伊豆の踊子(川端康成)で感想文【1600字の例文】銅像もヒントに? | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

伊豆の踊子(川端康成)で感想文【1600字の例文】銅像もヒントに?

サクラさん
川端康成の『伊豆の踊
子』で感想文を書こう
と思うんですが、どう
書いたものか…(😿)

ハンサム 教授
そもそもなんで
『伊豆の踊子』?


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サクラさん
実は伊豆を旅行した時に
河津で踊子の銅像を
見たんですが、学生が
踊子の後ろから迫ってる
ような構図で…



しかも自分の右手首を
左手で押さえている…

その姿勢が不思議で
ずっと気にかかって
いたんです。

ハンサム 教授
ああ、自分なりの
問題意識があるんだ。

そういう場合は
「これを読むことに
したきっかけは…」と
いう風に書きだすと
いまく行くかも。

サクラさん
じゃ、それで行こう
かな(😻)

でも小説の内容は、
むしろ踊子の側から
思いを寄せています。

あの銅像の体の向きは
逆にすべきだったん
じゃないかと(😾)

ハンサム 教授
それは同感ですね;^^💦

たとえばそういう疑問を
突破口にして色々と
考えていけば、きっと
よい感想文になりますよ。


というわけで、おなじみ”感想文の書き方”
シリーズ第249回にして”あらすじ暴露”
サービスの第174弾となる今回は
ノーベル賞作家・川端康成の名作
『伊豆の踊子』(1926)に挑戦です!

原作は文庫本で30ページ程度。
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通読にそれほどの苦労はないでしょう。

ん? それでも通読はしんどい?

いちおう読んだけど、ポイントが
つかめない?

ハイハイ、そういう人のために簡単な
「あらすじ」を用意していますので、
まずはそちらをご通読ください。
👉伊豆の踊子のあらすじを簡単に【&詳しく】「今夜が汚れる」とは? 

  



1600字の例文

ストーリーがしっかり理解できましたら、
さっそく感想文に取り組みましょう。


高校の読書感想文として1600字
(原稿用紙4枚)程度で書く場合を想定
して、まずサクラさんが試作し、
これにハンサム教授が手を入れたものを
サンプルとしてお目にかけます。

大学生などの読書レポートとしても
通用するレベルになっていて、あるいは
中学生などには高度かもしれませんが、
わからないということはないはずです
ので、ひとつ挑戦する気持ちで
読んでみてください。

 『伊豆の踊子』は、伊豆の赤城峠から
下田にかけての街道で旅芸人の一行と
道連れになった「私」――20歳の
第一高等学校(東大の前身)学生――が、
何日かするうちに14歳の踊り子との間に
もった感情的な関係を描いた小説だ。


 私がこれを読もうと思ったきっかけは、
夏休みに伊豆を旅し、たまたま目にした
踊り子と学生のペアのブロンズ像に、
強い印象を受けたことだった。

河津七滝の初景滝の手前と河津駅前とに
設置された二対の像は複製ではなく、
同じ作者による別作品だが、腰かけて
うつむき加減の踊り子を、後ろから
学生が見守るという位置関係・構図は
まったく同じである。

奇妙に思ったのは学生の姿勢で、
どちらも同じく肩を張り、まっすぐ
下に伸ばした右手の手首を左手で
ヒシとつかんでいるのだ。

   
   👉河津七滝(かわづななだる)の第一、
    初景滝(しょけいだる)をバックに
    設置されたブロンズ像。
    制作は郷土の彫刻家、堤達男氏で、
    踊り子は1963年映画に主演した
    吉永小百合さんを、学生は川端康成
    自身をモチーフにしているとのこと。
   (LINEトラベルjpによる)


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 この不自然な格好には何か意味がある
にちがいないと考え、インターネットや
本でいろいろ調べてみたものの、結局、
何もわからなかった。

そこで今回、川端康成の原作を精読する
ことで、その理由をさぐろうと
思ったのである。


 その理由は、実は今も不明なのだが、
ここではそういう問題意識を持ちながら
読むことで発見したことについて
書いて行きたい。


 その第一は、学生から踊り子に迫って
いるように見えるこの像の構図は、
原作の内容を忠実に伝えるより、
製作者側の解釈や意向を表現した
ものだということだ。

つまり像から受ける印象は、学生が
踊り子を恋しているのであって
その逆ではない。

見る人によっては、学生が手首を押さえて
いるのは、踊り子に手を出したいのを
必死に自制しているのだという風に
受け取るかもしれない。

 


