雪国(川端康成) この指/トンネル/白…の関係は?【あらすじと解説】
サクラさん
「国境の長いトンネルを
抜けると雪国であった。
夜の底が白くなった」
というのが『雪国』の
超有名な書き出しです
が、何がそんなにスゴ
いんでしょうか?(😾)
抜けると雪国であった。
夜の底が白くなった」
というのが『雪国』の
超有名な書き出しです
が、何がそんなにスゴ
いんでしょうか?(😾)
ハンサム 教授
何ページか後で島村が
駒子に「こいつ(指)が
一番よく君を覚えて
いたよ」と言う…
意味深なセリフと響き
あっているいるところ
がスゴい;^^💦
駒子に「こいつ(指)が
一番よく君を覚えて
いたよ」と言う…
意味深なセリフと響き
あっているいるところ
がスゴい;^^💦
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サクラさん
駒子はその指を握り、
そのまま階段を上る。
だから駒子の掌(てのひ
ら)がトンネルに、島村
の指は列車にオーバー
ラップしてくると❔
そのまま階段を上る。
だから駒子の掌(てのひ
ら)がトンネルに、島村
の指は列車にオーバー
ラップしてくると❔
ハンサム 教授
だから「白くなった」
のはその結果だと。
のはその結果だと。
サクラさん
あ、あ、それちょっと
ヤバくないですか( )❓
「白い」のは雪ではなく
て……❔
ヤバくないですか(
「白い」のは雪ではなく
て……❔
ハンサム 教授
いえ、雪でもあり、かつ
別の何かでもある。
これも一つの象徴主義
(シンボリズム)ですよ。
別の何かでもある。
これも一つの象徴主義
(シンボリズム)ですよ。
サクラさん
はは~。川端は象徴的
表現を駆使して新感覚派
と呼ばれた作家の一人
でしたものね。
川端の偉大さを知るには
ただストーリーをたどる
ばかりでなく、その種の
象徴表現を味わっていく
必要がありそうですね。
表現を駆使して新感覚派
と呼ばれた作家の一人
でしたものね。
川端の偉大さを知るには
ただストーリーをたどる
ばかりでなく、その種の
象徴表現を味わっていく
必要がありそうですね。
というわけで、おなじみ”感想文の書き方”
シリーズ第46回(あらすじ暴露
サービスとしては第23弾)となる今回は
日本初のノーベル賞作家、川端康成の
代表的長編小説『雪国』(1935-37)
を突破していきますよ~((((((ノ゚⊿゚)ノ
「国境の長いトンネルを抜けると雪国
であった」という冒頭の1行の有名さの
わりに、全文を読んでる人のとても
少ないのがこの作品ですね。
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でもまあそれにはやむをえない
事情もありますね。
現代人に読みやすい文章とはいえません
し、その内容がまた学校で推奨できる
ような世界ではないという事情も
あって;^^💦…… 読者獲得は
むずかしいように思われます。
ともかくここでは「あらすじ」を開示
しますが、一口に「あらすじ」を知りたい
といっても、話の骨子だけでいいという
場合から、読書感想文を書くんだから
分析・解説つきの詳しいものがほしい、
という場合まで、千差万別でしょう。
そこで出血大サービス((((((ノ゚🐽゚)ノ
「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у
内容はザッと以下のとおり。
ごく簡単なあらすじ
まずはぎゅっと要約した「ごく簡単なあらすじ」。
親譲りの財産で無為徒食に近い生活を
送る文筆家で、妻子もある島村が、
雪国の温泉旅館に年1回のペースで
3度にわたって逗留し、
温泉芸者・駒子との交情を深める。
駒子の踊りの師匠の息子・行男の
「いいなずけ」(許婚者)とも
いわれるが、本人はそれを否定。
行男を世話する葉子と微妙な
関係にある。
3度目の長逗留で島村は、駒子は
「おれに惚れている」と意識し、
帰京すれば、もうここへは
来られないと思う。
島村の心を読む駒子は、彼が葉子にも
惹かれるという経緯にも絡んで、
「あんた私を笑ってたのね」など、
意味の明瞭でない言葉を吐いて、
怒り、泣く・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
映画の上映会場になっていた繭倉が
火事になり、葉子が二階から
落ちたのを見て、駒子は駆け寄って
抱きしめるが、それが「自分の犠牲か
刑罰かを抱いている」ように
島村には見える。
送る文筆家で、妻子もある島村が、
雪国の温泉旅館に年1回のペースで
3度にわたって逗留し、
温泉芸者・駒子との交情を深める。
駒子の踊りの師匠の息子・行男の
「いいなずけ」(許婚者)とも
いわれるが、本人はそれを否定。
行男を世話する葉子と微妙な
関係にある。
3度目の長逗留で島村は、駒子は
「おれに惚れている」と意識し、
帰京すれば、もうここへは
来られないと思う。
島村の心を読む駒子は、彼が葉子にも
惹かれるという経緯にも絡んで、
「あんた私を笑ってたのね」など、
意味の明瞭でない言葉を吐いて、
怒り、泣く・゚゚・(≧д≦)・゚゚・。
映画の上映会場になっていた繭倉が
火事になり、葉子が二階から
落ちたのを見て、駒子は駆け寄って
抱きしめるが、それが「自分の犠牲か
刑罰かを抱いている」ように
島村には見える。
どうでしょう?
