インタビューウィズヴァンパイア⦅クローディアはなぜ殺された⦆感想・評価集
その人も吸血鬼になると
いうのは『ドラキュラ』
以来のお約束ですが、
『インタビュー・ウィズ
・ヴァンパイア』では
9歳のクローディアが
それをやられて…(🙀)
なんと5歳!
しかも体は小さいままで
知能は発達して凶悪化
していく(
美女と相場が決まって
いたので、そのへんが
画期的ですよね;^^💦
なってからも善悪の葛藤
に悩むなど人間臭さを
残すことも新しい。
引きずられて一緒に
トムを殺しヨーロッパ
に新天地を求めますが、
パリで遭遇する別の
吸血鬼アルマンと恋仲に
なり(😻)…
母親代わりのように
なったマデリーンと
火の中で灰に(
二人はなぜ殺されなけ
ればならなかったの
でしょうか❓
問題もからんで日本人
にはわかりにくい点が
多々ありますね。
原作と、それから英語圏
での批評や一般人の
レビュー・評価を参照
しながら謎を解いて
いきましょう。
というわけでおなじみ”あらすじ暴露”
サービスの第232弾(“感想文の書き方”
シリーズとしては第319回)となる今回は、
トム・クルーズ、ブラッド・ピット
ほかの豪華キャストで話題を呼んだ
アメリカン文芸ホラー映画の傑作
『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
(Interview with the Vampire,
ニール・ジョーダン監督,1994)
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について、そのBLないしLGBTQ的な傾向を
含めた人間臭さなど、吸血鬼映画としては
画期的と見られた部分への反応・評価を、
日本よりむしろ英語圏など海外での動向を
探りながら⦅クローディアはなぜ
殺されたのか?⦆etc.の謎に迫っていこう
というのが今回の趣旨。
映画自体をまだご覧でない方は、
まずはどんな世界かというあらましを
映画予告編でご覧ください。 👇
小説Interview with the Vampireですが、
日本語訳の題は『夜明けのヴァンパイア』。
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原文も照合したい人はこちらの
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そんなわけで、本日の内容は
ザッと以下のとおり。
クローディアはなぜ殺されたのか❓
まずはじめに、⦅クローディアはなぜ殺されたのか?⦆という疑問に、ズバリ
お答えすることから始めましょう。
これは実は原作を照合することで、
わりあい簡単に溶けてしまう謎なのです。
つまり彼女らを灰にしたあの火災は、
パリの「劇場のヴァンパイア」の首領、
アーマンド(原作小説ではフランス語読み
で「アルマン」)の指示によるもの。
それ以前の「この人形店を焼いてしまい
たい」というマデリーンの思いにしても、
アーマンドの影響力のもとに発生して
いるのです。
要するに、複雑なストーリーをぐっと
つづめて言えば、アーマンドのルイ(ブラピ)
への強い愛にとって、クローディアは
邪魔者でしかなくなった…
ということではないしょうか。
つまるところアメリカでレスタト(トム・
クルーズ)が占めていた位置にヨーロッパ
ではアーマンドが居座ってしまうわけで、
ブラピは結局、自由になれないという
悲劇的なストーリーになっている
わけですね。
IMDbレビューでの評価、”褒貶比”は?
