夏目漱石 三四郎のあらすじを簡単に【&章ごとに詳しく】2段階で解説
やあやあサイ象です。
「感想文の書き方」シリーズも
はや第45回にして「あらすじ」
暴露サービスとしては第22弾。
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今回は夏目漱石の長編小説
『三四郎』(1908)で参りましょう。
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さて一口に「あらすじ」を、といっても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文を書くんだから少し詳しく
ないと……という場合まで千差万別でしょう。
そこで出血大サービス((((((ノ゚🐽゚)ノ
「ごく簡単なあらすじ」と
「やや詳しいあらすじ」の
2ヴァージョンを用意しましたよ~~(^^)у
ごく簡単なあらすじ(要約)
まずはぎゅっと要約した「ごく簡単なあらすじ」。
熊本の高等学校を出た三四郎が、
東京帝国大学に入学して
新しい生活を始める。
上京の汽車で知り合っていた広田先生と
彼を慕う与次郎、同郷の先輩の野々宮と
その妹よし子や、野々宮の友人里見の
妹である美禰子(みねこ)らからなる
グループに加わって交遊する。
なかで特に謎めいた美女、
美禰子に引き寄せられていく。
自分に気があるようにも見え、
また野々宮を意識するようでもある
美禰子の真意は結局わからず、
大詰めになって突然登場する紳士と
彼女は婚約する。
東京帝国大学に入学して
新しい生活を始める。
上京の汽車で知り合っていた広田先生と
彼を慕う与次郎、同郷の先輩の野々宮と
その妹よし子や、野々宮の友人里見の
妹である美禰子(みねこ)らからなる
グループに加わって交遊する。
なかで特に謎めいた美女、
美禰子に引き寄せられていく。
自分に気があるようにも見え、
また野々宮を意識するようでもある
美禰子の真意は結局わからず、
大詰めになって突然登場する紳士と
彼女は婚約する。
どうでしょう?
え? なんだかよくわからん?
いったい何が言いたいのか?
ハハハ、まあそうでしょうね。
むしろ「わからない」ところ、謎めいた
ところにこそミソがある、ともいえる
小説なんでしょうからね;^^💦
白滝幾之助画(『明治 大正 昭和
日本のポスター』〔京都書院〕より)
でも、いくらなんでも、これだけじゃ
わかりにくすぎて、小説の楽しさも
何もあったものじゃないですよね。
というわけで、ここはやはり
「やや詳しい」ヴァージョンの
「あらすじ」を読んでいただく
必要があるわけです。
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やや詳しいあらすじ
では参りましょう。原作は新聞連載で、「一の一」に始まって
「十二の七」まで行き、結びに「十三」を
置くという全13章の構成ですが、ここでは
各章を「起承転結」の4部に割り振って
記述していきますね。
【起】(一~二)
熊本の高等学校を卒業した小川三四郎は、東京帝国大学に入学する
ため、汽車で東京へ向かっていた。
車中で向かい合わせた女と名古屋の旅館で
同宿することになり、一つ蚊帳(かや)の
中で寝たが(◎◎;)、コトに及ぶことは
なく、別れ際に女は「あなたはよっぽど
度胸のない方ですね」と笑う。
名古屋からは、乗り込んできた
髭の濃い中年男と話す。
日本もこれから「発展するでしょう」
といえば「亡びるね」と返され、
「日本より頭の中の方が広い」
「囚われちゃ駄目だ」などと教えら
れて、はじめて熊本を出た気になる。
東京での新しい生活が始まり、
同郷の先輩で、すでに新進の研究者
である理科大学の野々宮を訪ねる。
野々宮と話したあと、森に入って池を
見ていると、看護婦と二人連れの
若い女が岡の上に現れ、三四郎の前に
白い花を落として立ち去っていく。
東大構内の心字池(通称”三四郎池”)
【承】(三~七)
9月になり、大学の授業が始まるが、三四郎は授業にあまり興味を持てない。
知り合った佐々木与次郎という学生から
広田先生という人を紹介されるが、
会ってみると汽車で話した中年男で、
広田は野々宮の先生でもあった。
野々宮の妹よし子が入院中と聞いて
三四郎は大学病院に彼女を見舞い、
そこで池のほとりでチラ見した「池の
女」と出くわして強い印象を受ける。
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その後、広田先生の引っ越しの手伝いに
行くと、あの「池の女」も現れ、彼女は
野々宮の友人である里見の妹、
美禰子だと知る。
仕事の合間に二人は並んで雲を見たり、
先生の画帳を開いて「人魚(マーメイド)の
絵を見たりする。
これがその絵、J.Waterhouse, “Mermaid”(1900)
👉「人魚」についてはこちらで詳しく
情報提供しています。
ぜひご参照ください。
・童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ💛本当は怖い恋物語
・人魚の肉を食べると不老不死に?では交わると?八百比丘尼伝説&アメリカ小説etc
また17世紀の女流作家アフラ・ベーンの
『オルノーコ』という小説とその劇化が
話題に上り、広田先生がその劇化作品中の
名言、”Pity’s akin to love”を持ち出す。
与次郎がこれを「可哀想だた惚れたつて
事よ」と訳すと、「いかん、いかん、
下劣の極だ」と広田先生。
👉この名言が出て来るのはトマス・
サザーンという作家による戯曲
『オルノーコ』(1696)。
で、これはおそらくシェイクスピア
『十二夜』(第三幕)に出る
“I pity you.”
