伊豆の踊子のあらすじを簡単に【&詳しく】「今夜が汚れる」とは? | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

伊豆の踊子のあらすじを簡単に【&詳しく】「今夜が汚れる」とは? 

やあやあサイ象です。

おなじみ”感想文の書き方”シリーズ
264回にして”あらすじ暴露”
サービスの第186弾となる今回は
お待たせしました! ノーベル賞作家
川端康成の名作『伊豆の踊子』(1926)!

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映画化もヒット続きで、その主演女優には
田中絹代(1933)を皮切りに、美空ひばり
(1954),鰐淵晴子(1960),吉永小百合(1963),
内藤洋子(1967),山口百恵(1974)と各時代の
国民的美少女が引き出されてきました
(60年代はなんと3回!)。

これにテレビドラマも加えるなら、
小林千登勢(1961),栗田ひろみ(1973),
小田茜(1992),早勢美里(1993),後藤真希
(2002)…とまあ、目にもまばゆいアイドルを
輩出してきた物語なんですね。

 
  現在最も人気のDVDは(やはり…
  というべきか)吉永小百合版
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初めにその小百合=踊り子の魅力たっぷりの
映画予告編をお見せしますので、どうぞ
ごゆるりとご覧ください。
(共演は高橋英樹!) 👇


さてその一世を風靡する美少女によって
演じられてきた「踊り子」が、原作でも
実際に美少女と形容されていたかどうか…

その点の検証も含めて、あらすじを
押さえて参りましょう。

原文も文庫本で30ページ程度で、
そうむずかしくもありませんが…;^^💦
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ん? 読むのはやっぱりしんどい?

それでしたらこちらのマンガ版も
参考になさってください。
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でもコレ👆あくまで「参考」ですよ。

もちろんヒロインは絶世の美女に
決まっていますし、原作の世界を正確に
伝えている保証はありません;^^💦


ごく簡単なあらすじ

まずはぎゅっと要約した”ごく簡単”
ヴァージョンのあらすじ。

20歳の一高生である「私」は
伊豆の一人旅に出て四日目に、
旅芸人の一行と連れになり、
踊子の少女と関心を持ちあう。

湯ヶ野では別の温泉宿で過ごすが、
向かいの料理屋から聞こえてくる
踊子の太鼓の音から「今夜が汚れる」
と思い悩む。

が、翌朝は川向うの「共同湯」の
脱衣場から裸の踊子が何かを叫ぶ
ので「子供なんだ」と安堵する。

翌朝、一行の頼みで出立を一日延ばし、
実はまだ十四だとわかった踊り子と
五目並べなどして遊び、彼らの家が
ある大島へ来るようにも言われる。

  

翌日、下田へ出立して歩く間、踊子と
仲間との会話で「いい人ね」などと
言うのが耳に入り、「孤児根性」に
悩んできた私は「ありがたい」
と感じる。

下田で私は約束通り踊子を映画に
連れて行こうとするが、母親が止め、
私は理由がわからず、落涙。

出立の朝、ひそかに見送りに来ていた
踊子に話しかけても、うなずく
ばかりで無言。

船が遠ざかってから艀で白いものを
振り始める踊り子を見て泣く。

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いかがでした?

ん? 何がなんだかよくわからない?

何を喜んだり、悲しんだりしてるのか?
はたまた前半の「今夜が汚れる」とは
何のことか?

