サクラさん
ヒッチコック監督の最高
傑作『サイコ』(1960)!

80年代から続編やリメイ
ク、そのまた続編など
色々と出回っていますが、
どれもご本尊の足元にも
及ばないとか…(😹)

ハンサム 教授
でしょうね~;^^💦

でもそのオリジナル
『サイコ』にも実は
ご本尊があって、これに
及んでいるかはまた
別の微妙な問題。

サクラさん
ほほ~(🐱) というと
それは原作のこと?

ハンサム 教授
ええ。当時売り出し中の
推理作家、ロバート・
ブロックが前年に出して
いた小説『サイコ』。



その映画化権を素早く買い
取ったヒッチコック側は
出回っていた原作を可能
な限り買い占めたとか…

サクラさん
ネタバレ防止のため?

ハンサム 教授
ええ。それほど面白い
小説だったわけですが、
映画の絶大な成功の陰に
隠れて、存在さえあまり
知られていませんね;^^💦

サクラさん
そうなんだ~(🙀)

そんな傑作小説をどう
変形することでヒッチ
コックの大傑作が誕生
したのか…
これはなんとも興味
津々ですね(😻)

ハンサム 教授
よろしい。

それでは原作との違いに
目をつけながら
『サイコ』のあらすじを
辿ってみましょう。


Sponsored Links




というわけで、おなじみ”あらすじ”暴露
サービスの第167弾(“感想文の書き方”
シリーズ第234回)はアルフレッド・
ヒッチコック監督の代表作『サイコ』!

そのストーリーを、原作であるロバート・
ブロックの小説『サイコ』(1959)との違いも
押さえながら、きっちり辿っていきます;^^💦

そのDVDと小説本はこちらで。
   👇









どんな映画?

さて、映画と小説の詳しい内容はあとで
たっぷり読んでいただくとして、はじめに
初見の読者のために、『サイコ』とは一体
どんな映画か、簡単に紹介しておきましょう。


『サイコ』といえばコレ!

という映画の”顔”のようになっているシーンが、
当時のトップ女優ジャネット・リーにナイフが
何度も振り下ろされる、あのショッキングな
“シャワーシーン”。

あまりに有名なので、これがクライマックスの
ように思われることもありますが、実はこれ、
むしろ物語の発端。

この事件を受けて、その犯人を捜し追い詰めて
いく後半部分の方が、ストーリーの
メインなんですね。

   


その流れを骨子だけで示せば、
要するにこういうことなんですよ。
(早くもネタバレになりますが;^^💦)

  1. マリオン(ジャネット・リー)が会社の
    大金を持ち逃げして車で逃避。

  2. 雨中たまたま見つけたモーテルに
    入り、主人のノーマン(アンソニー・
    パーキンス)と夕食をともにした後、
    シャワーを浴びていると、何者かに
    殺害される。

  3. 直後に現場に現れたノーマンは
    死体や車などの証拠を隠滅。

  4. 消えたマリオンを探し、恋人サム、
    妹ライラと探偵アーボガストの
    3者による捜索が始まる。

  5. モーテルを突きとめ乗り込んだ
    アーボガストは殺害されたが、
    残ったサムとライラとで入り込み、
    ノーマンを追い詰める。

  6. ついに捕まったノーマンは、
    死んだ母親と自身との二重人格を
    生きる精神病者と判明する。

さあ、どうでしょう。

まだよくわからん…という方はこちらの
映画予告編もご覧くださいね。 👇




ん? やはりよくわからない?

それではやはり、以下の「かなり詳しい
あらすじ」を読んでいただくしか
ありませんね~;^^💦

Sponsored Links




かなり詳しいあらすじ

では始めましょう。

基本的に映画のストーリーを辿り、
原作小説がそれと明らかに違っていた
ところ(ヒッチコック映画が改変した部分)
には👉印で注釈を入れる
という形で進めていきます。

小説の方は特に興味ないという
人は飛ばしてもらってかまいません。


ともかくラストまで包み隠さず
完全ネタバレありになりますので、
ラストの種明かしまでは知りたくない
という人は読まないでくださいね;^^💦

「 」内や「”」印の白い囲みは
原文(上記文庫本)からの引用です。



【起】(1~5)

アリゾナ州フェニックスのホテル。

金曜日の昼下がり、不動産会社に勤める
27歳のマリオン・クレインはサム・
ルーミスと束の間のあいびき。

サムは、父の代からの機械工具店の経営者
だが、資金繰りや離婚した妻への送金などに
苦しんで求婚もままならず、むしろ
マリオンの方が「結婚しましょう」と
押している。