さてこの大ヒット話題作にして問題作『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』。
日本での評価や英米の有名映画評論家たちの
批評は他のサイトでいくらでもご覧になれ
ますので、ここでは英語圏最大の映画
オンライン・データベースIMDbに入り
こんで、上記の問題にもからむ諸々の批評・
感想を述べた一般の映画ファンの声を
探ってみようと思います。
このサイトの”Top Rated Movies”
(会員の10段階評価の集計による歴史上
全映画作品のランキング)に入って、
この映画の評価の平均を見てみますと、
「☆7.5個」で、これ実は「ベスト250」
にランク入りしていません。
250位には「☆8.0個」の作品が並んでいて
参考までに、それより上にランクインして
いる日本映画を挙げておきますと、19位の
『七人の侍』を筆頭に『千と千尋の神隠し』
『切腹』『君の名は。』『もののけ姫』
『生きる』『乱』『用心棒』『羅生門』
『ハウルの動く城』『となりのトトロ』
『デルス・ウザーラ』『東京物語』と
続いています。
う~む。やはり黒澤明と宮崎駿が
圧倒的ですな…
それはともかく、そのような次第で、
『インタビュー…』評価の平均値は
決してトップレベルではありません。
ただ、このサイトでの集計をもとに私が
独自に割り出している褒貶比(ほうへんひ
──☆10個をつけた高評価と☆1個だけの
低評価との比率──)でいいますと、これが
「37,433(12.0%):2,422(0.8%)」で
概数にすると「15:1」になります。
(👉 IMDb 2022.02.02閲覧)
この比率はかなり高いもので、これまで私が
調べてきたかぎりでは『グリーンブック』
(2018)の「33:1」に次ぐ堂々の第2位。
『ファイト・クラブ』(1999)の「13.5:1」
『ジョーカー』(2019)の「11.5:1」、
『インセプション』(2010)の「7:1」
などをはるかに上回っています。
つまり、一般の映画ファンによる評価は
非常に高いと言えるのですね。
そのレビューを見ていきますと、俳優陣
──トム・クルーズ、ブラッド・ピット、
そして子役(クローディア)のキルステン
・ダンストら──の美貌や演技にうっとり
したという程度のものが多々あるとはいえ、
決してそういうものばかりではありません。
内容に深く切り込んだ、専門家顔負けの
分析的な批評も少なくありませんので、
以下にそのごく一部を紹介・訳出して
いこうと思うんです。
👉『グリーンブック』をはじめ、上に
列挙しました話題作をめぐっては、
こちらで詳しく情報提供しています。
ぜひご参照ください。
・グリーンブック(映画) “おばさん”の英語と意味は?【あらすじと解説】
・ファイトクラブ ラストでなぜ死なない?海外での評価・メッセージは?
・ジョーカー(映画)の妄想はどこまでで現実は…?あらすじを押さえて考察
・インセプション(映画)の評価!海外でも絶賛だけ?不評のポイントは?
ゲイ❔と幼女の吸血鬼一家
厳しい評価の方から入っていきますと、たとえば2003年投稿の「budmassey5」
さんの☆3個のレビューは、アン・ライスの
原作にある「退廃的な吸血鬼の同性愛的
側面」を軽く扱ったために作品が弱く
なったという見方です。
そのせいでトムとブラピはただ華麗に
着飾っただけの、お定まりの吸血鬼の域を
出ないものになってしまったとしながら、
それでもキルステン・ダンストの演じた
クローデイアには目を見張らされた
と評価しています。
身体の成長は不可能なまま
度の人間より賢く成熟した
女になっていくこの若い
吸血鬼がもしいなかったら、
この映画には何も残らない。
トムやブラピが目当てで観た人には
許しがたい暴論に聞こえるでしょうが、
これに近い見方を示したレビューは
決して少なくありません。
成長を止めていながら、髪は切っても
切ってもじきにフサフサに戻るという現象
(これ、原作にはない)の不思議さ、怖さ
というのも、他のいくつかのレビューで
評価されている”ホラー”な部分。
これすなわち彼女が生きているようで
いて実は生きていない──吸血された時点
で「生」がストップしている──ことの
逆説的な証明でもあるんでしょうね。
👉映画をまだ観ていない(あるいは
観たけど忘れてしまった)ので、話がよく
わからないという人は、こちらの記事で
ストーリーを確認してください。
・インタビューウィズヴァンパイア 原作との違い【ネタバレ】最後に噛むのは?