はい、ごもっともです。

そのあたりをきちんと理解しようと
思うなら、どうしても”もう少し詳しい”
あらすじを読んでいただく必要が
あるのですね;^^💦


やや詳しいあらすじ

というわけで、”やや詳しい”ヴァージョンに
入り、下記ではこの「一」~「七」の
各章の内容をきちんと押さえて行きます。

文中「 」内や「”」印の白い囲みは
上記文庫本からの引用です。

ところどころ👉印で注釈を
入れていますが、うるさいと思う人は
飛ばしてください。

ともかく⦅完全ネタバレ📢⦆になります
ので、あらかじめご了承を;^^💦


👘【一】

20歳の一高(第一高等学校=東大
教養学部の前身)生、「私」は
伊豆の一人旅に出て四日目。

天城峠の北口あたりで雨にあい、
茶屋に入って立っていると、
そこにいた踊子が黙って座布団を
裏返してすすめてくれる。

彼女を含む旅芸人の一行はそれまで
にも二度見ていて、気になっていた。

  
  現在の天城トンネル
 
やがて踊子の一行は出立。

彼らはどこに泊まるんだろうと
私が茶店の婆さんに尋ねると、
「お客があればあり次第、どこに
だって泊まるんでございますよ」
とひどく軽蔑的に言う。

この言葉が、

それならば、踊子を今夜は
私の部屋に泊まらせるのだ、
と思ったほど私をあおり立てた。

👉つまり踊子は「お客」を取る女と見られて
おり、「私」も開巻早々、その気(取る気)に
なっているわけですね。

学校的には(また映画化した場合も)、
あまり言及されない部分ですが、
原作では外せないポイント。


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👘【二】

茶屋を出て歩くとじきに一行が
見えて来、追い越そうとすると
先頭の若い男(栄吉)が話しかけて
きたので、「私はほっとして」
彼らと道連れになる。

湯が野で同じ木賃宿に入り、
二階に上がると、踊子が
下から茶を運んで来る。
👉「木賃宿」は食事も出さず泊めるだけの
安い宿屋。

後で別の温泉宿に案内されるとおり、
高等学校生のような上層の者が泊まる
場所とは思われていませんでした。

こういう部分への言及からも階級の違いを
強く意識した作品であることが読み取れます。


踊子は「まっ赤になりながら」
手をふるわせてお茶をこぼし、
「まあ! 厭(いや)らしい。
この子は色気づいたんだよ」
と母親は眉をひそめる。

   

その後、私は栄吉に案内された別の
温泉宿で一人で過ごすが、木賃宿の
向かいの料理屋から太鼓の音が聞こえ、
それが踊子のものだと思うと、
「たまらなかった」。

やがて騒がしさが静まると…

私は眼を光らせた。

この静けさが何であるのかを
闇を通して見ようとした。

踊子の今夜が汚れるので
あろうかと悩ましかった。


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👘【三】

翌朝、訪ねてきた栄吉と二人で朝湯に
入っていると、川向うの「共同湯」に
妹(踊子)たちがいると栄吉が知らせる。

脱衣場に「手拭もないまっ裸」の
踊子が私たちに何かを叫んでいる。

私は心に清水(しみず)を感じ、
ほうっと深い息を吐いてから、
ことこと笑った。

子供なんだ。〔中略〕

頭が拭われたように澄んで来た。

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👉つまりまだ「子供なんだ」という
新しい認識が入ってくることで、
「お客」を取るとか「今夜が汚れる
とかの事態も自分の妄想にすぎないと知る。

その滑稽さと安堵感、また「汚れる」感じが
拭い去られることで生じた「澄んだ」気持ち。

「前半」すなわち雑誌初出の「伊豆の踊子」
を独立した作品と見る場合には、ここが
心理的な山場かと思われます。



👘【四】

翌朝、出発しようとしていた私は、
一行の頼みで出立を一日延ばす
ことにする。

十七、八かと思っていた踊子が
実はまだ十四だとわかり、
五目並べをしたり、「水戸黄門
漫遊記」を読んでやったりする。

好奇心もなく、軽蔑も含まない、
彼らが旅芸人という種類の人間
であることを忘れてしまった
ような私の尋常な好意は、
彼らの胸にも泌(し)み込んで
行くらしかった。


