ナインで感想文 “だから”どう書く?⚾800字/400字の例文つき


サクラさん
井上ひさしの『ナイン』で感想文を
書かないといけなんですけど、
何を書いたらいいんでしょうか?

ハンサム 教授
そうねえ…

たとえば出てきた人のうちでいちばん
面白いと思った人のことを書けば?

サクラさん
でも私が面白いと思ったのは、
結局出てこない人なんです。

 

ハンサム 教授
なら、その出てこない人物について書く。

サクラさん
でも、そいつひどい悪人なんですよ(🐱)

ハンサム 教授
ますます面白いじゃないですか^^💦
 

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「感想文の書き方」シリーズ第70回の
今回は、高校教科書採用の傑作短編小説、
『ナイン』(井上ひさし、1983)感想文・
批評文・レポートなどの書き方を考えて
参りましょ~((((((ノ゚⊿゚)ノ。
   


まだちゃんと全文を読めていない、
というか読んでもポイントが
わからなかった…という人は、
まずこちらの「あらすじ」を
インプットしてください。

ナイン(井上ひさし)のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説

         野球猫matsui-anime



⚾ 感想文の例(800字)

はい、ストーリーがしっかり理解できたら、
さっそく感想文に取り組みましょう。

まずはみなさんのために字数制限800字
(400字詰め原稿用紙2枚)でハンサム
教授が試作した文章をお目にかけます。

たんなる感想でなく論理的・批判的な
突っ込みもありますので、「批評文」を
求められている場合でも十分通用する
と思います。

 この小説の主人公はだれなのか。

答えは正太郎しかないと思うのだが、
そうだとすると、明確に姿を現す
ことはなく、他の登場人物の話に
出てくるだけの主人公ということに
なるが、それもまた小説の面白みに
なっていると思う。

この正太郎は悪役に違いないが、
ただ悪いだけではない特別な個性の
持ち主で、その魅力なしに「ナイン」
という小説は成り立たない。

 その魅力の第一は、まず新道少年
野球団の主将としてやったこと――
ナインの犠牲になって自分が直射日光を
浴びて蔭をつくるなど――の素晴らしさだ。



その十数年後、彼に騙されてひどい目に
あった英夫や常雄がそれでも正太郎を
許し続けることが、周囲には不思議に
思えるのだが、それもこの美しい
思い出があればこそだった。

 だが、それにししても、十数年後に
戻ってきた正太郎が旧友に対してした
ことはあまりにも悪く、絶対に許せない
と思う人もいるだろう。

だが、私に言わせれば、それこそが
彼の最大の魅力なのだ。

 たとえば「ナイン」の一人で自動車
学校の経営者になっていた常雄を頼り、
好意で雇ってもらっていた正太郎は
突然、400万余りの現金だけならまだしも、
常雄の奥さんまで奪って姿を消してしまう。

絶望した常雄は自殺未遂までするのだが、
結果的に奥さんは帰ってきて、しかも
以前とは見違えるような良妻になる。

 この経緯について、正太郎は奥さんを
教育して良妻にして戻すという目的の
もとに計画を実行したのだという解釈も
あるようだが、私はそうは思わない。

    

 そういう見方は正太郎の悪役としての
スケールを縮小してしまい、したがって
作品の魅力も半減させてしまうと思う。

そもそも奥さんを誘惑できたということが
正太郎の魅力の証拠だが、その奥さんを
取られた夫も彼を許してしまうのは、
男から見ての魅力にも計り知れない
ものがあることを示している。

 そのような極悪のヒーローが結局
姿を現さないところに、この作品の
不思議な魅力がある。
        (800字ちょうど)

どうです?

うまくまとまっているでしょう。

これをそのままコピペすることは
もちろん厳禁ですが、適宜、自分らしい
ものに文章を変えて使ってもらうのは
かまいませんよ~;^^💦


ん? これでは長すぎる?

なにしろ400字以内で書くという
宿題だから?

それなら上の800字から「あらすじ」
部分など、なくてもよさそうな部分を
カットして、ギュッと縮めれば
いいんですよ。

たとえばこんなふうに。


⚾ 感想文の例(400字)

 正太郎は悪いに違いないが、
強烈な魅力の持ち主でもある。

その魅力の第一は、新道少年
野球団の主将としての行為にあり、
数年後の正太郎に騙された旧友が、
それでも正太郎をかばうのはその
思い出があればこそだった。

それにしても、正太郎の行為は
ひどすぎて許せないと思う人も
いるだろうが、そのひどさこそが
彼の魅力なのだ。

 たとえば「ナイン」の一人だった
常雄の好意で自動車学校に雇って
もらっていた正太郎は、彼を裏切り、
現金のほかに常雄の妻まで
持ち逃げしてしまった。

   

それでも妻は戻ってきて良妻になるので、
正太郎は彼女を教育する目的でさらって
行ったのだという解釈もある。

 だが、そういう見方は作品の魅力を
半減させると思う。

妻がよろめいたのも正太郎の魅力の
証拠だし、そういう仕打ちを受けた
夫が彼を許してしまうことも正太郎の
スケールの大きさを示している。

 そのような悪のヒーローの魅力にこそ
作品の命があると思うからである。
         (397字)
  
どうです?

