インタビューウィズヴァンパイア⦅クローディアはなぜ殺された⦆感想・評価集
その人も吸血鬼になると
いうのは『ドラキュラ』
以来のお約束ですが、
『インタビュー・ウィズ
・ヴァンパイア』では
9歳のクローディアが
それをやられて…(🙀)
なんと5歳!
しかも体は小さいままで
知能は発達して凶悪化
していく(
![叫び](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/254.gif)
美女と相場が決まって
いたので、そのへんが
画期的ですよね;^^💦
なってからも善悪の葛藤
に悩むなど人間臭さを
残すことも新しい。
引きずられて一緒に
トムを殺しヨーロッパ
に新天地を求めますが、
パリで遭遇する別の
吸血鬼アルマンと恋仲に
なり(😻)…
母親代わりのように
なったマデリーンと
火の中で灰に(
![叫び](https://stat.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char2/254.gif)
二人はなぜ殺されなけ
ればならなかったの
でしょうか❓
問題もからんで日本人
にはわかりにくい点が
多々ありますね。
原作と、それから英語圏
での批評や一般人の
レビュー・評価を参照
しながら謎を解いて
いきましょう。
というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第232弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第319回)となる今回は、
トム・クルーズ、ブラッド・ピット
ほかの豪華キャストで話題を呼んだ
アメリカン文芸ホラー映画の傑作
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
(Interview with the Vampire,
ニール・ジョーダン監督,1994)
👇
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/1332532e.d498d691.1332532f.bce51158/?me_id=1213310&item_id=13628630&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fbook%2Fcabinet%2F4778%2F4988135804778.jpg%3F_ex%3D400x400&s=400x400&t=pict)
⦅広告⦆DVD:クリックすると楽天市場へ
について、そのBLないしLGBTQ的な傾向を
含めた人間臭さなど、吸血鬼映画としては
画期的と見られた部分への反応・評価を、
日本よりむしろ英語圏など海外での動向を
探りながら⦅クローディアはなぜ
殺されたのか?⦆etc.の謎に迫っていこう
というのが今回の趣旨。
映画自体をまだご覧でない方は、
まずはどんな世界かというあらましを
映画予告編でご覧ください。 👇
小説Interview with the Vampireですが、
日本語訳の題は『夜明けのヴァンパイア』。
👇
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/182b6782.278410f1.182b6783.88b9e926/?me_id=1249489&item_id=10429346&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Fcomicset%2Fcabinet%2F05192739%2Fbkdud6edat9d2lla.jpg%3F_ex%3D300x300&s=300x300&t=pict)
⦅広告⦆原作日本語訳:クリックすると楽天市場へ
原文も照合したい人はこちらの
電子ブックが安価に入手できます。
👇
![](https://hbb.afl.rakuten.co.jp/hgb/13636401.af670ccc.13636402.83d55af0/?me_id=1278256&item_id=12097934&pc=https%3A%2F%2Fthumbnail.image.rakuten.co.jp%2F%400_mall%2Frakutenkobo-ebooks%2Fcabinet%2F0342%2F2000000660342.jpg%3F_ex%3D300x300&s=300x300&t=pict)
⦅広告⦆原書:クリックすると楽天市場へ
そんなわけで、本日の内容は
ザッと以下のとおり。
クローディアはなぜ殺されたのか❓
まずはじめに、⦅クローディアはなぜ殺されたのか?⦆という疑問に、ズバリ
お答えすることから始めましょう。
これは実は原作を照合することで、
わりあい簡単に溶けてしまう謎なのです。
つまり彼女らを灰にしたあの火災は、
パリの「劇場のヴァンパイア」の首領、
アーマンド(原作小説ではフランス語読み
で「アルマン」)の指示によるもの。
それ以前の「この人形店を焼いてしまい
たい」というマデリーンの思いにしても、
アーマンドの影響力のもとに発生して
いるのです。
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2021/07/Interview-Vampire.-almand.gif)
要するに、複雑なストーリーをぐっと
つづめて言えば、アーマンドのルイ(ブラピ)
への強い愛にとって、クローディアは
邪魔者でしかなくなった…
ということではないしょうか。
つまるところアメリカでレスタト(トム・
クルーズ)が占めていた位置にヨーロッパ
ではアーマンドが居座ってしまうわけで、
ブラピは結局、自由になれないという
悲劇的なストーリーになっている
わけですね。
IMDbレビューでの評価、”褒貶比”は?
