時計じかけのオレンジ(小説)のあらすじ 原作は映画とどう違う?

時計じかけのオレンジ(小説)のあらすじ 原作は映画とどう違う?

サクラさん
『時計じかけのオレン
ジ』ってなんすか?

ハンサム 教授
映画も有名ですが、
もとはA・バージェス
の近未来SF小説の
タイトル。


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サクラさん
じゃ、その小説に
出てくる…?

ハンサム 教授
いや、その小説に出て
くる小説のタイトル。

サクラさん
じゃ、小説の中のその
小説に出てくる…?

ハンサム 教授
いや、その小説の内容は
不明なんだけど、物語の
後半で主人公が「おれは
時計じかけのオレンジ
か」って叫ぶ。


 

サクラさん
すると、オレンジは
人間のこと?

ハンサム 教授
バージェスが勉強してた
マレー語でオラン
(orang)は人間。

サクラさん
ああ、だから「森の人」
でオラン・ウータン
ですよね。




ハンサム 教授
で、その”orang”に”e”を
つければ”orange”;^^💦

サクラさん
だからやっぱりオレンジ
は「人間」。

で、それが「時計じか
け」って…❓

もうこれは小説の内容を
押さえないと話になら
ないみたいですね。


さて”感想文の書き方”シリーズも先ごろ
ついに200の大台を超え、今回でなんと
207回。

「あらすじ」暴露としては
145弾で~す((((((ノ゚🐽゚)ノ

採り上げるのはあの有名な映画
『時計じかけのオレンジ』(A Clockwork
Orange
,スタンリー・キューブリック監督、
1971)の原作であるアンソニー・
バージェスの同名SF小説(1962)!


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映画での改変も押さえながら、原作小説の
あらすじを正確にたどり、そこに出てくる
「時計じかけのオレンジ」という奇妙な
言葉の意味にもなんとか辿り着きたい
と思っています。

もちろん⦅ネタバレあり📢⦆です
ので、ラスト(結末)を知りたくない人は
絶対に読んじゃダメですよ~;^^💦


まずは映画の予告編をどうぞ。



かなり詳しいあらすじ

では、参りましょうか。

「 」内は原文(上記文庫本)
からの引用です。

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(1~7)

近未来のロンドン。

15歳の「おれ」(アレックス・デラージ)は
不良少年の4人組“ドルーグ”のリーダー。

今夜もコロヴァ・ミルク・バーで
ドラッグ入りミルク“ミルク・プラス”を
飲みながら、“ウルトラヴァイオレンス”
(超暴力)行為の計画を立てる。


夜の街に繰り出すと、まずガード下で
酔って寝ていたホームレスの老人を
棍棒でめった打ちにした。

    

対抗する不良グループ”ビリーボーイズ”が
少女たちを廃墟に連れ込み衣服を剥ぎ取って
押し倒したところへ、おれたちが現れ、
全員を棍棒で叩きのめした。

パトカーのサイレンが聞こえたので逃走し、
盗んだ車で郊外を走るうち、門に<ホーム>
と書かれた共同住宅に入って、困っている
ふりをして入れてもらう。

主人は作家らしく、山になった原稿の上に
『時計じかけのオレンジ』という題が
書いてある。

妻はなかなかの美人なので、やがて
おれたちは、捕まえて動けなくした
主人の目の前で彼女を輪姦した。

  


翌日、いつものように学校をサボった
おれは、レコード店で引っかけた少女
2人を自宅に連れ込んで行為に及ぶ。


その後、グループのリーダーをめぐって
悶着があったものの、暴力で地位を確保し、
その夜は仲間を連れて富豪の邸宅へ強盗に。

男性器をかたどったオブジェで老婦人を
撲殺したおれは、警察に気付いて逃走
しようとしたものの、昼間の悶着が
尾を引いていて仲間から裏切られ、
一人だけ逮捕された。

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(1~7)

懲役14年の実刑判決で収監されて2年近くを
経たおれは、教誨師とも懇意な模範囚で
通っている。

犯罪学者ブロドスキー博士が開発した
ルドヴィコ療法(Ludovico technique)
という新しい犯罪者矯正法の被験者を探して
いた内務大臣は、信仰心や音楽の趣味を
もち、野心も顕著なおれに目を着ける。

刑期の大幅短縮と引き換えに被験者に
ならないかと言われたおれは、すすんで
受諾し、施設に移送される。

    

その治療は、投薬された被験者を拘束服で
椅子に縛り付け、クリップでつねに見開いた
状態に固定された眼に目薬を差しながら
残虐性や性的逸脱に満ちた映像を否応なく
見続けさせるというもの。

投薬による吐き気や嫌悪感と鑑賞中の
暴力的映像を被験者が「連係」することで、
暴力や性行為に生理的拒絶反応を引き起こす
ようになることを狙うわけだ。

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治療は成功し、以後おれは性行為や暴力
行為に対し強い吐き気と嫌悪感を覚える
ようになる。

また最愛の曲だったベートーベンの
「第九」は治療中の映像のBGMに使われて
いたせいで、今やこれを聴いただけで
吐き気に襲われ昏倒するようになった。



内務大臣や報道陣も呼んで出所前に催された
デモンストレーションで、おれはどれほど
暴力を受けてもそれに抗う行為が不可能な
身体に改造されていることが証明された。

「悪の方へ無理に押しやられることに
よって、逆説的に、善の方へ無理に押し
やられるのです」というブロドスキー
博士の説明に、これでは「道徳的選択権を
持つ人間でもなくなるでしょう」と
刑務所で懇意にしていた教誨師が批判。

