やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第42回。
「あらすじ」暴露サービスとしては
第19弾となります。

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今回は文学史上に燦然と輝く名作ながら
難解との評判も高い三島由紀夫の
『金閣寺』(1956 👇)から金言というか
名言というか、キラキラと輝く言葉たちを
15ほど抜き出して考察・解説を加えて
みたいと思います~~(^^)у 
 

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内容は以下のとおり。


ごく簡単なあらすじ

さて、読んでいただく名言は、それぞれ
難解なところもあり、前後の文脈なしには
理解しにくいかもしれませんので、
はじめに小説の「ごく簡単なあらすじ
(要約)」を述べておきます。

舞鶴に近い貧しい寺の住職の子に
生まれた「私」(溝口)は、吃音を
嘲笑されることなどから自閉的と
なっていたが、金閣ほど美しいものは
ないと父から聞かされてきたその
金閣寺に、父の死後、徒弟として
住み込むことになる。

終戦後、大谷大学(仏教系)に入学し、
内翻足の障害をもつ柏木と親しく
なるが、彼は高度の学識と詐欺師的な
悪辣さを備えた人物で、童貞の「私」に
女をあてがうこともする。

ある日、老師が芸妓を連れて歩くのを
目撃したことから関係が悪化し、
老師は「お前をゆくゆくは後継に」と
思っていたが、もうその気はない
と通告。

柏木に借金して出奔した「私」は、
舞鶴湾の荒れる海を眺めるうち、
「金閣を焼かねばならぬ」という
想念に包まれる。

    


警察によって金閣寺に連れ戻された
「私」は、借金のことで寺に来た
柏木と議論し、「この世界を変貌
させるのは認識だ」と説く柏木に、
「世界を変貌させるのは行為
なんだ」と反駁する。

準備を整えた「私」は、万一の
死の支度に刃物と薬も買って、
計画を実行に移す。

着火し、「この火に包まれて究竟頂で
死のう」と扉をあけようとするが、
開かない。

戸外へ駆け出して左大文字山の
頂きまで来た「私」は、火の粉の舞う
夜空を眺めて「生きよう」と思う。

👉やはりこれだけでは何が何だか
わからない…と思われた場合は、
こちらの「詳細なあらすじ」を
ご参照ください。

三島由紀夫 金閣寺の詳細なあらすじ:難解な柏木も読み解く

         


名言に入っていく前に小説の成立事情を
解説しておきますと、この作品は発表の
6年前となる1950年の7月に実際に
勃発した金閣焼失事件に取材したもの。

下の動画でご覧いただける現在の金閣寺は
その後、再建されたものなんですね。



で、放火犯として逮捕された青年僧の供述に
「美に対する反感」が動機だったという
報道があり、それに刺激を受けた三島が、
この観念を独自の三島ワールドに取り込んで
屈曲させ、壮大な建築物を構築していった
結果がこの小説であったように思われます。

ともかく作品全体を通しての最大の”“は
主人公はなぜ金閣を焼かなければ
ならなかったのか
❔❔❔

この疑問への解答は以下に並べました
15の名言をきっちり読んでいただければ、
おのずと浮かび上がってくるはずです。

それでは、どうぞ。

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『金閣寺』15の名言

それでは【名言その1】から
順に引用してまいりましょう。

まずは、主人公の少年時代から。

田舎の寺で、僧侶の父から「金閣ほど
美しいものは此世(このよ)にないと」
と教えられ、
私には自分の未知のところに、
すでに美というものが存在して
いるという考えに、不満と焦燥を
覚えずにはいられなかった。

美がたしかにそこに存在している
ならば、私という存在は、美から
疎外されたものだったのだ

      ……【名言その1】
     (第一章)

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初めて実物の金閣を見て、
美というものは、こんなに美しく
ないものだろうか
、と私は考えた。
      ……【名言その2】
     (第一章)

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第二次世界大戦で連合軍の勢いが
増して日本の劣勢は明らかとなり、
戦乱と不安、多くの屍(しかばね)と
夥しい血が、金閣の美を富ますのは
自然であった

もともと金閣は不安が建てた建築、
一人の将軍を中心にした多くの
暗い心の持主が企てた建築だった。
      ……【名言その3】
     (第二章)


いよいよ東京大空襲が始まり、
明日こそは金閣が焼けるだろう。
空間を充たしていたあの形態が
失われるだろう。
……そのとき頂の鳳凰は不死鳥の
ようによみがえり飛び翔(た)つ
だろう。
そして、形態に縛(いま)しめられて
いた金閣は、身もかるがると碇を
離れていたるところに現われ

湖の上にも、暗い海の潮の上にも、
微光を滴(したた)らして
漂い出すだろう。
      ……【名言その4】
     (第二章)


老師が女遊びをし尽した人だと聞いて
私は禅僧にも肉体のあることが
ふしぎでならなかった

老師が女遊びをし尽したのは、
肉体を捨離して、肉を軽蔑する
ためだったと思われる。
それなのに、その、肉が思うさま
栄養を吸って、つやつやして、
老師の精神を包んでいるのは
ふしぎに思われる。
       ……【名言その5】
      (第三章)
👉金閣寺(鹿苑寺)をはじめとする
京都の観光名所の僧侶たちが必ずしも
聖人君子とは限らない…
ことについては、こちらの本などが
曝露しています。
  

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夜、不動山に登って街の灯火を眺め、
「これが俗世だ」と思う。
多くの男女は灯の下で顔を見つめ合い、
もうすぐ前に迫った、死のような行為
の匂いを嗅いでいる。
この無数の灯が悉く邪(よこしま)な
灯だと思うと、私の心は慰められる。
どうぞわが心の邪悪が、繁殖し、
無数に殖え、きらめきを放って、
この目の前のおびただしい灯と、
ひとつひとつ照応を保ちますように!

