眠れる森の美女 原作のあらすじ 王子の母は人食い女だった?
やあやあサイ象です。
おなじみ「あらすじ」暴露サービスも
今回でついに第100弾に到達!
((((((ノ゚🐽゚)ノ
「感想文の書き方」シリーズとしても
大台突破の第152回となります。
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さて、記念すべき今回はディズニー映画
『マレフィセント』(2014)の元ネタでもある
『眠れる森の美女』(アニメ映画は1959年)
の原作で言ってみましょ~!
とはいっても話はやや複雑で、その主な
元ネタとなっているグリム童話(1812~)
でのタイトルは『いばら姫』。
グリムより100年以上前に出ている
『ペロー童話集』(1695)でのタイトルが
『眠れる森の美女』(La belle au bois
dormant)なんですね。
こちら(👇)がペロー(グリムは後ほど)。
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もともと民話として語り継がれて
いたものをペローやグリム兄弟が
自分好みに語り直した物語。
その違いがまた面白いわけですが、
最大の違いは、下記のあらすじでは
【後日談】としてまとめています
ペロー版での後半がグリム版では
完全にカットされていること。
グリム版はこちらで。👇
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そこではなんと母親が息子の嫁を食い殺す
という、ショッキングではありながら
心理的にはどこの国にもありそうな
テーマが物語化されているんですね。
たいへん面白いと思うんですが、
ロマンティックなグリムには
切り捨てられたようで……。
映画でももちろんそうです。
とりあえず、予告編をどうぞ。
かなり詳しいあらすじ(グリム+ペロー)
さて、能書きはそれくらいにして、「あらすじ」に入りましょう。
ごく大まかなストーリーはみなさん
ご存じでしょうから、ここでは
「かなり詳しいあらすじ」です。
基本的にグリム版にもとづき、
大きく異なる部分は👉印の
あとにペロー版では……という注釈を
入れる形で進めます。
なお分かりやすさのため、私の勝手な
判断でストーリーを「起・承・転・
結(+後日談)」に分けています。
では、どうぞ。
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【起】
子どもができないことを悲しむ王と王妃がいました。
やっと女の子が生まれ、
喜んだ夫妻は祝宴を開き、国中の
魔法使いを招待しました。
ところが、一人の魔法使いだけ
招待されなかったのです。
👉この魔法使い、『ペロー』では
「仙女」で『グリム』では初版は「妖精」、
第2版以降は「魔女」と異同があります。
ともかくそういう特殊な女性の総数が
『グリム』では13人で、招待された
のが12人。
『ペロー』ではこれが8人中7人と、
どちらも縁起のいい数。
招待されなかったワケは、『グリム』では
お皿の数が足りなかったからですが、
『ペロー』では50年以上も塔の外へ
出なかったので死んだと思われていたから。
それはともかく『グリム』の第2版以降では
魔女ということにされ、「悪い人」という
イメージが強められたようですが、
それにしても、そもそも「魔女」とは
一体どういう存在だったのでしょうか?
この問題はこちらで探求していますので、
ぜひご参照ください。
・ヘンゼルとグレーテル ⦅魔女の正体⦆ホントはいい人で怖いのは子供?
お祝いの席で魔法使いたちは順に
「きよらかな心」「美しさ」などを
王女に授けていきます。
ところが、最後から2人目の贈り物が
終わったところで、突然、例の
招待されなかった魔法使いが現れて
「王女は15歳で錘(つむ/spindle)に
刺されて死ぬ」と言って去りました。
左手から下がっているのが錘(つむ)
すると、まだ贈り物をしていない
最後の魔法使いが進み出て
「王女は死なない。100年の深い
眠りに落ちるだけ」と告げます。
王は国中の錘をすべて捨てる
よう命令しました。
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【承】
美しく育った15歳の王女が一人で城の中を歩いていくと、
塔の最上階の小部屋で一人の
老婆が錘を使って紡いで
いるのを見つけます。
自分もやってみたくなって
手を延ばすと、たちまち錘に
刺されて深い眠りに落ちました。
すると、王夫妻をはじめ城の人々も
動物もすべて眠りに落ちてしまいます。
👉なぜみんな眠ってしまうのかについて
『グリム』には説明がありませんが、
『ペロー』では生誕祝いの席で最後に
「王女は死なない」と言ったあの「やさしい
仙女」によって、王女と同時に目を覚ます
ように魔法をかけられたのですね。
また城の周囲には茨(いばら)が
どんどん繁って、ついには城全体を
包み隠すほどでした。
【転】
100年近くが過ぎ、この国を訪れた別の国の王子が、茨の森に囲まれた
城に王女が眠っているという
話を聞きます。
奮い立った王子が茨の森に
分け入ろうとすると、茨たちは
自分から道をあけて王子を通し、
通りすぎると、また閉じます。
👉この不思議が起こったのは、ちょうど
100年が過ぎて「呪いがとけた時だった」
からだと『グリム』第五版にありますが、
初版にこれはなく、『ペロー』にも
ありません。
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【結】
例の塔に行き着き、眠っている王女の美しさに驚きます。
王子がおもわずキスすると、
王女は目をさましました。
👉『ペロー』では「キス」はなく王子は
ひざまづくだけ。
王女が目をさますのは「ちょうど魔法の
とけるときが来て」いたから。
同時に王夫妻をはじめ、城の人々と
動物たちもみな目ざめ、二人は
結婚して幸せにくらしました。
【後日談】(『ペロー』のみ)
王子は自国へ戻らぬまま.二人の子をもうけましたが、
それは母親が実は「人食い種族」
で(父が結婚したのも財産目当て)、
子らが食われるのを恐れたから。
👉二人の子の名は姉がオーロール
(Aurore。暁、オーロラの意)で
弟がジュール(Jour。日の意)。
ディズニー版でヒロインがオーロラ
(Aurora)と名付けられているのは
おそらくここから採ったもので、
原作では名前はありません。
が、2年後に父に死なれた王子は、
新王として妻子とともに都入り。
戦争が勃発し、王は母の王太后を
摂政に任じて出陣しますが、母は
留守中にオーロールとジュールを
料理せよと料理長に命じます。
料理長の機転ですり替えられた
子羊と子山羊の肉を食べた母は、
今度は王妃を食べたいと言います。
今度は牝鹿の肉を出して事なきを
えましたが、ある夜、王太后は
子らの声を聞きつけ、生きていると
知って激怒。
大桶の中をヒキガエルや蛇で
一杯にし、その中に子どもたちと
王妃と料理長夫妻を投げ込むよう
役人に命じます。
そこへ王が帰城して驚きます。
逆上した王太后は大桶に身を投げ、
蛇どもに食いつくされました。
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眠らされるのはつねに美女?