職場に戻ったマリオンは、客が払ったばかりの
現金4万ドルを銀行へ入金するよう社長に
命じられるが、彼女はそれを持ったまま
まずアパートへ帰って荷造りし、車で
サムのいる町へと出発する。

   

まず中古車店で車を偽名を使って買い替え、
道中で警官に尋問されたので、もう一度
中古車店で車を替えて(その現場も同じ
警官に押さえられていたが)、さらに進む。


夜が更けると激しい雨となり、ネオン
サインの見えた「ベイツ・モーテル」に
泊まることにする。
👉マリオンの情事で幕を開けた
映画では、ここへ来てようやく
主人公であるモーテル経営者、
ノーマン・ベイツの登場となる
わけですが、小説では第1章で
ノーマンとその母親との関係などが
まず語られ、マリオンの行動を
追うのは第2章。

そして二人がモーテルで出会うのが
第3章という順序です。

また小説のノーマンはよく太った
薄毛の40歳男。

美形で長身痩躯のアンソニー・
パーキンスとは似ても似つきません。


愛想よく出迎えたノーマンは、少し
ためらってから1号室の鍵を渡す。

夕食をとれる所があるかと訊かれ、
近くにないから、よければ自分が
用意すると申し出て、快諾される。


準備のためノーマンがすぐ近くの屋敷に
入っていくと、「女を入れるなんて
許さない」などと叫んで彼と言い争う
老女の声が聞こえる。

戻ってきたノーマンに案内された応接室には
大きな鳥の剥製がいくつも飾られており、
マリオンはそこでサンドウィッチを
食べながら会話する。
👉応接室に飾られた剥製は
小説ではリスのものが一体だけ。

これが鳥にされたのは、さすが
3年後に映画『鳥』を手がける
ヒッチコック監督ならでは…
と言っていいでしょうね。

マリオンらの住む都市の名が
“フェニックス”(不死鳥)に、
マリオンの姓が”クレイン”(鶴)に
されたのもヒッチコックの鳥への
こだわりからだという見方も
ありますが(👉 Wikipedia)、
姓の”クレイン”は小説も同じです;^^💦

ただファーストネームは違っていて、
メアリ・クレインでした。

ヒッチコックのもう一つの傑作
『鳥』についてはこちらを
ご参照ください。

ヒッチコックの鳥を徹底解説//原作(デュモーリア)はもっと怖い?

     


ノーマンは、趣味は剥製づくりで友達などは
なく、すぐ近くの屋敷にいる母親と二人で
暮らしているが、わがままで手を焼いていて…
などと明るく語る。

そのうち突然表情をこわばらせるが、
それは母親を施設に入れてはどうかと
マリオンが口にした時。


1号室に戻ったマリオンがシャワーを
浴び始める。

ノーマンは事務室の壁にかかった額入りの
絵画をのけて、そこに穿たれている穴から
脱衣するマリオンを覗き見る。


マリオンがシャワーを浴び始めると、
浴室に何者かが現れ、彼女をナイフで
切り刻んで殺す(叫び)。

  

👉ハイ、これこそが『サイコ』の
代名詞ともいえる、有名な
“シャワーシーン”。

その後の映画の歴史を変えたとさえ
いわれるもので、たった3分間の
シーンの撮影に7日間(ジャネット・
リー拘束時間の1/3)を費やした
というイワクつき。


2017年にはなんとこのシーンだけに
ついて徹底追究した長編映画、
78/52: Hitchcock’s Shower Scene
(78/52:ヒッチコックのシャワーシーン)も
公開されました(日本未公開)。

ん?「78/52」とは何の数かって?

驚くなかれ、この3分間が「78ショット
/52カット」もの精細なモンタージュ
(編集)で構成されている!

…ということが解析の結果わかった
という話なんです。


その映画予告編をどうぞ。👇



    さて映画に戻りますと、現れた犯人は
    影しか映らないので、それが誰なのか、
    男か女かも不明のまま先へ進みます。

    小説はここが違っていて、会話中に
    ノーマンがマリオンにぶつけた怒りも
    もっと強烈だったのですが、その興奮
    から来る震えを鎮めようと彼は深酒し、
    その挙句に意識を失っており、目覚めて
    から母親の犯した殺人を知ります。

    なので、この時点では犯人は母親と
    思うしかないのですが、それが実は……
    と後半で反転するのですね;^^💦


駆けつけたノーマンは浴室を清掃し、
死体と所持品を彼女の車のトランクに
押し込み、近くの沼まで運転して行き、
4万ドルもろとも沼に沈める。

Sponsored Links





【承】(6~10)

