やあやあサイ象です。

「感想文の書き方」シリーズもはや第21回。

今回は川上弘美さんの短編小説で、
高校現代文の教科書に採用されている
『神様』(1998)で行ってみましょ~。
   

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また川上さんが2011年に加筆して
発表された「神様2011」もベースは
同じですので、基本線は同じように
考えていけると思います。


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🐻 「あ、これは夢だ」

この小説の登場人物といえば、語り手の
「わたし」と、その「わたし」と一日
つきあう「くま」()のほぼ二人だけ。

「くまにさそわれて、散歩に出る」という
のが冒頭の第1行で、この「くま」について
なんの紹介もされないわけなんですが、
人間の言葉を話すところをみると、
あるいは実態は人間なのかしら?


つまり比喩なのかなと思っても、
どうやらそうでなく、ほんとの熊で(叫び)、
しかも人間のように話し、特定の人間の
ような個性をもっているということが、
読み進むうちに次第に明らかに
なってきますよね。

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となると…これは一種の≪夢語り≫

日本文学史的にいえば、夏目漱石の
『夢十夜』以来、何人かの作家によって
受け継がれてきた流れなんですね。
👉この点はこちらをご参照ください。

漱石の夢十夜で感想文?第一夜のあらすじと考え方から

夢十夜 第二夜の意味は?ついに現前しない”無”について解説

   

漱石 夢十夜のあらすじと解釈:第三夜で感想文ならどう書く?

夏目漱石 夢十夜「第六夜」のあらすじと解説 運慶が生きている?


『100万回生きたねこ』(1977)で有名な
絵本作家の佐野洋子さんも「一行目を
読んで『あ、これは夢だ』と思った」
そうですし(上記文庫本の「解説」)、
また川上さん自身、内田百閒(ひゃっけん)
のファンであることを隠していません。

この百閒という人が漱石の弟子の一人で、
それもまさに『夢十夜』の世界を受け継ぎ、
発展させた作家と見られているんですね。

そこでこの『神様』も、『夢十夜』を
料理したのと同じ方法でさばいていけば
いいんじゃないか、とも思えます。

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🐻 催眠術をかけられた状態

そこで、『夢十夜』の場合と同様、
思い出してほしいのですが、
≪夢を見ている≫さなか、自由に頭を
働かせて「自分には…、自分なら…」
とか反省的に考えることなどまず
できませんね。

  犬と本Animal-Dog-s

それは言い換えると、意識に「自由」が
きかなくなっているということで、
いわゆる「催眠術」をかけられた
状態に似てるんですね。

ですから、「わたし」は「くまにさそわれ」
れば「散歩に出」ますし、別れ際に
「抱擁を交わしていただけますか」
と言われればためらいもなく
「承知」します。
 

『神様』のこういう進展に「初めの一行から
笑ってしま」い、「面白くて面白くて
やめられなかった」という佐野洋子さんは、
この作品を意義をこのように
まとめています。

夢が発生する場所にスタスタ平気で
行って、いつまでも遊んだり、
さっさと帰って来たりする
川上さんは、ペンで、私達に
自分の見ない夢を見せてくれて、
私は実に得した気分になる。
   (文庫本「解説」)

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     浦島と乙姫4
     川上さんには『龍宮』という作品集もありますね…


あなたの読書感想文もこの線で、乗りに
乗れて「面白かった」とか、「得した
気分になった」とかで行きましょうか。

これで押し切れそうなら、それでよいの
ですが、それではなんだか物足りない
という人もいるんじゃないかな?

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🐻 くまは怖くないのか

そういう人に試みてほしい方向は、
この小説の「面白く、楽しい」けれども、
どこか薄気味悪い、底の方に感知される
空恐ろしさ…
といった部分をなんとか
言葉にして、それについて思うことを書く、
という線です。


そもそも冒頭から2段落目で「くまは、
雄の成熟したくまで、だからとても大きい」
とされていて、「わたし」が女性だと
は明記されていませんが、「雄の成熟した」
とわざわざ言われるところを見ると、
「わたし」がこの「くま」に「性」を
意識していることははじめから明らかに
されているわけですね。

怖くないんでしょうか?