さてこの大ヒット話題作にして問題作『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』。
日本での評価や英米の有名映画評論家たちの
批評は他のサイトでいくらでもご覧になれ
ますので、ここでは英語圏最大の映画
オンライン・データベースIMDbに入り
こんで、上記の問題にもからむ諸々の批評・
感想を述べた一般の映画ファンの声を
探ってみようと思います。
このサイトの”Top Rated Movies”
(会員の10段階評価の集計による歴史上
全映画作品のランキング)に入って、
この映画の評価の平均を見てみますと、
「☆7.5個」で、これ実は「ベスト250」
にランク入りしていません。
250位には「☆8.0個」の作品が並んでいて
参考までに、それより上にランクインして
いる日本映画を挙げておきますと、19位の
『七人の侍』を筆頭に『千と千尋の神隠し』
『切腹』『君の名は。』『もののけ姫』
『生きる』『乱』『用心棒』『羅生門』
『ハウルの動く城』『となりのトトロ』
『デルス・ウザーラ』『東京物語』と
続いています。
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2018/12/haku-chihiro-e1545443879970.jpg)
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2018/06/rashomon3-212x300.jpg)
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2014/10/tokyo-story-e1590536182677-283x300.jpg)
う~む。やはり黒澤明と宮崎駿が
圧倒的ですな…
それはともかく、そのような次第で、
『インタビュー…』評価の平均値は
決してトップレベルではありません。
ただ、このサイトでの集計をもとに私が
独自に割り出している褒貶比(ほうへんひ
──☆10個をつけた高評価と☆1個だけの
低評価との比率──)でいいますと、これが
「37,433(12.0%):2,422(0.8%)」で
概数にすると「15:1」になります。
(👉 IMDb 2022.02.02閲覧)
この比率はかなり高いもので、これまで私が
調べてきたかぎりでは『グリーンブック』
(2018)の「33:1」に次ぐ堂々の第2位。
『ファイト・クラブ』(1999)の「13.5:1」
『ジョーカー』(2019)の「11.5:1」、
『インセプション』(2010)の「7:1」
などをはるかに上回っています。
つまり、一般の映画ファンによる評価は
非常に高いと言えるのですね。
![Scientists](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2015/09/Scientists-300x200.png)
そのレビューを見ていきますと、俳優陣
──トム・クルーズ、ブラッド・ピット、
そして子役(クローディア)のキルステン
・ダンストら──の美貌や演技にうっとり
したという程度のものが多々あるとはいえ、
決してそういうものばかりではありません。
内容に深く切り込んだ、専門家顔負けの
分析的な批評も少なくありませんので、
以下にそのごく一部を紹介・訳出して
いこうと思うんです。
👉『グリーンブック』をはじめ、上に
列挙しました話題作をめぐっては、
こちらで詳しく情報提供しています。
ぜひご参照ください。
・グリーンブック(映画) “おばさん”の英語と意味は?【あらすじと解説】
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2020/07/green-book-4-scenes.gif)
・ファイトクラブ ラストでなぜ死なない?海外での評価・メッセージは?
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2020/07/fight-club-2-300x169.jpg)
・ジョーカー(映画)の妄想はどこまでで現実は…?あらすじを押さえて考察
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2020/05/joker.png)
・インセプション(映画)の評価!海外でも絶賛だけ?不評のポイントは?
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2020/06/paprika-inception-200x300.jpg)
ゲイ❔と幼女の吸血鬼一家
厳しい評価の方から入っていきますと、たとえば2003年投稿の「budmassey5」
さんの☆3個のレビューは、アン・ライスの
原作にある「退廃的な吸血鬼の同性愛的
側面」を軽く扱ったために作品が弱く
なったという見方です。
そのせいでトムとブラピはただ華麗に
着飾っただけの、お定まりの吸血鬼の域を
出ないものになってしまったとしながら、
それでもキルステン・ダンストの演じた
クローデイアには目を見張らされた
と評価しています。
身体の成長は不可能なまま
度の人間より賢く成熟した
女になっていくこの若い
吸血鬼がもしいなかったら、
この映画には何も残らない。
トムやブラピが目当てで観た人には
許しがたい暴論に聞こえるでしょうが、
これに近い見方を示したレビューは
決して少なくありません。
成長を止めていながら、髪は切っても
切ってもじきにフサフサに戻るという現象
(これ、原作にはない)の不思議さ、怖さ
というのも、他のいくつかのレビューで
評価されている”ホラー”な部分。
これすなわち彼女が生きているようで
いて実は生きていない──吸血された時点
で「生」がストップしている──ことの
逆説的な証明でもあるんでしょうね。
👉映画をまだ観ていない(あるいは
観たけど忘れてしまった)ので、話がよく
わからないという人は、こちらの記事で
ストーリーを確認してください。
・インタビューウィズヴァンパイア 原作との違い【ネタバレ】最後に噛むのは?