マリオンが消えて1週後、同居していた
妹のライラがサムの店を訪れ、姉の
消息を尋ねていると、そこに私立探偵
アーボガストも現れる。

彼は警察沙汰は回避して金を取り戻そうと
保険会社が雇った探偵で、サムが絡んでの
犯行と睨んでいたが、話すうちに信用し、
ライラと3人の協力体制ができる。


翌日、しらみつぶしの捜査でベイツ・
モーテルを探り当てたアーボガストは、
ノーマンに面会し、宿帳の筆跡から
マリオンの来訪を確認し、二人が夕食を
ともにしたことも聞き出す。

屋敷の二階の窓に母親の姿が見えたので、
会って話を聞きたいと言ったが、
病気を理由に会わせようとしない。

  

アーボガストはいったん退き、街の
公衆電話でライラらに成果を報告。


再びモーテルに来たアーボガストは、
ノーマンがいないので屋敷の方へ行き、
玄関から階段を上っていく。

と、突然、二階の部屋から飛び出して
来た人物にナイフで切り付けられ
階下に転落、死亡(叫び)。

👉小説では途中で電話を入れる
という小休止はなく、アーボガスト
殺害まで一気に進みますが、
それらがすべてノーマンの視点で
語られるというのが大きな違いです。

4万ドル横領事件と聞いて、警察の
捜査も避けられないと思った
ノーマンは母との面会を許諾し、
アーボガストを事務室に待たせて
屋敷へ戻り、母を説得。

口論の末、会うことにした母が
浴室で着替えているうちに、
やって来たアーボガストが
玄関をノックし、母が応答。

アーボガストが入ったとたん、母は…

片腕を振りかぶり、なにかぎらつく
ものを振りおろした。

また振りあげ、振りおろした――

ノーマンは目が痛かった。

見ていられなかった。
〔中略〕
母はどこからか、彼の剃刀を
持ち出していたのだ……

         

というわけで、殺害者が母親である
ことは疑いようもないのですが…


ノーマンはアーボガストの車を
沼に沈め、母には果物倉庫に
入ってもらうと告げる。

母は口では頑固に拒否するものの、
無理やり連れだすと、軽々と
運ばれてしまう。

Sponsored Links





【転】(11~14)

アーボガストから連絡がないので不安に
なったサムとライラは、チェンバース
保安官に連絡を取る。

チェンバース夫妻と話すうち、ノーマンの
母親は10年前に死んでいると知らされる。

👉小説ではこれが「20年前」ですが、
死に至る経緯に違いはありません。

夫に去られて独身だった母は、
ジョー・コンディシンという
ハンサムな男に言い寄られ
(実は妻子持ちと後で知れる)、
共同でモーテルを建てた後、
二人一緒にストリキニーネ
(猛毒)を飲んで死亡。

発見者はノーマン。


アーボガストから連絡がないことに
しびれを切らしたサムとライラは、
2人でモーテルに乗り込む。

出迎えたノーマンをサムが事務室に
引き留めている間に、ライラは1号室に
入り込み、便器からマリオンの書いた
字の残る紙片などを発見。

さらに屋敷に入り込んで母親を捜し回る。


ノーマンはサムの態度を不審に感じ、
屋敷から物音もするので、鈍器で
サムの後頭部を殴打してから
そちらへ向かう。
👉映画ではこの場面からほとんど間を
置くことなくサムがライラの救助に
現れるので、サムは気絶せず直ちに
起き上がったものと思われますが、
小説ではそこにチェンバースが
乗り込んで来て、失神したサムを
助け起こします。

その間、ライラは屋敷を探索し、
ノーマンの蔵書に一驚。

異常心理学、オカルティズム、神智学、
ユイスマンスの『彼方』にサドの
『ジュスティーヌ』…それに
「いやらしいポルノグラフィーの
挿絵」など…。



映画では言及のない点として、
ノーマンが剥製ばかりいじっている
男ではなく、かなり知的な読書家でも
あり、かつその読書傾向に特異性が
認められることが明示されます。

もっとも小説ではノーマン自身の
視点から語られる部分が多いので、
すでに仄めかされていたことでは
あるのですが…。


Sponsored Links





【結】(15~17)

地下の倉庫へ来たライラは、後ろ向きに
椅子に掛けた女性を見つける。

肩に手を触れると椅子が回り、
干からびた皮つきのどくろ(ドクロ)
のような顔面が現れる。

     