みごと400字に縮めたでしょう。

これももちろんコピペはダメですが、
適宜、変更して使ってください。

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ん? 400字や800字では短い?

1200字以上の読書レポートを要求されている?

そういう場合は、さらに別の話題を
持ってきて入れ込めばいいんです。


たとえば?

そうですねえ…

少年時代には「いいやつ」だったはずだし、
大人になってもあんなに魅力的な正太郎が、
極悪人になってしまったのはなぜなのか……

そこを突っ込んで考えてみてはどうでしょう。


⚾ 自分が正太郎なら……

あの日の優勝パレードで「ナイン」以外の
知らない理由で「ナイン」を泣かせていた
あの熱い、最高の主将が、なぜこんな、
サイテーの詐欺師なんかになって
しまうのか。



「どうしてそこまで崩れてしまった」のか、
と語り手の「わたし」(作者を思わせる)に
訊かれた中村さんが持ち出したのは、父親の
女出入りのたびに「物凄い夫婦喧嘩」と
正太郎の家出が繰り返されていたという
壮絶な家庭環境。

手がかりはこれだけですね。

となると、自分が正太郎になってみるという
試みはむずかしいかもしれませんが、同時に、
自由な想像が許される部分が大きいという
ことにもなりますね。

その意味ではかえって楽しい作業になる
可能性も大ありです。

どうです?
ひとつ、挑戦してみませんか。
   
    友情images

世話になった友を自殺に追い込むほどの
悪漢でありながら、それでもなお、ひどい
目にあった旧友たちは「ぼくらのために
なることをして歩いている」と思ってしまう……

ほとんど超能力とも呼びたいこのパワーの
秘密はどこにあるのか。


ヒントは作品中にいろいろと埋まっている
わけで、たっとえば英夫がこう言いますね。

このナインにはできないことは
何もないんだ。

そんな気持ちでいっぱいでした。

その気持ちは 今でもどこかに
残っていると思います。

だから……

この「だから」に続く言葉を自分で
考案してみれば、もうそれだけで、
立派な感想文になりますよ!


⚾ 自分が常雄なら……

この意味では正太郎にこだわる必要も
ないわけで、迷惑をかけられる側、
たとえば英夫の思いに寄り添うのも
一つの方法ですね。

あるいはいちばん悲惨な目にあう常雄に
なってみてはどうでしょう。

080321

中村さんの話では、常雄は去年の春、
とつぜん現れた正太郎にだまされて、
金を取られた上に奥さんまで持ち逃げ
されて、自殺を図りました。

中村さんはそのその経緯を語って、
常雄は「弱虫」で「死ぬということを一番
こわがっている子なんだ」とまで言います。

(ここは、なんで中村さんにそこまで
分かるんだろう、という疑問が浮かぶので、
そこをこの小説の弱点として批判しても
いいのですが……)


作者の心意を推測するならば、死を極度に
恐れる男が死のうとしたという事実で
正太郎の裏切りをより重大に見せる効果を
狙ったのかな?

   
 

ともかく死には至らず、奥さんも帰ってきて
心を入れ替えたので、そこは「めでたし」
ですが、常雄は正太郎の行為については
警察に届けることさえしない。

このあたりで「自分なら…」を考えれば、
もどかしい思いをする人が多いんじゃ
ないでしょうか。

常雄は弱すぎる、自分ならもっと……とか、
第一、正太郎を訴えたりしないのが
理解できない……とか。


ただ、そこで終わらないのがこの小説の
面白いところで、後半、英夫の話を聞くことで
中村さんには見えていなかった「ナイン」の
心の深部が見えてきて、正太郎がみんなに
許されてしまう理由もわかってくるわけです。

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なので、常雄になってみる場合は、
小説の前半と後半で、「自分なら…」の
内容が変わってくる。

この時間差を押さえつつ、それがどう
変わったかを書いて、そこに自分の
感想を落とし込んでみたらどうか。

それはもう感想文の域を超えた、
分析的な批評文になってくるはずですよ。



👉 まとめ

さあ、どうでしょう。

正太郎、常雄以外にも、英夫あるいは
常雄の奥さんになりきって書いてみる
というのも面白いんじゃないでしょうか。


イメージがわいてきたら、
あとは突き進んでみるだけ。

もう感想文はできたも同然です。

その意味で、感想文の書きやすい作品と
いえるかもしれません。


さても井上さんは心憎い作家ですね~。

同じ短編集『ナイン』に入っている
もう一つの傑作、「握手」にも、この
「ナイン」に共通するうまさ、テクニック
がふんだんに込められています。

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

握手(中3国語)で批評文どう書く?【400字の例文つき】
握手(井上ひさし)のあらすじ:「簡単/詳しい」の2段階で解説

       
ん? 書けそうなテーマは
浮かんできたけど、具体的に
どう進めていいかわからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。

当ブログでは、日本と世界の
種々の文学作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/

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