童話”赤い靴”はとても怖い話!原作のあらすじを簡単に⦅&詳しく⦆
いた靴が勝手に動いて
からだ全体も踊らずに
いられないという
楽しい童話ですよね。
その踊り、止めたくても
止まらないんですよ。
ですか(🙀)
でも脱いじゃえばいい
のでは?
脱げないんです。
でも童話だから、結局
何とかなる…(😹)
ます。
両足を切り落とす
ことで、やっと…。
救いようが…
と、けっこうややこしい
話なので、あらすじを
きちんと見直して
おきましょう。
というわけで、おなじみ”あらすじ暴露”
サービス第46弾(“感想文の書き方”
シリーズ第75回)は、アンデルセンの童話
『赤い靴』(1843)((((((ノ゚🐽゚)ノ
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もちろん数えきれないほどの絵本にも
アニメにもなり、ズバリ『赤い靴』と
題したバレエ映画にもなっていますし、
物語の大枠はご存じの方が多いでしょう。
映画『赤い靴』(1948年,イギリス)は
アカデミー賞(映画音楽賞・美術監督賞
・装置賞)を受賞した傑作で、マーティン
・スコセッシ監督の監修でカラー化も
されました。
そのバレエ部分だけをつないだ動画を
ご覧になるだけでもストーリーの
概略はつかめると思います。 👇
踊り疲れて倒れる(死ぬかどうかは…❓)
わけですが、原作の『赤い靴』はその
本筋は同じでも、時代が違いますし、
ヒロインはバレリーナではなくただの少女。
ただある縁から赤い靴に魅せられて
しまうことでとんでもない試練にあいます。
その試練とは?
映画の予告編でも後半(2分過ぎあたり)ご
ちらりと出ますが、靴を切り離すために
ついに刃物を…
そのあたりをよくご覧ください👀 👇
ショッキングな結末を迎えるのか…
現代の子供向け絵本やアニメなどでは
もちろんこういう怖い部分はカット
ないし大幅に変形されていますので、
原作通りと思ったら大間違いです。
この童話をしっかり味わうには原作に
忠実な翻訳を選ぶ必要があるのですね。
その一例。 👇
「赤い靴」も入ってます!
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ともかく入っていきましょう。
あらすじを「簡単に」と「かなり詳しく」
の2段階で紹介した上で、諸問題の考察や
読書感想文の考え方へと進んで参ります。
内容はザッと以下の通り。
- 簡単なあらすじ
- かなり詳しいあらすじ
- カレンはハンチントン病だったのか?
- キリスト教道徳のホラー・ストーリー?
【起】金持ちの奥様に拾われる
【承】勝手に踊る赤い靴
【転】両足を切り落とす
【結】神父さんの家で
簡単なあらすじ(要約)
それではまず「簡単なあらすじ」から。かなり長い童話ですが、ぎゅっと
ちぢめるとこうなります。
していた母親に死なれる。
赤い古切れで作った靴を穿いて
葬列を歩いているところを、
通りかかった裕福な奥様に
引き取られる。
赤いボロ靴を焼きすてさせた奥様は、
カレンを上流の娘と同じように育て、
カレンはみんなからまた鏡からも
「美しい」とほめられる。
あるとき外国の王女が穿いていた
美しい赤い革靴が気に入った
カレンは、奥様の目が悪いのを
いいことに、町の靴屋でそっくりの
赤い靴を見つけ、買ってもらう。
礼儀に反して教会に赤い靴を
穿いて行ったカレンは、みなの
非難の目👀を浴びる。
式が終わって帰る途中、カレンは
踊りの足を踏み出さずにいられなく
なり、足がひとりで、どんどん
踊り続けていってしまう(
御者がつかまえ、みんなで靴を
脱がせると、足はようやく止まる。
やがて奥様が病床に就き、カレンは
看病のため、その日、呼ばれていた
町の大舞踏会をあきらめることに。
が、見るだけなら悪くないと思い、
赤い靴を戸棚から出してみて、
それからつい穿いてしまうと、
靴が勝手に踊って外へ。
ところが、靴が進んでいったのは
舞踏会とは反対方向の暗い森の
なかだった。
脱ごうとしても脱げず、どこでまでも
踊りを止められないまま進んで行き、
墓地に入ると、天使から「骸骨(
なるまで踊っておれ」と言われる。
奥様の家から棺が運び出されるのを
見て後悔し、いばらや切株にあたって
血を流しながら踊りつづけると、
やがて首切り役人の家に着く。
すっかり罪をざんげしたカレンが
「赤い靴といっしょに足を切って」
と頼むと、役人は靴を穿いたままの
両足を切り落とす。
靴は小さな足を入れたまま、森の
奥深くへ踊って行ってしまう。
役人が作ってくれた木の義足をつけて
教会の入口へ行くと、赤い靴が
目の前で踊っている(
怖くなったカレンは神父の家へ行き、
無給の女中として家に入れてもらい、
よく働いて、子供にも好かれる。
日曜日、教会へ行こうと言われたのを
足のせいで断り、ひとり賛美歌の本を
読んでいると、オルガンの音(ね)や
子どもたちの合唱の声が響き、カレンの
たましいは神のもとへ召される。
う~ん? なんだかよくわからない…
あそこでなぜああなって、こうなるのか?