え? なんだかよくわからん?
いったい何が言いたいのか?
ハハハ、まあそうでしょうね。
というわけで、「かなり詳しい」
ヴァージョンの「あらすじ」を読んで
いただくほかない、ということになります。
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かなり詳しいあらすじ
では参りましょう。原作に章立てはなく、全体が流れる
ように連なっていきますが、行あけが
10箇所ありますので、11章からなって
いるとみなすこともできそうです。
この11章に①~⑪の記号をつけ、
かつこれらを私の勝手な判断で
「起承転結」の4部に割り振っています。
「 」内は原文の引用です。
【起】(①~③)
親譲りの財産で無為徒食に近い生活を送る文筆家で、妻子もある島村は、
12月の初め、東京から雪国に向かう
汽車の中で、病人の男に付き添う
若い娘(葉子)に興味を惹かれる。
温泉場(舞台がどことは明記されません
が、新潟県の湯沢温泉と見られます)
の旅館に着いた島村は、かつて
「あんなことがあった」女と再会し、
「こいつが一番よく君を覚えていたよ」
と人差し指をつきつけると、
女はその指を握る。
(回想に入る)
前年の新緑の5月、山歩きをした後に
初めてこの温泉場を訪れた島村は、
まだ19歳の「お酌」(芸者見習い。
「舞妓」や「半玉」に相当)
だったその女・駒子を
部屋に迎え入れた。
「不思議なくらい清潔」な印象を受けた
島村は、「友だちにしときたいから、
君は口説かないんだよ」と、
別の女を世話するよう頼んだ。
これを断った駒子は、夜の10時頃に
なってから泥酔状態で現れ、
このシーンの映画化をこちらの
動画でご覧になれます。
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二人は一夜をともにした。
(回想から現在に戻り)
駒子との会話で、彼女が日記をつけて
いること、また15,6歳のころから
読んだ小説について書き留めていて、
その雑記帳がもう十冊になると聞き、
「徒労だね」と口にしながら、
「かえって彼女の存在が純粋に
感じられる」。
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【承】(④~⑥)
冬の温泉町を散歩中、島村は駒子に誘われ、彼女が住んでいる、踊りの
師匠の家の屋根裏部屋へ行く。
前夜車内で見かけた病人は、師匠の
息子・行男で、腸結核で長くない
命のため帰郷したこと、付添っていた
娘の葉子は駒子とよく知る間である
ことを知る。
女按摩から、駒子は行男の「いいな
ずけ」で、治療費のため芸者に出た
のだと聞かされた島村は、再び「徒労」
という言葉とともに「かえって彼女の
存在」を「純粋」に感じる。
駒子にただすと「いいなずけは嘘よ」。
やがて弾き始めた三味線が
「腹まで澄み通って」来る。
「ああ、この女はおれに惚れて
いるのだ:*:・( ̄∀ ̄)・:*:と思ったが、
それがまた情けなかった」。
島村が帰京しようという日、行男が
危篤だと葉子が報せに来るが、駒子は
「いや、人の死ぬの見るなんか」と、
そのまま島村を駅まで見送る。
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【転】(⑦~⑨)
翌年秋、再び温泉宿を訪れた島村を、2月に来る約束を破ったと駒子はなじる。
話すうち、駒子には夫同然の男がいて、
17歳から世話になりながら、一貫して
「その人が厭(いや)で、いつまでも
打ちとけられない」と聞かされる。
勝手働きをしているらしい葉子は
「悲しいほど澄み通った」美声の
持ち主で、話し込むと、駒子の目に
ある「無心に刺し通す光」がこの
女にもありそうで、心惹かれる。
いつか「私も東京へ行きますわ」という
葉子は、島村が帰るときに連れて行って
ほしいとしきりに頼み、また駒子の
ことは「可哀想なんですから、よくして
あげて下さい」、「駒ちゃんは私が
気ちがいになると言うんです」
と言って泣く。
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【結】(⑩⑪)
葉子が帰ると、仕事を終えて酔っている駒子が来て、歩きながら話す。
「あの子があんたの傍(そば)で
可愛がられてると思って、私は
この山のなかで身を持ち崩すの。
しいんといい気持ち」
「君はいい子だね」「いい女だね」
と繰り返す島村に、その意味を尋ねても
言わないので、「あんた私を笑ってた
のね」と駒子は激しく怒り、泣く。
「駒子がせつなく迫って来れば来る