それを包む私の心の暗黒が、
この無数の灯を包む夜の暗黒と
等しくなりますように!
       ……【名言その6】
  (第三章。黒太字は原文では傍点)

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雪のつもった境内で、進駐軍の米兵に
命じられて、倒れた女の腹を踏んだ
際の喜悦を反芻して、
あの行為は砂金のように私の記憶に
沈殿し、いつまでも目を射る
煌(きら)めきを放ちだした。
そうだ。
たとえ些細な悪にもせよ、
悪を犯したという明瞭な意識は、
いつのまにか私に備わった

勲章のように、それは私の
胸の内側にかかっていた。
       ……【名言その7】
      (第四章)


下宿の娘と接吻しながら思考する
うち、「金閣が現われ」て「巨大な
音楽のように世界を充たし」、
その音楽だけでもって、世界の
意味を充足するものになった。
時にはあれほど私を疎外し、
私の外に屹立しているように
思われた金閣が、今完全に
私を包み、その構造の内部に
私の位置を許していた

 下宿の娘は遠く小さく、
塵のように飛び去った。
       ……【名言その8】
      (第五章)

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“悪友”柏木が公案「南泉斬猫」について、
「猫=美」という独自の解釈を説いて、
美は誰にでも身を任せるが、
誰のものでもないからだ。
美というものは、そうだ、
何と云ったらいいか、
虫歯のようなものなんだ

〔中略〕
とうとう痛みにたえられなくなって、
歯医者に抜いてもらう。
血まみれの小さな茶いろの汚れた
歯を自分の掌にのせてみて、
人はこう言わないだろうか。
『これか? こんなものだったのか?』
〔中略〕
これは絶対に別物だ。
断じてあれじゃない。
       ……【名言その9】
      (第六章)

     

柏木にあてがわれた女があらわに
した乳房にめまいを感じながら、
私には美は遅く来る。
人よりも遅く、人が美と官能とを
同時に見出すところよりも、
はるかに後から来る。
みるみる乳房は全体との聯関を
取戻し、……肉を乗り超え、……
不感のしかし不朽の物質になり、
永遠につながるものになった。
〔中略〕
又そこに金閣が出現した。
というよりは、乳房が金閣に
変貌したのである

       ……【名言その10】
      (第六章)

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金閣に向かって初めて荒々しく
叫んで、
いつかきっとお前を支配してやる。
二度と私の邪魔をしに来ないように、
いつかは必ずお前をわがものに
してやる

       ……【名言その11】
      (第六章)

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柏木に借金を申し込み、自分のまわりの
凡ての「無力の匂い」から逃げ出したい
のだと説明すると、
「金閣からもか」
「そうだよ。金閣からもだ」
「金閣は無力じゃない。
決して無力じゃない。
しかし凡ての無力の根源なんだ
       ……【名言その12】
      (第七章)


「裏日本の海」──「私のあらゆる不幸と
位思想の源泉、私のあらゆる不幸と
醜さの源泉」を眺めていると、突如、
ある「残虐な想念」に打たれる。
しかし今までついぞ思っても
みなかったこの考えは、
生れると同時に、忽ち力を増し、
巨(おお)きさを増した。
むしろ私がそれに包まれた。
その想念とはこうであった。
金閣を焼かなければならぬ
       ……【名言その13】
      (第七章)

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「世界を変貌させるものは認識だ」
という柏木に反論して、
世界を変貌させるのは行為なんだ
それだけしかない」
       ……【名言その14】
      (第八章)

    

いよいよ決行する段になって「仏に
逢うては仏を殺し、祖に逢うては
祖を殺し…」という『臨済録』の
一節を想起して「全身に力が溢れ」、
とはいえ、心の一部は、これから
私のやるべきことが徒爾(とじ)
だと執拗に告げてはいたが、
私の力は無駄事を怖れなくなった。
徒爾であるから、
私はやるべきであった

       ……【名言その15】
      (第十章)

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まとめ

さて、いかがでしょう。

なぜ金閣を焼かなければならなかったのか
について、すでにあなたなりの解釈は
浮かんでいるのではないでしょうか。

さあ、もう書けるという人はどんどん
書いていきましょう、読書感想文。
👉この『金閣寺』で大きく花開いた
妖しくアブナイ三島ワールドの
先鞭をつけたのが『仮面の告白』
『禁色』などのLGBT文学。
それについてはこちらで。

三島由紀夫 仮面の告白のあらすじ:LGBT文学の先駆作を解説

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        グイド・レーニ画「聖セバスチャンの殉教」(部分) 

👉難解ともいえる三島文学のなかで
異例に読みやすいエンターテイン
メントながら、やはりすごくアブナイ
小説『命売ります』については
こちらで。

三島由紀夫 命売ります【解説+あらすじ】シュールな冒険小説

        bomb        

👉もう一つ、読みやすい作品で
映画化もされている名作に
『潮騒』ありますね。

こちらを参照してください。

三島由紀夫 潮騒のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説

          

👉そのほか三島の本を早く安く手に入れたい
場合は、Amazonが便利です。
こちらから探してみてください。

三島由起夫の本:ラインナップ



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浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

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≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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