源氏物語の薫はワキガだった?匂兵部卿宮のあらすじ(現代語訳)と考察
薫の君ってどういう
人ですか?
の色男ではありますが、
輝くばかりの美しさ
だった源氏に対抗して、
こちらは”薫る”、つまり
匂い(🐽♪)のパワーで
女性を吸引したよう
に描かれています;^^💦
フェロモンが届いたん
でしょうか?
書いてありませんが、
香をたきしめるなどの
ことは何もしないのに、
生まれつきそういう
匂いを発散する人だった
とされています。
かな;^^💦
ともかくその検証の
ためにも『源氏物語』の
該当部分「匂兵部卿宮」
の帖をしっかり読み直す
必要がありますね。
というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第228弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第315回)となる今回は、
日本人が世界に誇る(けれども内容はよく
知らない;^^💦)、世界最古の長編小説
『源氏物語』((((((ノ゚🐽゚)ノ
その後半で最も気になる帖の一つである
第42帖「匂兵部卿宮」(または「匂宮」)
のあらすじをきちんと押さえたうえで、
主要人物、薫の君(薫中将。匂宮は別の
人物)が放った、えもいわれぬ「芳香」
について探求していきたいと思います!
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『源氏物語』各帖のストーリーは
手っ取り早く、上記のようなマンガで
すましてしまうという手もあります。
でもやはりマンガではそれこそマンガチック
な誇張やいい加減さがどうしても入って
きますから、なるべくなら本(もちろん
現代語訳でいいので)読んできちんと
理解しておきたいところ。
ここでは、そういう時間はないという人の
ための特別サービスとして「あらすじ」を
提供します。
内容は以下のとおり。
ごく簡単なあらすじ
それではさっそく参りましょう。「匂兵部卿宮」の物語をぎゅっと
ちぢめるとこんな感じになります。
いわれるなか、女三宮との間の子
である薫(中将)と、今上帝が
明石の中宮との間になした匂宮
(兵部卿)との二人が当代きっての
貴公子と評判である。
源氏の長男・夕霧はまじめで律儀な
男で、寂しくなった六条院に落葉の
宮を住まわせ、それを機に明石の
中宮の娘である女一宮、二宮が
近隣に住むようになって、
六条院は賑わいを取り戻す。
夕霧は匂宮を娘の婿にと望むが、
自由な恋愛を楽しみたい当人には
その気がない。
薫は、冷泉院らに可愛がられ、
元服後は官位の昇進もめざましいが、
自分の出生に漠然とした疑惑を抱いて
悶々とし、仏道に入ることも考える。
薫は生まれつき芳香を発する体の
持ち主で、薫に対抗心を燃やす匂宮は
薫物(たきもの)を工夫して
自らも芳香を放つよう心を砕く。
薫20歳の正月、夕霧が六条院で賭弓
(のりゆみ)の還饗(かえりあるじ)
を催すと、匂宮はもちろん薫も出席し、
華やかな宴となる。
ん? なんだかよくわからない?
ま、それはそうでしょうから、
「やや詳しいあらすじ」の方へ
進んでいただくことになるのですが、
その前に『源氏物語』の特に後半に
焦点化した「登場人物の相関図」を
見ておいていただくと、いっそう
わかりやすくなると思います。
登場人物の相関図
基本的に各人物をつなぐ横線は親子関係、
縦ないし斜めの線は結婚または恋愛的な
関係を示します。
下記の「やや詳しいあらすじ」を読んで
いて、誰が誰だかわからなくなったら、
この図へ戻って確認してください。
やや詳しいあらすじ
それでは参りましょう。原文は改行などないのですが、角川
ソフィア文庫(👇)の現代語訳では
17段に分けられています。
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前帖「幻」から八年後、薫14歳から
20歳までのあらましを語ってゆく帖ですが、
その17段を内容の流れから、上・中・下の
3部に分割して「あらすじ」をたどって
参ります。
【上】1~4段
光源氏亡き後、その面影を継ぐ人はいない。長男・夕霧は顔に似たところはあっても、
若い頃からの真面目で律儀な性格で
源氏との違いは歴然としており、
そのこと女房らも平気で口にする。
義母・藤壺との間の子である冷泉院こそ
「亡き殿に瓜二つ」との声もあるが、
先の帝であることから、口にすることが
憚られていた。
ただ女三宮との間の子である薫(14歳。
実父は柏木)と、今上帝が明石の中宮
(源氏と明石の上との間の子)との間に
なした三の宮である匂宮との二人が、
かつての源氏を思わせる当代きっての
貴公子と評判である。
源氏が他界してから六条院は火が消えた
ような寂しさで、夕霧は父の愛した
この屋敷が荒れるにまかせることを
憂えて、落葉の宮を一条の屋敷から
移り住まわせることにする。
その甲斐あってか、明石の中宮(源氏と
明石の上との間の子)の娘である女一宮が
亡き紫の上を偲んで、春の町で暮らし始め、
また時折、その妹の二宮が寝殿を使う
ようになったことから、六条院は
賑わいを取り戻してきた。
【中】5~9段