さて、いかがでした。100年間眠るといっても、現代で
いえば「冷凍保存」のような仮死状態。
だから若さと美貌が保たれる
わけですね。
この点は『白雪姫』の場合と同じ。
👉『白雪姫』についてはこちらをどうぞ。
・白雪姫は怖い?こんなに違う原作(グリム童話)とディズニー映画
このような「死」と接した「眠り」の
主題はあの村上春樹氏が短篇「眠り」
(1989)や『アフターダーク』(2004)
で追求されたところですね。
またやや古くは川端康成にズバリ
『眠れる美女』(1960)という
妖しい傑作もありました。
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この場合は、キスで目ざめさせよう
なんて意思はなく、ただただ眠って
いるままを鑑賞したい…という
人によっては「いやらしい」と
嫌悪されるかもしれない世界。
いずれにしろ、眠らされるのは
「美女」と相場が決まっているようで…
が~ん、美しくなければ眠る権利も
ないのでしょうか?!
いえいえもちろん眠る自由はありますが、
眠りながら男を引き寄せるだけの魔力は
(残念ながら)ない…という現実が
そこにあるだけです(/_;)/~~。
そして「美女」はその魔力を武器に
寝ながらにして男を得るけれども、
その挙げ句には、男の母親に食い
殺されることもあるよ…というのが
ペロー先生の教えだったのでは
ないでしょうか;^^💦
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まとめ
ま、恋愛や結婚の問題を離れても、「眠る」ということは人類始まって以来、
あるいはそれ以前からの、永久不滅の
大問題…のはず。
ともかく眠るというのは、こんな楽な
ことはないはずで、日本でも昔から
「〔世の中に〕寝るより楽はなかりけり
浮世の馬鹿は起きて働く」
とか
「世の中に寝る程楽は無きものを
知らぬうつけが起きて働く」
とか言われてきています。
感想文やレポートを書く場合は、
上に述べましたことなどを参考に、
自分にとっての「眠る」ことの
意味を、一度じっくりと考え直して
みてはどうでしょうか。
👉『眠れる美女』の場合もそうですが、
グリムにもペローにも入っている童話は
沢山あって、それぞれ読み比べると、
いろいろと面白い発見があります。
詳しくはこちらの記事などを
ご参照ください。
・赤ずきんのあらすじ: グリム童話とペロー童話でどう違う?
・シンデレラの原作は怖い!足を切断しても靴に入れる執念…そのルーツは?
・青髭(童話)のモデル ジル.ド.レの実話とあらすじ(ペロー/グリムの違い)
👉あるいはアンデルセンなどの
創作童話との比較も面白いですよ。
・赤い靴(アンデルセン童話)原作のあらすじ:怖いのはどこ?
・童話 人魚姫(アンデルセン)のあらすじ💛本当は怖い恋物語
・雪の女王(アンデルセン)のあらすじ💛”アナ雪”原作の怖い童話
・ピーターパン原作のあらすじ:怖いのは子供が○○されるから?
・ピノキオのあらすじ:怖くて”悪い”原作の世界を結末までご案内
・星の王子様のあらすじ☆キツネの秘密とは?
ん? 書けそうなテーマは浮かん
できたけど、具体的にどう進めて
いいかわからない( ̄ヘ ̄)?
そういう人は、「感想文の書き方
《虎の巻》」を開陳している記事の
どれかを見てくださいね。
👉当ブログでは、日本と世界の多様な
文学や映画の作品について、
「あらすじ」や「感想文」関連の
お助け記事を量産しています。
参考になるものもあると思いますので、
どうぞこちらからお探しください。
・「あらすじ」記事一覧
・≪感想文の書き方≫具体例一覧
ともかく頑張ってやりぬきましょー~~(^O^)/
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