そうですよね。
やはり真剣に考えようとすると、
どうしても理解しきれないところが
出てきます。
そういう方には次の「かなり詳しい
あらすじ」の方へ進んでいただく
ことになるのですね。
かなり詳しいあらすじ
こちらはかなり長くなりますので、私の判断で「起承転結」の4部に
分けています。
以下の「あらすじ」でも作品からの引用
(「 」内および「”」印の白い囲み)は
楠山正雄訳を用います。
では、始まり始まり~。
👠【起】金持ちの奥様に拾われる
貧しい家で母親と二人ぐらしの可愛い女の子、カレンは夏ははだしで
冬は厚い木靴を穿いていました。
やがて母親が死に、葬式には、
村の靴屋のおかみさんが赤い古切れで
作ってくれた靴をはいて棺桶
(かんおけ)の後ろを歩きました。
そこを大馬車で通りかかった年寄りの
奥様が、カレンをあわれに思って
引き取ります。
幸運をもたらしたこの赤い靴を奥様は
焼き捨てさせ、代わりに上等の服を
着せたり、読み書きや裁縫を教えたり
してくれました。
人びとはカレンを可愛いといい、
鏡は「ほんとうにお美しくって
いらっしゃいます」といいました。
👠【承】勝手に踊る赤い靴
あるときこの国を訪問された外国の王女様がお召しの美しい赤い
モロッコ革の靴に、カレンは強く
ひきつけられました。
堅信礼(けんしんれい)をうける年頃に
なったカレンは、新しい靴をこしらえる
ために奥様と行った町の靴屋で、
王女様のとそっくりの靴を見つけます。
奥様は目が悪くて、それが赤いとは
気づかなかったため買ってやりました。
カレンはそれを穿いて堅信礼に
行きましたが、それは無作法な
ことなので注目されます。
堅信のあと、カレンの靴が赤かったと
聞いた奥さまは、これから教会へは、
かならず黒い靴で行くようカレンに
命じました。
ところが、聖餐式(せいさんしき)の
日、カレンは黒い靴と赤い靴を
見比べてから、赤い靴の方をはいて
出かけてしまいます。
教会の戸口のところで、松葉杖(まつば
づえ)をついて赤みがかった長い
白ひげをはやした年よりの兵士が
靴のほこりを払うというので足を出すと、
「きれいなダンス靴」だ、「踊るとき、
ぴったりと足についていますように」
と靴底を手でビタビタ叩きました。
教会に入ると、堂内の像までがいっせいに
カレンの赤い靴に目をつけました。
カレンは式のあいだも自分の靴のこと
ばかり考えてお祈りも忘れていましが、
馬車に乗ろうとすると、例の老兵が
「きれいなダンス靴ですわい」と
またいいました。
と、カレンは踊りの足を踏み出さずに
はいられず、足がひとりで、どんどん
踊り続けていきます。
御者がつかまえ、みんなで靴を
脱がせると、足はようやく
止まりました。
そのうち奥様が重い病気にかかり、
カレンがそばでお世話しなければ
ならなくなったのですが、でもその日、
カレンは町の大舞踏会に呼ばれていました。
赤い靴を眺めるだけなら悪くない
だろうと、カレンは戸棚から出して
眺めます。
そして今度は、穿くだけなら悪くない
と考えて、穿いてみたのですが、
すると、もうカレンは舞踏会に
向かって踊りださずには
いられません((((((ノ゚⊿゚)ノ💃💃💃
👠【転】両足を切り落とす
ところが靴はカレンが行こうとするのと反対の方へと踊っていき、
町の外へ出て暗い森のなかへ
ずんずん入ってしまいます。
木立(こだち)の間に光って見えて
きたのは、赤いひげの老兵でした。
「きれいなダンス靴ですわい」
というので、カレンはびっくりして
靴を脱ぎ捨てようとしますが、足に
くっついていて離れません。
それからカレンは畑だろうが原っぱ
だろうが、雨の日も照る日も昼も夜も
踊って踊って踊り続けなければ
なりませんでした。
ある夜、がらんとした墓地に踊りながら
入り、教会の入口のほうへ進むと、
天使がそこに立っています。
白い長い着物を着て肩から大きな翼を
はやし、手には光る剣を持ち、
いかめしい顔で「いつまでも踊らなく
てはならぬ」といいます。
「骸骨(がいこつ)になって
しまうまで踊っておれ()。
