ドラキュラのあらすじ【簡単&詳しく】原作小説と日本の意外なつながり | 笑いと文学的感性で起死回生を!@サイ象

ドラキュラのあらすじ【簡単&詳しく】原作小説と日本の意外なつながり

やあやあサイ象です。

おなじみ「あらすじ」暴露サービスも
ついに大台を超えて今回でなんと
113弾((((((ノ゚🐽゚)ノ

「感想文の書き方」シリーズ全体では
172回となります。

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今回のご案内はなんと吸血鬼
(ヴァンパイア)の世界。

心臓の弱い方は絶対にお読みにならない
よう、あらかじめお断り申し上げます。



さて吸血鬼(ヴァンパイア)といえば、
まず思い浮かぶのがこの人。

はい、ドラキュラ伯爵(((((叫び
コワい、コワい、コワいですね~
(淀川長治風に…といっても若い人には
通じにくいでしょうが;^^💦)。


さてこの伯爵、そもそもどこから出て
いらっしゃったかと申しますと、イギリス
の作家、ブラム・スト-カーの長編小説
『吸血鬼ドラキュラ』(Dracula, 1897)。
   👇



数知れず映画化されてきたこの小説、
“吸血鬼小説”の元祖…とはいえないにせよ、
巨大な金字塔として燦然と輝いて
いるわけですね。

というわけで、本日はこのかなり長い
原作小説(500ページ以上)のあらすじを
上記の翻訳に拠りながらしっかり
紹介して参ります。


ところで一口に「あらすじ」と言っても、
話の骨子だけでいいという場合から、
読書感想文などのためにある程度詳しく…
という場合まで、千差万別でしょう。

そこで出血大サービス((((((ノ゚👄ノ゚)ノ

「ごく簡単なあらすじ」と徹底的
ネタバレありの「詳しいあらすじ」!

2ヴァージョンを用意しましたよ~(^^)у


👄 ごく簡単なあらすじ(要約)

まずはぎゅっと要約した「ごく簡単」
ヴァージョンのあらすじ。

弁理士ジョナサンは、ロンドンに屋敷を
購入するというドラキュラ伯爵との
交渉のため東欧の彼の城まで出向くが、
監禁される。

ロンドンへ来たドラキュラはジョナサン
の婚約者ミナとその親友ルーシーらを
吸血し、「不死者」の増殖を図る。

 

精神病院長セワードらルーシーの
求婚者たちは団結し、精神病理学の
権威ヘルシング教授や、脱出・帰国した
ジョナサンの協力でドラキュラを撃退。

さらに東欧の城までドラキュラを
追い詰め、完全に死滅させる。

え? これじゃ全然わからん?
ていうか、それぐらいなら知ってる?…

ハハハ、そうですか;^^💦

でしたら、近年のドラキュラ映画の最高作、
フランシス・フォード・コッポラ監督、
ゲイリー・オールドマン、アンソニー・
ホプキンス共演の『ドラキュラ』
(Bram Stoker’s Dracula,1992)を
チラ見していただきましょうか。


ん? これでもわからん?

ハハハ、そうでしょうね;^^💦

ほんのサワリだけですし、原作に忠実
という触れ込みの映画で、原題は
「ブラム・ストーカーのドラキュラ」
と銘打ったほどですが、それでも
やはりだいぶ変えているんですよね。


どこが違うかって?