博士は、関心事は「高等な倫理道徳の問題」
ではなく「ただ犯罪を減少させることだけ」
だと答えて議論になり、おれもわめきだす。

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「おれは犬か畜生みたいじゃないか?
〔中略〕
まるで、このおれは時計じかけの
オレンジみたいじゃないか?」
〔中略〕
このことばでもって、どういう
わけだかみんなは一分か二分間
ばかりだまりこんでしまった。


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(1~7)

懲役14年の判決を受け、収監されて2年近く
暴力に無防備な人間になって出所した
おれは、両親を驚かそうと思い連絡なしに
帰宅するが、彼の部屋がすでに間借りに
出されていて驚く。

しかもその若い間借り人は両親とすでに
親子同然の関係を築いていて、おれの
過去の行為について激しく批判する。


両親からも冷淡にされ、家を出て途方に
暮れているとホームレスの老人が物乞い
するので、ポケットから金を出して
与えるが、それは以前おれが暴行した
老人だった。

おれは逃走したが、仲間のホームレスたちに
つかまり、囲まれて殴る蹴るの暴行を
受ける。


駆けつけた警官は、なんとかつての
“ドルーグ”の仲間で、その後の改正された
法律で警察に就職していたディムと
ジョージーたち。

ディムらはおれを人目のない郊外に車で
連れ出すと、さんざんに殴って放置。



冷たい夜の雨の中をさまうおれは、門に
<ホーム>とある住宅に助けを求める。

入れてくれた主人は車椅子を使う人で
部屋の様子から、おれは彼が作家である
ことや、『時計じかけのオレンジ』
という言葉のあったことなどを、
やっと思い出す。


おまえらが輪姦した妻は自殺し、自分も
あの時の暴行のせいで車椅子生活になって
いるのだと作家は語り始める。

だが、おれが受けたルドヴィコ療法のことを
新聞報道で知っていた作家は、おれを
利用しようと、反政府的な同志たちを
電話で呼び集める。

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入浴後、食事を摂っていると、同志らが
到着し、おれは詳細な質問をうける。

作家にすすめられたワインには薬物が
混入していたらしく、おれは意識を失い、
気がつくと上階の部屋に監禁されていた。

やがて大音量の「第九」を聞かされ、
耐えきれず、窓から飛び降り自殺を図る。

   

が、おれは死にきれず、目覚めると
病院のベッドに横たわっていた。

両親が来て泣くので口汚く罵ってやると
不思議といい気持になり、医者が来て
絵本のようなものを見せてテストした
結果、「君はもうなおった」と言う。

例の内務大臣も来て、おれを監禁した
作家たちは、おれの自殺という事実で
「政府を全面的に避難する」ことを
企んでいたのだが、すでに逮捕し
投獄したと説明。

おれは政府のためになったから、
これからもすべて面倒を見るという。

おれは「第九」を聞いては暴力的な
妄想をする、元の自分に戻ったのだ。
👉アメリカで出た最初の版では
これがラストシーン。

キューブリックの映画もそれに準拠して
いたのですが、実は元のイギリスの
完全版ではさらにもう1章ありました。

むしろない方がよいとの判断でカットされた
ものと思われますが、作者バージェス
としては、これがあって初めて彼の
表現の完成といえたわけですね。

その「3の7」のあらすじは以下のとおり。


3の7(アメリカ版で削除された章)

新しい仲間たちと暴れ回る日々に戻って
いたおれは、そんな生活にも倦怠を覚え、
18歳の自分が「七十ぐらいになってる
みたい」にも感じる。

ある喫茶店で”ドルーグ”時代の仲間、
ピートとその妻に偶然出くわし、
すでに子供もあることを聞く。

  


妻子持ちになった自分を想像したおれは、
「若さ」は「過ぎ去るべきもの」と思う。

「動物」…というか「中にぜんまいが
はいって」いて動くけれども「自分が
何をやってるのかわからない」
小さな機械みたいなもんだと。

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まとめ

さあ、どうでしょう。

『時計じかけのオレンジ』の意味って、
なんだかわかりました?

少なくとも「これこれこういう意味」と
原作に書いてあるわけではないことは、
おわかりいただけましたよね;^^💦


いえ、それだけでも収穫です。

原作中、この言葉(やはり小説の題ですが)の
出てくる部分はすべて上の「あらすじ」で
ふれていますので、それらをヒントに
自分なりの考察を加えていくしかない
のではないでしょうか。

   
   

特殊な治療で頭脳を改変された主人公の
「このおれは時計じかけのオレンジ
みたいじゃないか?」という叫びは
もちろん作者の叫びでもあるでしょう。

完全版「3の7」にあった「若さ」に
ついての名言―「ぜんまい仕掛けの人形」
云々―もこれに重なってきますね。

ともかく作品の主軸をなす「ルドヴィコ
療法」は、近未来に託しての現代社会への
風刺であるはずで、人間の脳を「機械」的に
していく動きが1960年ごろにすでに進んで
いたことを思わせます。


ゾッとさせるこの内容は、現代人が
考えるべき深刻な問題を含みますから、
読書感想文の素材としても好適。

上に述べてきた考察や解説を活用して
もらえれば、きっと高度なものが
書けるはずですよ。



頭脳を改変してしまうとか、新たに作って
しまうとかの問題を扱った文学としては、
古典的なところでは『ファウスト』や
『フランケンシュタイン』があり、現代でも
映画では『ブレードランナー』『ブレードランナー
2049』ほか数知れず、日本でも東野圭吾さんの
『変身』とその映画化などが挙げられます。
👉これらの作品について詳細は
こちらをご参照ください。

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