やあやあサイ象です。
今日は「オズ」の話をしたいと思います。
といっても「オズの魔法使い」では
ありません。
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世界のOzu、そう日本映画の巨匠、
小津安二郎監督ですね。
代表作の一つがこれ。
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このカバーに使われているのは
小津監督の代表作の一つ、『東京物語』
(1953)のワン・ショットです。
遠方の同じものに視線を送っている
笠智衆と原節子。
素晴らしいではありませんか…。
なんとこの作品、BFI(英国映画協会)が
2012年に行った「全時代を通じて最も
偉大な映画」(The Sight & Sound
Greatest Films of All Time)の
監督投票部門で堂々の第1位を獲得
したのです!
(こちらを参照:Wikipedia)
その時のポスターがこれ。👇
ともかくこのように、二人の人物が
視線を合わせるのでなく、並んで
立つなり座るなりし、その2本の視線が
どこか遠くのあるものに焦点を
合わせている。
横から見たその情景を差し出すことで
二人の心を通い合いを鮮やかに表現する……
まだよくわからん、という方はこちらの
動画もご覧ください。
小津映画の真骨頂ともいうべき
このようなショットは、『東京物語』
ばかりでなく、多くの傑作において
多用されているものですが、
この手法、いつ、どのようにして
獲得されたものなのでしょうか。
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💭「白い雲」を見る三四郎と美禰子
これは思いつきの域を出るものではなく、なんら実証はないのですが、
ひょっとしたら、小津さんがたくさん
読まれたはずの文学作品にヒントを
得られたのではないか、
というのが私の仮説なんです。
たとえば?
そうですねえ。
思い浮かぶのは夏目漱石の長編小説
『三四郎』(1908)です。

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熊本の高等学校を卒業して東京帝国大学に
入学した三四郞が謎めいた美女、美禰子
との恋愛(むしろ「恋愛ゲーム」と
いうべきか)を含む様々な新しい経験を
重ねていくという青春小説なのですが、
たとえば第四章では、広田先生の引っ越しの
手伝いで遭遇した二人が二人だけで窓から
「白い雲」を見ながら話します。


また第五章では、やはり広田先生の
グループで団子坂へ菊人形見物に
繰り出すのですが、やがて疲れた様子の
美禰子が「もう出ましょう」というので、
二人で群れを離れ、だいぶ歩いてから
小川の縁にすわり、空を見上げ、
やはり「白い雲」を眺めながら話すのです。
「こういう空の下にいると、
心が重くなるが気は軽くなる」
「どういう訳ですか」と
美禰子が問い返した。
三四郎には、どういう
訳もなかった。
返事はせずにまたこういった。
「安心して夢を見ている
ような空模様だ」
「動くようで、かなかな
動きませんね」
と美禰子はまた遠くの
雲を眺め出した。Sponsored Links
二人並んで同じところに視線を
送りながら、心を通わす……。
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💭 心通う…とも限らないが
でもこれ、小津安二郎の父娘や老夫婦のように、遠くで視線が絡ませながら、
心を通わす……というのは、片方が一方的に
そう思い込んでいるだけ、という可能性
もあるわけで、ちょっと危ない場合も
ありますね。
三四郎と美禰子の場合はまさにそれで、
「迷羊(ストレイシープ)、迷羊
(ストレイシープ)」などと謎めいた
言葉をふりまいて正体をつかませない
美禰子は、けっきょく三四郞も、また
その恋敵かと思われた野々宮さんをも
振り捨てていくわけですね。


👉その内容をもう少し知りたいという人は
ぜひこちらの記事をご覧ください。
・夏目漱石 三四郎のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説


もちろん『三四郞』のこれらのシーンが
小津さんに影響を与えたという証拠は
ありませんが、その可能性、またはほかの
文学作品のこういった場面が(無意識的に
であれ)小津さんの芸術的感性に
しみ入っていたという可能性は
大きいと思うんですよ。
みなさん、どう思われます?
(識者の叱正を乞いたいところです)
👉小津安二郎の影響を受けた映画作家は
当然のことながら日本にこそ多いと
思われますが、たとえば松竹の後輩
でもある山田洋次監督の『男はつらいよ』
シリーズにも、ひょっとしたら…
と思える場面が出てきます。
くわしくはこちらで。
・夏目漱石「月が綺麗ですね」が出る本・出典は?寅さん映画でも言ってた?


👉そのほか漱石作品の人と作品に
ついてはこちらをご参照ください。
・夏目漱石のおすすめの本は?小・中学生からシニアまで人生経験の段階別


👉そのほか漱石の作品を早く安く
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こちらから探してみてください。
夏目漱石の本:ラインナップ


👉当ブログでは、漱石ばかりでなく
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参考になるものもあると思いますので、
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・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
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