺事件が起こった時、
クレオパトラは、カエサルとの間の子
とされるカエサリオンともどもローマに
長期滞在していました。

カエサルには正妻がいました(子はなし)
ので、もちろん離れたところに住む
(公然の)子持ちの愛人ということに
なります。


が、事件発生後はそそくさとエジプトへ
帰国してしまいます。

暗殺との直接の関係はないとしても、
ブルトゥス(英語読み「ブルータス」)ら
暗殺者一派のカエサルへの反感に、
彼女の存在が全然無関係だったとも
言い切れないでしょうね。
👉クレオパトラのカエサルとの
関係についての詳細は、こちらで
情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

クレオパトラとカエサルの華麗なる関係⦅絨毯巻きの私を召し上がれ⦆

      


ともかくその後、ブルトゥスらを倒して
三頭政治の主導者となったアントニウスは
エジプトでクレオパトラと会見します。

その宴の席での女王の姿について
プルタルコスいわく、

彼女の美もそれ自体では決して
比類のないというものでなく、
見る人を深くとらえるという
ほどのものではなかった。


それでも「彼女の声音にはまた甘美さが
漂い」、7か国以上の言語を自由に
切り替えながら話すその才気は圧倒的で
彼女との交際には「逃れようのない
魅力」があった。

このようにして、クレオパトラは
「いつも何か新しい快楽と魅力を加えて
夜といわず昼といわず、アントニウスを
独りにしておかず飼育して」いるという
地位を確保していきます。

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さてアントニウスにはローマに立派な妻が
あったのですが、紀元前41年、彼女が戦死
すると(男勝りの戦士でした)、三頭政治の
一角を担っていたオクタヴィアヌス
(カエサルの養子でのちのローマ皇帝)が
同盟強化を狙って、美女の誉れ高い姉
オクタヴィア(夫は死去)を彼に
後妻として提供します。

これを受け入れたアントニウスは重婚状態に
入り、以降5年ほどの間に、ローマの
オクタヴィアとの間に3人、エジプトの
クレオパトラとの間にも3人の子を設ける
ということになるのですね。

   
   オクタヴィア像(ローマ国立博物館蔵)


が、やがてアントニウスはローマより
エジプトでの生活を優先し、クレオパトラ
との子に「王の王」という称号を与える
などしてオクタヴィア軽視を露骨に示し
始め、オクタヴィアヌスは彼との
対決姿勢を強めていきます。

いよいよ戦争不可避の情勢で、ローマの
家を出よとアントニウスに命じられた
オクタヴィアは、自分が戦争の一因に
なったことを嘆いたが…

しかしローマ人は、とりわけ
クレオパトラを見て、美しさも
若さもオクタヴィアに優る女では
ないと知っていた人々は、
オクタヴィアではなくて、
アントニウスを気の毒に思った。


というような次第で、少なくとも
プルタルコスの記述からしますと、
クレオパトラの美貌はオクタヴィアの
足元にも及ばない、凡庸なもの
であったのです。

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シェイクスピアはどう見たか

ん? なぜアントニウスは”より美しい”
オクタヴィアの方を愛さなかったのか
不思議…というのですか?

いやいや、世の中そういうこともよく
あるではありませんか。

たとえば現代のヨーロッパ王族の世界でも
英国のチャールズ皇太子はダイアナ妃との
離別後、彼女との結婚以前からの愛人
であったカミラ夫人と結婚しましたね。

ところでダイアナとカミラ…
“より美しい”のはどちらでしたか?

   
   カミラ、チャールズ、ダイアナ(左から)


ともかくカミラ夫人に似た立場にあった
クレオパトラが、アントニウスを逃さない
ための努力にその才知と肉体のすべてを
フル回転させたであろうことは想像に
難くありません。


シェイクスピアの戯曲『アントニーと
クレオパトラ』(1607年ごろ)は彼女の
そういう(悲劇的でもあるはずの)苦悩と
策謀を喜劇的に描き出していて、
けっこう笑えます。

アントニーがいったんローマへ戻ると、
やがて使者が来て、オクタヴィアとの
結婚を知らせるのですが、この場面で、
クレオパトラはいきなりその使者を
殴り倒すのですね(第二幕)。

