金太郎物語の(ほぼ誰も知らない)ストーリー!鬼退治は何のため? | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

金太郎物語の(ほぼ誰も知らない)ストーリー!鬼退治は何のため?

やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」第129回の今回は
「あらすじ」暴露サービスの第77弾!

とりあげるのは、日本人なら誰一人
知らぬ者とてはなかろう『金太郎』の
物語です((((((ノ゚🐽゚)ノ

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誰でも知っているこのお話を
なぜとりあげるのか?

それはもちろん、知ってるとはいっても
主人公のイメージが頭にあるだけで、
お話の中身、ストーリーはごくボヤ~ッと
しか知らない人がほとんどだからです。

    IMG_0009

ね、あなたもその一人。 

だからこそ、今これを
読みはじめたんでしょう?


頼光四天王の一人

え? ストーリーもある程度知ってる?

でも、それ、せいぜい熊を相撲で倒して
家来(または友だち)にする……という
あたりまでではないですか?

いや、もっと先も?

要するに金太郎は源頼光(みなもとの
よりみつ。通称「らいこう」)の四天王と
呼ばれた4人の勇者一人、坂田金時
(きんとき。公時とも)の幼名で、
足柄山にいたこの金太郎が、頼光の目に
とまって家来になり、京へ上る物語だろ?

ハイ、その通りですね。

このアニメでもそれは一応
確認できます。


いかがでした?

終わりの方に出て来た、頼光の家来と名のる
卜部季武(うらべのすえたけ)という
武士も実は四天王。

あとで見てもらう歌川国芳の絵では
もっとずっと強そうなんですけどね;^^💦

ちなみに四天王の残る二人は、渡辺綱
(わたなべのつな。この人が筆頭格)
と碓井貞光(うすいさだみつ)。

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伝説がおとぎ話に

さて、すでにお察しかと思われますが、
『金太郎』は歴史上に実在したとされる
人物についての(伝説)がおとぎ話に
なっていったもの。

この意味では『日本書紀』以降、いろいろに
語られた『浦島太郎』の場合に似ています。

つまりいろいろに変形したお話が出てくる
わけで、『桃太郎』や『一寸法師』のような
かっちりと固まったストーリー・ライン、
「これが公認の金太郎物語だ!」といえる
物語があるわけではないんですね。


というわけで、「正しいあらすじ」を
と思っても、どの本に拠るべきかでまず
困ってしまいますが、ここはとりあえず、
昭和10年代の日本で圧倒的な力をもった
「子供が良くなる講談社の絵本」に
依拠することに致しましょう。

シリーズ第13巻『金太郎』(1937)、
これはその復刻版(2002)です。
    

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正しい(❓)あらすじ

足柄山の山奥の家に母親と暮らす

金太郎は、動物たちを仲間に遊ぶ
力持ちの元気者。
神奈川県南足柄市、足柄下郡箱根町 金時山
👉足柄山は、金太郎が「坂田金時」の
名で出世して以来、「金時山」と
呼ばれて今日に至っています。


鉞(まさかり。大斧)を買ってもらい、
それで木を切りたおして遊びます。

森の大将である大熊がおそって
きましたが、軽く投げ飛ばして
家来にしてしまいました。

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 講談社の絵本『金太郎』(1937)より


ある日、熊にまたがり鉞をかついで
動物たちと遠足に出かけました。

野原に出て相撲を始めると、金太郎は
みんな一緒にかかってこいと言い、
かかってきた動物みんなを
一度に倒してしまいます。

帰りに近道をしようとして
橋のない谷川に出ると、金太郎は
大きな木を両手で押して倒して
橋を作ってしまいました。


これを見ていたのが、たまたま近くを
通った「日本一の大将」、源頼光
(みなもとのらいこう)。

金太郎を家来にしたいと思い、母親に
お願いしに行くよう家来に命じます。


母親は喜び、父の位牌の前で
金太郎に言い聞かせます。

「おとうさんは立派な武士でした。
頼光様のおともをして都へのぼり、
おまえもえらい人になりなさい」

頼光から「坂田の金時」の名をもらった
金太郎は、母と動物たちに別れを告げ、
一行にしたがって旅立ちます。

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鈴鹿峠のふもとまで来ると、
「峠に住む鬼族を退治したる勇士に
褒美を遣わす」という国司の
立て札が立っていました。