匂宮は元服して兵部卿となって、紫の上の二条院を里邸としており、
夕霧は彼を娘の婿にと望んでいるが、
自由な恋愛を楽しみたい当人には
その気がない。
律儀な夕霧は、落葉の宮を六条院の
冬の町に迎え、雲居の雁の住まう三条殿と
一日交代に月に十五日ずつ通いながら、
娘の中で一番の美女と誉れ高い六の君を、
落葉の宮に預けて教養の豊かな女性に
育てようとしている。
源氏物語絵巻より
六条院は、今は明石の中宮の子たちの
大半が住み、夏の町に住んでいた
花散里は二条院の東の院へ、女三宮は
三条宮へそれぞれ移っている。
薫は、冷泉院と秋好中宮に殊更に
可愛がられ育てられ、元服後は
官位の昇進もめざましい。
しかし、自分の出生に漠然とした疑惑を
抱き始め、人生を空虚と感じて悶々とし、
出家の志を立てる。
【下】10~14段
若くから評判の良すぎる程だった薫には仏が仮に人間の姿を取ったかとさえ
思わせるような、他の人にない
柔らかさと深みがあり、また香を
たきしめもしないのに、この世の
ものとも思えない芳香を放っていた。。
👉この素晴らしい「芳香」がどんな
ものかは原文参照の上、しっかり
つきとめておきましょう。
「あらすじ」後の「この世のにほひ
ならず?」の章をぜひご参照ください。
この薫に対抗心を燃やす匂宮は、薫物
(たきもの)をさかんに身に着けて
自らも芳香を放つよう心を砕く。
このことから世間は世評高いこの二人の
貴公子を「匂ふ兵部卿、薫る中将」と
呼んで噂した。
二人とも娘の婿にと望む権門は多いが、
匂宮は冷泉院の女一宮に好意を寄せて
おり、厭世観を強めている薫は思いの
残る女性関係は持つまいとしている。
薫20歳の正月、夕霧が六条院で賭弓
(のりゆみ)の還饗(かえりあるじ)を
催すと、匂宮はもちろん薫も出席し、
華やかな宴となる。
👉「賭弓」は正月十八日に天皇が弓場殿で
左右近衛・兵衛の舎人の競射をご覧になる
儀式で、終了後に勝方の大将の邸で
行われる饗宴が「還饗」。
ん? 『源氏物語』全体のストーリーが
わからないとやっぱりわからない?
その場合はこちらをご覧ください。
👉・源氏物語のあらすじを簡単に【&詳しく】世界最古の長編恋愛ロマン!
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また人物相関図についても、物語の後半
ないし続編部分、光源氏死後の
「宇治十帖」までカバーするものが
必要でしたら、こちらをどうぞ。
👉・源氏物語の相関図をわかりやすく!若紫も宇治十帖も登場人物を明快に
この世のにほひならず?
さあ、これでもうよくわかりましたよね?
第42帖「匂兵部卿宮」の内容。
まあ、前帖の「幻」から次の「紅梅」への
つなぎとして、人物や状況の移り変わりを
語ることが主体で、特に盛り上がるような
出来事があるわけではないので、「夕顔」
「若紫」「須磨」のように短編小説を
読むような面白味には乏しいですよね。
にもかかわらず、なぜこの帖が読者を
引き寄せるのかと申しますと、それは
ひとえに薫の君が生まれつき備えて
いるとされる「芳香」のゆえと
考えられます。
この「芳香」の正体をつきとめるため、
まずはそれについて説明した部分の
原文に当りましょう。
香のかうばしさぞ、この世のにほひ
ならずやあやしきまで、
うちふるまひ給へるあたり
遠くへだゝる程の追風も、
まことに百部の外も薫りぬべき
こゝちしける。
現代語訳を角川ソフィア文庫『源氏物語
第八巻』から拝借しますと、
香のこうばしさは、人間世界の
においでなく、変なほど、ちょっと
身じろぎなさるその周囲、
遠く離れたところの追風も、
しんじつ百歩の外も薫るような
感じがする。
この「追風」というのは「人が動く後に
残る匂い」と注釈されています。
それが「百歩」も離れたところにまで
届くと言うのですから、相当に強烈な
体臭であったということになります。
当時の貴人として服装ばかりでなく
香をたきしめるなど、匂いにも気を
使うのは普通のことであったけれども、
薫の場合は、何もしなくても薫った
のだとして、こう続けられます。
あまたの御唐櫃に埋もれたる
香(かう)の香(か)どもも、
この君のは、言ふよしもなき
にほひを加へ、お前の花の木も、
はかなく袖かけ給ふ梅の香は、
春雨の雫にも濡れ、身にしむる
人多く、秋の野に主なき藤袴も、
もとの薫はかくれて、
なつかしき追風ことに、
折りなしがらなむまさりける。
ここも上記文庫の現代語訳を
借りますと、
数多いおん唐櫃に入れたままに
なっている香のにおいも、
この君のはいいようもないほどの
においを増し、お庭さきの
花の木も軽く袖をおかけになる
梅の香は春雨の雫にもぬれて
身にしませる人が多く、
秋の野に誰が脱いだともわからない
藤袴も、元のにおいはなくなって、
お通りになった後のうれしい
においがはっきりとこの方が
折ったためによくなるのであった。
現代語訳でもまだ難解……
というか、日本語になってない気も
しないではないですが、ともかく
言わんとするところは、
《「花の木」でもこの人が手折ると、
それまでについていた誰かさんの藤袴の
匂いなんかは消し飛んで、「はっきりと」
薫の君のよい匂いの方が残ってしまう》
ということなのでしょう。
さて、どう思います?