お前は高慢な、威張った子どもらが
住んでいる家を一軒、一軒と踊り
回らねばならん。
それは子どもらがお前のいる
ことを知って、気味わるがる
ように、お前はその家の戸を
叩かなくてはならないのだ。」
「かんにんして」とさけぶ間に靴は
どんどん畑の方へ動き出し、カレンには
天使の返事が聞こえませんでした。
ある朝、踊りながら、奥様の家から
棺が運び出されるのを見て、カレンは
可愛がってくれた奥様の死を知り、
自分がみんなから捨てられ、神の呪いを
受けていると思いましたが、それでも
踊っていなければなりません。
いばらや切株にあたって血を流し、
荒れ野を横ぎって小さな一軒家へ
踊っていきましたが、その家には
「斧で悪人の首を切り落とす役人」
がいることをカレンは知って
いました。
窓ガラスを叩いて話しかけ、首を
切られると「罪を悔い改めることが
できなく」なるので困りますが、どうか
「この赤い靴といっしょに、わたしの
足を切ってしまって」と頼みます。
カレンは、すっかり罪をざんげし、
役人は赤い靴をはいたままの両足を
切り落としました。
靴は小さな足を入れたまま、森の
奥深くへ踊っていってしまいました。
それから役人は、木の義足をこしらえて
やって、罪人が歌う賛美歌を教えました。
👠【結】神父さんの家で
自分の受けた苦しみをみんなに見てもらおうと思い、教会の入口へ行くと、
赤い靴が目の前で踊っています(
次の日曜日にも同じことが起こって、
つくづく怖くなり、心の底から悔いを
感じたカレンは神父さんの家へ行って、
女中に使って下さいと頼みました。
給料はいらないので、「ただ、心の
正しい人々と一つ屋根の下で」
暮らさせてほしいと頼むと、聞き入れ
られ、使ってもらうことになりました。
カレンはよく働いて、子どもたちにも
好かれましたが、子どもたちが服の
ことや美しくなることなどを言い
あっているときは、ただ首を横に
ふるのでした。
日曜日、教会へ行こうと言われたのを
足のせいで断り、ひとり悲しく、
賛美歌の本を読んでいますと、
オルガンの演奏が聞こえてきます。
終って顔をあげたとき、一家は
カレンを喜び迎えます。
「これも神様のお恵みでございます」
とカレンがいうと、オルガンが鳴り
わたり、こどもたちの合唱の声が
響きました。
お日さまの光が窓からあたたかく
流れこむと、カレンの心は光と
喜びであふれ、はりさけて
しまいました。
カレンのたましいは、お日様の光に
乗って、神さまのところへ飛んで
いったのです。
もうあの赤い靴のことをたずねるものは
ありませんでした。
カレンはハンチントン病だったのか?
さあ、いかがでした?エンデイングまで詳しくストーリーを
辿ってきたあなたの胸には、様々な
問題や疑問点が去来しているーのでは?
そのどれかについて考察・調査を深める
ことで、レポートなり読書感想文なりを
書いてみるのもよいことでしょう。
そういうテーマの一つとして浮かんで
来そうなのがこれ。
カレンはハンチントン病だったのか?
ハンチントン病というのは、一般に
「舞踏病」と呼ばれてきた疾患で、
意志しないのに舞踏運動が起こってしまい、
これに精神症状が伴う遺伝性の難病。
1872年、アメリカの医師ジョージ・
ハンチントンが解明したことから、
この名が与えられています。
『赤い靴』が発表された1843年には
未解明だったわけですが、その患者を
アンデルセンが目撃していた可能性は
小さくありません。
その患者さんの苦悩が発想源にあった
可能性も否定できないのでは
ないでしょうか。
参考までにこちらの動画をどうぞ。
踊りを止められないのだとしたら、
両足切断という末路はあまりにも
過酷にすぎませんかね;~~💦
だからこそ…
というのも変な話ですが、カレンは
それだけの懲罰を受けても納得される
だけの悪事をいくつか犯すように
話が作られているのです。
つまり勝手に赤い靴を買ったり、
教会に穿いていったり、
恩ある奥様の看病をサボったり…
ということですね。
キリスト教道徳のホラー・ストーリー?