「この鬼退治をわたくしに
やらしてください」と金時は
頼光に願い出て許されます。


鬼が置いた岩や木をどかしながら、
金時は鈴鹿山をのぼっていきます。

鬼の岩屋に着いたときには、
からだじゅう真っ赤だったので、
鬼たちは金時を赤鬼と思い、
中に入れてくれました。

酒盛りをしている鬼たちに、
「わたくしは足柄山の赤鬼の子ども
です」と言って鉞の舞をはじめます。

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  講談社の絵本『金太郎』(1937)より


面白がって油断している鬼たちに
踊りながら近づくと、鉞で鬼どもの首を
スポン、スポンと切り落としました。

鬼たちは驚いてかかってきましたが、
金時はたちまち鬼の大将を組み伏せ、
降参させてしまいます。


生け捕りにした大将を引き連れて
都に入った金時は、頼光から褒美を
もらい、その後もたびたび手柄を
立てて出世していきました。

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鬼退治は行きがかり?

さて、おわかりいただけましたか?

  • 頼光の家来になる。
  • 鬼退治をする。
この2つはやはり欠かせないポイント
なのかなあ、と思われますね。


鬼退治の方はまあ行きがかりと言いますか、
「退治したる勇士に褒美を遣わす」という
立て札が立っていたからやった…
というわけで、金太郎自身は鬼に対して
特に恨みもなければ、正義の意識とかも
あったとは思われませんね。

まあ、この点は桃太郎も似たような
ものだと思いますけど。

👉桃太郎の物語についてはこちらをご参照あれ。

桃太郎さん,鬼が何をしたの?鬼退治は正義か悪か,いろんな理屈

    



金時神社の言い伝え

ところで金太郎の成人後の「金時」
という名前にも親しみがありますよね。

そう、あの甘くておいしい「金時豆」
(きんときまめ)の名はこれに由来して
いるわけですが、さらに息子が坂田金平
(きんぴら)といい、これはもちろん
「きんぴらゴボウ」の語源なんですね。

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そう来ると、ほんまかいな、ほんとに
実在した人物なのか、と❔も浮上して
くるわけなんですが、実際、歴史学的にも
疑われてはいます。

鉞かついで熊に乗り、菱形の腹掛けを着けた
金太郎のイメージが定着していったのは
江戸時代の浄瑠璃や歌舞伎からですが、
それ以前の史料に「坂田金時」の名前が
出てこないらしいんですね。


が、ともかくこの坂田金時を祭神とする
「金時神社」(祭静岡県駿東郡小山町)の
記録は、以下のような人と伝えています。

天暦10年(956年)5月誕生。

彫物師十兵衛の娘、八重桐(やえぎり)
が京にのぼった時、宮中に仕えていた
坂田蔵人(くらんど)と結ばれ懐妊。

八重桐は故郷に帰り金太郎を産んだが、
坂田死去により、京へ戻らず郷里の
足柄山で育てる。

金太郎は熊と相撲をとり、元気で
優しい孝行息子に育つ。

天延4年3月21日(976年4月28日)、
足柄峠にさしかかった源頼光と出会い、
その力量を認められて家来となる。

坂田金時(きんとき)と改名し、
京にのぼって頼光四天王の一人となる。

頼光四天王Raiko_tormented_by_the_earth_spider
源頼光と四天王(歌川国芳画。部分)

永祚2年3月26日(990年4月28日)、
丹波の国、大江山(現在京都府
福知山市)に住む酒呑童子を退治。

寛弘8年12月15日(1012年1月
11日)、九州の賊を征伐するため
築紫(つくし・現北九州市)へ
向かう途中、作州路美作(みまさか)
で熱病にかかり死去。

享年55歳。

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一説によると、同じ頃(平安時代)、
藤原道長の『御堂関白記』などに出てくる、
道長の優秀な随身(近衛兵)、下毛野公時
という人物がもともとのモデルかと。

その100年ほど後に成立した『今昔物語集』
に頼光の家来として「公時」が出てくるん
ですが、これも「下毛野公時」を踏まえて
いるのであれば、「坂田金時」もルーツは
これだ! とも考えられますね。
(Wikipedia参照)


まとめ

さあ、これでもうよくわかりましたね。
『金太郎』の世界。

この物語で感想文を書くことも
もちろんOKでしょう。


ただ『金太郎』だけで書くより、
上でふれた『浦島太郎』や『桃太郎』を
はじめ、ほかの昔話や童話と読み比べて
わかったことを書いてみたらどうでしょう。

人の上を行く優秀感想文になること、
間違いないですよ~。
👉その場合は、こちらの記事も
参考にしてくださいね。

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金太郎に負けないよう、
頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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