猫などがよくやっているマーキングは
自分の匂いを残して他の猫たちに
知らせるためだそうですが、人間の
場合、そんな習性も嗅覚もありません。
「お香」など人工的な匂い付けをまったく
しない自然体で、もしこれほどの臭気を
付着させることができるのだとしたら、
それはワキガ以外に考えられないのでは
ないでしょうか❓
ん? 薫の匂いは「人間世界のもの
ではない」とあり、腋臭(ワキガ)は
生物としての人間のものにちがいない
から、その解釈は誤りではないか?
いえいえ、でも原文は「この世のにほひ
ならずや」とあくまで疑問形だし、
「人間の」とも言っていないんです。
この世界に現実にある匂いかどうか
わからない、誰も嗅いだことがない、
それほど強烈な匂いといっているの
ですから、腋臭(ワキガ)であっても
かまわないのです。
それがありえないと思うのは、それこそ
現代人の常識からする偏見であって、
古代ではけっこう愛好されたという
可能性は排除できません。
異性を惹き寄せる生体物質である
フェロモンは、それ自体には匂いは
ありません。
ただワキガなどの体臭と一緒になって
届くものなので、脇や陰部などの臭気に
クラクラッと魅惑されてしまう人も
けっこういるのです。
👉たとえば英傑ナポレオンも妃
ジョゼフィーヌの体臭を愛し、あと
何日かで帰るから「入浴は絶対するな」
と厳命する手紙を、わざわざ戦地から
寄こしていたのです。
詳しくはこちらで。
・ワキガが好きな人もいる!媚薬効果で悩殺も可能(相手次第ですが…)
グイド・レーニ画「聖セバスチャンの殉教」(部分)
またワキガといっしょになって届く
フェロモンについてはこちらで。
・フェロモン香水(女性用)は効果なし?いや最強?体験談を聞くと…
・フェロモン香水(男性用)は効果なし?いや、あるという科学的根拠!
まとめ
さて、これだけの情報があれば、もう無敵ですよね。
こと「匂兵部卿宮」に関する限り、
感想文だろうがレポートだろうが、
何を書けと言われても。
👉これだけではやはり足りない、
「桐壺」「夕顔」「若紫」「須磨」など
人気の高いほかの帖の内容も知って
おかないと…
と思われた場合は、ぜひこちらの
記事もご覧ください。
・源氏物語 桐壺のあらすじを簡単にわかりやすく/&詳しく相関図で解説
・源氏物語 夕顔の死因は?あらすじを現代語訳で簡単にわかりやすく
上村松園画「焔(ほのお)」(六条御息所がモチーフ)
・源氏物語 若紫のあらすじを簡単に/&詳しく登場人物の関係を解説
・源氏物語「須磨の秋」のあらすじ・内容を簡単に/&詳しく現代語訳で
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そのほか、マンガ『あさきゆめみし』を
含め数多くある現代語訳を覗いてみるのも
よいでしょう。
現代語訳は『痴人の愛』の谷崎潤一郎を
筆頭に、与謝野晶子、円地文子、田辺聖子、
瀬戸内寂聴、林望、橋本治などのビッグ・
ネームによる、それぞれに個性的な試みが
勢ぞろいしていますし、参考書や研究書
など、『源氏』関連の本はワンサカ
あります。
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源氏物語』関連の本:ラインナップ
ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は当ブログの「感想文の
書き方《虎の巻》」を開陳している
記事のどれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
こんなコメントが来ています