ただ、そうはいっても、これらはどれも悪事には違いないにせよ、その年頃の
少女ならだれでも一度や二度は誘惑に
負けてやってしまいそうな、
“小悪”の部類ですよね。
その対価として、死にそうになるまで
エンドレスに踊らされたあげく
両足切断とは…
いくらなんでも厳しすぎるのでは?
たいていの日本人はそう感じると
思いますが、この厳格さもまた
アンデルセン童話の大きな特徴であり、
その揺るぎなさは彼自身のキリスト教
信仰によるものと思われるのです。
このへんは原作をきっちり読めば、
さらによくわかることですが、実母の
葬式に始まり、毎週教会へ行くことなど
カレンの生活の隅々にまでキリスト教が
浸透していますよね。
そして懲罰を決定づける「天使」も、
救いをもたらす神父一家もすべて
キリスト教関係者です。
つまるところ、キリスト教世界での
「正しさ」を教える童話として
罪を犯したカレンは罰されなければ
ならないという本筋は絶対的な基軸として
曲げられないところなのです。
少し話が飛びますが、キリスト教でいわれる
「七つの大罪」(または「七つの罪源」)
という教えをご存じでしょうか?
キリスト教世界で4世紀以降さかんに
唱えられてきた7項目。
4世紀に言われ出したものですから、聖書に
書かれているわけでもなく、その7項目も
微妙に異同があったりするのですが、
上のイラストに従えば左から淫蕩、嫉妬、
怠惰、貪食、強欲、怒り、高慢/虚栄の
7つの罪(またはそれぞれの源)。
👉この「7つの罪」をモチーフにして
大ヒットしたホラー・ミステリー映画が
『セブン』(Se7en,1995,デヴィッド・
フィンチャー監督、ブラッド・ピット主演)。
この映画についてはこちらで詳しく
情報提供しています。
・セブン(映画) ラストのサブリミナル画像と簡単なあらすじ【ネタバレ】
さて、おわかりですか?
かわいそうなカレンは嫉妬も怠惰も
怒りも強欲も貪食も犯していないように
思われますが、残念なことには唯一
「高慢/虚栄」の罪を犯してしまった
のです。
というか、そのような人物として
アンデルセンによって作られ、
教訓のダシにされたともいえます。
その意味では映画『セブン』さえ連想させる
道徳的ホラーでもあったのです(
👉アンデルセンの物語に見られる善悪・
正邪の観念がキリスト教に沿っている
ことは、ほかの童話でも顕著です。
こちらの記事もご参照ください。
・マッチ売りの少女は火で何を見せる?本当は怖い童話の現代的”真実”とは?
・童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ💛本当は怖い恋物語
・雪の女王(アンデルセン)のあらすじ💛アナ雪”原作の怖い童話
・“裸の王様”の意味は言う人によって違う?原作に戻って教訓を考察!
ところで、映画『赤い靴』の予告編動画
では、ヒロインが自分の足にまさに
ナイフを入れようとしていましたね。
靴が取れないから足を切ってしまおう
というのですが、この行為は、ガラスの
靴に入らないからといって母親に足の
一部を切り取られてしまうシンデレラの
姉たち(グリム童話のみ)を連想させます。
原作ではきっぱりと両足切断して
しまうわけですし。
これらは「女性の足」に対する男の
(というか、微妙な文化的背景をもつ)
執着を示すようで、非常に興味深い
ものがあります。
👉『シンデレラ』と「女性の足のサイズ」を
めぐっては、こちらで情報収集と考察を
展開しています。
どうぞご参照ください。
・シンデレラの原作は怖い!足を切断しても靴に入れる執念…そのルーツは?
まとめ
さて、どうでしょう。これだけの情報があれば、
もう十分ですよね。
こと『赤い靴』に関するかぎり。
アンデルセン童話での懲罰の過酷さや
キリスト教徒の関係をめぐっては
グリム童話と比較してみるのも
面白いテーマかもしれません。
グリム童話全般で懲罰がやはり厳しい
ことは、1世紀半前のペロー童話と
比べても歴然としていますから。
👉個々のグリム童話のあらすじや
問題点についてはこちらをご参照ください。
・白雪姫は怖い?こんなに違う原作(グリム童話)とディズニー映画
・ラプンツェルのあらすじ💛グリム原作初版は何がヤバかったの?
・青髭(童話)のモデル ジル.ド.レの実話とあらすじ(ペロー/グリムの違い)
・赤ずきんのあらすじ: グリム童話とペロー童話でどう違う?
・眠れる森の美女 原作のあらすじ王子の母は人食い女だった?
ん? 書けそうなテーマは浮かんで
きたけど、具体的にどう進めていいか
わからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の種々の
文学や映画の作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
こんなコメントが来ています