ライラが悲鳴を上げた瞬間、
戸口から大柄な女性が現れ、
刃物を振り上げて襲いかかる。

間一髪、背後からその手首を握り、
取り押さえたのは、追ってきたサム。

暴れる女性からかつらが外れ、
現れた人物はノーマン・ベイツその人。


拘留中のノーマンを診察した
精神科医はこのように語った。
早くに父親を亡くした時点から
ノーマンの精神の混乱は始まっていた。

母一人子一人の親密な世界で生育し、
母に愛人ができると、捨てられる
恐怖から、2人を殺害した。

その罪悪感から、殺害自体をなかった
ことにしようと、母親の死体を盗みだし、
状態を保つための処置を施した。


やがて自分が母自身になりきって
声色を使って話すようになり、
ノーマン自身と母親という2つの
人格の分裂を生きるようになった。

彼が女性に惹かれると、彼がかつて
母の愛人に嫉妬したように
“彼の中の母”が嫉妬し激怒した。

マリオンの場合もそれで、”母”の
嫉妬が殺害にまで暴走した。



その直後、彼はノーマンに戻って、
母を守るべく犯罪の痕跡を消した。

その後の2人格の闘争において、”母”の
方が勝利し、今や彼の中にノーマンは
いなくなっている。

👉ラストでの精神科医による
説明(種明かし)の内容は小説の
方がより精巧で、こちらでは
幼児〈ノーマン〉と母〈ノーマ〉に
成年〈ノーマル〉を加えての
〈不浄なる三位一体〉の多重人格状態に
あったという話になっています。

また映画では言及のないこととして、
ノーマンが「人肉嗜食・悪魔崇拝・
近親相姦・死体嗜愛などの性癖」の
持ち主で、過去20年にわたって
モーテルの客を殺し続けている
というメディア報道もあった…と。


こうなると、まさにあの『青髭』、
またはそのモデルになったといわれる
15世紀の貴族ジル・ド・・レを想起
させます。

ユイスマンスやサドを愛読していた
らしいことからも悪魔主義的な世界への
傾倒が否定できませんが、こうした
問題に関しては、こちらで情報提供
していますので、ぜひご参照
ください。

青髭(童話)のモデル ジル・ド・レの実話とあらすじ(ペロー/グリムの違い)

       


Sponsored Links




まとめ

いかがでしたか?

ヒッチコックの名画『サイコ』
(およびその原作である小説『サイコ』)
のあらすじ。


ストーリーの理解を通して、どちらも
それぞれのジャンルで粋を凝らした
一級品の芸術であることがおわかり
いただけたのではないでしょうか。

そして白日の下では語りにくいような
怪しい世界の探求や知的な突っ込みという
部分では、やはり映画より小説のほうが
一歩も二歩も深入りしていて、読み応えが
ありそうだ…ということも。

  

ところでタイトルになっている「サイコ」
(psycho)とはそもそも何なんでしょうか。

その説明は映画にはついに出てきませんが、
小説ではそれに最も近い言葉が、ラストで
ノーマンの多重人格について解説する
精神科医の言葉として出ます。

すなわち「精神異常者(サイコティック)」
(psychotic)。

これをつづめた俗語が「サイコ」
(psycho)なんですね。

👉今では「サイコティック」より
「サイコパス」(psychopath)の
方がよく耳に入るようになって
いますが、これはまた違う概念で、
「サイコ」=「サイコパス」という
わけではないことに注意しましょう。

「サイコパス」についての
詳細はこちらで。

サイコパス(中野信子著) の内容 あの凄い人も実はそうだった!

    


ともかく残念ながら(少なくとも日本では)
映画ほど有名でない小説『サイコ』ですが、
実は文句なしの傑作として、その後連綿と
現れたモダン・ホラー、サイコ・ホラーの
作家たちに多大の影響を与えています。

すなわち『羊たちの沈黙』のトマス・ハリス、
『シャイニング』のスティーブン・キング…
などなどですね。
👉これらの作品については、
こちらで情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

羊たちの沈黙のあらすじ⦅原作のラストまでネタバレありで⦆

シャイニングのネタバレ 原作はキューブリック映画とどう違う?

キャリーのネタバレ⦅ラストまで原作で⦆スーは何を思う?

         

ミザリーのネタバレ📢)))原作は映画の10倍も怖いゾォ~~~👻

ローズマリーの赤ちゃんのネタバレ 戦慄の結末は原作でしか読めない!


そのほかキング作品を早く安く
手に入れたいという場合はこちらから
探してみてください。

叫びスティーヴン・キングの本:ラインナップ叫び
 


👉当ブログでは、そのほか
日本と世界の種々の文学作品に
ついて「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

(Visited 221 times, 1 visits today)
Sponsored Links