ほど、島村は自分が生きていない
かのような呵責がつの」り(
今回の長逗留を終えて帰京すれば、
もうここへは来られないだろうと思う。
温泉場を離れる弾みをつけるために
縮(ちぢみ)の産地を見に行き、
帰ると、映画の上映会場になって
いた繭倉が火事だとの騒ぎで、
駒子とともに現場へ向かう。
夜空を見上げて「天の河。きれいねえ」
と駒子は繰り返し、「あんたが
行ったら、私は真面目に暮らすの」
などと言う。
火事の中、一人の女が繭倉の二階から
落ち(
駒子は「ああっ」と叫び、駆け寄って
抱きしめるが、それが「自分の犠牲か
刑罰かを抱いている」ように
島村には見える。
「この子、気がちがうわ」と駒子は
叫び、よろめいた島村が見上げると
「さあと音を立てて天の河が島村の
なかへ流れ落ちるようであった」。
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【解説】「トンネル/白/この指」に始まる象徴主義
さて、いかがでしょうか。ん? 冒頭の「トンネル/白/この指」の
象徴主義的な重ね合わせ(オーバーラップ)
は一応、受け入れるとしても、その後、
何が何を象徴し、どう重ね合わせられて
いるのかよくわからなかった?
う~ん;^^💦 それは「かなり詳しい」
とはいっても「あらすじ」ですので、
そう細かく指摘していくことは困難。
やはりそこは、ご自身で丁寧に読み返して
発見していくしかないし、そうしてこそ
はじめて『雪国』読書の醍醐味を味わう
ことになると思うんでですね。
まあ、一口に象徴主義といってもいろんな
タイプ法がありますが、ここで指摘している
のは、通常受け取られるはずの意味——
明示的意味(デノテーション)の背後に
共示的意味(コノテーション/含意)を託す
ような手法。
こういう二重構造が面白味——芸術性——に
なっている詩や小説は、それが象徴主義と
呼ばれるかどうかは別にして、少なくない
わけです。
たとえばバルザックの短編小説について
「デノテーション/コノテーション」の
解析を徹底的に行って、元の小説よりずっと
長大な本になってしまったものがロラン・
バルトの『S/Z』(1970)でした。
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いや、実はここで外国人の名前を出さなくっ
ても、バルトより、また川端よりずっと前に
同様の文学の二重構造解読法を提示していた
文学者が日本にいたんです。
何を隠そう、夏目漱石こそがその人で、
彼が東京帝大での講義をまとめた『文学論』
(1907)の本論冒頭に出てくる「F+f」の
定式もその一つとみることができるのです。
すなわち
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文学的形式の内容は(F+f)
なることを要す。
というやつがそれで、「F(観念または
印象)」に「f(情緒)」が付随してこそ
「文学」が成立するというのですが、
この「f」を多少拡大解釈するならば、
バルトのいう「コノテーション」とも
オーバーラップするはずなのです。
👉この「F+f」の定式については、
こちらの記事を、
・夏目漱石「月が綺麗ですね」の出典は?I love youはこう訳せ?
また、さらに詳細・正確な知識を
お求めの方は、わたくしサイ象が
2022年に刊行しましたこちらの
著書をご参照ください。
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まとめ
え? 感想文ですか?どうしましょうね~、これは
なかなかの難物かもしれません。
だって、まだまだ疑問
だらけでしょう?
👉とりあえず、こちらの記事で
ある程度、疑問を解消した上で
取り組んでもらえればと思います.
・雪国(川端康成)で感想文?5つの疑問にお答えします
👉川端のほかの名作、
『伊豆の踊子』『古都』などと
対照してみるのも一法。
どうぞこちらで。
・川端康成 古都のあらすじと感想◎京都”観光小説”の哀切さ
・伊豆の踊子のあらすじ&感想文の書き方【1600字の例文つき】
さあ、どうでしょう。
うーん、書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でも具体的に、どう進めて
いいかわからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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