それを知るには、やはり下記の
「かなり詳しいあらすじ」を読んで
いただくしかないんですね。

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👄 かなり詳しいあらすじ

Ⅰ~ⅩⅩⅦ(27)の全27章から成って
いますが、ここではこれを私の判断で
「起承転結」の4部に分けています。

もちろんネタバレありですので、結末
(というか…どう終わるか)を知りたくない
人は絶対に読まないようにしてください。

では、参りましょう。

「  」内は上記”創元推理文庫”の
平井呈一訳からの引用です。


【起】(Ⅰ~Ⅳ:ジョナサン・ハーカーの日記)

弁理士(事務弁護士のような仕事)の私
(ジョナサン)は、ロンドンに屋敷を購入
したいというドラキュラ伯爵との交渉の
ためトンラシルヴァニア(現ルーマニア)
山中の古城まで長旅する。

城近くの住民は私の行く先を聞くと
止めようとし、宿のおかみは十字架を
首にかけてくれた。

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怪力の馭者、青い光、狼の群れなど
薄気味悪いものに出会いながら
到着した城では、全身黒ずくめで
痩せて長身、白ひげを垂らした
老人に出迎えられる。

「わしがドラキュラじゃ」と名のった
伯爵の唇は毒々しい赤、その端からは
尖った白い犬歯が出ており、息は
なまぐさくて吐き気を催した。


鏡のどこにもない城で食事は一人でとり、
伯爵と英語で話す3日ほどがすぎた
ある明け方、持参の小鏡でヒゲ剃りを
始めると、「おはよう」と伯爵が
肩に手をやる。

その鏡に伯爵の姿が映っていないことに
驚いて手が滑り、頬から出血すると、
伯爵が目を悪魔のように光らせて私の
のど笛に飛びかかる。

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身を引いた拍子に手が首の十字架に
ふれると、伯爵はとたんにケロリ。

「手当を」と言いながら、怪力で窓を
こじ開けて、鏡を外へ投げ捨てた。


やがて囚われの身であることに気づいた
私は、脱出方法を探索しながら2ヶ月
近くをすごす。

ある日ついに納骨所の木箱の一つに
伯爵が死んだように横たわって
いるのを発見。

2日後にまた行ってみると、若々しく
膨らんだ伯爵の口のまわりが血だらけ。


この怪物をロンドンに行かすわけには
いかんと、そこにあったシャベルを
振り上げて、顔面に一撃。

パクリと割れた額から血をドクドクと
吹き出しながら伯爵はニタリと笑った。


魔女のような3人の怪女も現れて彼を
苦しめ、どうすればこの呪われた
土地から脱出できるのかと
ジョナサンは思案する……

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【承】(Ⅴ~ⅩⅢ:ロンドンの
人々の手紙や手記で構成)

ロンドンでは、ジョナサンからの連絡が
途絶え、婚約者のミナが気をもむ。

ミナの友達のルーシーは、3人の男性から
求婚され、ついにアーサー・ホルムウッド
(ゴダルミング卿)を選んで
幸福の絶頂にいた。

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ところが、近ごろ奇怪な夢遊病にかかり、
夜中に外を歩き回りながら、朝になると
そのことに記憶がなく、体は衰弱。


ルーシーの求婚者の一人でもあった
精神病院の院長、ドクター・セワードが
診察するものの、一向によくならず、
アムステルダムの恩師、ヴァン・
ヘルシング教授に救援を依頼する。

ただちに駆けつけたヘルシング教授が
ルーシーの体に血液が足りないと診て
輸血の手配をすると、ルーシーの首もとに
ある点のような2つの穴を発見。


ヘルシング教授は、ルーシーにニンニクの
花輪を渡し、いつも身に着けている
ように指示するが、セワードには
その意図がわからない。

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 ニンニクの花


やがて、ロンドンでは怪事件が続発。

動物園からは狼が脱走し、その檻の
前にはドラキュラ伯爵そっくりの
「目の赤い男」が目撃されていた。

 


なぜかどんどん血がなくなっていく
ルーシーに、もう一人の求婚者だった
テキサスの大地主、キンシー・モリスも
駆けつけて輸血を申し出、彼女の体には
合計四人もの男の血が入った。

が、快方には向かわず、急にむき出しに
なってきた白い歯が尖りだす。


やがてルーシーは死んで葬られるが(ドクロ)、
死に顔には元気な時の美貌がもどり、
首の穴も消えている……

それはヘルシング教授が用意させた
多数の白いニンニクの花の効力に
よるものだった。


新聞は、人さらいの女に誘拐された
子供が首にかみ傷をつけて戻るという
怪事件の続発を報道している。

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【転】(ⅩⅣ~ⅩⅩⅢ:ロン
ドンの人々の手紙や
手記で構成)