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怖さもある(と、私は思います)。

底のほうで恐れているにもかかわらず、
そういう場所に「スタスタ平気で行って」、
すべて「くま」の言うなりに行動して
しまう「わたし」は催眠術にかけられた
人が催眠術師の暗示のとおりに動いて
しまう
:*:・( ̄∀ ̄)・:*:のと本質的に
同じなんじゃないでしょうか。

これすなわち『夢十夜』で漱石が≪夢≫に
託して描こうとした、人間の行動と心理の
微妙で危うい関係であり、内田百閒が
受け継いで発展させた世界だと思うんです。

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🐻 くまの孤独について

感想文を「わたし」の側から書くとすれば、
ざっと以上のような着眼点があろうかと
思います。

では、これを「くま」の側から書くと
したら、どうでしょうか。


じつは作者の川上さん自身、そちら、
つまり「くま」の視点を強く
意識されているようなんです。


ご存知の方も多いでしょうが、川上さんは
2011年になって、同年の大震災に触発
されてこの『神様』の2011年ヴァージョン、
『神様2011』を発表されました。
 

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これが「震災後文学」として大いに
耳目を集め、国際的なシンポジウム
なども開催されました。


特にあなたが男子である場合、女性である
(らしい)「わたし」より「雄の成熟した
くま」の視点に立ったほうが考えやすい
ということもあるでしょう。

いちいちの行動において、「くま」は
いったい何を考えているんだろう。

彼が「孤独」だとしたら、いちいちの
考えは「孤独」とどう関係するのか…。

  Missing-You-s

そういったことを考えながら、
じっくりと読み直せば、よい感想文が
書けるのではないですか?


またキーワードを「孤独」に
限定する必要もありません。

本文に出てくる言葉にかぎっても
「配慮」「昔気質」「大時代」「理屈」
などがあり、そのほか、以下のような
特徴がみられます。
  • 名前がない
  • 「わたし」に気を使う
  • (子どもの暴行にも)怒らない
  • 体は(思ったより)冷たい
  • 「故郷の習慣」「熊の神様」を尊ぶ
      

これらのうち、どれか一つに首を
突っ込んで、自分にひきつけて
考えてみてはどうでしょう。

この≪夢≫では、なぜ「くま」が
そういうふうなのか。


考えてみると、これらはやはり現実に
生きている動物としての熊ではなくて、
現代日本人の頭の中に描かれる”イメージ”
としての「くま」なんですよね。

ではその”イメージ”は、いつどのように
形成されて日本人の頭に浸透して
いったのか。

そういう文化史的な考察から書いて
いけば、感想文も高度なレポートに
なっていくかもしれません。
👉川上さんも多分そうだと思いますが、
熊をかわいいと感じる女性はかなり
多いのではないでしょうか。

その心理が形成されていく歴史的
経過については、こちらの記事で
詳しく情報提供していますので、
ぜひご参照ください。

熊がかわいいのはなぜ?怖い猛獣にやさしく抱かれ…という心理の歴史

             


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🐻 まとめ

さあ、これだけの情報があればもう
バッチリですよね、読書感想文。


ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、でもやっぱり自信が…

だってもともと感想文の類が苦手で、
いくら頑張って書いても評価された
ためしがないし(😿)…
具体的に何をどう書けばいいのか
全然わからない( ̄ヘ ̄)…?


う~む。そういう人は発想を転換して
みるといいかもしれない;^^💦

そもそも日本全国で盛んに奨励されている
読書感想文の発祥の源は「コンクール」。

    

各学校の先生方の評価基準もおのずと
「コンクール」での審査に準拠する
形になっているのです。


だから、読書感想文の上手な人は
そのへんのことが(なんとなくでも)
わかっている人。

さて、あなたはどうなのかな?
👉「コンクール」での審査の基準を
知るには、実際に出品され大臣賞などを
受賞している感想文をじっくり読んで
分析してみるのがいちばんです。

こちらでやっていますので、
ぜひご覧ください。

読書感想文の書き方【入賞の秘訣4+1】文科大臣賞作などの分析から

セロ弾きのゴーシュで読書感想文!コンクール優秀賞作(小2)に学ぶ

                 

アルジャーノンに花束を の感想文例!市長賞受賞作【2000字】に学ぶ

    

そちらで解説している「書き方」を
踏まえて、当ブログでは多くの感想文例を
試作し提供してきましたが、このほど
それらの成果を書籍(新書)の形にまとめる
ことができましたので、ぜひこちらも
手に取ってご覧ください。
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買う前にその「予告編」が見たい
という人は、こちらでどうぞで。

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👉上記の本『読書感想文 虎の巻』は
当ブログで提供し続けてきた「あらすじ」
や「感想文」関連のお助け記事の
ほんの一部でして、載せきれていない
記事もまだまだ沢山あります。

気になる作品がありましたら、
こちらのリストから探して
みてください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧


ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/


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