しかも使者が抗弁すると、短剣さえ
抜いて追い払ってしまうのですから、
権力者の暴虐まるだしです。
     
   vampiros_goticos_04-1

さらにはローマへ行ってオクタヴィアを
見てきた使者から、背丈は? 声は? 
と根掘り葉掘り聞きだします(第三幕)。

「歩き方にはどんな威厳が?」と問うて
「這っています」という答えに満足し、
さらに「顔は?」と尋ねます。

使者 丸顔です、丸すぎる
くらいで。

クレオパトラ そういう女は
たいてい馬鹿と決まっている。

髪は? 何色?

使者 茶色です、女王様、
それに額の狭さときたら
もっと狭くなりたいと
思っても無理です。

クレオパトラ さあ黄金をお取り。

(第三幕第3場。引用はこちらから)
   👇

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周りの者がテキトーにお追従を言って
いることに気づいていないのなら、
クレオパトラその人も「たいてい馬鹿と
決まっている」ような気もします。


でも、賢いはずのクレオパトラがこんな
「馬鹿」にまで落ちてしまうのも、自分
より美しい(と認識している)オクタヴィア
への強烈な意識と嫉妬が彼女の心を
狂乱状態におとしいれているから…
と見るべきなのかもしれません。
👉『アントニーとクレオパトラ』を
めぐっては、こちらで詳しく
情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

クレオパトラ歴史秘話!愛と謀略の生涯をシェイクスピアはどう描いた?

         

ところで、このクレオパトラにおいて
鮮烈に描かれた「嫉妬の怖さ」は
シェイクスピア文学の重要なテーマの
一つだったといえます。

“四大悲劇”の一つ『オセロ』や後期
“ロマンス劇”の傑作、『冬物語』が
その方面での代表作ですが、それらに
ついてはこちらで。

シェイクスピア オセロのあらすじ 漱石講義のコメントつきで

シェイクスピアの『オセロ』で読書感想文【1600字の例文つき】

            

冬物語(シェイクスピア)のあらすじ【簡単&詳しく】狂王と監禁妻のロマンス

    


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まとめ

さて、クレオパトラの”鼻”は実際には
どんなふうで、顔の造作ははたして
どれほどの”美しさ”だったのか❓…

プルタルコス『英雄伝』やシェイクスピア
の『アントニーとクレオパトラ』などの
文献にその答えを探し求めてきました。


「これだ!」という正解は読者の皆さん
一人ひとりで微妙に違うものになる
ことでしょう。

が、ともかくクレオパトラは圧倒的な
美貌にふんぞり返っていたわけではなく、
むしろオクタヴィアの美貌に引け目を
感じて焦りぬくような、哀れで可愛い
女だったようにも思えてきます。

        


ん? それにしても、彼女が命を捧げる
形となるアントニウスという男が
少々情けない?

そんな感じもするわけですが、彼もまた
クレオパトラに出会う以前は、カエサル
暗殺者たちを弁舌と智謀で圧倒して
しまう素晴らしい英雄でした。

その偉大さが女性の魅力で骨抜きに
されてしまう…というのはこれもまた
よくあるパターン。

その一典型として描かれたとも
解釈できそうです。
👉このアントニウスの颯爽たる
前半生と、彼に敗れるブルトゥス
(ブルータス)の苦悩を描いた、
シェイクスピアの傑作悲劇が
『ジュリアス・シーザー』(1599)
でした。

その詳細はこちらで。

ジュリアスシーザー(シェイクスピア)のあらすじを簡単に【&詳しく】

           


👉そのほか、シェイクスピアの
奥深さをめぐっては、多数の記事を
書きためてきています。

下記はそのいくつか。

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ではそろそろお別れです。

クレオパトラやアントニウスのような
波瀾万丈の人生を自分も送りたい
と思うか、いやいやそんなのはごめん
こうむりたいと思うか…

それもまた人それぞれでしょう。

どちらへ進まれる場合も、しっかりと
全力で生きて参りましょう;^^💦

それではまた~~(^O^)/

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