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2021/07/Interview-Vampire.-woman-sucked.gif)
人種差別むき出し❔
否定的な評価をもう一つ。☆1個のレビューのうち最も新しい、
2022年1月投稿の「lambviathan7」さん
による「レイシズム(人種差別)」と題した
レビューは、人種差別を隠そうともしない
この映画には「言葉もない」として、
こう指摘しています。
〔トムとブラピの〕両者は
ともにプランテーションの所有者で
繰り返し黒人女性を搾取している。
奴隷を使って邸を焼いてしまう
のも所有者の癇癪からにすぎない。
私はこの映画を何度も観ているが、
精神的混乱なしにはほとんど
観通すことができない。
この映画を楽しめる人は誰でも
セラピーを受ける必要がある。
このあたりも、日本人が気づきにくい
ポイントなのでしょうね。
セラピーが必要だとまでいうのは、
アメリカ人の人種感覚も1994年からの
四半世紀で大きく変わってしまったことを
よく示しているわけですが、これでも公開
当時には、同性愛などLGBTQ関係の表現の
大胆さに驚き、原作が1976年刊行だと
知ってはその先駆性に驚愕するような
レビューもあったほどなのですね。
いや~、時代は変わるものですな~;^^💦
誘惑と罪の映画
これらの批判的なレビューについては、公開から20年以上を経ることで、社会の
変容とともに人々の批評眼も厳しい方向へと
変化して来たことを考慮すべきでしょう。
悪評もあるにせよ、『インタビュー・
ウィズ・ヴァンパイア』が吸血鬼映画の
歴史を変えた画期的作品であったことに
違いはなく、その後の吸血鬼映画の
ほぼすべてに影響を与えていることは
否定できないのです。
そこで、今度はその新しさを積極的に
評価した☆10個のレビューを2つばかり
拾い上げてみましょう。
いずれも公開からそう年月を経ない
1999年の投稿です。
まず「これは誘惑と罪の映画だ」
と題した「Zorro-322」さんから。
この映画があまり好かれないのは、
ホラーファンにとってはドライで
頭脳的すぎ、考えさせる映画の
好きな人にとってはホラーすぎる
からだろうが、私はこの両側面が
しっかり噛み合った独創的な
作品だと思う。
〔中略〕
アン・ライスの吸血鬼は人間一般の
象徴なのであって、ルイ(ブラピ)は
吸血鬼であることを憎みながら
そうであり続けている、悔恨する
罪人なのだ。
つまりルイは自殺を試みながらレスタト
(トム)に愛されることで死なない存在に
なったものの、他の吸血鬼と違い、
良心のような人間的な感受性を多く
残してしまっている…。
普通の人間にも共有される苦悩が
表現されているからこその感動だと
いうのですね。
永久に死なないとしたら❔
そのような次第で、この映画が原作から受けついで見事に映像化した吸血鬼映画
としての新しさとしては、同性愛・
幼児性愛などのBL的倒錯というか
LGBTQ的な部分と、もう一つ
《吸血鬼を一個の人間として内面から
その苦悩を描く》という部分が
指摘できます。
後者への感動を隠さない「Shahram-226」
さんは「非常に論理的で現実的な吸血鬼
映画」と題する投稿(1999)で、彼らの
ように「永久に生きる」ことを想像
できるかと問いかけています。
この映画、また同様にスリリングな
アン・ライスの小説では、
吸血鬼は憎悪と悪の血に飢えた
存在としてではなく、人間または
動物として筋の通った感情と渇望を
もつ生き物として提示されている。
登場する吸血鬼のいかに多くが
永遠の生に飽き飽きして自殺に
言及するかも、そのことを示す
一つの例証となるだろう。
不評のレビューのうちは「スローテンポ」
だとか、後半がありえなさすぎて面白く
ないとかの意見も少なくないのですが、
そうは感じなかったという人の何割かは
ジワジワと伝わってくり、この「永久に
生きる」ことの恐ろしさにゾッとする気分を
味わわされていたのではないでしょうか。
まとめ
さて、紹介したい面白いレビューはまだまだたくさんあって、英語圏の映画ファンの
レベルの高さを感じてしまう(逆に言うと、
日本のファンは少なくともネットで見る
かぎり……😿)のですが、とりあえず
これぐらいにとどめ、ご要望があれば、
続報も検討したいと思います。
ともかく上記の毀誉褒貶様々のレビューは
ホラーとしても文芸映画としてもなかなか
深い『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
の解釈や考察に悩んでいた人には、よい
ヒントまたは参考ポイントを与えてくれた
のではないでしょうか。
誰かさんにちょいと知ったかぶりをして
やろうかという場合も、あるいは感想文や
レポートを書こうかという場合も
これで鬼(👹)に…
というか吸血鬼(👄)に金棒でしょう!
さっさとやっつけちゃってくださいね。
👉そういう場合、参考になる文学や
映画としては吸血鬼文学・映画の元祖
といえる『ドラキュラ』を筆頭に、
『エクソシスト』『オーメン』
『ローズマリーの赤ちゃん』、
そしてブラピ主演の『セブン』も
挙げられるかもしれません。
これらの作品についてはこちらで詳しく
情報提供していますので、ぜひご参照を。
・ドラキュラのあらすじ【簡単&詳しく】原作小説と日本の意外なつながり
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2016/09/nosferatu_pn-300x199.jpg)
・オーメンの怖い意味(666)!映画・小説のあらすじ【ネタバレあり】
・エクソシスト(映画)のサブリミナル画像とは?原作照合で徹底ネタバレ!
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2017/11/exorcist-gif1.gif)
・ローズマリーの赤ちゃんのネタバレ 戦慄の結末は原作でしか読めない!
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2017/07/rosemarys-baby.jpg)
・セブン(映画) ラストのサブリミナル画像と簡単なあらすじ【ネタバレ】
![](https://rhinoos.xyz/wp-content/uploads/2021/01/seven-final.gif)
ん? 書けそうなことは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、ぜひこちらを
ご覧くださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の
文学や映画の作品について
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
こんなコメントが来ています