ヘルシング教授の推理では、
人さらい事件も実はルーシーの所業で、
それはもとは夢遊中にドラキュラ伯爵に
吸血されたことに端を発するという。

またセワード院長の奇妙な精神病患者、
レンフィールドは蝿、蜘蛛、鳥などを
食べ、妙な説を唱え続けていたが、
この男もルーシーも伯爵の支配下に
あるのだと。


ジョナサン・ハーカーはなんとか城を
脱出して帰国し、ミナと結婚していたが、
ドラキュラ伯爵は彼女に目をつけ、
つけねらうようになる。

レンフィールドをあやつってセワードの
病院に潜入した伯爵は、何万匹もの
赤い目をしたネズミなどの魔物を使って
パニックを引き起こす。


ミナを捉えると首を噛み、さらには
自分の爪でであけた胸の傷口に彼女の
口を押しつけて血を飲ませる。

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ヘルシング教授の用意した「聖餅」
(特殊なウェファース状のもの)の
効力で伯爵は退散したらしい。


が、「汚されてしまった」と嘆く
ミナの額にその「聖餅」を当てると、
すさまじい悲鳴を上げる。

「聖餅」がジューッと肉に食い込んで
赤い痣(あざ)ができてしまった。

ミナの心にドラキュラが入り込んだ
ようで、彼女は「伯爵をもう追う
必要はない」などと彼の肩を
持つようになる。

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【結】(ⅩⅩⅣ~ⅩⅩⅦ:
旅行中およびドラキュラ城
での一行の手記で構成)

ドラキュラは退散して自分の城へ
帰ったらしい。

が、教授の話では、大都会へ出て自分と同じ
「不死者」(ドクロ:アンデッド、the undead)を
増殖させるのが彼の数世紀ごしの計画で、
これを放置すれば、ミナも死後は彼と
同じ「不死」の怪物になってしまう。

この事態を食い止めるには、自分らで
ドラキュラ城まで追撃して彼を撲滅する
しかないと、セワード、ゴダルミング卿、
キンシーとジョナサンで計画を練る。

ミナからは催眠術でドラキュラの思考を
引き出せるようになっていたので、
彼女も加えたグループで東へと出発。


吹雪の中、城へ着くと、かつてジョナサンに
迫った3人の魔女や「ジプシーの一隊」の
攻撃を受ける。

戦闘中、キンシーは深手を負うものの、
彼らを撃退して、ついに納骨所の
例の木箱に伯爵を発見。

  

ジョナサンの大刀が伯爵ののど元を貫き、
キンシーの匕首が胸に深く突き刺さると、
その体は粉々の塵となって、サラサラと
崩れ、影も形も見えなくなった。


最期の瞬間の伯爵の顔には、それまで
想像も及ばなかった「平和の色」が浮かぶ。

ミナの額からは痣が消え、深手を負っていた
キンシーもそれを見てにっこり笑って死ぬ。

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👄 コワいだけではない面白さ

さあ、いかがでした?

これでもう「なんでも来い」ですよね、
感想文だろうがレポートだろうが、
ドラキュラの末路をちゃんと知ってるぞ
という、たんなる自慢話だろうが…。


ともかく活用していただければいいん
ですが、興味をもたれた方は、
「あらすじ」で終わらず、ぜひ原作を
通読されることをお勧めします。

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理由の第一は、背筋も凍るようなホラー・
シーンはまだまだたくさんあって、とても
「あらすじ」では紹介しきれていないこと。