人種差別むき出し❔
否定的な評価をもう一つ。☆1個のレビューのうち最も新しい、
2022年1月投稿の「lambviathan7」さん
による「レイシズム(人種差別)」と題した
レビューは、人種差別を隠そうともしない
この映画には「言葉もない」として、
こう指摘しています。
〔トムとブラピの〕両者は
ともにプランテーションの所有者で
繰り返し黒人女性を搾取している。
奴隷を使って邸を焼いてしまう
のも所有者の癇癪からにすぎない。
私はこの映画を何度も観ているが、
精神的混乱なしにはほとんど
観通すことができない。
この映画を楽しめる人は誰でも
セラピーを受ける必要がある。
このあたりも、日本人が気づきにくい
ポイントなのでしょうね。
セラピーが必要だとまでいうのは、
アメリカ人の人種感覚も1994年からの
四半世紀で大きく変わってしまったことを
よく示しているわけですが、これでも公開
当時には、同性愛などLGBTQ関係の表現の
大胆さに驚き、原作が1976年刊行だと
知ってはその先駆性に驚愕するような
レビューもあったほどなのですね。
いや~、時代は変わるものですな~;^^💦
誘惑と罪の映画
これらの批判的なレビューについては、公開から20年以上を経ることで、社会の
変容とともに人々の批評眼も厳しい方向へと
変化して来たことを考慮すべきでしょう。
悪評もあるにせよ、『インタビュー・
ウィズ・ヴァンパイア』が吸血鬼映画の
歴史を変えた画期的作品であったことに
違いはなく、その後の吸血鬼映画の
ほぼすべてに影響を与えていることは
否定できないのです。
そこで、今度はその新しさを積極的に
評価した☆10個のレビューを2つばかり
拾い上げてみましょう。
いずれも公開からそう年月を経ない
1999年の投稿です。
まず「これは誘惑と罪の映画だ」
と題した「Zorro-322」さんから。
この映画があまり好かれないのは、
ホラーファンにとってはドライで
頭脳的すぎ、考えさせる映画の
好きな人にとってはホラーすぎる
からだろうが、私はこの両側面が
しっかり噛み合った独創的な
作品だと思う。
〔中略〕
アン・ライスの吸血鬼は人間一般の
象徴なのであって、ルイ(ブラピ)は
吸血鬼であることを憎みながら
そうであり続けている、悔恨する
罪人なのだ。
つまりルイは自殺を試みながらレスタト
(トム)に愛されることで死なない存在に
なったものの、他の吸血鬼と違い、
良心のような人間的な感受性を多く
残してしまっている…。
普通の人間にも共有される苦悩が
表現されているからこその感動だと
いうのですね。
永久に死なないとしたら❔
そのような次第で、この映画が原作から受けついで見事に映像化した吸血鬼映画
としての新しさとしては、同性愛・
幼児性愛などのBL的倒錯というか
LGBTQ的な部分と、もう一つ
《吸血鬼を一個の人間として内面から
その苦悩を描く》という部分が
指摘できます。
後者への感動を隠さない「Shahram-226」
さんは「非常に論理的で現実的な吸血鬼
映画」と題する投稿(1999)で、彼らの
ように「永久に生きる」ことを想像
できるかと問いかけています。
この映画、また同様にスリリングな
アン・ライスの小説では、
吸血鬼は憎悪と悪の血に飢えた
存在としてではなく、人間または
動物として筋の通った感情と渇望を
もつ生き物として提示されている。
登場する吸血鬼のいかに多くが
永遠の生に飽き飽きして自殺に
言及するかも、そのことを示す
一つの例証となるだろう。
不評のレビューのうちは「スローテンポ」
だとか、後半がありえなさすぎて面白く
ないとかの意見も少なくないのですが、
そうは感じなかったという人の何割かは
ジワジワと伝わってくり、この「永久に
生きる」ことの恐ろしさにゾッとする気分を
味わわされていたのではないでしょうか。
まとめ
さて、紹介したい面白いレビューはまだまだたくさんあって、英語圏の映画ファンの
レベルの高さを感じてしまう(逆に言うと、
日本のファンは少なくともネットで見る
かぎり……😿)のですが、とりあえず
これぐらいにとどめ、ご要望があれば、
続報も検討したいと思います。
ともかく上記の毀誉褒貶様々のレビューは
ホラーとしても文芸映画としてもなかなか
深い『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』
の解釈や考察に悩んでいた人には、よい
ヒントまたは参考ポイントを与えてくれた
のではないでしょうか。
誰かさんにちょいと知ったかぶりをして
やろうかという場合も、あるいは感想文や
レポートを書こうかという場合も
これで鬼(👹)に…
というか吸血鬼(👄)に金棒でしょう!
さっさとやっつけちゃってくださいね。
👉そういう場合、参考になる文学や
映画としては吸血鬼文学・映画の元祖
といえる『ドラキュラ』を筆頭に、
『エクソシスト』『オーメン』
『ローズマリーの赤ちゃん』、
そしてブラピ主演の『セブン』も
挙げられるかもしれません。
これらの作品についてはこちらで詳しく
情報提供していますので、ぜひご参照を。
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ん? 書けそうなことは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、ぜひこちらを
ご覧くださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の
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「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
こちらのリストからお探しください。
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