彼らの家がある大島へ、私も行く
ことにいつの間にか決まっていて、
踊子は翌日、下田に着いてからの
ことを楽しげに話す。

「活動へ連れて行ってくださいましね」
👉「活動」は「活動写真」の略で、つまり映画。



ところで、「オリジナル伊豆の踊子」
といいますか、最初の雑誌掲載は
実はここまでだったんですね。

つまり『文芸時代』という雑誌の
大正15年(1926)1月号にこの「一」
から「四」までが掲載され、川端
本人はそれで完結のつもりでした。

それが好評なので書き足すことになり、
2月号に「伊豆の踊子」というタイトル
「五」~「七」の部分が出た次第。

前半(一~四)と後半(五~七)とで別の
作品のような印象を受ける人もいると
思いますが、それはこういう成立経緯
からも来ています。

ともかく「オリジナル伊豆の踊子」では
この先どうなるかは読者のご想像に
お任せ…という、いかにもゆるい
オープンエンディングだったのですね。


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👘【五】

一行は下田へと出立し、道々、踊子と
私は河津の浜から「大きく見える」
大島のことや、私の住まいや
「お父さん」のことなどを話す。

私と栄吉が少し先を歩いていると、
踊子と千代子(栄吉の妻)との
会話が聞こえてくる。

「いい人ね」
「それはそう、いい人らしい」
「ほんとにいい人ね。
いい人はいいね」

 その「単純で明けっ放しな響き」から
「私自身にも自分をい人だと素直に
感じることができた」

      

「自分の性質が孤児根性で歪んでいると
厳しい反省を重ね、その息苦しい憂鬱」
に苦しんできた私にとって、それは
「言いようなくありがたいのだった」。

下田に近くなると、ところどころの
村の入り口にこんな立て札が…。

「物乞い旅芸人村に入るべからず」

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👘【六】

下田へ着き、木賃宿に私も入る。

「私」は踊子と千代子らを映画に
連れて行こうとするが、踊子一人しか
都合がつかなくなると、母親が止め、
栄吉がとりなしても承知しない。

なぜいけないのか「私は実に不思議
だった」が、私は一人で映画を見て
帰り、宿の窓から夜の町を眺めると、
太鼓の音が聞こえてくるような気がして
「わけもなく涙がぽたぽた落ちた」。


👘【七】

出立の朝、栄吉が来て、女たちは昨晩
遅かったのでまだ寝ているからと、
彼一人で送ってくれる。

乗船場に着くと「海際にうずくまって
いる踊子の姿が私の胸に飛び込んだ」。

いろいろ話しかけても、うなずく
ばかりで一言も発しない。

 

乗船する私が振り返った時、踊子は
さよならを言おうとしたようだが、
うなずくだけに終わり、船が
遠ざかってから、艀で白いものを
振り始める。

伊豆半島の南端が後方に消えてゆくまで、
一心に沖の大島を眺めていた私は、
船室にいた少年の親切を自然に受け入れ、
泣くのを見られるままになっている。

「頭が澄んだ水になってしまっていて、
それがぽろぽろ零(こぼ)れ、その後には
何も残らないような甘い快さだった」。

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まとめ

さあ、これでもうすっかりご理解
いただけましたよね、

名作『伊豆の踊子』の世界。

よく理解できた現時点で、映画化の
各作品が、原作の微妙な部分をどれくらい
採り入れ、どういう風に表現しているかを
見比べてみるなんてもの、面白いのでは?


感想文やレポートを書こうかという
場合も、映画を絡ませることが一法
ですが、また正々堂々、原作をしっかり
読み込んでいこっても、面白いことが
書けそうではないでしょうか。
👉具体例が見たいという場合は
ぜひこちらをご参照ください。

伊豆の踊子のあらすじ&感想文の書き方【1600字の例文つき】

     


また川端のほかの名作、『雪国』
『古都』などと対照してみれば、
さらに深い感想文・レポートと
なるでしょう。
👉これらの作品についてはこちらで
情報提供しています。

ぜひご覧ください。

雪国(川端康成)で感想文?5つの疑問にお答えします



川端康成 古都のあらすじと感想◎京都”観光小説”の哀切さ

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ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?


う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

 

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を知るには
実際に出品され大臣賞などを受賞している
感想文をじっくり読んで分析してみるのが
早道です。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

   

そちらで解説している「書き方」を踏まえて
当ブログでは多くの感想文例を試作し
提供してきましたが、このほどそれらの
成果を書籍(新書)の形にまとめることが
できましたので、ぜひこちらも手に取って
ご覧ください。
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買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

読書感想文 書き方の本はこれだ!サイ象流≪虎の巻≫ついに刊行!!!

   


👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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