もう一つは、コワいところを別にして、
読んでいると色々と興味深いネタが
出てくることです。


新しいヴァンパイア映画のLGBTQ的開花

その一つはLGBTQ的な側面。

若く美しい女性のうなじに噛みついて
吸血するという基本的な発想自体が
すでに(古い差別語で言えば)”変態”的
であるわけですが、さらにドラキュラの
ジョナサン・ハーカーへの接近には
同性愛の匂いもぷんぷん漂います。

ストーカーの『ドラキュラ』を古典的な
幹として、そこから枝葉のように色々と
出てきた吸血鬼小説・映画にはやはり
こういう、ドキッとするテーマを発展
させたものが多いようです。

その極めつけがアン・ライスの『インタ
ビュー・ウィズ・ヴァンパイア』(1976。
邦訳題:夜明けのヴァンパイア)と
その映画化(1994。トム・クルーズ、
ブラッド・ピット主演)。

同性愛的関係にある二人のヴァンパイアが
「せいぜい五歳」の幼女を吸血して同類に
し、そのままの姿で”人形”のように愛する
という幼児愛的な倒錯の世界も絡んで
それはそれは怖く美しい世界を現出
させています。
👉この小説と映画をめぐっては、
こちらで詳しく情報提供しています。

ぜひご参照ください。

インタビューウィズヴァンパイア 原作との違い【ネタバレ】最後に噛むのは?

インタビューウィズヴァンパイア 海外の評価は?BL/人生論的側面を考察

      



催眠術と”新しい女”

『ドラキュラ』のもう一つの怖さとしては、
ニンニクの話題など嗅覚に訴える部分も
関連しますが、ミナからドラキュラの
思惑を引き出すために使われる催眠術を
もありますね。

催眠術の研究者として有名だったシャルコー
(フロイトも師事した)や、天才と狂気、
犯罪心理などの研究で名高いロンブローゾや
マックス・ノルダウなど、わが夏目漱石を
はじめ明治・大正期の日本人が勉強していた
学者たちの名前も出てくるんです。

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それから「詳しいあらすじ」の【承】
部分で、ミナとルーシーが、私たち
「新しい女」だと思われてしまうかも
しれないわね、と話す場面があります
(Ⅷ章)。

この「新しい女」(New Woman)というのも
当時の流行現象で、同性愛への目くばせも
微妙に含み、現代のLGBTとかBL(腐女子…)
とかにつながてゆくトピックなんですね。


日本ではやがて平塚らいてうらが
立ち上げる『青鞜』グループなどが
「新しい女」と呼ばれることにもなります。

そういえば、その「青鞜」という
ネーミングもイギリスである種の女性が
“Blue Stocking”と呼ばれたことから
来ているんですね。
👉平塚らいてうという女性の面白さに
ついてはこちらをご参照ください。

平塚らいてう塩原事件:才ある美人の不倫心中逃避行…なぜ?

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ともかく書かれた時代は1997年。
いわゆる”世紀末”の真っただ中ですね。

しかも所は七つの海を支配する大英帝国、
世界最先進の大都会ロンドンとそこから
はるか東に隔たる後進の山岳地帯…

というわけで、東西の格差、人種・民族の
優劣など現代なら危なくて書けない類の
問題もかなり露骨に出てきます。
👉同じような問題は、同時期の英国作品
『ジキル博士とハイド氏』などにも顕著です。

ぜひこちらをご参照あれ。

ジキルとハイドのあらすじ:スティーヴンソン原作を簡単に…

      

👉そして『ドラキュラ』と来れば
忘れてならないのが『フランケンシュタイン』。

でもこれ、『ドラキュラ』より80年も前に
うら若き19歳の乙女によって書かれて
いたんですね。

詳しくはこちらで。

フランケンシュタインのあらすじ 👻原作小説をネタバレありで

       



まとめ

さあ、これだけ情報提供すれば、
もうOKですよね。

感想文だろうが、レポートだろうが。

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ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?

そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な文学や
映画の作品について「あらすじ」や「感想文」
関連のお助け記事を量産しています。

参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。

「あらすじ」記事一覧

≪感想文の書き方≫具体例一覧

ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/



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