 しかしながら、小説の内容はむしろ逆で、
踊子から学生への恋が主に描かれている。

つまりむしろ踊り子の側から「私」に
働きかけているのであり、たとえば
彼女は、歩きながら姉とこんな
会話を交わす。

 「いい人ね」
 「それはそう、いい人らしい」
 「ほんとにいい人ね。
 いい人はいいね」

これが耳に入った「私」はいたく感動して
しまうのだが、それは彼が日ごろ
「自分の性質が孤児根性で歪んでいる」
と悩んでいる人だったせいで、
「いい人」と思われたことがあまりにも
意外で、泣けてくるほど嬉しかったのだ。

      


 そうしたことから、「私」の踊子への
好意も大きくなり、下田に着いたら
「活動」(映画)に行こうという話にも
なるのだが、これが母親によって
禁じられてしまう。

理由は明示されていないが、「物乞い
旅芸人村は入るべからず」という
立札さえある時代のことだから、
乞食扱いされる芸人とエリートの
「私」との身分違いの恋が発展するのを
恐れたということが考えられる。

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 ともかくこうして、小説は”純愛の別れ”
というパターンに収まっていくので、
河津の像の二人の構図もある程度には
理解されてくる。

つまり学生の右手は思い切って踊子を
抱き寄せたいのだが、左手がそれを
必死に押しとどめているのだ、
という風に。


 そこは一応理解するものの、
私はこの像の構図に納得している
わけではない。

「私」の恋がもし燃えさかっていたの
なら、身分の違いなど乗り越えて
踊子をさらっていくこともそう難しく
なかっただろう(芸者を妻にした文豪、
泉鏡花などの例もある)。

小説を素直に読むかぎり、この恋愛の
熱度は、踊子からのものが「私」の側を
はるかに上回っているとしか見えない
と思うのだ。

   
    河津七滝の一つ、かに滝付近の像

 道中での「いい人ね」の会話にしても、
「私」に聞こえるかどうかがわからない
とも思えない。

つまり「私」に聞かせて喜ばせる、
または気を引くための発言だった
ということもありうるだろう。

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 以上のような理由から、河津の
ペア像の構図は原作小説に忠実
なものではなく、むしろ”学生から
踊子への恋”を強調する形に
ねじ曲げられたものといえる。

意図は不明だが、その方が現代の
一般大衆に受け入れられやすく、
観光客誘致にも有利だという計算が
働いていたということは十分に
考えられると思う。
         (1577字)



どうです?

読むことにした「きっかけ」から
書き始めたところなど、なかなか
うまいと思いませんでした?

「きっかけ」から書くという方法自体や
文中で指摘していることなどは”盗んで”
(自分らしい文章に変えて使って)もらって
かまいませんが、上記感想文をそのまま
コピペして使うのは厳禁ですよ~;^^💦

400字とか、もっと短い字数で書く場合は、
あらすじを書いているところとか、
必要なさそうな部分を切り捨てて
スリム化してください。

逆にもっと字数がほしい場合は、
自分の経験や考えをどんどん入れて
膨らましていけばいいわけです。

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まとめ

さあ、どうでしょう。

書けそうですか? 読書感想文。

上記の「あらすじ」と感想文例、
そしてそれらに👉印で加えた諸々の
情報があれば、もう鬼に金棒。

書けないなんてことは、
もうありませんよね。
👉作者の川端康成に関してさらに
情報を付け加えますと、当ブログでは
『伊豆の踊子』のほか『雪国』や
『古都』でも記事を書いています
ので、ぜひ覗いてみてください。

川端康成 雪国のあらすじと分析:岩下志麻主演映画も見て解説

雪国(川端康成)で感想文? 5つの疑問にお答えします

    

川端康成 古都のあらすじと感想//京都”観光小説”の哀切さ


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?

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う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

 

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を知るには
実際に出品され大臣賞などを受賞している
感想文をじっくり読んで分析してみるのが
いちばんの早道。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

      

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

 

そちらで解説している「書き方」を
踏まえて、当ブログでは多くの感想文例を
試作し提供してきましたが、このほど
それらの成果を書籍(新書)の形にまとめる
ことができましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
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買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

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👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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