“That’s a degree to love.”
という会話を踏まえているものと
思われます。
『十二夜』についてはこちらで情報提供
していますので、ぜひご覧ください。
・十二夜(シェイクスピア)のあらすじを簡潔に&人物相関図つきで詳しく
その後、同じグループで団子坂の
菊人形見物に出かけるが、三四郎と
話しながら歩くうち美禰子が体調を
崩し、二人はグループからはずれて
小川のほとりで休む。
野々宮さんたちが探しただろう、
と三四郎が気にすると、美禰子は
「責任を逃れたがる人だから、
丁度いいでしょう」
「迷子の英訳を知っていらしって?」
「迷える子(ストレイ、シープ)──
解って?」となどと謎めいた言葉を
連ね、三四郎は困惑する。
現代の菊人形
こうして美禰子に惹かれつつその謎に
苦しむ三四郎は、大学の運動会でまた
よし子と美禰子に会ったり、「広田を
大学教授に」と運動する与次郎らの
集会に出たりと、新しい経験を
重ねてゆく。
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【転】(八~九)
与次郎に金を貸したものの、返さないので催促すると、美禰子が用立てすると
言っているというので、三四郎は
美禰子宅を訪れる。
美禰子は三四郎を銀行に連れて行って
金を渡し、その足で二人で美術展覧会に
行くことになる。
会場に入って野々宮がいるのを目にする
や否や、美禰子は三四郎の耳もとで
何かをささやくが、何を言ったのか
少しもわからない。
建物を出てから問いただすと、
「野々宮さん。ね、ね…解ったでしょう」
「野々宮さんを愚弄したのですか」
「あなたを愚弄したんじゃないのよ」
と、やはり謎の残る会話を交わす。
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【結】(十~十三)
借りた金を返すため、三四郎は画家の原口宅を訪れ、そこで絵のモデルを
している美禰子に会う。
その帰り、用事はなんだったのかと
聞かれたので、「あなたに会いに
行ったんです」と思い切って言う。
が、美禰子は「すこしも刺激に
感じない」ようす。
そこへ人力車に乗った若い立派な紳士が
現れ、挨拶もそこそこに美禰子を
連れ去るが、この紳士が美禰子の
婚約者であることが、やがてわかる。
日曜日、美禰子が来ている教会を訪ね、
三四郎は先日返しそびれた金を返す。
美禰子は三四郎をしばらく眺め、
やがてかすかなため息とともに言う。
「われは我が咎を知る。
我が罪は常に我が前にあり」
原口の絵が完成し、三四郎は仲間たちと
展覧会に出かける。
「絵はどうだ?」と尋ねる与次郎に
三四郎は「森の女という題が悪い」。
「じゃあ、何とすればいいんだ」
と問われて、口の中で「迷羊(ストレイ
シープ)、迷羊(ストレイシープ)」
と繰り返す。
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無意識の偽善者?
どうでしょう。ここまで来ればもう読書感想文を
書こうという人もOKですよね?
え? ダメ? 書けそうなテーマが
浮かばない?
ウーン、それでは……
たとえば美禰子という登場人物、
どう思いました?
謎だらけのまま終わってますから、
彼女の真意、性格などについて
推理してみるというのも一法ですよね。
それに関しては、漱石先生、弟子の
森田草平とのやや込み入った対話の中で
「アンコンシャス・ヒポクリット」
(unconscious hypocrite)という英語を
持ち出して説明したことが知られて
います。
しいて訳せば「無意識の偽善者」ですが、
「ヒポクリット」は必ずしも「善人」の
ふりをするとはかぎらず、要するに
本来の自分とは別の人になってしまう
ということですね。
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そして師弟間のこの会話でもともと
話題にされていたのが平塚らいてう
(明〔はる〕)という謎の美女
だったんですね。
👉このあたりの経緯に関心ある人は
ぜひこちらを参照してください。
・平塚らいてう塩原事件 才ある美人の不倫心中逃避行…なぜ?
そのほかいろんな視点からこの作品について
考えたい方はこちらもどうぞ。
・漱石 三四郎で感想文:美禰子の愛は?”無意識の偽善者”とは?
また『三四郎』ばかりでなく他の漱石作品を
読んでみて、共通点や違いについて考える
というのもいい方法ですね。
👉『三四郎』関連でどうしても無視
できないのがこれへの続編といわれて、
漱石の初期三部作とされている
『それから』と『門』ですね。
この2作についてはこちらで情報提供して
います。
・漱石 それからのあらすじと解説 《自然》に復讐された男?
・門(夏目漱石)の簡単なあらすじと”禅”をめぐる批評・感想
・夏目漱石 門の徹底解説【あらすじを簡単に&詳しく】なぜ円覚寺へ
👉そのほかの漱石作品については
こちらでお探しいただければ
と思います。
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夏目漱石の本:ラインナップ
👉また当ブログでは漱石以外にも
日本と世界の種々の文学作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事をたくさん書いています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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